2025年01月21日

◆ フジテレビの経営危機

 フジテレビで CM 放送を止めた会社が激増している。経営危機。

 ──

 21日夜の報道。
 フジテレビによりますと、一連の報道を巡ってCMを差し止めたスポンサー企業は20日時点で、合わせて75社に上るということです。

 また、親会社のフジ・メディア・ホールディングスは23日に臨時取締役会を開催することを発表しました。
( → フジテレビCM差し止め75社に フジHDが23日に臨時取締役会開催

 当初は20社ぐらいだったが、それが 50社 に急増して、さらにあっという間に 75社にまで増えてしまった。このままだと、ほとんどの会社が CM 提供から撤退しかねない。
 今はまだ広告料を払ってもらえるが、春の番組からは契約停止が続出するだろう。こうなると、「番組製作費はかかるが、番組を作っても CM 料金が入らない」ということになるので、大赤字となる。会社倒産の危機だ。
 フジテレビの事業収入は、メディア部門が75%、不動産部門が 22%だ。放送事業を継続しながら、収入が全部消えると、超巨額の赤字が発生する。不動産部門では、売上高の5%ぐらいが利益だろうし、メディア部門でも売上高の5%ぐらいが利益だろう。そこで、CM 収入が途絶えると、売上高が半分以下になるので、一挙に超巨額の赤字が発生する。
 調べてみると、決算はこうだ。
 売上高が5983億円(前年同期比5.6%増)、営業利益は353億円(同5.3%増)、経常利益は404億円(同3.1%)

 売上げが 6000億円で、利益が 400億円。これが現状だ。
 CM の売上げが半減すると、4000億円が2500億円ぐらいに減る。1500億円の収入減だ。すると、利益は 400億円の黒字から、1100億円の大幅赤字へと転じる。
 この状況がずっと続けば、倒産は免れない。大変だ! 
     《 加筆 》
     あとでコメント欄で情報を得たが、上の数字は親会社の数字であり、フジテレビ単体だと、数字はもっと小さくなる。ただし巨額の赤字が生じるということ自体は同じだから、本質的には変わらない。


 では、どうすればいい? 当然ながら、社長を解任するしかない。先に述べたとおり。
 フジテレビが会社を是正するならば、まずはこの社長を解任することが必要だ。その上で、この社長を含む、歴代のバラエティー分野のプロデューサーをすべてひっくるめて、処分する必要がある。
( → フジテレビの社長の暴走: Open ブログ

 実際、上の記事によれば、「23日に臨時取締役会を開催する」とのことだ。ここでは、社長が解任されるはずだ。(名目上は自発的な辞任だろうが。)
 これによって、事態は収束の方向に向かいそうだ。

 ──

 ただし、それで話が済むわけではない。そもそも、物事の根源に遡る必要がある。
 今回のような「スポンサーが大幅に逃げる」という状況は、大失態である。テレビ会社としては、最悪の事態だと言えるだろう。これより悪い状況は考えられないほどの、最悪の事態だ。くちあんぐり、というほどだ。

 ではどうして、こうなったか? 私の考えを言えば、こうだ。
 「損害の最小化をめざしたから、損害の最大化を招いた」
 つまり、逆説的な構造がある。

 普通は、損害の最大化を避けるためには、損害の最大化を避けようとすればいい。まともな頭があれば、そうする。
 しかし、損害の最小化をめざすせいで、かえって損害の最大化を招く、ということがある。次のように。
 「中居の犯罪も、プロデューサーの犯罪も、すべて隠蔽するか矮小化すればいい。知らんぷりをすればいい。また、被害を受けた女性に払う補償金は、最小限にすればいい。こうやって、なるべく知らんぷりをして、払う補償金も最小限にすれば、会社の損害は最小化するはずだ」
 こう思って、損害を最小化する、という方針を取った。

 しかしそれは、あまりにも不誠実な方針であり、世間の大反発を招いた。世間は離反し、スポンサーも離反した。かくて、損害は最大化することになった。「損害の最小化をめざしたせいで、損害の最大化を招く」という結果になった。

 ではなぜ、そういう逆説的なことが起こったのか? 簡単だ。未来を正しく予想できなかったからだ。なぜそうかといえば、事態を正しく認識できなかったからだ。あまりにも愚かだったからだ。
 とはいえ、社長にもなるような人物だから、知能指数が低いわけではない。地のそのものは十分にあるはずだ。では、どこで間違えたのか? 

