補足的な話をいくつか。国民党はどうなるか。
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「誰が何をするべきか」という話は、前項までで書き終えた。肝心の話は、これでおしまい。
ただし、補足的な話がいくつかあるので、下記で小項目ふうに書き足しておこう。
長期と短期
これまでに提案した方式は、「三党連立」または「四党連立」だった。首相は交替で、持ち回りにする。
ここで、任期は議席数に比例しない。小党である国民党や維新の任期がかなり長くなる。各党の任期がすべて同じになる、という案も考えられる。こういう案だと、議席数の多い立憲は不満になるかもしれない。
だが、そうだとしても、立憲は譲るべきだ、というのが、本サイトの提案だ。なぜか? その理由は、先に示した。
なぜ河野洋平は首相の座を譲ったか? それは、短期的には損しても、長期的には得するからだ。短期的には村山首相の時期が続くが、一定期間(1年半)を経れば、次には自民党の首相になる。そして、そのとき以後も、ずっと自民党の首相が続く。天下は自民党のものとなる。だから、1年半ぐらいは他党に首相の座を譲っても、たいして問題ではないのだ。
( → 連立政権の行方 .2: Open ブログ )
このことの原理は、上記の直前にも記してある。
その答えを言おう。それは、「短期と長期の違い」だ。短期的には損したとしても、長期的には得するのならば、その道は十分にペイするのである。
( ※ これは「急がば回れ」とか「損して得取れ」とかの発想に似ている。「迂回経路」とも言う。前に別項で示した。 → 別項 )
河野洋平は社会党に譲った。短期的には損しても、長期的には得するからだ。実際、社会党政権は1年半だけ続いたが、以後はずっと自民党政権になった。
今回も同様である。立憲は国民党と維新に譲っていい。短期的には損しても、長期的には得するからだ。当初の3年間ぐらいは、国民党と維新と立憲が任期をほぼ等分に担当する。しかしその後は、立憲が単独で過半数の議席を獲得するようになる。なぜなら「1位の大政党が圧倒的な多数を獲得する」というのが、小選挙区制の特徴だからだ。これまで自民党がそうしてきたように、今後は立憲が単独で過半数を取るようになる。そうなれば、国民党と維新を切ってしまえばいいのだ。かつて(単独過半数を取ったあとで)自民党が社会党を切ったように。
というわけで、長期的には立憲の安定単独政権が続くようになるので、当面は国民党と維新に任期を譲ってもいいのだ。まずは政権を奪取することが最優先となる。
国民党を壊滅させよ
国民党は、今は大人気だが、将来的には壊滅同然の状態となるだろう。小選挙区制のもとでは、小政党は生き残りにくいからだ。せいぜい比例区で微々たる議席を取り続けるぐらいだ。国民党の支持率は、世論調査では1〜2%ぐらいの数字が続いているので、比例区でも5議席ぐらいが妥当なところだろう。そのような数字に落ち着くように、他党は圧力を加えるべきだ。
特に、立憲は「国民党を壊滅させること」を目的として、大転換するべきだ。なぜなら、現状はこうなっているからだ。
・ 国民党の議員のいる小選挙区では、立憲は対立候補を出さない。(協力する)
・ 立憲の議員のいる小選挙区では、国民党に対立候補を出される。(共倒れになる。)
・ 選挙後は、立憲のラブコールを袖にして、国民党は自民と組む。
これでは、馬鹿丸出しだ。一方的に奉仕するだけの「みつぐ君」だ。国民党の方は、頂き女子みたいだ。立憲からはもらうだけもらって、自分からは何も与えてない。そのあとで、ホストに大金を渡すように、自民に政権の座を渡す。
カモの男 → 頂き女子 → ホスト
カモの立憲 → 国民党 → 自民
こういう感じで、立憲は一方的に食い物にされている。馬鹿丸出しである。
だから、今後は、これを改めればいい。つまり、次のようにする。
・ 国民党の議員のいる小選挙区では、立憲は対立候補を出す。(共倒れ)
・ 立憲の議員のいる小選挙区では、国民党に対立候補を出される。(共倒れになる。)
・ 選挙後は、国民党の小選挙区議員はゼロとなり、国民党は壊滅状態となる。
このようになった場合、共倒れの選挙区が増えるので、自民党の議席数がかなり増える。自民党は漁夫の利を得る。野党の議席数の総数は減ってしまう。……しかし、それでもいいのだ。なぜなら、どうせ政権を取れないのであれば、議席数が増えようが減ろうが、どうでもいいからだ。
それより大事なのは、国民党の小選挙区の議員を壊滅させるということだ。今回は、国民党は小選挙区で 11議席を獲得した。しかし、このほとんどすべてを壊滅させるべきだ。生き残るのは、玉木の香川選挙区ぐらいだろう。つまり、1議席。それ以外のすべての選挙区で、国民党の小選挙区議員を落選させるべきだ。共倒れの形で。
このようにすれば、国民党の発言力は圧倒的に低下する。自民党が「国民党に協力を依頼する」ということもなくなる。なぜなら、たかが数議席ぐらいの弱小政党の協力を得ても、ほとんど意味がないからだ。(維新は大阪で多数の小選挙区議員を獲得するが、国民党はそれができなくなる。)
このようにして国民党を壊滅状態にすれば、国民党の発言力は圧倒的に低下する。そして、「立憲と協力する以外に、自党の存在はおぼつかなくなる」と理解する。つまり、「政権を自民に渡す」という現行の方針を捨てざるを得なくなる。かわりに「三党連立」という方針を取らざるを得なくなる。
だからこそ、今すぐ、上記の方針を明示するべきだ。「国民党が自民に政権を渡すのであれば、立憲は(次期選挙で)国民党を壊滅状態にする」と。さらに「国民党が三党連立に協力するのであれば、国民党は今すぐ首相の座を獲得できる」と。
かくて、このような形で、三党連立政権を樹立することが可能となるのだ。
国民党は壊滅する
立憲は(小選挙区で)国民党を壊滅させるべきだが、いちいちそんなことをしなくても、国民党は(自滅する形で)勝手に壊滅していくだろう。
なぜか? 次の参院選のときに、勢力が激減するからだ。
経緯は次の通り。
・ 8カ月間が経過する。その間に、世界は大変化する。
(ロシアがウクライナ全土を支配し、世界は大混乱。)
・ 自民党の裏金のことなど、誰も気にしない。
・ 物価上昇と賃上げのことで、大騒ぎ。
・ とりあえず自民党政権が続いて、国民はそれに慣れる。
・ 国民はまた自民支持に戻る。政権支持率が上がる。
・ 石破が議席増加を狙って、衆院を解散し、衆参同日選を行う。
・ 自民党は大幅に議席を増やして、単独過半数を得る。
・ 自民から国民党に流れた票が元に戻って、国民党の議席は激減する。
国民党の 2021年の議席数は 11だった。(小選挙区6、比例区5)
次回の選挙でも、このくらいの数になると見込まれる。つまり、現在の 28(=11+17)を大幅に下回る。これが8カ月後の議席数なのだ。
国民党が「わが世の春」のごとく浮かれているのも、うたかたの夢のようなものなのである。8カ月後には、今の議席のほとんどが煙のごとく消えてしまうのだ。
※ さらに、立憲が対抗馬を立てれば、小選挙区は6から1に減るだろう。かくて壊滅状態となるだろう。
祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
※ 次項に続きます。