2024年10月28日

◆ 連立政権の構想(2通り)

 衆院選では過半数を取る勢力がなかった。そこで、自民主導の連立政権と、立憲主導の連立政権が、ともに政界で多数派工作を練っている。

 ──

 自民主導 


 自民主導で連立政権(または閣外協力政権)を構築する、というのが、石破の目論見だ。すでに 221議席を得ているので、残るは 12議席だけ。その 12議席を補えばいい。維新と国民党の双方があるので、政策ごとにどっちかを利用すれば済む、という魂胆だ。維新と国民党は、いいように使われるだけだ。……これが石破の目論見だ。
 一方、維新と国民党は、便利な切り替えスイッチのように使われるだけで、自分の党の言い分をまったく通すことができない。ただの下僕だ。まあ、もともと下僕根性がしみついているのだから、下僕になると、大喜びなのだろう。ご主人様のために、尻尾を振るだけだ。


sippo.jpg


 あり得る可能性としては、次の (1)(2) がある。

 (1) 是々非々で協力

 「政策ごとに是々非々で協力する」というふうに、国民党の玉木代表が述べている。それで自尊心を保っているつもりらしいが、単に、いいように使われているだけだ。
 1年後(または8カ月後)には、自民の勢いが戻りかける。そのころ、自民党の首相が解散権を行使して、解散する。すると、自公で過半数の議席を取るので、国民党や維新は捨てられる。下駄の雪だ。
 これは自民にとって最善の筋書きである。逆に、国民党や維新にとっては最悪である。利用されるだけ利用されて、1年後(または8カ月後)には、議席が大幅減になって、放り出される。
 だから、この道を取るのは、ほとんど自殺するのも同然だ。とはいえ、これが自殺する道だと、自分で理解できない。理解できるだけの頭がないのだ。だからあえて自殺する道を選ぶ。レミングのように。

 (2) 筋を通す

 是々非々協力するかわりに、協力するけれども代価を求める、という道もある。つまり、自党の公約の実現を条件として、自民党に協力する、というわけだ。「これぞわが党の成果です」と PR するために。
 そこで国民党の公約を見ると、次のことがある。
  ・ 社会保障負担の引き下げ
  ・ エネルギー費用の補助金支給

 これらは最優先の公約らしいので、これらを条件とするわけだ。しかし現実には、これらを実現するには、財源が必要だ。その財源がない。ゆえに公約は実現不可能だ。なのに、公約の実現を強硬に要求すると、「自公が協力しないなら、こちらも協力しない」となって、自公は過半数割れとなる。かくて、過半数を取れない少数与党の政権となるので、政府は船頭のいない船の状態となって、迷走する。
 これは日本という国にとって最悪の状況だろう。

 ※ こういう迷走状態は、国家としての脳死を意味する。最悪の状況だ。仮に戦争になったら、無為無策のまま、一発で滅びるところだ。……ところが、である。維新のゴッドファーザーである橋下徹は、このような状況を「最高の状況」と見なして歓迎するそうだ。( → 出典 ) …… 呆れるね。国家を崩壊させたがるテロリストだ。

 野党連立


 立憲主導で連立政権(または閣外協力政権)を構築する、というのが、野田の目論見だ。

 あり得る可能性としては、次の (3)(4) がある。

 (3) 立憲主導

 立憲が「この指止まれ」と言って、あとは国民党・維新・共産党が従ってくれるはずだ、というのが、野田の目論見だ。通常ならば、野田が頭を下げて、「協力して下さい」とお願いするところだが、野田は決して頭を下げない。ふんぞりかえって、「弱小のお前らは、おれ様に従え。そうすれば、与党の仲間に入れてやってもいいぞ」と威張る。
 結果的に、同じように威張りたがりの国民党・玉木と、維新・馬場は、反発する。「決選投票でも野田とは書かない」と玉木は言い張る。
 野田が威張ってばかりいるので、れいわも離反する。「決選投票でも野田とは書かない」と山本代表は言い張る。
 結局、数の上では自公を上回るのに、まったくまとまらないので、迷走状態となる。(2) と同様の迷走状態だ。ただし、こちらは「船頭がいない」というより、「船頭多くして船 山に上る」という状態だ。

