2024年09月06日

◆ 裏金調査の困難(反デジタル)

 政界の裏金を調査するのには困難がある。政府の方針で、データのデジタル化を拒否するからだ。時代錯誤。

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 岸田首相が辞任したのは、自民党の裏金問題で支持率が低下したのが理由だった。
 自民党の裏金については、最初にスクープしたのは、共産党の赤旗だった。
  → 日本を震撼させた「自民党裏金」スクープ…「食べ物の出ないパーティー」が糸口に : ハンギョレ新聞

 これへの告発を受けて、東京地検特捜部が介入したが、その情報を得た朝日新聞が独自に調査報道を始めた。(赤旗から1年あまりを経てからだが。)……その調査報道が立派だったということで、このたび、朝日新聞社が新聞協会賞を受賞した。

 口火を切った赤旗は「おれたちが最初にやったのに、何で朝日が手柄を横取りするんだよ」と文句を言っている。
  → Xユーザーの三浦誠・赤旗社会部長、編集センターさん

 まあ、それはそうなんだが、文句を言うべき相手は、朝日じゃなくて、新聞協会の方だ。
 また、赤旗は、口火を切ったものの、その続報が不足していたので、結局は火力不足で、敵を撃沈できなかった。小破である。
 一方、朝日は火力が十分で、自民党を大破にして、首相を引きずり落とした。こうなると、朝日が受賞するのも、当然かも。
 日本新聞協会は4日、優れた報道に贈られる2024年度の新聞協会賞を発表し、朝日新聞社の「自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道」(自民党派閥裏金問題取材班)が選ばれた。
 朝日新聞は23年12月1日付朝刊1面トップで「安倍派 裏金1億円超か パー券不記載 立件視野 ノルマ超分 議員に還流 東京地検特捜部」と特報。自民最大派閥の安倍派が政治資金パーティー収入を裏金化して所属議員に還流し続けていた疑いを明らかにした。松野博一官房長官(当時)ら同派幹部が裏金を受け取っていたことなども独自に報じ、還流システムができた経緯や政治資金規正法の構造的欠陥なども指摘した。
 新聞協会の授賞理由は「政治とカネを巡る構造を多角的に掘り下げ、裏金問題の解明を終始リードし社会に強いインパクトを与えた」。そのうえで「自民党の派閥解体や政治資金規正法の改正などの流れに大きな影響を及ぼし、権力監視の役割を果たした」と評した。
( → 朝日新聞社に新聞協会賞 自民党派閥の裏金問題、報道 技術賞も:朝日新聞

 まあ、これはこれで立派ですね。朝日新聞を購読して、朝日に金を払っている読者は、胸を張っていいだろう。将来、新聞が存続不能になって、朝日新聞がなくなったら、自民党の裏金や諸悪を監視する報道機関がなくなってしまう。そうなったら、日本は民主主義の暗黒国家となってしまう。(日本の中国化だ。)

 ──

 朝日新聞は、この調査報道の苦労についても、シリーズで詳細に説明している。特に苦労したのは、データが文字データでなく、画像データになってしまったことだ。政府がデータを PDF画像に変換してしまう。
  数値データ → 紙に印刷 → PDF画像

 というふうにして、元々の数値データを、PDF画像に変えてしまう。政治団体がデジタル化された数値データを提供しようとても、政府が勝手に PDF画像に変換して(させて)しまう。そういう形でしか、公開しないのだ。
 結果的に、調査者(新聞社など)は、PDF 画像をいちいち OCR 処理して、数値に戻すしかない。それをいちいち手作業でやるのだから、大変な手間だ。まったく困ったことだ。だが、実は、そういうふうに困らせることが、政府の狙いだ。
 「これだけ面倒な手間がかかるようにすれば、誰も数値チェックをしなくなるだろう。そうすればデータを隠蔽できる」
 というわけだ。
 「形だけは公開するが、実質的には隠蔽する」
 というわけだ。そのために、政府はわざわざ、大量の手間暇をかけて、数値データを紙に印刷してから、それを PDF画像に取り込んでいるのだ。(無駄の極みですね。)

 その詳細は、下記にある。
  → (現場へ!)見えないカネ:1 政治資金、時代遅れの公開:朝日新聞
  → (現場へ!)見えないカネ:2 不正チェック、「3年」の壁:朝日新聞
  → (現場へ!)見えないカネ:3 「紙」での閲覧、検索できず:朝日新聞
  → (現場へ!)見えないカネ:4 データ蓄積、民間では限界:朝日新聞
  → 政治資金、時代遅れの情報公開 一つずつPDF洗い出した不記載:朝日新聞
  → 報告書公開「3年」の壁 正月返上で各派閥を告発、裏金の可能性指摘:朝日新聞
  → ウェブ提出も「紙」で閲覧、検索できず 「不断の監視」遠ざける国:朝日新聞

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 さて。これに関する話は、本サイトとも関係する。
 前々項では、知床の携帯基地局の建設について、真相を明かした。「長谷川岳という参議院議員(自民党)が、総務省に圧力をかけたからだ」と。
 また、次の推測もした。
 「現地の建設会社の事業受注が目的かもしれない。受注予定企業を調べると良さそうだ。たぶん、出来レースで、受注企業は決定済みのはずだ。」
 前項のオリックスの例からすると、次のようになっていると見込まれる。
  ・ 受注する企業は決定済み。(議員の癒着企業)
  ・ 該当企業だけが応札するように、特殊な応札条件を指定。
  ・ 結果的に、応札する企業は1社だけ。

 このような経緯が判明するだろう。たぶん。

 ただし、それを調べようとしても、現実には調べることができない。なぜなら、ネット上では情報が公開されていないからだ。いちいち当局に出向いて、閲覧コピーをもらう、というような手間をかけないと、データを入手できない。
 政府は公的業務のデータを隠蔽する。だから国会議員は癒着企業のために働く。かくて、知床では癒着企業が9億円の事業を受注するわけだ。そして、その真相は、国民の目には触れないのだ。

 その真相を暴露するのが、本サイトだ。……ただし、その真相は、決定的な物証によって与えられるのではなく、推理によって与えられるだけだ。


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     ※ 「朝日新聞は頑張ってくれ。もっと調査してくれ」と言いたいところだが、現実には多くの国民は「新聞なんかいらないよ.購読しないよ。金を払わないよ」と言うだけだ。それを知った自民党は、ほっとして、胸を撫で下ろす。「国民が新聞離れをしたおかげで、助かるな。うまく悪を隠蔽できるぜ」と。「ケチな国民ほど、ありがたいものはない。権力の横暴を隠すのに役立つのは、ケチな国民だ」 

posted by 管理人 at 23:08 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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