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玉木とトランプは同じようなものだ。そのことを解説する。
1 分断主義
トランプは移民を排斥し、有色人種を排斥する。そのことで白人から支持を集める。こうして社会を分断する。
これはいかにも馬鹿げた悪質なことだと思えるが、玉木の方針よりはまともだろう。玉木の方針は高齢者を冷遇する。だが、高齢者というのは要するに若者たちにとっては、親や祖父母の世代のことだ。移民を排斥するのは、まだわけがわかるが、自分たちの親や祖父を冷遇というのは、わけがわからない。狂気の沙汰だ。たとえば、年金をゼロにして、その分、若者に減税したとしよう。高齢者は月に 10万円の減収となり、若者は月に 10万円の増収となる。これで若者は「得をした」と大喜びする。しかしその分、自分たちの親や祖父母は貧しくなるから、若者は親や祖父母に仕送りする必要がある。その金が月に 10万円だ。
結局、高齢者の金を削って若者に配分しても、若者が親に仕送りする金が増えるだけだから、何も変わらない。要するに、年金というのは、社会的な仕送り制度なのだから、年金が増えれば増えるほど、若者は仕送り額が減るのだ。損得はない。
高齢者優遇というのは、つまりは、他人が得することではなく、自分の親や祖父が得することだ。それは若者にとってちっとも損ではない。ただの親孝行である。それで別に損はしないし、むしろ最後には遺産になって戻ってくるかもしれない。
トランプはやたらと移民排斥を唱えて、白人の利己主義に訴える。あまりにもさもしい。それと同様なのが、国民民主の所得税減税だ。
ちなみに、はてブのコメントを見るといい。高齢者を冷遇せよという趣旨のコメントがいくつも並んでいる。
→ https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.sankei.com/article/20250224-EX2SAFB77FJVXONVV4GWKUYMZE/
ひたすら高齢者を冷遇して、自分の金を増やそうとする。自分の親を虐待して、自分の取り分を増やそうとする。あまりにもさもしいね。トランプよりももっとひどい分断主義だ。
2 トランプの関税
トランプはひたすら関税を上げようとする。関税 25% に。「関税を上げれば自国の産業が繁栄する」と思い込んでいる。
しかしこの発想は二重に間違っている。
第1に、それで貿易収支が黒字になれば、その分、ドル高になる。すると、ドル高の分、輸出競争力が低化する。鉄や自動車が高関税で守られれば、他の産業が輸出不振となる。(牛肉や小麦など。)結果的に、輸出増進効果は帳消しになる。
第2に、関税によって物価上昇が起こる。鉄や自動車が高関税で守られれば、鉄や自動車の価格が上昇する。それによる消費者の損失の額は、鉄や自動車の産業が得をする額よりも、大きい。損失の方が利得よりも大きい。差し引きして、損をする。
後者のことは、経済学で説明されている。「比較生産費説」というやつだ。各国はそれぞれ最適の競争力を持つ物を生産すればいい。そのあとで得意な生産物をたがいに交換すればいい。そうすれば双方が得をして、win-win になる。一方、自国内での(非効率な生産による)自給にこだわると、効率が悪化し、損をして、貧しくなる。
かくて、関税を高めれば高めるほど、得をするように見えながら、かえって損をするのである。
こういうふうに経済学を理解しないで勘違いするのが、トランプだ。
3 所得税減税
同様に、経済学を理解しないで勘違いするのが、玉木だ。
所得税減税をすると、減税してもらった国民は得をするように見える。しかし実際には、減税して金をもらえばもらうほど、国民はかえって損をするのである。なぜか? 金をもらっても、それ以上に物価上昇が起こるからだ。
このことは経済学で「貨幣数量説」として知られている。たとえば、貨幣量が 10%増えると、国民の富が 10% 増えるのではなく、物価が 10%上昇するだけだ。
