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自動運転技術
トヨタは自動運転技術を NVIDIA と連携することにした。
《 NVIDIAとトヨタ自動車、自動運転チップで提携--自律走行車の開発に活用 》
AIチップ大手のNVIDIAは、世界最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車と、同社の自律走行用チップとソフトウェアを複数の異なる車種に搭載する契約を結んだ。
「今日、トヨタとNVIDIAは次世代AVを創造するために提携する」
トヨタとの提携は、同社が「Cosmos」と呼ぶAI技術群を発表する目玉として明らかにされた。
NVIDIAは数年前からトヨタと協力しており、トヨタは自動運転車のAIモデルのトレーニングにNVIDIAの「DGX」コンピューターを使用している。今回の発表はこの関係をさらに強化するもので、……
( → ZDNET Japan )
トヨタはエヌビディアの自動運転向けOS(基本ソフト)である「NVIDIA DriveOS」も利用する。
( → トヨタがNVIDIA製GPUを次世代車に採用、AIの学習だけでなく車載にも利用拡大 | 日経クロステック(xTECH) )
世界最先端企業である NVIDIA の自動運転技術を得ることで、自動運転技術においてトヨタは一躍、世界のトップレベルに立つことになる。
実はこれまで、トヨタは自動運転技術では世界の大手メーカーではどん尻クラスに遅れていた。自社開発の技術は失敗続きで、仕方なく米国のスタートアップ企業を買収したが、それも 物にならなかった。仕方なく、NVIDIA と提携するという方針を示していた。
→ 日系各社の自動運転技術: Open ブログ(2021年04月29日)
こういうふうに、みじめな状況にあった。ところが一躍、NVIDIA との提携によって、世界のトップレベルに立つことになる。
では、これはすばらしいことか?
私の考えはこうだ。
「トヨタは世界トップレベルの NVIDIA の技術を、タダでもらえるわけじゃない。巨額の金を払って、高額購入することになる。自社開発はできないので、NVIDIA の技術を高額購入するわけだ。これはつまり、巨額の金を払うカモになったということであり、NVIDIA の軍門に降ったということだ」
NVIDIA は今後、世界中のメーカーに自動運転技術を販売するつもりだろう。特に、中国の EVメーカーには、同じ技術を部品を大量販売するつもりだろう。そこで、その標準技術を確立するために、トヨタと協業するわけだ。トヨタはそのために利用されるわけだ。
で、その技術が確立したあとで、トヨタはどれだけ儲かるか? 全然、儲からない。儲かるのは、自動運転技術を販売する NVIDIA だけだ。トヨタは NVIDIA に利用されるカモになるだけだ。
世界最先端の技術を利用できると思って喜んでいたら、実は単に利用されるだけのカモだった、というわけだ。利用できるつもりが、利用されていたわけだ。
( ※ 詐欺師にだまされながら、得したと思って喜んでいるカモだ。)
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ちなみに、日産は正月に、自動運転技術の CM をテレビで放送していた。
ちょっと見たところ、すごいことをやっているように見えるが、この程度のことは、他社の自動運転でもとっくにやっているだろう。
それより、心配なことがある。対向車線に逸れているが、それだと、対向車線の車と正面衝突する危険がある。対向車線を走る車はゼロだという想定で動画を作成しているが、現実はそんなに甘くないぞ。この動画は、やばいね。
ちなみに、この問題は別項で軽く扱ったことがある。
→ 自動運転車とトロッコ問題: Open ブログ
→ 自動車のデッドマン装置: Open ブログ
そのまま直進すると、横断者に衝突する。横に逸れると、横断者への衝突を避けられるが、対向車線の車(または歩道の歩行者)に衝突する。……あちらが立てば、こちらが立たず。どちらを優先するべきか? どちらを死なせるべきか? (トロッコ問題)
※ その続きは、上記項目で。
《 加筆 》
「ぶつからないこと」は、最優先の目的ではない。ぶつかっても、時速 20km 以下ならば、エアバッグが作動することもなく、死なずに済む。(安全ベルトをしていれば。) だから、ぶつかってもいいのだ。(低速ならば。)
ぶつかるのを避けて、対向車線に出たら、対向車線の車と正面衝突した……となったら、最悪だ。何もしない状態よりも、さらに悪い。
だから、通常は、(回避運転よりも)単にブレーキをかけるのが正解だ。「ぶつからないように横に逸れる」という技術は、必要性が低い。
なお、最優秀のドライバーならば、いったんブレーキをかけて、自車の速度を落として、衝突のタイミングを遅くしてから、そのあとでハンドル操作をする。この方式だとハンドル操作の量が少なくて済むので、最優秀だ。とにかく、ブレーキ操作が最優先だ。
なお、ブレーキ操作とハンドル操作を同時にやると、タイヤの最大摩擦力を越えて、スリップしてしまうので、よろしくない。
先端技術都市
トヨタが実証都市「ウーブン・シティ」の計画進展を発表した。
トヨタが静岡県裾野市で計画している実証都市「Toyota Woven City(ウーブン・シティ)」のフェーズ1建築を完了し、2025年秋以降のオープンに向けて準備を本格化する。
住民は、……100名程度を想定しており、……将来は2,000名程度に拡大する。
( → トヨタの実証都市「ウーブン・シティ」25年秋に開始 - Impress Watch )
人口は 2,000人だ。ここで問題となるのは、その人口でスーパー店舗が存在できるかどうかだ。
Feloの回答
質問:スーパー1店あたりの商圏人口は?
