2024年11月17日

◆ トランプの勝因(私の見解).4

 ( 前項 の続き )
 トランプが人々を煽動するときのコツは? 

 ──

 エゴイズム 


 トランプは人々を煽動する。そのとき、いかにして煽動するか? つまり、効率的に煽動するためのコツは何か? 
 それは、エゴイズムに訴えることだ。「自分だけが良ければいい」「他人が損をしようと知ったこっちゃない」「とにかく自分の利益だけが大切だ」という人々のエゴイズムを駆り立てる。そして、「私の言う通りにすれば、あなたは得をしますよ」と耳打ちする。
 これは「馬を人参で操る」というのと同じ方法だ。


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 人々は欲が深い。人々は欲張りだ。だから、「金を与えます」「金が儲かります」という言葉を聞くと、人々はあっさり追従する。

 その例は、日本でも見られる。国民民主党が「金を与えます」「減税します」という公約を語ると、それを聞いた人々はあっさり追従する。財源もなしに、そんな金をもらえる保証はまったくないのだが、狡猾な詐欺師の口車を信じるように、欲深い人々は不倫男の口車を信じる。

 米国であれ、日本であれ、欲深いエゴイストがいっぱいいる。だから、こういう欲深いエゴイストの心を釣るために、トランプや玉木はエゴイズムを刺激する言葉を語るのだ。

 ※ 特に、「敵を排除する」「敵の利益を奪う」という形で、仮想敵を攻撃する言葉を出すことがある。前項の「移民排除」もその一環だ。

 トランプとマネーゲーム


 トランプの本質を示すためには、「エゴイズム」とは別に、もう一つ、別の概念がある。それは「ゲーム」だ。特に「マネーゲーム」だ。「ゲームとしての金儲け」と言ってもいい。
 トランプはしばしば「ブラフ」や「ディール」という概念を用いる。そこでわかるのは、ただの手法としてこれらの概念を用いているのではない、ということだ。では、何か? 彼は根っからの「マネーゲーム好き」なのである。ちょうど、子供の「人生ゲーム」で富豪になるのを目的とするように、

 トランプはさまざまな交渉や政治活動をゲームのように扱う。そこでは、「相手に勝つこと」や、「自分の数字を上げること(ポイント獲得)」が最優先となる。それだけを目的として行動する。
 これは従前の政治家とは著しく異なることだ。なぜなら、他の政治家は次のように行動するからだ。
  ・ 最大目的は国益である。(ポイント獲得ではない。)
  ・ 交渉では win-win をめざす。( 一方的な win-lose ではない。)

 普通の政治家は、そのように行動する。その際、倫理性や正義にもこだわる。なぜなら、倫理性や政治にこだわるからこそ、相手の信頼を得て、双方が得をする win-win の関係を構築できるからだ。
 しかるに、トランプは違う。双方が少しずつ得をする win-win ではなく、自分だけが一方的に大幅な利益を得て、相手に損をさせるという、win-lose をめざす。そのとき、相手に損をさせるのを厭わないので、だましたりする裏切ったり手法も取る。だましたり裏切ったりするのは賢いものがやることで、だまされたり裏切られたりする方が愚かなだけだ、と信じているからだ。……こうして、倫理性や正義とは無縁の方針で、仲間を裏切り、仲間を作らず、孤立した唯我独尊の体制を構築しようとする。
 トランプにとって大切なのは、ゲームにおいて一人勝ちすることであって、自分以外のすべてを敗者とすることこそ最高の勝利なのだ。それこそが彼のめざすことなのだ。

 ※ 普通の国家間外交では、2国間の友好の樹立を大切にするが、トランプにはそのような発想はない。あくまでゲームで勝利することだけが目的となる。win-win ではなく、win-lose をめざす。

 ※ 石破首相がトランプとの会談を望んだが、拒否された。これも同じ理由だ。日本は2国間の互恵や win-win 関係を望むが、それはトランプには通じない。トランプのめざすのは、あくまで一方的な勝利だけなのだ。日本を友人にしたいのではなく、日本を敗者にしたいのだ。そこを理解できないまま、友好だけをめざすのが、日本政府だ。あまりにも愚かである。現実認識ができていない。
   → トランプ氏側が石破首相との会談を見送る考え…正式に伝達|日テレ

 ハリスの無能


 ここまで述べてきたように、トランプは煽動する。つまりは、口先で人々をたぶらかすわけで、詐欺師も同然だ。その口から語られることはすべて虚偽だと言っていい。
 ではなぜ、その詐欺師が大統領に当選できたのか? なぜ真実でなく虚偽が勝利を収めたのか? それが謎に思えるだろう。だから、その答えを私が告げよう。こうだ。
 「虚偽はあったが、それを虚偽だと指摘する人がいなかった」
 「虚偽にかわる真実が提示されなかった」
 こういう現実があったのだ。

 本来ならば、トランプが虚偽を語るたびに、その虚偽を虚偽だと指摘して論駁するべきだった。虚偽のかわりに真実を提示することで、「トランプの語ることは虚偽だ」と教えるべきだった。
 ところが、ハリスはそうしなかった。そうしなかったというより、そうできなかった。なぜなら、頭が悪かったからである。トランプが欠陥だらけの論理を出したときに、その欠陥を指摘することができず、単にトランプの攻撃から身を交わそうとするだけだった。自らトランプの欠陥を攻撃することができなかった。

