企業・団体の寄付を禁止または制限するという方針が話題になっているが、その本質は、真実を隠蔽した仮面である。
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(昨秋の選挙で自民党が大敗した理由となった)政治献金の問題を受けて、企業・団体の寄付を禁止または制限するという方針が出た。
これに対して、石破首相が反対の意見を出した。「寄付を禁止するのは、(政治活動という)表現の自由を制限するので、人権の侵害だ」という意見だ。
首相の意見を受けて、立憲が同調して、「なるほど」と同意した。そこで立憲は「年間 3000万円までは許容するが、それ以上は制限する」という方針を出した。
この話題については、維新は「全面禁止」という方針を出していたが、石破首相の意見を受けて、方針を転じた。首相に同調して、表現の自由を尊重するという立場になって、「全面禁止は撤回して、年間 1000万円までは許容する」という方針になった。
その後、立憲と維新は、「足して2で割る」という形で、「年間 2000万円までに制限する」という案で合意しつつある。
一方、国民民主はそれに同調しない。「たとえ1円であっても見とれるのは抜け道になるから許せない」と言って、立憲の案を批判した。そこで対案として出したのが、「1円も許さずに全面禁止」という方針かと思いきや、それとは逆で、「全面許容して、制限なし」という方針だった。「明朗化するかわりに全面許容する」というもの。頭がおかしいとしか思えない。
( ※ たぶん不倫のしすぎで、頭の構造が狂ってしまったのだろう。トランプみたいだ。 玉木 ≒ トランプ )
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さて。以上が現状の解説だが、その事情はすべてインチキである。そこには真実が一つもない。そこで、私がかわりに、真実を明かそう。真実とは、こうだ。
「(表現の自由を理由として)寄付の禁止に異を唱えた石破首相の意見を受けて、野党は部分的に同意した。維新が同意したのは(愚かさゆえに)だまされて真に受けたからだ。一方、立憲が同意したのは、合理的な理由がある。企業献金を禁止するのは構わないが、団体献金まで禁止されると、労働組合が立憲に献金することができなくなって、困るからだ」
この問題については、調査結果が報道されたことがある。
連合傘下の主要な労働組合や関連政治団体が、自ら擁立・支援する立憲民主党と国民民主党の参院議員に対し、2023年に計約2億4000万円を寄付したことが、29日に総務省が公表した政治資金収支報告書で明らかになった。寄付額は国民民主の議員が計1億6482万円で、立憲議員の計7400万円を上回った。
( → 連合傘下、国民民主・立憲側に2.4億円寄付 企業献金抜け道の指摘も | 毎日新聞 )
立憲のような巨大政党ならば、たったの 7400万円の寄付など、なくてもやっていけそうなものだ。実際、立憲への政党交付金は 81億円以上もある。( → 出典 )
この程度の微小な額を受け取ろうとして、「労組からの団体献金を受け入れよう」と望んだ。そのせいで、(表現の自由を理由として)寄付の禁止に異を唱えた石破首相の意見に同調することになった。馬鹿丸出しである。 7400万円に目がくらんで、自民党への巨額献金をお目こぼししようとする。
国会議員が関係する政党支部の2023年分政治資金収支報告書の中央分と地方分を集計したところ、企業・団体献金の総額が18億9513万円に上ることが6日、分かった。
支部とは別に自民党本部の政治資金団体「国民政治協会」が24億円の献金を企業や業界団体から受けた。
( → 自民党支部に企業献金17億円 23年資金報告、立憲民主党5千万円 - 日本経済新聞 )
この記事によると、自民党は支部で 19億円、本部で 24億円、合計 43億円を得ていることになる。
ともあれ、以上のことから、物事には表と裏があるとわかる。
(1) 自民党
表 …… 「表現の自由」という基本的人権を企業にも認める、というインチキ法理論を首相が素人解釈で打ち出す。
裏 …… 本当は企業献金 43億円がほしいだけ。裏金問題への反省などは皆無。
(2) 維新
表 …… 「表現の自由」という基本的人権を企業にも認める、という首相の素人解釈に乗る。だまされて信じる。