国民が平均的に 10% の所得増になると、手に入る自動車や電器製品や食事の量が 10% 増えるのではなく、自動車や電器製品や食事の値段が 10% 上がるだけだ。貨幣の量が増えると、生産される商品の量が増えるのではなく、商品の価格が上がるだけなのだ。(当り前だ。紙幣の輪転機は、紙幣を印刷することはできるが、自動車や電器製品を生み出す「打ち出の小槌」ではないからだ。)
国民民主の唱える「所得税減税」というのは、財源がないので、結局は赤字国債で財源をまかなうしかない。赤字国債というのは、要するに、紙幣を輪転機で印刷することだ。(実際には電子的にやるだけだが。)
こんなことをしても、物価が上昇するだけで、国民の富は少しも増えないのである。
「そんな馬鹿な」と思うかもしれないが、このことは先年、英国で実証済みである。英国のトラス首相が実行した。
首相に選任されたばかりのトラス氏は、財源の裏付けがないまま、歳出拡大や減税などの政策を打ち出した。金利が急騰して英ポンドも急落。混乱の責任を取って、首相は退陣に追い込まれた。
→ https://digital.asahi.com/articles/AST2P3PQFT2PULFA017M.html
玉木の政策は、英国のトラス首相がすでに実行済みなのである。その結果、英国経済は破滅的になることが予想されたので、金利が急騰して英ポンドも急落し、経済は混迷状態になった。だから首相は退陣した。
玉木の政策を取れば、日本もこうなる。円安と金利上昇で、物価上昇と失業増加となり、国内はスタグフレーション状態になる。経済自殺に相当する。そこをめざそうとしているのが、国民民主であり、国民民主の支持者なのだ。
彼らは皆、「紙幣を印刷すれば金儲けができる」と錯覚しているのである。経済学の原理(貨幣数量説)を理解できないからだ。
ちなみに、所得税減税は、ただの減税よりもタチが悪い。「金持ちほど多額の金をもらって、一般大衆は小額の金しかもらえない」からだ。平均的には 10%の減税になるとしても、金持ちが 20% ぐらいの減税を受けて、一般大衆は 5% ぐらいの減税を受ける。減税の主体は金持ちであり、一般大衆は少額しかもらえない。それが、所得税減税という政策なのである。
「所得税減税をすれば、高齢者が損をして、現役世代が得をする」と若者たちは思う。しかし現実には、自分の親が損をして、自分も損をして、金持ちだけが多額の金をもらってウハウハになるのだ。100人の庶民が少しずつ損をして、2〜5人の大金持ちが巨額の金を得るのだ。そういう形で格差を拡大する。それが国民民主の政策だ。
そんな方針に引っかかるから、玉木という「和製トランプ」にだまされるのである。
4 実現性
国民民主の「所得税減税」を実施すれば、日本経済は破綻する。では、現実にそうなるか? ならない。なぜなら、財務省と自民党が阻止するからだ。8兆円もの財源を必要とする愚策など、実現させるはずがない。かくて財務省と自民党のおかげで、日本経済は破綻を免れる。
その意味で、自民党は政権担当能力がある。少なくとも現状維持をする能力がある。
一方、国民民主には、政権担当能力がない。現状維持をする能力がない。かわりに国家経済を破壊する。トラス首相と同じことを、はるかに大規模で実行して、日本経済に致命的な打撃を与える。……このような国家破壊行為は、トランプとそっくりだ。「自分は正しいことをしている」という信念で、愚か者が自己陶酔しながら、間違ったことをやる。かくて、イーロン・マスクがツイッター社を破壊したように、玉木は日本経済を破壊しようとする。
日本の首相が玉木でなく石破であることは、日本にとって実に幸いなことだった。おかげで日本経済は破滅を免れた。
※ 国民民主がダメだとして、では、かわりにどうすればいいか? まともな頭があれば、「所得税減税」なんかよりは、「社会保障料の引き下げ」をめざすべきだ、とわかるはずだが。解説は下記。
→ https://x.gd/2eeZ4
※ 勤労世代が貧しくなっているのは、高齢者が過剰に富を取っているからではなく、富裕層が過剰に富を取っているからである。その証拠は統計で判明している。「労働分配率の低下」だ。
→ https://x.gd/O6aMM