 (1) 物価上昇

 トランプは物価上昇をバイデンのせいだとして攻撃した。
 ならば、これを批判するべきだった。
  ・ 物価上昇の原因はロシアのウクライナ攻撃と異常気象のせいだ。
  ・ その現実を理解できないトランプは経済に無知な素人だ。
  ・ ロシアを打破すべきなのに反対するトランプは逆効果。
  ・ 地球温暖化を阻止すべきなのに反対するトランプは逆効果。
  ・ トランプの方針は物価上昇を悪化させるだけ。
  ・ バイデンは物価上昇を収束させた。( → 前々項 )


 (2) 移民

  ・ 移民が職を奪うというが、移民は低賃金労働で競合しない。
  ・ 移民を排除すると、農場や工場で低賃金労働者がいなくなる。
  ・ すると、農場や工場の賃金が上昇し、諸物価が上昇する。


 以上の (1)(2) のように論理的に反駁して、トランプを論破するべきだった。しかるに、ハリスはそうしなかった。トランプの非難に、一方的に受け身になって、攻撃をかわそうとするだけで、正面から論破しなかった。あまりにも頭が悪すぎた。

 ※ 仮に官僚が論破するための論拠を示したとしても、ハリスはそれを覚えて自分の頭で再構築することはできそうにない。頭が悪すぎるので。

 ※ とにかく、ハリスはまともに論理的論拠を立てることができない。法律家の論理力もない。検事出身であるくせに。いわば、弁の立たない検事だ。ひどい無能だ。

 ※ ハリスの検事時代の業績は、法廷検事としての弁舌能力ではなく、司法行政の担当官としての行政官の能力であったようだ。なるほど。それなら、弁は立たなくても、部下に命令するだけで済む。自らの無能を隠すこともできるわけだ。(部下の言いなりになるだけでも勤まる。)

 ※ ハリスが無能であることは、ハリスの責任ではない。無能なハリスを立てた民主党の責任だ。その理由は二つ。
  ・ ハリスにかわる候補者がいなかった。
  ・ バイデンが辞任時にハリスを強引に指名した。

 この二点については、すでに別項で説明した。( → ハリスの敗因(大統領選)

 トランプの独演


 ハリスが無能であると、その結果はどうなるか? 詐欺師の独演舞台となる。人々はその独演舞台を見続けることになる。
 これについては、次のコメントがある。
前出のウイリー・ブラウンはトランプについて同じインタビュー内でこう応えている。
「トランプがなんで成功したかって?彼はエンターテイナーだ。それが全て。」
「大衆がトランプのパフォーマンスに夢中になっていればトランプは生き残る。」
「有権者がトランプのパフォーマンスに夢中になっていることをバカ呼ばわりは出来ない。」
( → カマラ・ハリスの負けた要因って何かなと思って。

 かくて詐欺師の独演を咎める人がいないまま、詐欺師は大統領となった。それが最終的な結果だ。
 このあと米国はどんどん崩壊していくしかないようだ。ほとんど自滅の形で。たとえば、下記のように。
 米CNNテレビは15日、トランプ次期大統領が連邦捜査局(FBI)長官に元国防総省幹部のカシュ・パテル氏の指名を検討していると報じた。議会襲撃事件などで起訴されたトランプ氏の熱烈な支持者で、FBIの解体を訴えている。
( → トランプ氏、FBI長官に解体論者のパテル氏指名を検討「本部は博物館に」 CNN報道 - 産経ニュース

 FBIの解体を訴える人物を FBI長官に据えるなんて、狂気の沙汰だ……と思えるだろう。「アメリカはぶっ壊れつつあるな」と思う人が多いだろう。たしかにそうだ。まさしく米国は崩壊しつつあるのである。



 [ 付記 ]
 ただし、日本も似たり寄ったりだ。国民民主党は、巨額の所得税減税を唱えた。だが、財源はない。
 すると、どうなる? このままでは、財源に穴があいているせいで、巨額の財政不足が生じる。下手をすると、地方行政や国家行政の予算は一律に1割削減される。
  ・ 学校教育の期間は1割減。(教育が低下)
  ・ 警察や消防署は1割減。(犯罪は多発。)
  ・ 健康保険は3割負担が4割負担にアップ。

 こういうふうに公的機能が大幅に損なわれてしまう。なのに、国家を破壊するような、巨額の所得税減税を唱える国民民主党を支持する人が多いのだから、トランプ支持よりも、もっとタチが悪いだろう。トランプは FBI を解体するだけだが、国民民主党は政府と自治体の全機能を1割低下させようとしているのだ。もはや国家テロにも等しい。
 トランプもひどいが、もっとひどいのが国民民主党だ。トランプを支持する米国民は愚かだが、国民民主党の減税案を支持する日本国民はもっと愚かだ。仮にこんな減税が実現したら、日本という国家が崩壊するも同然だろう。

  ※ 国民民主党の減税案は 7.6兆円の減税。日本の税収は 77兆円。日本の所得税住民税の税収は 31兆円。この規模の税収のなかで、 7.6兆円の減税をしたら、どうなるか? 多くの必要な行政機能がマヒしてしまう。国家は崩壊する。

  ※ なのに、国家を崩壊させる国民民主党の案を支持するのが、日本国民だ。
   → 年収の壁見直し賛成69% 企業団体献金禁止を67%:東京新聞デジタル

  ※ パワハラの兵庫県知事が再選した。悪の権化が当選する。この点、米国も日本も、似たり寄ったりだ。民衆のレベルが知れるというものだ。





 《 シリーズはこれで終了です。大統領選の話は、おしまい。 》


 
posted by 管理人 at 22:54 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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