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概要
大阪駅前(北西)に、細長い空地がある。元は JR貨物線駅だったが、廃止されて、空地になった。そこが再開発されている。
中央に広大な緑地があり、両端にビルが建つ。全体として再開発の計画にしたがって、着々と建設されてきたのが、ようやく完成に至ったらしい。
→ JR大阪駅北「グラングリーン大阪」ついに開業へ。“関西最後の一等地”に緑の都市公園つくる大規模再開発
→ 大阪に「ほんまもんの緑」を...なぜ”関西最後の一等地”が芝生の公園に?専門家は管理コストの課題を指摘
広大な緑地
駅前としては珍しく広大な緑地があるということで、朝日新聞が記事を書いている。女性担当者が特別な熱意で、緑地にするために貢献したそうだ。
→ JR大阪駅そばに新たな「まち」 駅直結の公園は「世界最大規模」:朝日新聞
この女性の貢献は、それ自体は立派だと言える。だが、その方針に従って、緑地を提供した企業は、立派なのか? 企業は女性の熱意に従って、自らの土地利用の権利を放棄して、土地を公的用途のために提供したのか? もしそうなら、数百億円もの私財を提供したことになるが、そんなことがあるのだろうか? とても信じがたい。
そこで私が疑ったのが、「容積率との交換では?」ということだった。
「公園用に緑地を提供すると、その提供した土地の分の容積率を、隣の土地に移転することができる。さらに、公共への貢献度を認めて、オマケの容積率を追加で上乗せする」
という制度があるのだ。
たとえば、容積率 300%の土地を1ヘクタール、公園として提供すると、その隣の土地の1ヘクタールで、容積率を 300% から 600% に増やしてもらえる。(もともとの制限の2倍の量の容積率を得られるわけだ。)
左手では 300 を失うが、右手では 300を得るから、建てることのできるビルの総面積は、何も変わらない。公園のために土地を提供しても、ちっとも損しないわけだ。
それどころか、「公共への貢献」を名分に、オマケの容積率をプレゼントしてもらえる。本来ならば、300を失って 300を得るはずだったが、オマケで 50 か 100 を追加でもらえるので、かえって儲けてしまう。
こういうふうになるから、公園用地を提供した企業は、決して損しないのだ。それどころか、かえって得をするのだ。
こうことが、通常の都市再開発では、基本原則である。別に、良いとか悪いとかではなくて、それが標準なのだ。
ところが、である。
今回の再開発では、容積率のアップという方針は確認できたが、具体的な詳細はデータが見つからなかった。
現地の地図を見ると、公園の面積がやたらと広くて、その割には、ビルの面積が少ない。とすれば、もらったはずの容積率が余ってしまう。
とすれば、その容積率の分を、どこかで埋め合わせるはずだ。
私の推定では、こうだ。
「 JR の大阪駅は、広大な面積をもつ。この大阪駅を再開発して、巨大な駅ビルを作る。そのために、今回の公園の分の、多大な容積率を使う」
つまり、「巨大な駅ビル」というのが、将来的に想定されるわけだ。それが一番儲かるからだ。
具体的な例としては、東横線の新綱島駅がある。この新駅では、地下駅の隣接地に、超高層マンション(タワマン)を建設した。
とすれば、今回の大阪駅でも同様だろう……と思って調べたら、やはり、そうだった。
今回の緑地の場所と、大阪の駅の間に、中間的な土地がある。そこに超高層ビルが建設されたのだ。駅に隣接する形で。(新綱島のタワマンと同様だ。)
→ JR大阪駅直結の超高層ビル「イノゲート大阪」、うめきたと共に駅西側を盛り上げる
→ KITTE大阪とイノゲート大阪が開業、買い物客でにぎわう: 読売新聞
公園用地よりももっと駅に近い場所(ほとんど駅ビルと言える場所・隣接地)に、超高層ビルを建設する。そのための容積率を得るために、公園用地を提供したわけだ。
・ 駅から 10分の場所で土地を提供
・ 駅から 1分の場所で容積率をもらう
こういうふうに、「銀を金に変える」ということをして、一種の錬金術を駆使するわけだ。
こうやって金儲けをしているのだが、そのからくりは、明かす人がいないようだ。(私しかいない。)
