2024年10月12日

◆ 土砂崩れは復旧できるか? .2

 能登を復興せよ、という声が強い。では、甚大な被害のあった土砂崩れはどうか? 復旧できるか? 現状はどうか?

 ──

 地震直後


 能登地震では、土砂崩れの箇所で激甚の被害があった。復旧はとても進みそうに見えなかった。当時、報道もあったし、本サイトでも言及した。 
  → 脆弱なインフラ、細るつながり 過疎地に能登地震の教訓どう生かす [能登半島地震]:朝日新聞
  → 被災地を復興するべきか?: Open ブログ
  → 土砂崩れは復旧できるか?: Open ブログ

 最後の項目には、YouTube のさまざまな画像がある。土砂崩れの傷跡がまがまがしく見て取れる。

 現状


 では、震災から 10カ月ほど経過した現在では、状況はどうなっているか? 現実に復旧は進んだか?
 いちいち調べるのが面倒なので、情報整理と要約を求めて、AIに質問してみた。

 質問: 能登半島の土砂崩れの寸断箇所は、どのくらい残っているか?

 回答は下記。

 Perplexity :
 能登半島の土砂崩れによる道路寸断の状況は依然として深刻で、多くの地域で孤立状態が続いています。

孤立地域の状況
 石川県の報告によると、2024年1月4日午後3時の時点で、能登地方の5つの市と町の30の地区で、少なくとも約780人が孤立状態にあることが確認されています。これは、道路が通行不能になっているためです。

具体的な被害箇所
 輪島市では複数の地区で深刻な被害が報告されています:
  ・ 諸岡地区:少なくとも10軒の家屋に大きな被害
  ・ 浦上地区:複数の家屋が傾いたり倒壊
  ・ 河原田地区:県道に多数の亀裂
 山間部の孤立:
  ・ 輪島市の山あいにある別所谷町、空熊町、滝又町の3つの集落(約70人居住)が完全に孤立
  ・ これらの集落へのアクセス道路(国道249号線、県道51号線、県道269号線)が土砂崩れで寸断


 Felo:
 2024年に発生した能登半島地震とその後の大雨により、能登半島では多数の土砂崩れが発生し、道路が寸断されました。具体的な状況は以下の通りです:
  ・ 土砂災害の件数:能登半島地震による土砂災害は、石川、新潟、富山の3県で計440件確認されています。
  ・ 道路の寸断状況:被災地の国道のうち、まだ10区間で通行止めが継続しています。これらの区間は主に土砂崩れやのり面崩壊が原因で、原状回復が難航しています。
  ・ 孤立集落:道路の寸断により、複数の集落が孤立状態に陥っており、救援活動や物資運搬が困難な状況が続いています。

 特に、国道249号は25区間で通行止めとなり、復旧作業が進められていますが、依然として多くの区間で通行が制限されています。

 小規模な箇所の復旧は進んでいるようだが、大規模な箇所の復旧はなかなか進まないようだ。解決の見通しが立っていないところもある。

 仁江町の埋め立て


 仁江町では、隆起した海岸を埋め立てて、新たに住宅地に造成する、という計画が進んでいる。
  → 能登半島地震で隆起の海岸を埋め立てへ 珠洲市長「災害公営住宅に」:朝日新聞

nikocho.jpg
ここを土砂で埋め立てる


 巨額工事による復興ということらしいが、これは無理筋だ。ここを埋め立てるとしたら、費用はすごく巨額になりそうだ。それでも、「復興のためならば仕方ない」と思う人が多いだろう。
 だが、これはまったく必要のない金である。なぜなら、内陸部に移転すれば、田畑を住宅地に転用するだけで済むからだ。それなら、簡単に造成できるので、コストはほぼゼロに近い額で済む。
 つまり、コストはほぼゼロで住宅地を提供できるのに、あえて復興の名目で、超巨額の金を投入して、無駄な工事をするわけだ。呆れるしかない。

 どうせなら、住民に選択肢を与えるべきだ。
 「1戸あたり1億円をプレゼントします。その1億円を使って、土地の埋立と造成に使ってもいい。あるいは、この土地を離れて、遠くの別の土地を購入してもいい。安い土地なら、100万円で買えますよ。1億円を差し上げますから、どちらでもご自由にしてください」

 ※ 現実的には、1億円のプレゼントは必要なく、500万円ぐらいで済む。これならコストは激安で済む。

 ※ 実際にそういう現金のプレゼントを実行する必要はない。とにかく、「現金を与える代わりに、巨額の土地増税をする」というのは、あまりにも馬鹿げているのだ。「現金を与えない」という原則を守るせいで、巨額の出費をすることになる。狂気の沙汰だ。