 (4) トロイカ体制

 駄目な道ばかり示したので、正解となる道も示そう。私の提案は、こうだ。
 野田が威張るのをやめるといい。自分の意欲をできるかぎり抑制する。かわりに、他の二党を尊重する。そして、三党の三頭立て(トロイカ)体制とする。具体的には、こうだ。
 三党が副首相を出す。その副首相三人の合議ですべてを決める。立憲の副首相は、野田首相の意を受けた誰か(小川淳也幹事長など)が代理ふうに務める。国民党は玉木が務める。維新は馬場か幹事長だ。……この三人で相談して、すべてを決める。野田は自分でトップダウンの命令を出すことができない。三人のボトムアップで決まったことを承認することしかできない。
 この際、三党はそれぞれ拒否権を持つ。これは絶対的な拒否権だ。安保理の常任理事国みたいな絶対的な拒否権だ。その分、三党はいずれも重要性を担うことになる。こうして完全な連立政権が成立する。(自民の言いなりになるだけの閣外協力とはまったく別だ。)
 
  ̄ ̄
 ただし、この方式には弱点がある。三党だけでは過半数を取れないことだ。ゆえに、れいわと共産の協力が必要だ。しかし、この二つの党を受け入れると、国民党と維新がイヤがる。困った。どうする?
 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「れいわと共産党は、連立政権には入るが、無任所大臣となるだけだ。権力は持たない。ただし、閣内で情報を得る。閣内で情報を共有できる」
 これならば、れいわと共産党は、権力を持たないので、半・連立となるだけだ。ゆえに、国民党と維新も受け入れることが可能だろう。

 結局、三党の副首相と、二党の無任所大臣がいる。そういう形で、五党連立政権が成立する。
 それでとりあえず、次のような政策を実現する。
  ・ 夫婦別姓
  ・ 政治資金の明朗化
  ・ 選挙区の定員是正

 このうち、夫婦別姓については、本項の草案を書いているうちに、すでに野田が発表した。
   → 立憲・野田代表 選択的夫婦別姓導入へ | TBS NEWS DIG

 なお、各党で意見が対立する政策については、拒否権があるので、現状維持となる。


 ※ 結論としては、「 (4) が最善だ」と言える。では、そうなるか? いや、そうならないだろう。なぜなら、「人は常に最悪となる道を選ぶ」という法則があるからだ。最悪とは行かなくとも、なぜか最善以外の道を選ぶものだ。それがが現実の経験則だ。……これを、マーフィーの法則という。このことゆえに、「最善の道は選ばれないだろう」と予想できる。
 


noda-yosi.jpg




 [ 付記 ]
 連立政権については、「自公連立政権に野党の協力が必要だ」という見解が多い。たとえば、下記だ。
 与党は2012年の政権復帰から維持してきた過半数を失い、今後の政権運営のため野党の協力を得る必要に迫られる。連立枠組みの拡大に向け、与野党の駆け引きが激しさを増しそうだ。
( → 自公215、過半数割れ 政権の枠組み、焦点 野党の協力取り付け、必須 衆院選:朝日新聞

 これに限らないが、「野党の協力が必要だ」という報道が多い。馬鹿じゃなかろうか? 自民党の首相を前提としているが、首班指名で野田が首相になる可能性は十分にあるのだ。なのにその可能性を無視して、自民党の首相を既成事実と見なすのは、「事実に基づく報道」という基本原則を逸脱している。「自分の勝手な思いつきに基づく空想報道」であるにすぎない。
 マスコミの馬鹿さ加減には、呆れるしかない。自民政治に慣れきって、政権交替の可能性を理解できない。頭が腐っているね。

posted by 管理人 at 23:32 | Comment(8) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/

野党連合政権ができたとしても参議院は自公が圧倒的多数なので自公の同意なき法案は1本も通りません。
予算関連法案も通らないので予算案が執行できるかどうかも怪しい。
したがって(4)は何もできない実行力ゼロの政権になると思います。
それならば維新と国民は(1)(2)を選んだほうがマシ

最後に(5)立民・自民連立(野田首相)は管理人さんの選択肢にないのですか。
Posted by カエル at 2024年10月29日 00:14
> 自公の同意なき法案は1本も通りません。

 1。予算案は衆院優先。

 2。自公分断を図れば、公明の同意だけで足りる。前項で述べたとおり。 引用:

> そのためには、公明党に楔を入れて、公明党も取り込む必要がある。(公明党が自民党から離れれば、参議院でも自民党は過半数割れとなる。 (以下略)

