2025年01月20日

◆ 三畳一間の小さな下宿 の歌

 三畳一間の小さな下宿 の歌の解釈を問う。

 ──

 三畳一間の小さな下宿 の歌は、「神田川」だ。(前出)







 
 この歌の一部に、「洗い髪が芯まで 冷えて」のあとで、「ただ貴方のやさしさが 怖かった」という箇所がある。この部分が、どうもわかりにくい。
  ・ 貴方というのは、男なのか、女なのか? (歌い手の性別は?)
  ・ 「貴方のやさしさが 怖かった」のは、なぜか? 


 これらについては、とてもわかりにくい。では、正解は? …… という話を、前に記したことがある。それを再掲する形で紹介しておこう。
  → 国語の試験に小説は不可: Open ブログ

 ここでは、勝手に正解を決めつけることの愚を指摘している。そのことで、「国語の試験では登場人物の気持ちを問う問題を出すな」と主張している。その事例として、神田川の歌詞を取り上げたわけだ。

 ──

 実は、今年も共通テストがあり、その現代文の試験では、「登場人物の気持ちを問う問題」があった。しかし、こういう種類の問題は、出すべきではないのだ。人の気持ちを推測・理解することは、国語の能力とは関係ないからだ。
 なぜそうなのか、という話は、上記項目に記してある。そちらを読んでほしい。



 【 関連サイト 】

 今年の共通テストにおける、小説の問題。
  → 共通テスト2025 国語問題|共通テスト解答速報2025|予備校の東進

posted by 管理人 at 23:17 | Comment(15) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 下の記事によると、2022年度から高校国語の学習指導要領が改訂されて、従来どおりに近現代の小説も扱うのは「文学国語」という科目に限定され、しかもこれは高校2年次からの選択科目≠セそうです。評論文などを扱う「論理国語」のウェイトが大きくなっているとのこと。
 筆者ご指摘の内容と同じく、「そもそも解釈の分かれる文学作品は採点がしにくいため、大学入試でも評論文を出題するケースが多い傾向にあります。」と記事にありますし、しかも、今年の共通テストから完全に新指導要領に対応した試験内容になったと聞いていましたが、まだ、

> 実は、今年も共通テストがあり、その現代文の試験では、「登場人物の気持ちを問う問題」があった。

 ということでしょうか??

 https://news.yahoo.co.jp/articles/5640c8e3d38737945faeb88ea935f8fd483736ce
Posted by かわっこだっこ at 2025年01月21日 00:24
 最後に 【 関連サイト 】 を加筆しました。

 問題文へのリンクを示す。「登場人物の気持ちを問う問題」だ。
Posted by 管理人 at 2025年01月21日 00:35
Feloの回答

> 新しい学習指導要領では、国語の必修科目として「現代の国語」と「言語文化」が設定されており、選択科目として「論理国語」と「文学国語」が設けられています。

Posted by 管理人 at 2025年01月21日 00:39
↑ 加筆と追加のコメントをありがとうございます。Felo に聞くと、「言語文化」は確かに必修科目ですが、そこで取り扱う文章の種類は、

古典文学: 上代から近現代にかけての文学的な文章が中心となります。具体的には、古文や漢文(日本漢文を含む)、小説、随筆、詩歌(俳句や和歌など)などが含まれます。

近代以降の作品: 近代以降の文語文や漢詩文も取り上げられ、我が国の伝統と文化に関連する近代以降の文章が学習の対象となります。

 だそうなので、「口語文による現代小説」は少ないはずだというのが建前なんでしょうね。私が先に挙げた記事にもそう書いてありました。ただし教科書によっては、学習指導要領を無視して?小説をたくさん取り上げて物議をかもしたそうなので、その流れで共通テストにも蘇ってきたのかな。
Posted by かわっこだっこ at 2025年01月21日 00:53
まさにこういうのが日本人の「負け犬文化」です。わびさびともつながっています。負け犬同士で傷をなめあっているくせに、お隣の韓国に一人当たりGDPで負けたとか悔しがっています。
 トランプと彼の支持者に学ぶとすればその点です。
Posted by ひまなので at 2025年01月21日 13:36
> 負け犬

 負け犬って。……この歌のテーマは、貧しい者同士で、「傷をなめあっている」ということじゃないですよ。その逆です。
 三畳一間という極貧生活のなかでも、優しい人と愛しあえた青春時代を回顧して、あのころは人生の絶頂期だったな、と惜しんでいる歌です。青春の貧困と栄光をともに回顧している。それは、豊かになったが愛を失った中年にとっては二度と手に入らないものだ、と惜しんでいる。

