──
自動車部品会社のマレリが破綻したが、これは奇妙なところがある。1兆円以上の巨額倒産(日本市場最大規模)になったが、あまりにも異常である。
また、自動車部品の生産が滞っているので、かわりの会社が見つからず、日産自動車の業績にも影響しているようだ。日産は部品を入手できなくなり、生産も滞っているようだ。二次倒産も起こりがちらしい。
いったいこれは、どういうことか?
先に、日産自動車の次期社長の話をしたが、そこでは西友の話もした。
ウォルマートは日本に進出するにあたって、西友を買収したのだが、最終的には撤退した。2500億円で買収したあと、300億円で売却したので、多大な損失を出した。
投資ファンドの KKR は、西友を 300億円で購入した。その後、経営を立て直して、3800億円で売却した。2021年に購入して、2025年に売却。300億円で買って、3800億円で売却。まるでマジックだ。
どうしてこんなことができたのか? 経営を根本改革したからだ。どうしようもない赤字体質の企業を、体質改善することで、優良企業に転じた。
ここでマジックのような大成功をなしたのが、KKR という投資ファンドだ。破綻会社を購入して再生するのが得意だ。
さて。この会社がマレリにも関与した。
・ KKR が、日本のカルソニックカンセイを買収した。
・ カルソニックカンセイがマレリを買収することに決めた。(判断は KKR )
・ KKR が巨額資金を出して、マレリを買収した。( 8000億円)
・ マレリとカルソニックは合併して、マレリという名前になった。
・ 超大規模企業となった。大発展すると見込まれた。
・ だが現実には、体が二つくっついた巨人のように、機能しなかった。
・ 不均衡状態のまま、倒産した。
・ マレリの元の株主は、8000億円を受けて大儲け。KKR は莫大な損失。
KKR の損失はどのくらいか?
・ カルソニックカンセイの株式価値が泡と消えた。
・ マレリの株式価値が泡と消えた。(マレリの買収資金が無駄になった。)
他に、債務者としての銀行の損失が多大に生じている。
Perplexity の回答
KKRは2017年にカルソニックカンセイを買収し、2019年には約7,200億円を投じてイタリアのマニエッティ・マレリを買収しました。この統合により、KKRは総額約2,000億円の損失を計上したとされています。
経営破綻時点で、マレリの負債総額は1兆1,856億円に達しており、製造業では過去最大規模の倒産となりました。
金融機関から約4,500億円の債権放棄などの支援を受けましたが、経営再建計画は完全な合意に至らず破綻しました。
とんでもない大赤字である。
──
最後に、私の分析をしておこう。こうだ。
「こういうことになったのは、なぜか? KKR が愚かだったからだ。どこが愚かだったか? 自動車産業のことを何も知らないくせに、カルソニックカンセイとマレリを合併させた。こんなことをして、企業の一体化ができるわけがないのに、二つの会社を合体すれば、相乗効果が出ると思い込んだ。要するに、経営というものをまったく理解できない素人判断で、帳簿だけを見て、うまく行くと思い込んだ。素人の無知が暴走した結果だ」
ひるがえって、西友の場合には違った。西友には愚かなウォルマートという馬鹿経営者(社)があった。その経営者の首をすげ替えることで、経営者を(日本についての)素人経営者から、玄人経営者に転じた。
素人経営者 → 玄人経営者
会社そのものは何も変えず、経営者の首だけを(流通経営のプロに)すげ替えた。だから、成功した。
カルソニックカンセイとマレリの場合は違った。まったく毛色の異なる二つの会社を無理やり合体させた。それでうまく行くだろうと数字で判断したが、現実には人間の交流がまったくできずに大失敗した。二つの巨人を手術でつなげて、超巨大な巨人ができると思ったが、二つの巨人が癒着不適合を起こして、どちらも死んでしまった。
どのような分野であれ、こうなるのは当然だ。
・ 素人経営者が玄人経営者に交替すれば、成功する。
・ 素人が数字だけを見て、現実の会社を合併させて、経営できずにいれば、失敗する。
西友とマレリの光と影。この対比を見ると、専門知識の有無の重要性がわかる。KKR がマレリでやったことは、いわば、トランプのようなメチャクチャな素人経営だったのである。
※ それにしても、カルソニックという会社がなくなってしまったのは、残念だ。いい会社だったのに。