 3。来年は参院選があるので、そこで多数派を取れば解決。

 4。何もできないとしても、悪いことばかりする自民党政権よりはマシ。

 5。与野党伯仲で混迷するのが、真の混迷だ。それに比べれば、行政府がまともな分だけ、まだマシだ。

> 維新と国民は(1)(2)を選んだほうがマシ

 それは国民にとっての意義だ。維新と国民党にとっては、それは次期選挙での壊滅を意味する。前回選挙と同じぐらいの議席に戻る。下駄の雪になって、捨てられるだけだ。ゆえに、自党の損得で言えば、マシどころか、最悪だ。せっかく宝くじで「当たり」を引いたのに、15年にいっぺんのチャンスを、自ら捨ててしまうことになる。「当たり」を引いても、「ハズレ」の景品(粗品)を選んでしまうことになる。馬鹿丸出しだろう。

Posted by 管理人 at 2024年10月29日 00:40
> (5)立民・自民連立(野田首相)

 それをやったら、半々で譲り合う必要があるので、大損でしょ。
 維新や国民党を取り込んだ場合には、1割ぐらいを譲るだけで済むので、9割は自分の言い分を通せる。
 一方、(5) だと、5割に減る。大損だ。
Posted by 管理人 at 2024年10月29日 01:21
読売によると維新も国民も野党結集に後ろ向きであくまで独自政党として生きてくつもりとのこと

よって管理人さん予想の1になりそうですね
Posted by かーくん at 2024年10月29日 17:41
突っ込みどころが目立つ。

まず「(自民党は)維新と国民党、政策ごとにどっちかを利用すれば済む」とあるが、言い換えればどっちも賛成しない法案・政策は通せないということだ。結局、自民党は維新か国民民主党へいちいち「お伺い」を立てないと、思うように政治を進めることが出来ない。

逆に、維新あるいは国民民主党は自民に対して「自分たちの言い分を聞かないと法案を通させない」と、ゴリ押しすることだって出来るのだ。

そして「(国民民主党の政策を)実現するには、財源が必要だ」とのことだが、この期に及んで財源論などに拘泥すること自体が噴飯物。考えてみれば、この財源論なるものを(財務省界隈から)突き付けられれば政府も国民も沈黙し、緊縮財政の状態に甘んじていたのがここ30年ばかりの様相だったのではないか。

財源なんて、どうにでもなるのだよ。ちなみに、国民民主党も財源論について言及しているみたいなので、一度目を通してみたら良い。
https://new-kokumin.jp/wp-content/uploads/2024/01/265a37da717301967796b47326819a11.pdf
あ、断っておくが私は国民民主党の支持者ではないよ(笑)。

また「1年後(または8カ月後)には、自民の勢いが戻りかける」とあるが、何を根拠にそんなことを述べているのだろうか。「8カ月後」というのは参院選のことを指しているのかな。たとえそうでも、その時点で「自民の勢いが戻りかける」という保証は無いのだが(逆に、衰退する可能性だってゼロじゃない)。

「過半数を取れない少数与党の政権となるので、政府は船頭のいない船の状態となって、迷走する」というフレーズに至っては、意味不明だ。何がどうなって「船頭のいない船の状態」になるのか、そもそも「船頭のいない船の状態」って具体的にどういうことかな。単なるスローガン?

管理人によれば「野田佳彦は決して頭を下げない。ふんぞりかえっている」らしいけど、どの記事を見ても「野田佳彦はゴーマンな態度を示している」などという報道はされていない(「協力を要請した」という記述はあるけどね)。それとも、ここの管理人は「野田佳彦が(他党の党首達に対し)決して頭を下げず、ふんぞりかえっている」という現場を目撃でもしたのだろうか。もしもそうならばスクープかも。

なお、再び断っておくが(笑)、私は野田佳彦は嫌いである。何しろ消費税増税の戦犯の一人だからね。
Posted by スライ at 2024年10月30日 12:47
 お答えします。

> 結局、自民党は維新か国民民主党へいちいち「お伺い」を立てないと、思うように政治を進めることが出来ない。

 別に、問題ない。自民が「思うように政治を進める」のは、有害無益なんだから、その方が好ましい。結構なことではないか。「夫婦別姓の拒否」も、「防衛予算倍増」も、自民の好きなようにはできなくなる。好ましいことだ。
 一方、まともな政策なら、国民党なども賛成するのだから、困ることは何もない。
 有害無益とは逆の有益無害なのだから、ありがたいことだ。

