2024年10月23日

◆ 立憲と国民党の共倒れ

 立憲民主党と国民民主党の共倒れが、衆院選のキーポイントとなりそうだ。

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 衆院選の状況では、与党の過半数割れが微妙となっている。政権交替が起こるかどうかの瀬戸際だ。となると、わずかな勝敗が全体を左右しそうだ。ならば、ほんのわずかな選挙ミスが、政権を取るか否かを左右することになる。

 そこで注目したいのが、「野党の共倒れ」だ。これは明らかに戦術ミスだ。
 ただ、以前に注目したのは、「立憲と共産党との共倒れ」だった。
 今回は新たに、「立憲と国民党との共倒れ」を考察したい。というのは、国民党には今回、多くの票が流れ込みそうだからだ。つまり、自民から逃げ出した票がたくさんある。その受け皿として、立憲と国民党があるが、両者に票が分かれると、両者が共倒れしそうだ。その戦術ミスが、全体の勝敗を左右することになる。

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 では、いよいよ調べよう。
 まず、立憲と国民党の競合する選挙区をすべて列挙したい。この目的のために、AIに質問したが、いくら質問を工夫しても、AIは正しく答えることができなかった。少しズレているどころか、まったく見当違いの回答を出す。特に Felo は架空の選挙区をたくさん出すという点で、ひどい嘘つきだ。Perplexity と ChatGPT は情報不足で回答不能。Gemini は選挙に関して回答拒否。
 ちなみに、「立憲民主党の候補者をすべて列挙せよ」という質問に答えることもできない。そんなデータはネットに転がっているのだが、それを出すこともできない。

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 以上のことからして、AIに頼ることは無理なので、手動で自力で調べることにした。全国は無理なので、東京だけに絞った。
  ・ 立憲民主党のいる選挙区を列挙する。
  ・ 国民民主党のいる選挙区を列挙する。
  ・ 双方に共通する選挙区を列挙する。

 以上のようにして、両党が競合する選挙区を得た。全部で6つある。(あとで列挙する。)

 一方、朝日新聞には、東京都の各選挙区の情勢が記してある。これを読むと、共倒れしそうかどうか、わかる。

 上の二つの情報を組み合わせて、以下では選挙区ごとに、情勢(朝日記事)を示そう。
  ・ 東京 2区  …… 自民前職の辻清人が安定した戦いぶり。
  ・ 東京 3区  …… 自民前職の石原宏高と、立憲新顔の阿部祐美子が激しく競り合う。
  ・ 東京 4区  …… 自民前職の平将明が自民支持層の9割を固め安定した戦いぶり。
  ・ 東京24区 …… 無所属前職の萩生田光一と、立憲新顔の有田芳生が伯仲している。
  ・ 東京28区 …… 自民元職の安藤高夫と、立憲新顔の高松智之が互角の激しい戦い。
  ・ 東京29区 …… 公明前職の岡本三成と立憲元職の木村剛司が競り合っている。


 つまり、これらのすべてで与党系が優勢(2つ)か、または立憲が互角・接戦(4つ)だ。立憲が優位なところはひとつもない。(他の選挙区では、立憲が優位なところも多いのだが。)

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 ついでに、別の情報を示す。「国民党の候補者はいるが、立憲が協力する形で、立憲が候補者を立てない選挙区」だ。
  ・ 東京12区 …… 自民前職の高木啓が優位に立つ。共産新顔の田原聖子がわずかの差で続く。
  ・ 東京13区 …… 自民前職の土田慎が支持基盤を固めて優勢。国民新顔の森洋介が懸命に追う。
  ・ 東京14区 …… 自民前職の松島みどりが他候補を引き離している。国民新顔の伊藤菜々、れいわ前職の櫛渕万里らは厳しい戦い。
  ・ 東京17区 …… 無所属前職の平沢勝栄は安定感があり、維新新顔の猪口幸子がやや苦戦している。国民新顔の円より子らは厳しい戦い。
  ・ 東京20区 …… 自民前職の木原誠二がやや先行している。国民新顔の大西健太郎、共産前職の宮本徹が懸命に追う。


