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当初は、小泉進次郎が最有力と目されていた。私も「石破との決戦となって、最後は進次郎の勝利」と予想していた。ところが途中から状況が変わった。
・ 高市の支持率が急上昇した。(党内も党員も)
・ 進次郎の党員支持率が急減した。
このうち、前者はあまり大きな影響はなかったと言えるだろう。仮に進次郎が失速しなかったなら、「進次郎 対 高市」という戦いになって、進次郎が首相になっていたはずだからだ。つまり、「進次郎 対 石破」が「進次郎 対 高市」になって、対抗馬が石破から高市に変わっただけであるはずだからだ。
一方、後者は決定的な影響があった。具体的には、こうだ。

出典:時事通信
国会議員票では、進次郎は1位だ。なのに、党員票が、高市・石破に比べて、大幅に少ない。選挙戦の前には、進次郎が党員票でもトップを占めると見られていたのに、選挙戦のさなかに進次郎の党員票が激減したことになる。
これが進次郎の敗因だ。
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では、なぜそうなったのか? 進次郎はなぜ、選挙戦のさなかに党員票が激減したのか?
それは、言うまでもなく明らかだろう。「雇用規制の緩和」を主張したせいである。彼の方針は「解雇しやすくすること」による、「労働者虐待・会社優遇」だと受け止められた。彼の意図は、そうではなく、「どうせ事業停止をして解雇するのなら、解雇される労働者の権利を守りたい」ということなのだろうが、国民はそうは受け取らなかった。「労働者の権利を無視して、会社の都合ばかりを考える、会社の犬」というふうに受け止めた。

実を言うと、進次郎の政策は、正解とは言えないまでも、「小さな失敗」の一つであるにすぎない。どうせ失敗なら、石破や高市だって、やはり失敗をしている。
・ 石破 …… アジア版 NATO というトンデモ政策を主張する。
・ 高市 …… 安倍派の犬となって、統一教会や裏金を隠蔽。
どちらも、最悪レベルのひどさだ。大失敗と言えるぐらいだ。しかるに、それらの大失敗は、国民から看過された。かわりに、進次郎の「解雇規制の緩和」ばかりが注目された。あまりにも注目されたので、Open ブログで関連するシリーズが14回も続くありさまだ。注目のされすぎ。……で、そのせいで、進次郎はことさら失敗への脚光を浴びて、一挙に不人気になってしまったのだ。ドジを踏んで、負け犬になったわけだ。

進次郎の敗因は、苦手な経済政策について、親父の方針(自由主義による経済改革)を踏襲したことだ。その方針は、実質的には失敗したのだが、親父を崇拝するあまり、親父の方針を踏襲しようとした。そのせいで、失敗した親父の轍を踏むことになった。
親父の方針は、当時は大人気を得たが、その後は失敗の烙印を押されている。そのことに気づかず、親父を崇拝しすぎて、親父の失敗を理解できなかったことが、進次郎の真の敗因と言える。
偉大な父親をもつと、その失敗も引き継ぐことになる。負の遺産を相続した、という形か。あの親父さえいなければ、進次郎は今ごろ首相になっていたかもしれない。だが、そもそも、彼が政治家になったのが、親父の七光りのおかげなのだから、仕方あるまい。
息子が首相になれるかどうかは、親父の威光を脱せるか否かにかかるだろう。
七光り八転び、なんちゃって。
【 追記 】
以下はおまけの話。細かな論評。
石破は、(防災庁どころか)防災省の設置を提唱している。これについては全面的に支持したい。私の年来の主張(防災庁の設置)と合致するからだ。
※ ただし、いきなり省にするのは、どうかと思うけどね。ちなみに、新規設置したデジタル庁は、いまだに機能不全状態である。(河野デジタル相も迷走するばかりで、評価を大いに落とした。)
石破は、防衛政策についてはタカ派なので、これについては心配だ。アジア版 NATO は、論外すぎて、実現の見込みが皆無だから、まだいい。だが、防衛費倍増という岸田の公約を踏襲しそうなのが、心配だ。この点では、高市も同様だが、進次郎なら変えてくれそうに期待したのだが。
石破は、他の点では、信頼できそうだ。少なくとも、高市と進次郎よりは、頭の出来で、判断を間違えないと思える。
高市は、本人の出来は関係なくて、支持者は「安倍の後継者」として見ているだけだ。一種の傀儡(操り人形)みたいなものである。誰も本人のことなど見ていない。本人すら、安倍への思慕があるだけで、国民のことなど考えていない。ひたすら「安倍様、安倍様」と思慕するだけだ。
こんなのが首相になったら最悪だったが、それゆえ、選挙では敗北して、自民党が政権を失っただろう。それが叶うなら、それが最善のコースだったのだが、そうならなかったのは残念だ。
首相として最悪の人選こそ、国民にとっては最善の結果(自民党の下野)になるはずだったのだが。(皮肉)
さて。進次郎は、すっかり人気が落ちた。だが、気質としては最もリベラルなので、最も害が少ない。彼の主導で、選択的別姓制度が実現すれば、どれほど多くの国民が救われたことか。そうならなかったのは、残念だ。
※ 石破政権で、これがどうなるかは、不明。彼は選択的別姓に、消極的支持らしいが、はっきりしない。
政党政治の良いところはどこかの国のように大統領と議会が対立するようなことがないことです。この点を生かして、目先の経済対策だけではなく100年先の日本をどのように設計するかという観点が欲しいです。それを誰も言いませんでした。100年先は人口が8000万人以下になるのは確実なので、それに合わせた災害に強い社会インフラ、長寿命住宅、英才教育を始めるべき時なのです。今のままでは日本は最貧国になりかねません。
進次郎よりもよほどマシなので、孝太郎が代議士になって首相になる方が、日本のためだろう。嘘つきの石破より、ずっとマシだ。