> この期に及んで財源論などに拘泥すること自体が噴飯物。

 デフレのときにはそれが成立したが、現在のように物価高騰の時期に、通貨発行量を増やすと、通貨発行量の分だけ物価が上昇するだけだ。たとえば、減税で所得が5%増えると、物価が5%上昇する。誰も得しない。
 あなたの主張は「無から有が生まれる」というアラジンの魔法のランプ( or 打ち出の小槌)の主張だ。あるいは永久機関の主張だ。「無から永遠のエネルギーを産出できます」というやつ。非科学的。
 まずは「貨幣数量説」という学説を勉強しなさい。経済学のイロハだ。

 ※ 不況のときなら、遊休設備が稼働することで、生産量が増える効果がある。インフレのときには、遊休設備がないので、生産量は増えない。単にマネーの量が増えて、物価が上昇するだけだ。

 ※ これを理解できない玉木がいかに経済学に無知な素人か、よくわかるね。

> 「自民の勢いが戻りかける」という保証は無い

 保証はないけれど、その可能性は高い。過去の政治資金汚職の問題は何度もあったが、いずれも1〜2年で消えている。今回もすでに1年ぐらい続いたから、さらに1年も続くとは思えない。
 いっぺんお灸を据えたのだから、二度もお灸を据えるわけがない。

> 船頭のいない船の状態」って具体的にどういうことかな。

 自分で書いているでしょ。
    >> どっちも賛成しない法案・政策は通せないということだ。結局、自民党は維新か国民民主党へいちいち「お伺い」を立てないと、思うように政治を進めることが出来ない。

 自分で書いたことを忘れてもらっては困るね。

> 「野田佳彦は決して頭を下げない。ふんぞりかえっている」

 本文中に説明してあるでしょ。こうだ。
  《 通常ならば、野田が頭を下げて、「協力して下さい」とお願いするところだが、野田は決して頭を下げない。ふんぞりかえって、「弱小のお前らは、おれ様に従え。そうすれば、与党の仲間に入れてやってもいいぞ」と威張る。 》
 そういう意味です。

 具体的には、「野田という名前を書け」と要求していることを言う。
 次項で説明したが、正しくは「自党以外の党首を首相にすること」だ。「首相の座を他党に譲ること」だ。それ以外に政権奪取の道はない。
 河野洋平はそれができた。野田はできない。そういう意味だよ。
 ※ 詳しくは、次々項でさらに説明する予定。
Posted by 管理人 at 2024年10月30日 13:56
貨幣数量説?
これ、調べたら反論する意見もあるみたいで、イロハなんですか?
主張されたことは、貨幣量と物価が完全連動しているように受け取れますが、むしろ物価って需要と供給がバランスして決まるんじゃないですか?

貨幣量を誰か監視してて、増えたときに「みなさーん、価格上げましょーう」って号令かける人がいるんでしょうか?
信用創造による貨幣量もあるから、監視なんて無理でしょうけど
貨幣量が増えると時間の経過とともに需要と供給のバランスが物価高方向に動くというなら、納得感ありますが、瞬時に連動なんてしないでしょ
だから先に貨幣量増やした分で減税するのはありと思いますよ
Posted by スライさん支持者 at 2024年11月03日 01:45
> 需要と供給がバランスして決まる

 それは、物価ではなくて、単一商品の場合。機械でも食品でも、単一商品ならば、そう言える。

 生産量(GDP)が 500兆円のときに、所得を 500兆円から 1000兆円になるように、貨幣を倍の量で供給する(減税する)と、国民は「500兆円の減税を受けて嬉しい」と喜ぶ。だが、その金で買える物品の量が2倍になるのではなく、単に物価が2倍に上がるだけだ。なぜなら、生産量は同じだからだ。
 2倍増でなく5%増でも同じ。それが国民民主党の方針。
 だいたい、財源がないのに紙幣を印刷するだけで富が生じるわけがないでしょうが。そんなことが成立するのなら、国民は働かないで、国が紙幣を印刷するだけで、富を得られることになる。
 妄想のあとで、現実の結果は物価急上昇。ジンバブエみたいだな。レンテンマルクも似ている。

 ※ 不況のときならば、減税によって遊休設備や失業者が稼働するので、生産量が現実に増える。しかしインフレのときには、生産量が上限に達しているので、生産量が増えることはない。
Posted by 管理人 at 2024年11月03日 07:57
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