※ カルソニックが KKR に買収された時点で、私はこうなる危険を予感していたが、予感通りに最悪の結果になってしまった。
[ 付記1 ]
カルソニックが KKR に買収されたのは、日産が子会社であるカルソニックの株を売却すると決めたからだ。なぜかというと、ゴーンの方針だったからだ。
Perplexity の回答
カルソニックカンセイ(現マレリ)がKKRに買収された主な理由は、日産自動車が子会社であるカルソニックカンセイの株式を売却することを決定したからです。この決定には以下のような背景がありました:
日産にとって、カルソニックカンセイの株式売却は系列部品メーカーの「解体」戦略の一環でした。カルロス・ゴーン氏が1999年から始めたこの戦略により、日産は多くの系列部品メーカーの株式を売却してきました。( → 出典 )
目先のコストカットで、大切な子会社を売却したら、その子会社がつぶれてしまって、自分自身の身を削られるハメになった……というわけだ。馬鹿丸出しだ。
ちなみに、充電池メーカーの方は、20% の株を所有し続けているが、こちらは大きな発展を遂げたので、株価や業績は爆上がりだ。
Feloの回答
AESC(オートモーティブ・エナジーサプライ株式会社)の日産自動車の持株比率は、現在約20%です。AESCはもともと日産とNECの合弁会社として設立されましたが、2019年に中国のエンビジョングループに買収され、エンビジョンAESCとして再編成されました。この際、エンビジョングループが約80%の株式を保有し、日産は残りの20%を保持しています。
一方、カルソニックカンセイの株は全株を KKR に売却した。
Feloの回答
日産自動車は、2016年11月22日に自社の部品子会社であるカルソニックカンセイの株式を全て売却することを発表しました。具体的には、日産はカルソニックカンセイの約41%の株式を米国の投資ファンドKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)に売却しました。この取引は約2067億円(約1.87億ドル)で行われ、KKRはカルソニックカンセイの全株式を取得することを目指しました。
目先の金に目がくらんだゴーンが、諸悪の根源だったと言えよう。
[ 付記2 ]
AESC の社長は、ずっと内部の人材であり、日産自動車系列の人たちだ。一方、カルソニックカンセイの社長は、日本人からドイツ人に転じた。
このドイツ人は、社長になってすぐ、カルソニックカンセイによるマレリ買収という方針を出した。小が大を呑む合併。あまりにも馬鹿げている。自社(カルソニックカンセイ)の経営もまだやっていない人が、とんでもないマネーゲームを仕掛ける。狂気の沙汰だ。
傲慢なドイツ人の野望が、諸悪の根源だが、こんな人物に振り回されて1兆円も出した KKR も、どうかしているね。
上のドイツ人の経歴は下記だ。
→ カルソニックカンセイ社長にボルゼニウス氏 - 日本経済新聞
ジョンソンコントロールズ社で副社長をしていたそうだが、似た事業だとはいえ、自動車部品業とは関係ない。業界人としては、ほぼ素人であるとわかる。
これまでの玄人経営者から、素人経営者に転じた。あげく、無謀なマネーゲームで合併をして、巨額投資をして、ゲームで失敗した。
KKR がこれほどにも馬鹿げたことをやったのは、謎である。おかしいね。自分の金で損しただけだから、他人がいちいち口を出すまでもないが。
【 関連項目 】
あとで気づいたが、前にもマレリについて論じていた。2022年08月 の記事。
→ マレリが 1.2兆円の損失: Open ブログ
※ このときは再建中だった。現在もまだ、再建をめざして努力しているようだが、見通しはきわめて厳しいようだ。1.2兆円を一挙に消滅させたのだから、ほとんどマジックだ。たいしたものだ。(褒めてない。)

しかし記載の通りまたみずほ銀行から信用問題が発生してます。
日産がアレならば当然としてこうなる事態
https://www.nikkei.com/nkd/company/us/KKR/news/?DisplayType=1&ng=DGXZQOUB302PM030012025000000
次にAESCも類似な信用問題が出てる、
もっと言えばアメリカ、イギリス含め巨額な新工場投資をしている、しかし頼みの日産が先日韓国ソースから100万台分の入手発表された為、これらの新工場(ほぼ日産の敷地内外?)の行方が問題になる、
両社は資本関係が希薄なのに
いまだ日産系列のような人事つながりがこの国の闇のようだ