そして、かわりに朝日新聞みたいな間抜けは、「公共用地を提供した善意の会社」というような調子の記事を書いて、提灯持ちをするわけだ。
そして、それを信じた人々が、「嬉しい、嬉しい」と馬鹿騒ぎをするわけだ。
東京ミッドタウン再開発
東京でも、赤坂・六本木の地区で、東京ミッドタウンという再開発がなされた。
ここでも、駅からやや離れた場所を公園用地として提供することで、駅の近くに超高層ビルを建設することができた。
こうしてボロ儲けしたわけだ。
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なお、私はこの公園(檜町公園)を訪れたことがあるが、ちょっと低くて凹んで使いにくい地形なので、公園にしたのは賢明かもしれないね。
公園のデザインは、なかなか優秀だと思う。東屋(あずまや)があって、しゃれている。
→ https://x.gd/q8mdt
ちなみに、大阪駅前の うめきた公園は、芝生だらけで、樹木がなくて、木陰がないので、猛暑のときには困る、と評判が悪い。
芝生だらけで木立がないというのは、いかにも西洋風の公園デザインだが、設計したのは米国の事務所であるそうだ。
→ 大阪と新しい街をつなぐ。GGNが創るうめきた2期のランドスケープとは | Persons | うめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」 - 公式サイト
米国の事務所なんかに任せるから、日本の気候を無視した、木陰のない公園なんかを作るのだろう。馬鹿丸出しというべきか。
番町の再開発
東京では、皇居の西側に「番町」と言われる地域がある。ここの再開発について、前に話題にしたことがある。
→ 千代田区の再開発への賛否: Open ブログ
→ 都心の越境入学: Open ブログ
この件では、私は「中低層ビルの密集をやめて、超高層ビルを建設するように、土地を再開発するべきだ」と提唱した。
そのときには特に言及しなかったが、「超高層ビルを建設するように、土地を再開発するべきだ」というのは、「超高層ビルと公園との併設にするように再開発するべきだ」という趣旨である。その意味では、他の場所の再開発と同様だ。
ただし、上記項目を読んで、「超高層ビルを隙間なく林立させよ」ということか、と解釈して、文句を付けた人もいる。
いやいや。それは誤読というものだ。そんなはず、あるわけがないでしょう。勝手に悪く曲解しないでほしいものだ。(非常識なことなど、成立するはずがないのだが。)
神宮外苑の再開発
東京都では、神宮外苑の再開発というものもある。この件については、前に論じた。
→ 明治神宮外苑の再開発 .2: Open ブログ
蓮舫が都知事選で「明治神宮の再開発にストップ」と唱えたが、「せっかくメリットがあるのに止めるのはナンセンス」と批判する人が続出した。
まあ、全体としてみれば、デメリットよりはメリットの方が多いので、「再開発を推進するべきだ」という人が多いのも、当然かもしれない。
しかし、これは最善ではない。最善は、こうだ。
「再開発をしてテニスコートをたくさん作るよりは、そこを東京都が買収して緑地公園にする方がいい」
つまり、ここでは「緑地公園を増やす」という方針が示されている。大阪では「緑地公園を増やす」という方針が取られたのだから、東京でもそうすれば良かったのだが、そういうふうに唱えたのは、私だけだ。
大阪人は、緑地を増やす知恵があったが、東京人は(私以外は)、緑地を増やす知恵がなかった。だから、大阪人は緑地を増やしたが、東京人はかわりにテニスコートを増やしただけだった。
それだけではない。大阪の事業者は、多大な容積率を獲得した見返りとして、公園用地を提供した。一方、東京の事業者は、多大な容積率を獲得したが、見返りとしての公園用地を提供しないで、単にロハで、容積率を頂戴した。(その容積率を客に販売して、濡れ手で粟で、数百億円を獲得した。)
何のために? 神宮球場の改築のためだ。本来、改築の費用は、改築後の賃貸料で回収できる。なのに、「手持ちの金がないので、神宮球場を改築できません。だから、容積率をください」とおねだりして、容積率を無償でもらった。(公園用地を提供することもなしに。)
これはまあ、公的財産である容積率を、堂々と盗むのも同様だ。公共財泥棒と同様だ。