裏 …… 裏では何も考えていない。単にだまされるだけ。
(3) 立憲
表 …… 「表現の自由」という基本的人権を企業にも認める、という首相の素人解釈に乗るフリをする。「これ幸い」とばかり。
裏 …… 労組からの献金 7400万円がほしいだけ。(自民党の 43億円を許容することになるので、かえって不利になる、と気づかない。差し引きの計算ができない。)
(4) 国民民主
表 …… 立憲を批判して、正義の味方のフリをして、得意がる。「立憲よりもオレの方が正しい」と言いたいだけ。
裏 …… 労組からの献金 1億6000万円(立憲の倍以上の額)を失いたくない。特に、トヨタ労組からの献金が主力なので、これを重視する。そのために、ガソリン税の廃止を唱えて、トヨタに尻尾を振る。(なお、企業献金も受けているようだが、金額は不明。)
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以上で、表と裏を示す形で、真相を明らかにした。
一方、表にある嘘情報ばかりを出すのが、マスコミだ。嘘を唱える首相や野党の声ばかりを報道して、真実を報道しない。フェイク・ニュースというほどひどくはないのだが、そこに見えるのは上ツラとしての仮面だけである。深層にひそむ真実は隠蔽されたままだ。

米・英・独・仏の中でどうも企業団体献金を完全に禁止しているのはフランスだけのようですね。
以下はPDFファイルをAIに読み込ませました
米英独仏の政治資金制度 まとめ
1. 制度の特徴
アメリカ
規制の柱:寄付の制限と収支の透明性。
主な法律:1971年連邦選挙運動法(FECA)。
監督機関:連邦選挙委員会(FEC)。
特徴:
企業・労働組合の直接寄付は禁止(※PACを通じた寄付は可能)。
個人の寄付上限は候補者1人あたり3,300ドル/選挙。
スーパーPAC(候補者と無関係な大口資金)が事実上の影響力を持つ。
大統領選挙の公的補助金は近年利用されていない(支出制限がネック)。
イギリス
規制の柱:選挙費用の支出制限と寄付源の透明化。
主な法律:2000年政党・選挙法。
監督機関:選挙委員会。
特徴:
政党の年間支出上限(例:総選挙で約68億円)。
寄付は「許容される寄付者」(国内個人・企業など)に限定。
議員は1,500ポンド超の寄付を公開義務あり。
ドイツ
規制の柱:大規模な公的助成と政党財政の透明性。
主な法律:政党法。
監督機関:連邦議会議長。
特徴:
政党への国庫補助(得票数と個人献金に応じた配分)。
寄付の質的制限(例:匿名寄付は500ユーロ超禁止)。
企業・労働組合の寄付は原則可能(※透明性確保のため高額寄付は公開)。
フランス
規制の柱:候補者・政党への公的助成と支出制限。
主な法律:1988年政治資金透明化法。
監督機関:選挙運動費用収支委員会(CNCCFP)。
特徴:
法人寄付は全面禁止(個人のみ可能)。
選挙費用の47.5%を国が償還(5%以上得票が条件)。
寄附者情報は非公開(監督機関には全情報を提出)。
2. 日本の論点との比較
連座制の適用
日本:会計責任者の不正で議員が連帯責任(罰金・公民権停止)。
米英独仏:議員の直接関与がなければ責任追及されない。
政治資金パーティー
日本:企業・外国人も参加可能(※2024年改正で公開基準厳格化)。
米:収益全額を「寄付」扱い(制限適用)。
独:対価性があれば「事業収入」、なければ「寄付」と区別。
監督機関
日本:総務省が形式的審査(実質的権限なし)。
米英仏:独立機関(FEC・選挙委員会・CNCCFP)が実質的調査権・制裁権を保有。
独:連邦議会議長が監査・罰金を課す。
収支報告の透明性
日本:オンライン提出は努力義務(2024年改正で義務化)、公表期間3年。
米英:全データを検索可能な形で永久公開。
3. 主な課題と展望
日本の課題:
監督機関の独立性不足(行政機関依存)。
寄附者情報の非公開範囲(個人情報保護 vs 透明性)。
オンライン報告の遅れ(データベース化未実施)。
改正の方向性(2024年法改正):
国会議員関連団体のオンライン報告義務化。
独立性ある監督機関の設置を検討(2026年施行予定)。
4. 結論
米英独仏は「独立機関による実質監査」「透明性重視」が共通点。
日本は制度改正で透明性向上を目指すものの、監督機関の独立性やデータ公開の遅れが課題。今後の法整備で海外事例を参考にした改革が期待される。