2024年09月27日

◆ 解雇規制緩和の議論 .13

 ( 前項 の続き )
 ついでに、ギグワーカーの話。

 ──

 ギグワーカー


 非正規雇用のついでに、ギグワーカーについても言及しよう。おまけふうに。
 ギグワーカーは、個人事業主という形で働く人のことで、実質的には非正規雇用の労働者だが、形式的には労働者ではないので、労働者としての保護の枠外に出る。
 ギグワーカーの問題については、前出項目で説明した。
  → Amazon 配送とギグワーカー: Open ブログ
  → 偽装フリーランスの問題: Open ブログ
  → Amazon の雇用の詐欺: Open ブログ
 その対策。
  → ギグワーカーと非正規雇用: Open ブログ

 要するに、ギグワーカーという制度は詐欺同然である。なるべく廃止するべきだし、さもなくば、課税する形で、冷遇するべきだ。
 ところが現実には、政府は非正規雇用の優遇の一環で、ギグワーカーも優遇している。そこに問題がある。

 特に、社会保障制度が問題だ。ギグワーカーは、労働者としての保護の枠外に出るので、まともに社会保障制度を受けることができない。特に問題なのが、厚生年金の対象とならないことだ。そのせいで、高齢者になってから、まともな年金をもらえない。大損だ。

 では、どうすればいいか? 個人事業主なら、個人が事業主となるが、個人から保険料を徴収すればいいか?
 まさしく、その通り。年金料は、現状では国民年金で定額となるが、厚生年金へ移行することで、高額を納付すればいい。具体的に言うと、現行では(2024年度には)、国民年金で月額 1万6,980円。これを厚生年金にこうすると、18.3% 。年収 480万円の月額 40万円に対して、月額 73,200円。
 年金の早見表によると、神奈川県だと、月収 40万円では月額 75030円。
  → 令和6年度 国民健康保険料・厚生年金保険料 (神奈川県)
 この額は、現行の 4.3〜4.4倍だ。納付額がそれだけ増えることで、それだけ手取りが減る。「そんなに手取りが減るのはイヤだ」と思う人が多いので、その分、ギグワーカーが減る。ウーバーイーツや、Amazon の宅配の個人事業者が減る。
 だが、それでいい。「社会保障制度の対象外になる」という人が減ることで、状況が健全化することになる。これらの人々は、当面は手取りが減るが、将来的には大幅に多くの年金収入を得られるようになるので、状況は改善することになる。

 なお、この問題は、特に年収 106万円以下の個人事業主で、大きく影響する。そこでは、Amazon などで「年金料や健康保険料の事業主負担がないので、実質的な所得は少ない」という事実が判明するので、ギグワーカーはだまされにくくなる。ギグワーカーの人々は、
 「社会保険料を徴収されて、実質増税だ!」
 と怒り狂うかもしれないが、実は、実質増税になるのは、事業主である会社側なのだ。これまでその金を盗んでボロ儲けしていたのは、会社側なのだ。労働者の側は、単にその分の賃上げをしてもらえばいいだけのことだ。そうすれば問題はないのである。(その分の賃上げをしてもらえないのであれば、金を盗まれていたという詐欺が判明するので、さっさとギグワーカーの仕事を辞めてればいい。まともな会社の正社員になればいい。Amazon でも佐川でも、正社員の募集をしている。ただし、あくまで短時間労働にこだわるなら、ギグワーカーとして食い物にされるのも覚悟するといい。)

 ※ ついでだが、ギグワーカーの社会保険料については、源泉徴収をすることも考慮するといいだろう。そのことで手取額が少なくなることを、はっきりと教える。そうすれば、「ギグワーカーは詐欺的だ」という事実が判明しやすくなるので、だまされてギグワーカーになりたがる人々が減る。そういう効果がある。
(たとえば、前年の年収が 1000万円以下の人は源泉徴収とする。あるいは、本年の毎月の支給額が 100万円の人には源泉徴収とする。)

posted by 管理人 at 23:58 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