 あの青春時代は栄光の勝利者の時期であり、むしろ豊かだが愛のない今現在こそ負け犬に相当する。……そういう歌です。

 なのに、それを正反対に誤読するとは。誤読がひどい。
 ここまで正反対に誤読するほど、人の気持ちがわからない人がいるとなると、「登場人物の気持ちを問う」問題というのも、ある程度は必要性があるのかもね。
 AIなら理解できるようだし。
  → https://nordot.app/1253987498611343534
Posted by 管理人 at 2025年01月21日 14:26
> 負け犬
こんなにひどい誤読は始めてみた!あきれる!
Posted by yahooo~~ at 2025年01月21日 14:52
「極貧のなかでも優しく温かい心を見つけてそこに生きる力を見出す」いかにも日本人好みの言葉ですが、これこそがわびさび負け犬文化です。これが日本がどうしても西洋のように豊かになれない原因です。
 まあ反論が多いことは分かています。
Posted by ひまなので at 2025年01月21日 15:24
 この人だけに極貧の状況があったわけではなく、昔の日本は多くが極貧だったんです。極貧は、状況ではなく、時代です。失われた時代のことを歌っている。

 かつてそういう時代があった……という話を私はしているのだが、時代の話でなく、金の話だと、誤解されるのは残念です。
 
Posted by 管理人 at 2025年01月21日 15:53
 三畳一間の小さな下宿 に住んでいたのは、主人公だけなのか、男女二人なのか? 
 歌詞の流れからすると、男女二人で同棲しているように見えるが、二人で三畳というのはいかにも狭すぎる。また、下宿に二人というのも、ありそうにない。

 そう思って、Felo に質問してみたら、まさしく「二人で三畳で暮らしていた(同棲していた)」という解釈が普通であるそうだ。
 へえ。そうなのか。
Posted by 管理人 at 2025年01月22日 00:13
センター試験と共通テストで最も出題傾向の変化が少なかったのが国語ですね。
国語の教科書の件については、一社だけこの変化の少なさを予測していたのか必修の国語の教科書に文学的な文章を多く採録していたために教科書のシェアが極端になったことが新聞ダネになっていました。




Posted by とおりがかり at 2025年01月22日 01:23
 情報

> 「19歳の時、喜多條は同じ年で、髪の長い早大生の彼女の下宿先に転がり込んだ。三畳一間だった。高田馬場駅から徒歩十分。早稲田通りと明治通りが交差する近くで、アパートの窓からは神田川と大正製薬の煙突が見えた。同棲は1年で終わった」
> 当時の学生の下宿は三畳一間が当たり前。四畳半に住んでいると、ちょっとしたブルジョア扱い。就職した先輩が結婚して二間あるマンションや団地に引っ越したと聞けば、もはや尊敬のまなざしだったのです。
  https://urbanlife.tokyo/post/52350/
Posted by 管理人 at 2025年01月30日 11:15
 主人公が男であるか女であるかについては、解釈が一定していないそうだ。AIに質問すると、男だ、女だ、どちらとも言えない、というふうに回答が分かれる。
 困った。どうする?
 そこで、困ったときの Openブログ。ここで新たにパーフェクトな回答を出そう。こうだ。

 主人公は、男が思い出している、心のなかの彼女である。男の心のなかで、彼女がよみがえり、二人の過去の青春時代のことを回想しつつ、男に話しかける。話しかけているのは彼女であるが、その彼女はあくまで男の心のなかにいる架空の存在だ。
 その後、一転して、曲調が変わる。「ただあなたの優しさが怖かった」……こう思っているのは、心のなかの彼女でなく、歌っている男である。
 つまり、歌の前半は「心のなかの彼女の言葉」であり、歌の最終部(若かった〜)は「歌っている男の言葉」である。

 以上により、統一的に理解される。
      
             Q.E.D.
Posted by 管理人 at 2025年02月02日 22:25
↑なるほど! そうすると、ラストの一節の二人称は、

  ただ貴方のやさしさが怖かった

 ではなく、

  ただ貴女のやさしさが怖かった

 あるいは、

  ただ君のやさしさが怖かった

 であったなら、さらに名曲として伝説になりましたね。(にしても、このシリーズは長いですね。筆者:管理人さんに何か特別な思い入れでもあるのでしょうか。)
Posted by かわっこだっこ at 2025年02月03日 14:59
 別に思い入れはないけど、ときどき頭のなかに鳴り響くんですよね。メロディがいいせいかも。
 同じ頃の「学生街の喫茶店」でもいいんだが、そうならない。これはメロディが良くないのかも。
Posted by 管理人 at 2025年02月03日 15:11
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