2024年12月23日

◆ 日産の没落の教訓

 日産の没落を見たら、「どうせ他人事さ」と冷笑するより、「明日は我が身かも」と肝を冷やす方がいい。

 ──

 日産の没落は他人事ではない。むしろ教訓となる。なぜなら、日本企業の多くが、多かれ少なかれ、似た状況にあるからだ。日産を見て笑うのは、目くそ鼻くそを笑うようなものだ。むしろ、同病相憐れむがいい。

 この件については、次のシリーズで詳しく論じたことがある。
  → 日本企業の技術軽視 .1: Open ブログ
  → 日本企業の技術軽視 .2: Open ブログ
  → 日本企業の技術軽視 .3: Open ブログ
 ここでは、「技術軽視」という観点から、日本企業の問題点を指摘した。

 ──

 上記の3項目が特に重要だが、他にもある。

 「人材軽視」という観点から、同じ問題を考察したことがある。
  → 日本はなぜ没落したか?: Open ブログ

 一方で、日本企業が「協調性」というような性格面ばかりを重視してるのが問題だ、とも指摘したことがある。
  → 日本企業が没落するわけ: Open ブログ

 経営者に問題がある、という指摘もある。
  → 日本企業はなぜ敗北したか: Open ブログ

 昔はこんなにひどくはなかった、という歴史比較もある。
  → 日本が繁栄した時代: Open ブログ

 以上の項目を読み返すといいだろう。特に、最初の3項目は、大事なことが書いてある。
 


 【 追記 】
 日産とホンダの共同声明が出た。経営統合に向けて正式に作業を進めるスケジュールが発表された。特に、次のことが重要だ。
 統合後に想定している会社形態の方向性についてご説明をいたします。今回の経営統合は、共同株式移転の方法により、日産、ホンダが共同持株会社を設立し、両社を共同持株会社の完全子会社として存続させるとともに、それぞれのブランドも等しく育成、発展させていく方向で検討していきます。
 なお、共同持株会社の設立時点においては、その取締役の過半数をホンダが指名するとともに、代表取締役または代表執行役社長はホンダが指名する取締役の中から選定する予定ですが、経営統合後の事業運営においては、出自に関わらず、経営統合の目的に即して最適な人選を進めていく予定です
( → 日産とホンダ、三菱自動車が経営統合に関する記者会見 - Car Watch

 (1) 「取締役の過半数をホンダが指名するとともに、代表取締役または代表執行役社長はホンダが指名する取締役の中から選定する」とあるので、実質的にはホンダが親会社であり、日産が子会社であることになる。日産はホンダに買収されたことになる。(鴻海のかわりにホンダに買収された。ホンダは日産を安上がりに買収できた。)
 (2) 「経営統合後の事業運営においては、出自に関わらず、経営統合の目的に即して最適な人選を進めていく」とあるので、日産の経営者だけでなく、上位の役職者もまた、ホンダから人材が降臨することになる。常務・専務クラスはもとより、事業部長やヒラの部長クラスにも、本田から人材が送られるかも知れない。……となると、日産の「英語の社内公用語化」も自動的に廃止されそうだ。そんな馬鹿げた制度をホンダの役職者が認めるはずがないからだ。(そうしないと、ホンダの役職者が「英語ができない」という理由で排除されてしまう。それはナンセンスだ。)
 


 【 関連項目 】

 → ホンダの部品不良の問題: Open ブログ

 ホンダは(下請けとなる)系列メーカーが弱い。だからホンダは日産と系列メーカーを統合した方がいい、という趣旨。ここではホンダと日産の(部分的な)統合を提案している。2019年10月08日 のことだ。
 それから5年後に、系列どころか本体の方が統合してしまったわけだ。とはいえ、私の話は、部分的な予言のようになっている。今回の統合は、決して荒唐無稽ではない。私も部分的に提言していたことなのだ。


posted by 管理人 at 22:26 | Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2024年12月24日 08:27
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