容積率を与えるかわりに、代償として公園用地をもらったのが、大阪人だ。
容積率を与えるだけで、単に公共財(容積率)を無償で盗まれたのが、東京人だ。
「東京人は、アホやねん」
と言われても、当然だろう。アホ丸出しというところだ。
なのに、それに気づかないで、明治神宮に盗まれ放題なのが、東京人だ。そして、それを止めようとする蓮舫を、馬鹿扱いして、自分の大損を止めようとしない。
ほとんど自殺志願者のように、(あるいは痴呆老人のように)、自分の財産をどんどん捨てていく痴呆人の集団が、東京都民なのである。
※ 詳しくは上記項目を参照。
《 加筆 》
東京人は大阪人に比べて、馬鹿丸出しに見えるが、一つだけ、立派なところがある。それは、自分の愚行のすべてを、(隠すことなく)公的に明示していることだ。
すでに述べたように、
「数百億円分の公共財(容積率)を、神宮外苑に無償で贈与する」
というのは、換言すれば、
「数百億円分の公共財(容積率)を無償で贈与する代償としての、公園用地をもらい損ねた」
ということだから、馬鹿丸出しというしかない。……ただし、その馬鹿げた愚行のすべてを、公的に明示している。なぜなら、その愚行を「素晴らしく立派な事業である」と吹聴して、その間抜けな御託を、都民は「はいそうです」と信じて称賛しているからだ。
これは「裸の王様」と同様である。東京都が大嘘をつくと、都民はみんなその大嘘を信じる。かくて都民は、「莫大な公共財を盗まれた」という現状を見て、「得した、得した」と大喜びしている。狂気の沙汰だ。神宮はたしかに得したが、神宮が得した分、都民は盗まれているのである。なのに、「神宮が得した」と大喜び。泥棒に自分の財産を盗まれたとき、「泥棒が得した」と喜ぶ阿呆。
これはひどい馬鹿騒ぎだ。ただ、そのすべては、公正明大に記録されている。明治神宮がどれほどの容積率を贈与されたかも、ちゃんと記録されている。
一方、大阪は違う。うめきた公園の建設では、公園を作った。では、その見返りとして、公園の分の容積率は誰が受け取ったか。……その詳細は、明かされていない。私が「ここだ」と推定するだけだ。明瞭な公的記録は何も公開されていない。すべては秘密裏に策定されて実行されるだけだ。
なるほど、「うめきた2期」という計画名の再開発計画はある。だだが、その実態としての容積率の情報は、秘密裏に隠蔽されているのである。実際、ググっても、何も出てこない。
→ https://x.gd/Zu6Ks
わずかに、次の6字だけの情報が出る。
大阪市都市計画審議会は25日、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」について、容積率の緩和などの計画案を了承した。
( → うめきた2期 4月に都市計画決定へ - 日本経済新聞 )
「容積率の緩和」という6字だけの情報が出る。それが具体的に、どこでどれだけであるかは、公開されない。うめきた公園がどういう経緯でできたのかも、詳細は不明だ。
大阪人は、東京人に比べ、はるかに賢明ではあるのだが、しかし、その賢明さによる算段は、すべて秘密裏に隠されているのである。大阪駅前の闇。
※ カジノと関空では、オリックスが巨利をかすめとった。うめきた再開発でも、同様のことが想定できそうだ。
※ 「もうかりまっか?」 「もうかりまっせ」 「なんぼ?」 「あかん」 「あかんって、何があかんの?」 「あかせんのや」 「あかせんのかい」 「そらそうよ」 「おまえ、何言うとるねん」 「ぼちぼちでんな」 「ボケがずれとるねん」
ネットニュースには、人を吊るし上げる醜いマスコミの容赦無い陰湿な記事が溢れる中でオアシスに辿り着いたように爽やかな気持ちになれました!!
東京に来て思ったのが、緑の多さ、公園の多さや街並みが大阪に比べてスッキリしてるところです。
今、どのSNSを見ても東京叩きが多くて辟易してます。
叩いてるのは衰退してる地方の人や、高齢者と思しき関西人(未だに東京に対して妙な対抗意識を持ってる)
人口動態調査を見ると、東京へ移住してくる若者人口日本一は大阪人ですね。
若い子は大阪を捨て、どんどん東京へ来てます。
正味な話、大阪はガチで住みにくいです。
明治神宮外苑再開発に私が”賛成”する理由
https://note.com/keizokuramoto/n/n4e173264d7be