 水害後


 9月の水害では、新たに山間地の水害被害も生じた。たとえば、下記。
  → 山間部のあちこちで土砂崩れ、海岸には押し流された家屋…能登大雨上空ルポ : 読売新聞

 耶馬溪の例


 耶馬溪でも土砂崩れの例があった。(2018年のことだ。)
 これには過去記事で言及した。
  → 耶馬溪の土砂崩れ: Open ブログ


yabakei-tv.jpg


 ここでは、大規模な土砂崩れがあった。では、その後は、どうなったか? 調べると、判明する。
 「2019年にはそのままだったが、その後に工事が進み、2020年11月には工事が完了した」
 工事の状況はどうか? 
 土砂の撤去では、かなり撤去したが、まだかなり残しているようだ。急傾斜の箇所はそのまま残している。最下部では土砂を撤去した。これで通行には支障がなくなった。
 工事費は 20億円ということだ。
  → 山崩れ応急工事完了 耶馬渓町 総工事費20億円を県補正予算に|【西日本新聞me】(2018年)

 結局、耶馬溪の土砂崩れは、土砂崩れの工事が完了した。費用は 20億円だった。……これで話は済んでいるようだが、肝心の点はこうだ。
 「耶馬溪の土砂崩れは、大雨や自信があったわけではなく、単に地下水の水量が貯まっただけで、土砂崩れに至った。自然崩壊の例である。そのせいで、規模は小さかったので、修復も比較的容易だった」

 一方、能登の震災では違う。大規模な崩落が起こっており、容易には復旧できそうにない。耶馬溪の例は、参考にならないようだ。つまり、こう言える。
 「耶馬溪では 20億円で復旧できたが、能登ではそう簡単には行かない。復旧には超巨額がかかりそうだし、現実にそれができるかどうかも不明だ」

 AIの回答では、「復旧が困難なので、別ルートを開設する」という案も出ているようだ。それほどにも復旧は困難らしい。

 僻地を復旧するな


 そこで、いささか過激になるが、「僻地を復旧するな」という提案をしよう。多大な反発が予想されるが、本サイトとしては、効率性の観点から、「僻地を復旧するな」という提案をしたい。
 具体的には、こうだ。
 「輪島市は、交通の便が悪くないので、復旧する。珠洲市は、あまりにも僻地にあるので、復旧しない。このあたりは、復旧を諦める。居住を諦めて、土地を放棄する」





 珠洲市の復興


 珠洲市の復興は諦めた方がいい。
 その理由は何か? 次の二点だ。
 (1) あまりにも僻地なので、道路を十分に開通することが困難だ。内陸部の道路は復旧できそうだが、海岸沿いの巨大な土砂崩れは復旧が困難だ。このあたりの土砂崩れは、復旧を諦めた方がいい。つまり、珠洲市と輪島市を結ぶ海岸ルートは放棄する。珠洲市に至るルートは、南部の道路だけとする。(穴水〜能登町 経由。ここは開通している。北部は寸断している。)
  → 道路復旧見える化マップ - 国土交通省
 (2) あまりにも僻地なので、人口はどんどん急減しており、将来的には都市として消滅する見込みだ。ならば、「地震で消滅が早まった」と見なすだけでいい。現状のまま、急激に縮小させるべきだ。珠洲市はほぼ消滅させていい。かわりに、他の場所への移転を進めるだけでいい。

 後者の「人口急減」は、次のグラフによる。


suzusi-pop.jpg
珠洲市人口ビジョン


 人口の急減が進んでおり、将来的には「市の消滅」は避けがたい。ならば、「被災地の復興」をめざすよりは、「被災地からの移転」をめざす方が効率的だ。
 そもそも、どれほど巨額の金をかけても、そこはやがては消滅する場所である。僻地で、交通不便であるがゆえに。

 ※ 珠洲市が栄えたのは、かつて北前船というものがあったからだ。それが消えたあとでは、日本海側の町は衰退するしかないのだ。歴史的宿命。
 「地方の復興」というのは、「水は高きから低きに流れる」というのに逆らう方針だからだ。そもそも、地方はどんどん衰退する。特に、日本海側は、急激に衰退していくしかない。そこには原理的な理由があるからだ。前出。
  → 能登はなぜ栄えたか?: Open ブログ
    ※ 江戸時代には、中国・朝鮮との貿易が盛んで、北前船が日本海を巡って、産業の基幹となった。しかし開国後は、欧米との貿易が盛んとなり、平地の少ない日本海側は衰退するしかなくなった。

 水は高きから低きに流れる。それに逆らって、低き水を高みに戻そうとしても、それは、シジフォスの神話の努力にすぎないのだ。(無駄なあがき、ともいう。)
( → 被災地を復興するな .1: Open ブログ

 というわけで、「珠洲市を復興するな」という提案をしたい。これはいささか過激に思えるので、大いに反発を食いそうだが。
 だが、救うべきものは、土地ではなく、人である。人を救うには、巨額の金をかけて土地を造成するよりは、人を移転させる方が、はるかに低コストで済むのだ。

 どうせなら、被災者に1億円を与えて、その金の使い道を、被災者自身に委ねればいい。(上記の提案。)
 金を与えたあとで、土地の埋め立てをしたいという人が多かったら、実際に土地の埋め立てをすればいいのだ。これなら、被災者の意思に委ねるので、無駄がなくなる。

 ※ なお、1億円の出所はどうするか? それは、国民に増税すればいい。「復興のためには国費を投入するべきだ」という人が多いのなら、その意見に従って、巨額の国費を投入して、その分、増税すればいい。(善人ぶった人にとっては、自業自得だ。)
 
posted by 管理人 at 12:45 | Comment(0) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
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