 つまり、国民党の候補者は全敗である。互角や接戦にすらならない。これらの選挙区は、東京都民のいる選挙区なので、リベラルが強いはずだ。なのに、このありさまだ。立憲が候補者を立てていれば、国民と競合しても勝てたかもしれないのに、立候補を思い止まったから、自民党に議席を譲ることになった。馬鹿丸出しと言える。

 ──

 なお、全国の競合選挙区の総数は 13 であるそうだ。下記に報道がある。
 立民と国民民主の競合も13選挙区になる方向だ。
( → 立民、共産が142選挙区で競合 与党と4野党一騎打ちは52:東京新聞 TOKYO Web

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 まとめ。

 立民と国民民主の競合は全国で 13選挙区ある。
 そのうち、東京では6選挙区ある。そこを調べると、6選挙区のすべてで自民が優勢または互角だ。(非公認の自民党議員を含む。)つまり、立憲と国民党は、双方が立候補したあげく、かなり多くが共倒れすることになる。


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 愚かな戦術ミスのせいで、立憲は2〜6議席減で、自民は2〜6議席増となる。東京だけでもそうだ。さらに、全国では倍増しそうだ。結局は、この差が全体を左右しそうだ。
 「事前に選挙協力しておけば、おれたち立憲が政権を取れたのに……」と思って歯ぎしりしても、もはや手遅れだ。
 愚か者というのは、そういうものなのである。後の祭りという。



 [ 付記 ]
 では、どうすればよかったか? もちろん、選挙協力すればよかった。
 ただし、立憲が選挙協力を望んでも、国民党は選挙協力を望まない。国民党にとっては、選挙協力はするだけ無駄だ。なぜなら、現状はこうなっているからだ。
  ・ 国民党の有力候補者のいる選挙区では、立憲は候補者を立てない。
  ・ 立憲の有力候補者のいる選挙区では、国民党は候補者を立てていい。

 つまり、「もらうだけもらって、自分からは与えない」というエゴイズムだ。ジャイアニズムみたいなものだ。そう主張して、立憲はそれを素直に「はい」と受け入れている。(言いなりのときの)のび太みたいなものだ。

 これは、「タカ & ハト」という役割分担で安定している状況である。ハトの方は一方的に食い物にされる。ハトが抗わないと、ハトはいつまでも食い物にされるだけだ。
 これを正すには、ハトが牙を剥くしかない。(ハトには牙はないぞ、と言うなかれ。)……具体的には、こうする。
 「選挙協力は、ギブ・アンド・テークを原則とする。ギブだけするような現状は改める。事前に選挙区情勢を調査して(あるいは選挙中に情勢調査の報道を見て)、立憲と国民党のうちで、有力でない方が立候補を辞退する。これを新たな選挙協力の形とする」


 これを提案するべきだ。この提案を受け入れることを、国民党に強要する。
 もちろん、国民党はそれを拒否するだろう。現状よりも悪くなるのだから、拒否するのが当然だ。そこで、立憲はこう告げる。
 「拒否は許さない。もし拒否をするのなら、こちらの選挙協力は一切、停止する。国民党の現職議員のいる選挙区では、これまでは対抗馬を立てなかったが、今後は対抗馬を立てる。そのことで共倒れとなるので、自民党議員が当選するだろうが、かまわない。国民党の現職議員を全滅させることを目的とするからだ。選挙協力を拒む議員は、全員に落選してもらう。選挙協力を拒まない議員とだけ、協力する」

 この方針により、玉木のような強硬派のいる選挙区には、刺客を送って、彼らを全員落選させる。こうして国民民主党の現職議員をすべて落選させる。(惜敗率を悪化させて、比例区としての復活もできないようにする。)
 一方で、国民民主党のうちで、選挙協力をしたがる議員については、刺客を送らない。彼らの惜敗率は高くなるので、彼らは当選する。結果的に、玉木のような強硬派だけが排除される。