 その答えを言おう。
 「この社長は人としての倫理観を欠いていた。倫理観を欠いているから、人として正しいことができなかった。そのせいで、まともな判断をなすことができなかった」

 似た話はある。「情けは人のためならず」だ。他人のためになるほうに行動すれば、それが巡り巡って自分のためになる。
 逆に、他人を傷つけてでも自分の利益を最大化しようとすれば、かえって自分の利益を減らして、自分の損害を最大化してしまうのだ。これは「因果応報」とも言える。(カルマみたいでもある。)

 人としての倫理観を大切にすること。それは、換言すれば、こうも言える。
 「会社にとって何よりも大切なのは、目先の利益を追うことではなく、会社の信用を守ることである。信用を失えば、会社は一挙に崩壊する」
 
 フジテレビはこれができなかった。なぜなら、社長がそうしようとも思わなかったからだ。そもそも倫理観のない人物だったからだ。
 そして、そういう人物を「金儲けが上手なバラエティ・プロデューサーだ」ということで、高く評価して、社長に据えたのがのが、当時の関係者たちだった。
 物事の根源は、こんな人物を社長に据えた、当時の人々だっただろう。だから、中居の問題が発覚したときに、まともに対処できなくなり、大損害の落とし穴に落ち込むことになったのだ。
 


 【 関連サイト 】

 → キッコーマン、フジテレビへ『くいしん坊!万才』放送見合わせ要請、50年の長寿番組が見送りになり様々な声「現在のような状況では致し方ない」 - Togetter

 今のままだと、あらゆる新規番組が消滅して、残るのは再放送番組だけ……となりかねない。
 まあ、そうなる前に、社長解任になるんだろうが。
 
posted by 管理人 at 23:32 | Comment(6) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2023年度は、フジテレビ単体が売上2300億、営業利益が54億(売上原価1700億、販 売 費 及 び 一 般 管 理 費580億)
https://www.fujitv.co.jp/company/info/zaimu.html

フジ・メディア・ホールディングスが売上5600億、営業利益335億  資産合計1兆4400億 純資産8600億
内訳 
メディア・コンテンツ事業(フジテレビ含む) 売上 4330億 営業利益 150億
都市観光開発(不動産部門) 売上 1280億 営業利益 190億
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/46760/fee7d077/547e/4103/8273/8584957d3ed8/20240521151457579s.pdf 8ページ

放送事業での収益は低く、不動産部門の収益が高いようです。
Posted by カエル at 2025年01月22日 03:32
 情報ありがとうございました。
 これを受けて、本文中に  《 加筆 》  を挿入しました。
Posted by 管理人 at 2025年01月22日 10:28
諸悪の根源は週刊文春ですね?
田中角栄の時代から同じことを繰り返してる出版社は、プライバシーの侵害で、日本社会を駄目にする!
人を不幸に陥れて、週刊誌だけが売れるという状況に疑問を感じないのが、日本社会の闇・・・
人の不幸を喜ぶ日本人の美意識も劣化してる・・・
たかだか350人の文芸春秋は潰した方が良いということに何故気が付かないんだろう?
Posted by Hidari_uma at 2025年02月04日 10:25
 犯罪者(フジテレビ・中居)が悪いのではなくて、犯罪者を暴露する文春が悪い。その点、犯罪者を報道しないで、悪を隠蔽する他社は立派だ。これからも、性犯罪については、報道せずに、性犯罪を野放しにしよう……という意味かな? 
Posted by 管理人 at 2025年02月04日 10:31
性犯罪なら被害者が警察に告発すれば済む話なので、それが無かった今回の騒動は騒ぎ立てることが不思議だし、日本社会を混乱させているだけのような?
フジ・メディア・ホールディングス取締役相談役を務める日枝久氏の辞任にまで及んでいるのは、事態として正常なんだろうか?
Posted by Hidari_uma at 2025年02月04日 11:30
 示談が済んだ性犯罪は、警察が扱っても検察が不起訴にするのが原則なので、社会的にはなかったことにされます。
 だからこれまでテレビ局の性犯罪はやり放題。
 日枝久氏の辞任も、いまだ実現せず、独裁者のやり放題。
 文春が黙っていれば、悪の天下が続いている。
Posted by 管理人 at 2025年02月04日 11:50
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