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まず、原因と対策を示そう。これまでに述べた通りだ。
(1) 原因
米不足の原因は、昨夏の供給不足だ。昨夏の供給不足が、現在まで引き継がれている。その分が 40万トンだ。
→ 備蓄米放出の計算ミス: Open ブログ
(2) 対策
供給不足を解決には、備蓄を取り崩せばいい。その量は、政府計画では 21万トンだが、不足は 40万トンなのだから、40万トンを取り崩せばいい。
→ 備蓄の古米を放出せよ: Open ブログ
(3) 5年物の古米
飼料用になる5年物の古米を、人間用に転じればいい。こうすれば、廃棄されるはずの 20万トンが供給増になるので、1年後の買い戻しは不要となる。
→ 同上
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以上は、すでに述べたことだ。本項では、上記に加えて、さらに次のことを提案しよう。
(4) 4年物の古米
5年物の古米だけでなく、4年物の古米についても、備蓄を取り崩せばいい。
政府案では、備蓄で取り崩すのは、1〜3年物であるようだ。しかし、そうではなく、5年物と4年物の古米を取り崩すといい。(各 20万トンずつ。)
その意味は、こうだ。
「5年物の古米ならば、今年の飼料米になる分を転用すれば済む。4年物の古米ならば、来年の飼料米になる分を転用すれば済む。こうして、今年と来年の飼料米になる分を転用することで、米の供給が 40万トン増える。こうして供給が 40万トン増えるから、昨夏の 40万トンの不足を解消できる」
つまり、こうだ。
・ 5年物 → 飼料用にする 20万トンを食用に転じる(本年分)
・ 4年物 → 飼料用にする 20万トンを食用に転じる(来年分)
これはどういうことか? 本来ならば、飼料米になる形で、廃棄される分が毎年 20万トンある。なぜなら、備蓄が 100万トンであり、それを5年後に廃棄するからだ。毎年 20万トンずつ購入して、20万トンずつ廃棄する。
しかし米不足の時には、備蓄を取り崩して、廃棄するのをやめればいいのだ。そうすれば、米不足の問題が解消する。これこそ、備蓄という制度の意義だ。
現状ではそうなっていない。農水省の目的は、「備蓄によって米不足を解消すること」ではないのだ。むしろ、こう考える。
「備蓄の 100万トンという量を維持することが、最優先の目的である。そのためには、国民が米不足になって苦しんでも構わない。国民の不幸など、どうでもいい。備蓄の 100万トンを維持することだけが、われわれ農水省にとって大切なのだ」
備蓄という制度が国民に優先するわけだ。何のために備蓄をするかを忘れて、備蓄をすること自体が自己目的化している。……本末転倒とはこのことだ。
そこで私が指摘する。
「備蓄というのは、いざというときには取り崩すためにあるのだ。備蓄をすることの目的は、備蓄がなくなることなのである。備蓄がなくなったときにこそ、備蓄の本来の役割が果たされたのだ」
こういうふうに理解すれば、問題は解決する。
しかし、それを理解しないのが、農水省だ。そしてまた、その農水省の詭弁にだまされているのが、日本国民とマスコミだ。だから誰も、「飼料用になる古米を人間用に転じよ」とは言わないのだ。たぶん、「そんなもの食えるか」と思っているのだろう。驕りである。それが人を飢えさせる。
[ 付記1 ]
備蓄というものは一定量を保つ必要はない。状況に応じて変動させていい。毎年の需給の変動に対して、備蓄を増減させることで、変動を緩和するのが、あるべき姿だ。
・ 昨夏のように供給が不足した場合には、備蓄を崩すといい。
・ 今夏のように供給の増加が見込まれる場合には、備蓄を増やしてもいい。
[ 付記2 ]
価格の状況を調べてみた。( Feloの回答による。)
・ JAの買い上げ価格は、3割増ぐらい。(各地)
・ 業者間の相対取引価格は、58%増。
・ 末端の小売価格は、1.7〜1.8倍ぐらい。
農家に入る金はあまり上がっていない(1.3倍)のに、中間業者の価格では大幅に上がり、末端価格ではさらに上がる。
こういう状況だから、転売屋が介入する。転売屋が介入するから価格が上がるのではなく、末端価格が上がるから転売屋が介入するのだ。事情を間違えてはいけない。
JAの買い上げ価格が低すぎたので、農家は自分で販売した方がずっと儲かったね。あるいは、JA 以外の業者に売るという手もある。
Feloの回答でも、確認された。
2024年産米に関して、農家はJA(農業協同組合)以外にも販売するケースが増えていることが示されています。
2024年の米不足により、農家はJA以外の流通経路を模索するようになり、特に直売所やオンラインプラットフォームを利用する動きが見られます。
他の業者に売るよりも、自分で直売することが多いようだ。