 こういう方針を、立憲は国民党に告げるべきだ。そうすれば否応なしに、国民党は選挙挙力をせざるを得なくなる。すると、国民党と立憲の共倒れがなくなるので、政権交替も可能となる。

 ※ まあ、今さら言っても、手遅れだけどね。

 ※ 今回の選挙では、共産党とも国民党とも、選挙協力ができなかった。こういうときには、えてして、せっかくのチャンスを無駄にすることになる。つまりは、野党の敗北だ。僅差で与党(自公)の勝利となりそうだ。

 ※ まあ、仮に野党が勝利しても、維新と国民党は自民に合流する予定だから、政権交替は起こり得ないんだけどね。……自分たちの党が政権を担う機会があっても、それをあっさり放り出す。あくまで自民党というご主人様に従う。足を舐めて、這いつくばるだけ。それが維新と国民党だ。飼い犬というのは、そういうものだ。
 

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 【 追記・訂正 】
 「(あるいは選挙中に情勢調査の報道を見て)」
 というふうに文中に示したが、これは取り消します。(取り消し線で修正済み。)
 なぜなら、告示後に立候補を取り消すことはできないからだ。立候補を取り消すことができるのは、告示前に限られる。
 したがって、選挙協力が可能なのは、告示前だけだ。告示後に選挙協力することはできない。

posted by 管理人 at 23:13 | Comment(4) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この状況(野党分散)は国民党と維新の、立候補者個人が凄いトクしますね。
比例復活できる可能性が高くなるんです。
東京17区、24区の過去の結果を見ていただければ一目瞭然ですが3年前は平沢と萩生田が得票率を落とし
国民の泡沫候補がそこそこの得票率を得ました。(なんと惜敗率は24区が1位、17区が2位)
3年前は国民は比例東京ブロック0議席だったので、比例復活ならなかったのですが、今回だったら復活してた。
多分、立民と国民は政党間で候補者調整してたのでしょうが、そういう事情で、候補者が降りなかったんだと思います。

こういう馬鹿らしいことをなくすためには衆議員は完全小選挙区制にすればいいんです。
そして参議院は全部比例にしちゃうとかして。
Posted by カエル at 2024年10月24日 00:01
(前回の) 17区、24区は、野党分散ではありません。立憲が国民党に一方的に協力している。自党の候補者を取り下げている。
 仮に立憲が候補者を立てて、競合したら、国民党は惨敗する。

 現状は、野党分散ではなく、立憲が一方的に譲歩しているだけです。立憲は、共産党には一歩も譲らないが、国民党には譲りっぱなし。それが泉と野田の方針。(なぜなら 国民党のスパイ・工作員だから。)
Posted by 管理人 at 2024年10月24日 00:08
 最後に 【 追記・訂正 】 を加筆しました。
 告示後の立候補取り消しについて。
Posted by 管理人 at 2024年10月24日 11:55
>現状は、野党分散ではなく、立憲が一方的に譲歩しているだけです。立憲は、共産党には一歩も譲らないが、国民党には譲りっぱなし。それが泉と野田の方針。(なぜなら 国民党のスパイ・工作員だから。)

面白い意見だと思います。
野田は自民・公明が過半数割れになった時、増税路線でそこに入り込もうとしているように感じます。でも数が多すぎるから国民がそこに入るかも(入るとなれば増税路線に変わるなんてなんでもない)。
裏金で非公認になった候補者に配った2000万円、そのうちの500万円は公認料という名目とは??東京24区では「いただき男子ハギちゃん」と言われているそうですが、今朝の新聞では自民党の反論が一面に出ているし、自民を追い落とすための大した役に立たないのでは?

Posted by SM at 2024年10月25日 11:12
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