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朝日新聞の記事。15日朝刊。
商品券は、首相の秘書が3日の日中に国会の各議員事務所へ配布。同日夜に公邸で懇談会が開かれ、首相と新人議員、正副官房長官3人の計19人が出席した。その会費についても、首相は全額を私費で負担したとし、「お一人様1万5千円。なるべく費用のかからないところを選定をしたと記憶している」と説明した。会費と商品券の総額は、約180万円の計算になる。
( → 商品券10万円は「ねぎらい」 首相陳謝、違法性は否定:朝日新聞 )
同日夜に公邸で懇談会があったのに、「商品券は、首相の秘書が3日の日中に国会の各議員事務所へ配布」とのことだ。もはや(事後的な)「お土産」との主張は成立しなくなった。馬脚を現したね。論拠の崩壊。嘘つき野郎だな。そこで今度は「お土産でなく、ねぎらい」というふうに話を転じた。
その上で、食事代についても、「首相は全額を私費で負担したとし、お一人様1万5千円」とのことだ。だが、これはまずい。この理屈だと、今回は「自腹なのでセーフ」となるだろう。そのかわり、これまでの懇談会がすべてアウトになる。なぜなら、政治活動でない懇談会に、政治資金を出していたことで、「個人的行為に政治資金を流用した」という横領罪が成立するからだ。今回だけはセーフになるが、これ以前の会食がすべてアウトになる。(報告書も提出しているから、証拠もバッチリだ。)
また、首相だけでなく、たくさんの政治家全員がアウトになってしまう。政界は大混乱になる。
では、真相は?
「懇談会は政治活動ではない」
という今回の首相の弁解が虚偽である。これまでの前例を踏襲する限り、政治家の会食はすべて政治活動だと見なしていい。企業の交際費だって同様の認識だ。
したがって、これまでの会食も、他の政治家の会食も、すべてセーフとなる。その一方で、今回の会食は、政治活動になるので、アウトだ。たとえ首相が「自腹で金を出した」と言っても、通用しない。金を払おうが払うまいが、政治家同士の会食は政治活動なのである。これはれっきとした政治活動なのだ。(だから 21条違反となる。前項を参照。)
[ 付記 ]
上記記事にはこうある。
同日夜に公邸で懇談会が開かれ、首相と新人議員、正副官房長官3人の計19人が出席した。
この出席者の顔ぶれを見ても、政治活動であるのは明らかだ。
そもそも「ねぎらい」という言葉からして、「政治活動だ」と認めているのも同然である。
・ 上司である党総裁がねぎらう
・ 部下である新人議員がねぎらわれる
・ ねぎらう理由は職務(政治活動)である
以上の三点からして、れっきとした政治活動であろう。たとえば、「政治活動とは関係のない趣味の会です」というような弁解は成立しない。
比喩で言えば、優勝したドジャースの選手の妻たちの祝勝会は、選手としての職務ではないが、選手自身の祝勝会は、選手としての職務の一部である。そこで選手が球団にねぎらってもらって、ビールを浴びたり、食事を食べたりするのは、職務の一部である。だから球団が全額を費用負担する。……このとき、「祝勝会は職務ではないので、選手が費用を自腹で払うべし」というような理屈は成立しない。
このことからして、石破首相の弁明がいかに屁理屈であるか、よくわかるだろう。