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白は光を反射するが、熱を放射しない。
黒は光を吸収するが、熱を放射する。
そこで、「昼は白くて、夜は黒い」というふうに白黒が転じれば、「昼は反射して、夜は放射する」という理想の素材になる。だが、そんなうまい素材はあるのか? 色が変わるカメレオンじゃあるまいし。

実は、この問題をうまく解決する素材がある。ただし、色を変えるのではなく、反射と放射の特性を調整する。次のように。
「可視光線は反射するが、赤外線は放射する」
こういう特性があれば、次のようになる。
・ 昼間は太陽光を浴びるが、可視光線なので、反射する。
・ 夜は太陽光がないので、赤外線を夜空に向けて放射する。
かくて、「昼は反射して、夜は放射する」という目的が達成される。
このような素材を「放射冷却素材」という。その特徴は、波長によって「反射」と「放射」の特性が変わるような性質を備えていることだ。
下図を参照。

出典:大阪ガス

出典:SPACECOOL
こういう技術は面白い。そこで、新たな技術として紹介した。
何のために? 「屋根に太陽光発電を乗せるのを推進するために、莫大な補助金を出す」という愚策を止めるためだ。
こんな愚策のために莫大な補助金を出すぐらいなら、屋根のペンキのために補助金を出す方がマシだ。
なお、屋根にはペンキを塗るのが普通なので、通常のペンキの価格との差額の分だけ、コストは余計にかかることになる。その額は、あまり高くはないだろう。
※ 放射冷却素材は、塗料のものもあり、フィルム(シート)のものもある。いずれにせよ、使うのは建物の新築時だろう。中古に使うと、耐用年数の問題もあるので、コスト高になる。(たとえば、築 30年の住宅だと、残りの耐用年数は 20〜30年ぐらいだと見込まれるので、年間のコスト[≒償却費]が2倍になることになる。)
※ 「塗料で放射冷却できるのは、Radi-Coolのみ」という宣伝があるので、塗料となるのはこの製品だけであるらしい。(出光の製品)
→ 出光エナジーソリューションズ株式会社
【 関連項目 】
地球温暖化対策を低コストに実現するには、屋根を白いペンキで塗ればいい……という話は、過去に何度も繰り返した。サイト内検索(ブログ機能で)を実施すると、10項目ぐらいが見つかる。最も古いものは、下記だ。
→ 陸地温暖化への対策: Open ブログ(2008年)
ただし、独立の項目を立てて大々的に提案することはない。何か別の話をするついでに、「そんな馬鹿げたことより、屋根を白く塗る方がマシだ」というふうに言及することが大半だ。