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勝敗と支持率
「米国の大統領選では、トランプが勝利し、ハリスが敗北した。では、その理由は何か?」
この問題については、すでに前々回で説明した。「無能なハリスを選んだこと自体が敗因だ。つまり、敗因は民主党の側にある」と。
つまり、勝敗に関する限りは、原因は民主党の側だけにあるので、トランプの側がどうこうするというのは、あまり関係ない。前項の「AIの回答」では、トランプの側がどうこうしたのが勝因だ、というふうに記しているが、トランプが何をしたかは、勝敗にはあまり関係ないのだ。(勝因はない、とも言える。)
一方で、勝敗とは別に、次の話題がある。
「トランプの支持率はなぜ高いのか?」
歴代の共和党候補と比べても、トランプには熱狂的な支持者が多い。しかも、従来の伝統的な共和党候補を駆逐してしまうほどにも、トランプ主義に凝り固まった認識を取る支持者が多い。
では、どうしてこれほどにも、トランプには熱狂的な支持者が多いのか? これは新たに別の問題となる。この問題を新たに探ろう。
※ 勝敗の問題と、支持率の高さの問題は、別のことだ、ということ。この二点を混同している人が多い。前項における「AIの回答」もそうだ。そこで、この二点を区別するのが、本サイトだ。勝敗については、前々項で示した。一方、支持率の高さについては、本項で示す。
物価上昇の不満
トランプの支持率が高くなった理由は何か? AIの回答などでは、次のように説明される。
トランプ氏の勝利は、経済に対する有権者の不満が大きな要因となりました。多くのアメリカ人は、インフレや住宅の手頃な価格の不足に対して不満を抱いており、これがバイデン政権への不信感を生んでいました。
トランプ氏の勝利において、経済が最も重要な要因とされています。特に、インフレが有権者に強い影響を与えました。多くの有権者は、経済が回復していると感じている一方で、日常生活における物価の上昇に不満を抱いていました。
このように物価上昇がトランプ支持(バイデンやハリスへの不支持)の理由となった、と説明されることが多い。
物価上昇の収束
しかし現実はどうだったかというと、物価上昇はどんどん収束していった。前項でも説明されている。再掲しよう。
2022年から2024年にかけて、アメリカの物価は急激に上昇した後、徐々に鈍化していきました。2022年の高インフレから始まり、2023年には依然として高い水準を維持しつつも成長を見せ、2024年にはインフレ率が2.4%にまで低下しました
また、Feloの回答によると、物価上昇と賃金との関係は、次のようになる。
2022年から2024年にかけての米国の賃上げは、物価上昇率と比較して、次のようでした。
・ 2022年: 賃金上昇率は高かったが、インフレがそれを上回り、実質賃金は減少。
・ 2023年: 賃上げ率は4.1%から4.6%で、インフレ率も低下し、実質賃金がプラスに。
・ 2024年: 賃上げ率は約4.6%、インフレ率は2.5%で、実質賃金が増加。
このように、2022年から2024年にかけて、賃上げは物価上昇率に見合う形で変動し、特に2023年以降は実質賃金が改善される傾向が見られました。
1年目は(ウクライナ戦争による世界経済の混乱の影響を受けて)インフレが発生したが、2年目以降では、物価上昇は収束し、賃上げは十分で、インフレを見事に収束させた。
つまり、経済状況を見る限り、バイデンの経済政策は見事に成功した、と言える。称賛されるべきだと言えるだろう。
ではなぜ、トランプの主張(バイデン批判)が、人々の支持を集めたのか?
※ 次項に続きます。