※ だから労働者は金持ちの富を奪えばいいのだ。なのに、貧しい高齢者(自分の親)から金を奪おうとする。こうして社会の分断を招こうとする。そう唱えるのが、国民民主だ。社会の分断を招くことで、結局は富裕層ばかりが得をするように仕向ける。玉木は富裕層の手先なのである。和製トランプ。
《 加筆 》
「じゃあ、かわりにどこの政党を支持すればいいんだ? 立憲か、維新か? どっちもショボイが」
というような疑問を出す人がいるだろう。そこで、答えよう。
「どこがいいとも記していないのだから、特にどこかを推奨することはない。国民民主が特別にダメなだけであって、国民民主以外ならばどこでもいい。国民民主だけは日本経済を破壊するが、他の党は別に日本経済を破壊するわけじゃないから、どこでもいい」
具体的には、こうだ。
・ 自民 …… 安倍・菅義偉時代には、「絶対ダメ」だったが、岸田・石破時代ならば、別に悪くはない。
・ 維新 …… 以前はひどかったが、吉村代表以後は、別に悪くない。「社会保険料の引き下げ」を重視している点では、最優秀とも言える。
・ 立憲 …… 野田代表の下で、存在意義が消えている。あってもなくても同じかも。
・れいわ …… 群小政党だから、無視していい。
・ 公明 …… 下駄の雪だから、無視していい。
日本国民の各人がバラバラに支持すれば、与党の過半数割れとなる。それでいい。国民民主が天下を取るより、はるかにいい。
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※ 「イーロン・マスクがツイッター社を破壊した」と述べたが、このことはAIに質問するとデータが得られる。 Twitter 社の価値は、現在、購入時の価格の8割減になったそうだ。マスクは6兆円で Twitter 社を購入したが、その8割はすでに泡となって消えてしまったのだ。彼による経営改革のせいで。……その彼が、今や米国全体に対して、同じことをやろうとしている。
(玉木も日本について、似たようなことをやろうとしている。)
それでなぜダメだったかと考えるといつもの私の持論になりす。貧乏人はお金の使い方を知らないのです。貧相な住宅を建てては40年で壊すことを繰り返すだけです。100年後に日本が豊かになるためには、まず富裕層にお金を与えて、200年は使えるしっかりした住宅を建ててもらうのが良いのです。同じことが公共事業にも言えます。50年で壊れる上水道や下水道ではだめなのです。
誤解を恐れずに言いましょう。貧乏人にお金を与えても国は豊かにはなりません。中国はケ小平さんがそれに気づいて経済改革を成し遂げ、今や立派な国になりつつあります。
ちなみに私は富裕層ではありません。ただの貧乏年金生活者です。
>これはいかにも馬鹿げた悪質なことだと思えるが、玉木の方針よりはまともだろう。玉木の方針は高齢者を冷遇する。だが、高齢者というのは要するに若者たちにとっては、親や祖父母の世代のことだ。移民を排斥するのは、まだわけがわかるが、自分たちの親や祖父を冷遇というのは、わけがわからない。狂気の沙汰だ。たとえば、年金をゼロにして、その分、若者に減税したとしよう。高齢者は月に 10万円の減収となり、若者は月に 10万円の増収となる。これで若者は「得をした」と大喜びする。しかしその分、自分たちの親や祖父母は貧しくなるから、若者は親や祖父母に仕送りする必要がある。その金が月に 10万円だ。
トランプの妻だって移民なんですけどね、白人系ならOKなんでしょうか?
なお、玉木雄一郎の言い分を真に受けて高齢者冷遇に賛成している若い世代は、以下に分類できそうです。
・世間の、特に庶民の高齢者とは違い「自分の両親や祖父母は大事だから別」だと考えている
・両親や祖父母に虐待や搾取などをされ、自分の両親・祖父母が貧乏で医療などを受けられなくても見捨てるつもりなので構わないと思っている
・両親や祖父母を早くに亡くしており「減税して高齢者向けの年金や医療福祉をカットすれば、若い世代が自分の両親や祖父母の面倒を見る羽目になる」ことへの想像力が弱い
・管理人様のような意見ですら「両親や祖父母などの身内を盾にして(玉木支持者とかが唱える)高齢者への優遇を正当化している」ととらえ、聞く耳を持たない
についてはどう感じますか?
