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三畳一間の小さな下宿 の歌は、「神田川」だ。(前出)
この歌の一部に、「洗い髪が芯まで 冷えて」のあとで、「ただ貴方のやさしさが 怖かった」という箇所がある。この部分が、どうもわかりにくい。
・ 貴方というのは、男なのか、女なのか? (歌い手の性別は?)
・ 「貴方のやさしさが 怖かった」のは、なぜか?
これらについては、とてもわかりにくい。では、正解は? …… という話を、前に記したことがある。それを再掲する形で紹介しておこう。
→ 国語の試験に小説は不可: Open ブログ
ここでは、勝手に正解を決めつけることの愚を指摘している。そのことで、「国語の試験では登場人物の気持ちを問う問題を出すな」と主張している。その事例として、神田川の歌詞を取り上げたわけだ。
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実は、今年も共通テストがあり、その現代文の試験では、「登場人物の気持ちを問う問題」があった。しかし、こういう種類の問題は、出すべきではないのだ。人の気持ちを推測・理解することは、国語の能力とは関係ないからだ。
なぜそうなのか、という話は、上記項目に記してある。そちらを読んでほしい。
【 関連サイト 】
今年の共通テストにおける、小説の問題。
→ 共通テスト2025 国語問題|共通テスト解答速報2025|予備校の東進
筆者ご指摘の内容と同じく、「そもそも解釈の分かれる文学作品は採点がしにくいため、大学入試でも評論文を出題するケースが多い傾向にあります。」と記事にありますし、しかも、今年の共通テストから完全に新指導要領に対応した試験内容になったと聞いていましたが、まだ、
> 実は、今年も共通テストがあり、その現代文の試験では、「登場人物の気持ちを問う問題」があった。
ということでしょうか??
https://news.yahoo.co.jp/articles/5640c8e3d38737945faeb88ea935f8fd483736ce
問題文へのリンクを示す。「登場人物の気持ちを問う問題」だ。
> 新しい学習指導要領では、国語の必修科目として「現代の国語」と「言語文化」が設定されており、選択科目として「論理国語」と「文学国語」が設けられています。
古典文学: 上代から近現代にかけての文学的な文章が中心となります。具体的には、古文や漢文(日本漢文を含む)、小説、随筆、詩歌(俳句や和歌など)などが含まれます。
近代以降の作品: 近代以降の文語文や漢詩文も取り上げられ、我が国の伝統と文化に関連する近代以降の文章が学習の対象となります。
だそうなので、「口語文による現代小説」は少ないはずだというのが建前なんでしょうね。私が先に挙げた記事にもそう書いてありました。ただし教科書によっては、学習指導要領を無視して?小説をたくさん取り上げて物議をかもしたそうなので、その流れで共通テストにも蘇ってきたのかな。
トランプと彼の支持者に学ぶとすればその点です。
負け犬って。……この歌のテーマは、貧しい者同士で、「傷をなめあっている」ということじゃないですよ。その逆です。
三畳一間という極貧生活のなかでも、優しい人と愛しあえた青春時代を回顧して、あのころは人生の絶頂期だったな、と惜しんでいる歌です。青春の貧困と栄光をともに回顧している。それは、豊かになったが愛を失った中年にとっては二度と手に入らないものだ、と惜しんでいる。
あの青春時代は栄光の勝利者の時期であり、むしろ豊かだが愛のない今現在こそ負け犬に相当する。……そういう歌です。
なのに、それを正反対に誤読するとは。誤読がひどい。
ここまで正反対に誤読するほど、人の気持ちがわからない人がいるとなると、「登場人物の気持ちを問う」問題というのも、ある程度は必要性があるのかもね。
AIなら理解できるようだし。
→ https://nordot.app/1253987498611343534
こんなにひどい誤読は始めてみた!あきれる!
まあ反論が多いことは分かています。
かつてそういう時代があった……という話を私はしているのだが、時代の話でなく、金の話だと、誤解されるのは残念です。
歌詞の流れからすると、男女二人で同棲しているように見えるが、二人で三畳というのはいかにも狭すぎる。また、下宿に二人というのも、ありそうにない。
そう思って、Felo に質問してみたら、まさしく「二人で三畳で暮らしていた(同棲していた)」という解釈が普通であるそうだ。
へえ。そうなのか。
国語の教科書の件については、一社だけこの変化の少なさを予測していたのか必修の国語の教科書に文学的な文章を多く採録していたために教科書のシェアが極端になったことが新聞ダネになっていました。
> 「19歳の時、喜多條は同じ年で、髪の長い早大生の彼女の下宿先に転がり込んだ。三畳一間だった。高田馬場駅から徒歩十分。早稲田通りと明治通りが交差する近くで、アパートの窓からは神田川と大正製薬の煙突が見えた。同棲は1年で終わった」
> 当時の学生の下宿は三畳一間が当たり前。四畳半に住んでいると、ちょっとしたブルジョア扱い。就職した先輩が結婚して二間あるマンションや団地に引っ越したと聞けば、もはや尊敬のまなざしだったのです。
https://urbanlife.tokyo/post/52350/
困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。ここで新たにパーフェクトな回答を出そう。こうだ。
主人公は、男が思い出している、心のなかの彼女である。男の心のなかで、彼女がよみがえり、二人の過去の青春時代のことを回想しつつ、男に話しかける。話しかけているのは彼女であるが、その彼女はあくまで男の心のなかにいる架空の存在だ。
その後、一転して、曲調が変わる。「ただあなたの優しさが怖かった」……こう思っているのは、心のなかの彼女でなく、歌っている男である。
つまり、歌の前半は「心のなかの彼女の言葉」であり、歌の最終部(若かった〜)は「歌っている男の言葉」である。
以上により、統一的に理解される。
Q.E.D.
ただ貴方のやさしさが怖かった
ではなく、
ただ貴女のやさしさが怖かった
あるいは、
ただ君のやさしさが怖かった
であったなら、さらに名曲として伝説になりましたね。(にしても、このシリーズは長いですね。筆者:管理人さんに何か特別な思い入れでもあるのでしょうか。)
同じ頃の「学生街の喫茶店」でもいいんだが、そうならない。これはメロディが良くないのかも。