2025年03月10日

◆ トランプと日本 .3

 ( 前項 の続き )
 トランプ大統領のやっていることは、いかにも愚かだと見えるが、そのわけは……

 ──

 トランプは愚かか? 


 トランプの方針を見ると、いかにも愚かにも見える。しかし、単に知能指数が低いのとは違う。知能指数だけなら、平均点をかなり上回るはずだ。では、愚かさが理由ではないとしたら、何なのか? 性格的なものが理由だとも思える。

 (1) 目先の損得にこだわる

 あまりにも損得にこだわる。そのせいで、目先の損得にこだわって、長期的な損得にまで頭が回らない。朝三暮四の猿と同じで、目先のことしか考えられない。
 前項で述べたことが、この例だ。「日本を守ってやる」と考えるときは、米国と日本の防衛費のことばかりを考えている。日本を守らなければ、日本を失い、そのせいで米国が「中国・日本」に敗北するということにまで、考えが及ばない。今年のことを考えることはできても、10年後にどうなるかということまで考えられない。
 つまり、思考のキャパシティがとても小さい。これは、比喩的にパソコンで言えば、DRAM の容量が小さすぎて、思考力に制限がかかっている状況である。あるいは、グラボの性能が劣っているせいで、ゲームの処理能力が大幅に低下している状況である。マシンの部品が大昔のポンコツ部品なのだから、仕方ないが。

 (2) 共同利益を嫌う

 世界の外交の基本は「共同利益を求める」ことである。なぜなら、1国が「自国だけの利益」を求めると、対立・戦争になることが歴史的な教訓として判明しているからだ。第二次大戦後、戦争の教訓として、世界は「共同利益」を基調として外交が進んできた。
 ところがトランプはこれに真っ向から異を立てる。「共同利益」を忌み嫌い、「自国だけの利益」「我欲」を最優先とする。その基本方針が「アメリカ・ファースト」だ。「MAGA」ともいう。( Make America Great Again )
 また、その方針を「ディール」ともいう。これまでの世界外交における「多国間協調」を全面否定して、「2国間交渉」に導いてから、「米国だけが一方的に得する状況」に誘い込む。その代表例が「TPP脱退」であり、代替策としての2国間交渉である。(日米貿易協定がその一例だ。日本は全面屈服して、屈辱的な協定を強いられた。)

 ともあれ、これまでのように「共同利益」を嫌うという方針が、トランプの基本方針だ。
 さて。これまでは経済の分野でそのことが顕著だった。メキシコやカナダとの関税設定もそうだ。世界各国向けの関税設定もそうだ。たとえ報復関税を招いてもいい、ということからして、「共同利益」という概念からは懸け離れた、およそ正反対の方針を取っているとわかる。
 ところが、これまでは経済の分野でそうだったが、最近では軍事分野でもそういう方針を取りつつある。欧州や日本に対して、「欧州や日本を守らない」と言い出している。これはトランプ1期目にはなかった方針だ。それほどにも非協調的・孤立主義的になっている。

 では、どうしてこうなったか? それはやはり、「共同利益」を嫌うという方針がもともとあった上で、いっそう昂じてきたからだろう。年を取るとますます頑固になるというのと同様で、いっそう融通が利かなくなってくる。もともと頑固じじいだったのが、いっそうひどい頑固じじいとなる。もともと聞き分けがなかったのが、いっそう聞き分けがなくなる。
 NATO であれ、日米安保条約であれ、そこでは「win-win」という共同利益の発想で条約が結ばれた。それを理解している時代には、トランプも異を立てなかった。しかるに、年を取って、頭が石頭になると、自分の信念である「自国利益の最優先」「アメリカ・ファースト」という目的から離れられなくなった。共同利益という概念を踏みにじりたくて仕方ない。かくて、欧州や日本の利益を踏みにじることで、米国の利益が最大化すると思い込む。こうして同盟関係の破壊にまっしぐらで進んでいく。

 そのせいで得をするのは中国やロシアであり、それで損するのは(中国やロシアに敗北する)米国である、ということには頭が及ばない。
 猿と同じで、目先のことが何よりも大切であり、遠い先のことには頭が及ばないのだ。なぜなら、そこまで考えるには、DRAM の容量が必要だが、彼の頭には DRAM が足りないからである。



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posted by 管理人 at 23:14 | Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
仰せの通りですがもっと重要なのはそのトランプがどうして支持されているのかということです。民主主義=衆愚政治と言ってしまうのば簡単なのですが。まあ米国の無教養層にわかりやすいことは事実でしょう。でも教養もある企業人が共和党の主な支持層のはずなのに反対の声は聞こえてきませんね。
Posted by ひまなので at 2025年03月11日 11:21
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