政府の赤字は国民の黒字という言い方をする人も
います。
今後アメリカ、ロシアの反グローバル連合が
変えていくのでしょうか。
アベノミクスでマネタリーベースが2013年比で400%くらいになりました。国債発行で通貨量が300%増えたんですが、300%物価高のインフレになりましたかね?。
ずっとデフレだったと記憶してますが。covid-19のせいですかね?。
ちなみにトラス氏のニュース記事見ましたがインフレになったってどこにも書かれてませんでした。私の誤読でしょうか?。
ちなみに国民民主党の減税、年あたり数兆円くらいです。マネタリーベース6500兆円の日本で仮に10兆円の国債発行すると、インフレ率はどのくらいになるでしょうか?。
質問ばっかりですみません。
疑問が湧きまくったので書かせて頂きました。
なお、私は参政党の神谷氏がトランプっぽく見えます。
そんなに増えませんよ。ほとんどは国債購入によって回収されてしまったので、消費や投資には回りませんでした。だから物価は上がらない。このときは「金がブタ積みされている」と表現されました。
要するに、企業の内部留保になるだけで、金は金融市場でグルグル回っているだけだった。
一方、所得税減税だと、金は実需になるので、急激な物価上昇をもたらします。
> インフレになったってどこにも書かれてませんでした
そりゃそうです。政策を実施する前の構想の段階で、すでに市場で「ダメ出し」されたので、政策の実施の前に退陣したからです。
インフレになったのではなく、インフレになると予想された段階で、早くも混乱が起こりました。
私の説明をちゃんと読んでください。
> 私の誤読でしょうか?。
はい。誤読です。
> マネタリーベース6500兆円
桁を間違えていますね。650〜680兆円です。
GDP も 600兆円規模です。
8兆円の減税で、インフレ率は 1.3% の上乗せと見込んでいいでしょう。所得増加の効果は、金持ちで2%、一般庶民で1%ぐらい。平均で6万円の還付だが、金持ちが8万円、庶民が4万円。庶民の支出増は6万円で、差し引きして2万円の損失。
日本でも、玉木雄一郎も高齢者のみならず中国人などの外国人をターゲットにしたツイートを発信することがありますし、参政党や日本保守党のように「世代間格差」云々より国粋主義や排外主義を主張する政党も存在します。
欧米での世代間対立については詳しく知りませんが。
桁が大きすぎて桁一個誤ってましたね。
10%のインフレとか書いちゃってるからびっくりしちゃいましたよ。
アベノミクスの失敗についても、必ずしも貨幣数量説どおりではないことを理解できました。ありがとうございます。
でもインフレは所得税減税即インフレじゃなくて、所得税減税で懐があったまってからになると思います。一年遅れくらいかな?。
なので、インフレ率1.3%増くらいなら、私みたいに歓迎する人は多いのではないかなと思いますが、読者のみなさん、如何でしょうか?。
年金生活者は歓迎しないでしょうけど。
それでも2024年の物価上昇率は 2% アップでしかない。
1.3%アップだと、2%アップの3分の2だ。
今の食品物価の上昇がさらに7割ぐらい追加されて、あれもこれも大幅に値上がりしても、それでもいいの?
この議論は真面目に反論する気すら起きません。
「イスラエルがガザで虐殺するのは、悪いことだ」 → 「そういうイスラエルを批判するあなたこそ、イスラエルを批判するので、悪党だ」
悪を批判すること自体を悪だと見なす論法。こういう屁理屈で、あらゆる悪を擁護する。
カエル論法。
何、ムキになってるんですか?(苦笑)
反論する気も起きませんね
共産党は「どこでもいい」という政党とは毛色が違う。じっくり考えてから、是非を決めましょう。各自が自分で決めるべきことだ。
他党 → どこでもいい
共産 → 考えてから決めましょう
本文中で示したのは、前者だけです。
管理人さんがインフレ率予測を計算しましたが、その計算方法は
インフレ率=新規通貨量÷通貨総量
でしょうか?。
この通貨総量について、私もマネタリーベースのことと思い込んでいたのですが、よくよく調べてみると、マネーストックという数値があり、
マネタリーベース:日銀が供給する通貨総量
マネーストック:市中に流通する通貨量
ということなので、マネーストックを使うべきではないかと思えます。思えるというだけで何が正しいか?よくわかっていないのですが。。。
マネーストックも数値が4種類あって、いろいろぐぐるとM2を使うのが正しそうに思えます。仮にそうすると、インフレ率計算結果は「1.3%増」よりも下がることになりますが、何が正しいかよくわからないです。
管理人さん、もし、このあたりの見識あれば、ぜひインフレ率予測の記事をお願いしたいです。
他の記事ネタがないときでかまいません。
高橋洋一氏(元大蔵官僚で大学教授)のYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/@takahashi_yoichi
で「新規国債発行量からインフレ率は計算できる」と言ってたことがあるのですが、その計算方法は説明してなくて、以前から興味ありました。この記事からは脱線しますが、ご検討お願いします。
Feloの回答
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なぜマネーストックはマネタリーベースの倍以上になるのか
信用創造のメカニズム:
銀行は、預金を受け入れることでその預金の一部を貸し出すことができます。このプロセスを「信用創造」と呼びます。例えば、銀行が100万円の預金を受け取ると、その一部(例えば90万円)を貸し出し、残りの10万円を準備金として保持します。この貸し出された90万円は、再び他の銀行に預けられ、さらに貸し出しが行われることになります。このようにして、マネタリーベースの数倍の額がマネーストックとして市場に流通します。
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指標としてはマネタリーベースを使うのが正しい。
わからないことがあったら、私よりもAIに質問しましょう。