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パンをひとつ盗んだせいで懲役 20年、というのは、レ・ミゼラブルだった。これはたった1人の例外的な話だった。(パンを盗んだあとで、脱獄未遂などで加算されて、20年になった。)
ところが、20年どころか終身刑にする、というのが、アメリカだ。これは「三振法」という制度だ。
Feloの回答
三振法、英語では「Three Strikes Law」と呼ばれるこの法律は、1990年代にアメリカ合衆国で成立した一連の州法を指します。この法律の主な目的は、特に重大な犯罪を繰り返す者に対して厳しい刑罰を科すことです。
法律の概要
基本的な仕組み: 三振法は、犯罪者が過去に二度有罪判決を受けた場合、三度目の有罪判決を受けると、軽重を問わず重い刑罰(通常は終身刑)が科せられるというものです。この法律は、特に暴力的な犯罪に対して適用されることが多いです。
主な弊害
刑務所の過密化: 三振法により、軽微な犯罪でも三度目の有罪判決を受けると重い刑罰が科されるため、刑務所に収容される受刑者が増加し、過密化が進むことが懸念されています。これにより、刑務所の運営が困難になり、受刑者のリハビリテーションが疎かになる可能性があります。
こうして刑務所が受刑者であふれかえる、という懸念が生じた。たかがパンを盗んだぐらいでも、終身刑になるのだ。(それが三度目の犯罪なら。)
そこで、カリフォルニアでは、住民投票で、「軽犯罪者は収監しない」という法律を成立させた。特に、「950ドル以下の窃盗は収監しない」というふうにした。すると、そのせいで、950ドル以下の窃盗が野放しとなったので、カリフォルニアは「泥棒天国」となった。
そこで、これを反省して、この法律を停止するように、住民投票で新たに決まった。
950ドル(約14万円)未満の窃盗を軽犯罪とする米西部カリフォルニア州の州法が、大統領選と同時に行われた住民投票で廃止された。
( → 「950ドル未満の窃盗は軽犯罪」を廃止 略奪横行の米カリフォルニア州、治安回復に期待 - 産経ニュース )
しかし、これによって「窃盗が多発する」という問題は解決しても、「刑務所の囚人があふれかえる」という元の問題の状況に戻ってしまう。元の木阿弥だ。何ら解決になっていない。
なぜか? そもそも問題の根源である「三振法」が是正されていないからだ。ここを是正することが本質的なのだが。
何ともまあ、ひどい状況だ。
ところが、トランプ大統領は、この状況を歓迎しているそうだ。上記記事にはこうある。
カリフォルニア州は民主党が強く、ハリス副大統領の地元でもあることから、トランプ次期大統領は「窃盗犯は店に電卓を持って行き、いくらか計算している。950ドル未満なら罪に問われないからだ。そうしたのはハリス氏と民主党知事だ」などと批判していた。
「民主党憎し」で、窃盗犯を大量逮捕する方針に転じたが、たかが窃盗犯ぐらいで超長期にわたって収監するのでは、刑務所そのものが破綻する。
目先の損得ばかりにこだわると、長期的な計算ではかえって損するハメになる。視野が狭いというのは、そういうことだ。