回答:
スーパーマーケットの商圏は、一般的に半径2km(自動車で約10分)とされており、1店舗あたりの商圏人口は約1万人程度が目安とされています。
コンビニエンスストアの場合、商圏は徒歩10分、つまり半径500m程度で、商圏人口は約3000人が必要とされています。
→ 出典サイト
上の数字からして、ウーブン・シティの想定する人口 2000人だと、スーパーマーケットが進出するのはとても無理だ、とわかる。コンビニさえ、成立できるかどうか、ギリギリだ。できたとしても、すぐに撤退するかもしれない。
かろうじて成立しそうなのは、ドラッグストアだ。調剤薬局と併設することで、利益率を高めて、何とか成立しそうだ。
→ 田舎にはイオンしかないというのは解像度が低い ドラッグストアが乱立 - Togetter
上記記事の魚沼市は、人口 3万人余り。そのくらいだと、大手スーパーはなくて、地元の小規模スーパーがいくつかある。ドラッグストアも乱立する。
人口 2000人だと、かなり悲惨なことになりそうだ。「先端都市」であるどころか、ただの「田舎の村」「へんぴな村」という感じになりそうだ。ウーブン・シティというが、名ばかりの シティ。名分 シティ。メーブン シティ。
[ 付記 ]
商圏人口の話のついでに、ちょっと調べてみたことがあるので、オマケで記す。
新綱島という駅ができて、そこの駅ビルに「新綱島スクエア」というテナント街がある。これがやたらと高級な店が並んでいて、こんな郊外の駅にふさわしくない。自由が丘や代官山なら、まだわかるのだが、新綱島あたりのタワマンなんて、たいして商圏はないはずだ。実際、タワマンの軒数は 260弱であり、人口は 1000人も満たないはずだ。スーパーの客の数も、あまり多くない。こんな状況で、テナントが高い家賃を払えるとは思えない。
そこで、こう思った。
「テナントが高い家賃を払えるわけがないのだから、タワマンの販売会社が最初から安値で販売したのか、あるいは、住民が毎月の支払いでテナントを優遇しているのだろう。そうやって家賃を補助する形で、高級テナントを招いているのだろう。だから、こんな郊外の店に、やたらと高級テナントがあるのだ」
私はこう推測していたのだが、そのことが確認された。家賃を値引きするのでなく、管理費を値引きする形で、住民がテナントの分を負担しているのだそうだ。
2133 匿名さん 2024/08/20
でも、商業施設の分まで住宅が負担するのは、フェアじゃないよねってことです。
それならそうと、契約前に開示してほしかった。
( → 【口コミ掲示板】ドレッセタワー新綱島ってどうですか?(入居済み・中古・賃貸)|マンション口コミ・評判 )
「商業施設の分まで住宅が負担するのは、フェアじゃないよね」と文句を言っているが、店の分を住人が負担しなくなったら、店は赤字になってしまうのだから、店は撤退してしまう。すると、今はタワマンの低層階にあるスーパーやドラッグストアや病院などはみんな消えてしまう。管理費はいくらか安くなるが、利便性は大幅に低下してしまう。それいいのか?
結論。
郊外のタワマンの低層階には、高級なテナントやスーパーがいっぱい並んでいて、素晴らしい利便性があるように見える。だが、そういう利便性があるのは、住民がテナントの家賃(管理費)を負担して、テナントを招いているからだ。便利さを得るには、高い経費の負担があるのだ。利便性はタダでは入手できないのだ。
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とすれば、ウーブン・シティも同様だろう。たかが 2000人の人口では、スーパーは成立しない。ただし、住民が敷地を安価に提供したり、経費を負担したりすれば、小規模スーパーが来てくれるかもしれない。
現実的には、小規模スーパーみたいなドラッグストアが一つあれば、御の字だろうが。
( ※ 人口は少なめでも、高齢者が少なくて、生産年齢の人が多ければ、購買力が多くて、スーパーが成立する可能性もある。)
回避運転の話。
https://motor-fan.jp/mf/article/54296/
https://www.nissin.com/jp/news/13097