2024年09月05日

◆ 関空開港 30周年の闇

 関西空港が開港 30周年を迎えたが、そこには闇がある。

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 関西空港が開港 30周年を迎えた。朝日新聞が解説記事を書いている。
  → 出発便に横断幕で「おおきに」 関西空港開港から30年 [大阪府]:朝日新聞
  → (けいざい+)関空の苦節30年:上 訪日客の行列、かなえた夢:朝日新聞

 ひところは、とんでもない赤字事業と見なされてきたが、その後はそうでもなくなったようだ。
 そこで、状況はどうなのかと思って、改めて調べてみた。
 すると、次のことが判明した。

  ・ 毎年 100億円規模の補助金をもらう赤字事業だった。
  ・ そこで民営化することにして、事業を売却した。
  ・ 所有は国と府だが、運営権だけを売却する。
  ・ オリックスと外国会社が共同で 2.2兆円で購入。
  ・ それまでの赤字が 1.2兆円なので、赤字は解消。

 こういうふうに説明されている。これだと、過去の累積赤字を一掃して、さらに差額の1兆円の黒字が出たことになる。「めでたし、めでたし」と言えそうだ。
 ネット上の説明を見る限り、そう言える。

 だが、そこには闇がある。

 ──

 国や府が「うまく行きました」と宣伝すれば、たいていの国民は素直に信じるだろう。だが、あいにく、私は素直じゃない。政府の言うことを「はいそうですか」と信じるほど、純朴じゃない。私は腹黒いので、政府も腹黒いだろうと推測する。私には政府の悪賢さが透けて見えるのだ。蛇の道は蛇。

 どういうことか? こうだ。
 「 2.2兆円で売却するという方針が決まったが、その 2.2兆円は実際に支払われたのか? 口約束で取り決めただけであって、実際にはその金は支払われていないのでは?」
 
 「そんな馬鹿な!」と思う人が多いだろうが、何しろ相手はオリックスである。すでにそれをやったという悪の実績がある。それは、かんぽの民営化だ。数兆円もの価値がある かんぽ を、破格の安値で手に入れた。資産を分割売却すれば、多数の買い手が現れただろうに、資産を一括売却することにしたので、超巨額の資金を用意できる会社がなくなり、事実上、オリックスしか応募できなくなった。かくて、莫大な資産を破格の安値で手に入れた。国(郵貯)の資産を盗んだも同然だ。
  → かんぽの宿の真相: Open ブログ

 これと同様の不正があるはずだ、と前に指摘したことがある。
  → 関空民営化の隠された闇: Open ブログ

 そして、このたび、その疑惑がはっきりと浮かんだ。「 2.2兆円を払うと言っているが、実際には払っていないのでは?」という疑いだ。

 もっと正確に言えば、こうだ。
 「 2.2兆円を払うというが、それは全期間に当たる 44年間の分割払いの総額では? つまり、毎年 0.05兆円ずつ、 44年間の分割払いにする。これで支払いの総額が 2.2兆円になる」

 この推定の根拠はある。
 「44年間という中途半端な期間と、2.2兆円という中途半端な金額は、毎年 0.05兆円ずつということで、つじつまが合う」
 二つの数字がどちらも中途半端なのに、共通性がある。としたら、そこにはつながりがありそうだ。

 さて。そういうことだとしたら、どうなるか? こうだ。
 「 毎年 0.05兆円ずつ、 44年間の分割払いだとすれば、総額は 2.2兆円でも、それは利子込みの金額だ。利子の分を修正して、一括払いに換算すれば、2.2兆円ではなく、大幅に低い金額になるはずだ」

 つまり、政府は「 2.2兆円で売れた。これで過去の赤字の 1.2兆円を一掃できる」と喜んでいても、実際には、44年間の利子の分を差し引くことで、はるかに少ない額で売ったことになるわけだ。
 この 44年間の分の利子は、どれだけか? ゼロ金利下で計算すると、かなり低い額になりそうだが、住宅ローンの低い利息だと、元金の 25% という利子総額で済むようだ。( 4000万円を借りて、元利合計の支払いが 44年間で 5000万円。)
 一方、最近のように高めの金利と物価上昇のある状況では、実際の金利はかなり高めになる。「 44年間の総額で 2.2兆円の支払い」というのは、「一括払いでは 1.1兆円ぐらいに相当する」というふうになりそうだ。(これだと、最初の、1.2兆円を下回るので、赤字になるが。)

 ──

 以上は、推定だ。「すでに 2.2兆円の全額を支払われたのではなく、毎年 0.05兆円ずつで、 44年間の分割払いだろう」という推定。

 では、現実にはどうなのか? それは、政府や府の示した事業報告を見れば、簡単にわかるはずだ。
 ところが、その事業報告は、提出されていないらしい。これほどの巨額事業なのに、収支は一切が隠蔽されて、公開されていないらしい。AIに質問したら、そういう回答が得られたのだ。

 Perplexity の回答1。
 売却金額の支払いについては、具体的な情報が提供されていませんが、通常このような大規模な取引では、契約締結時に全額が一括で支払われるか、あるいは分割払いの形で支払われることが一般的です。
 民営化の目的が関空の債務返済であったことを考えると、売却金額の大部分はすでに支払われ、債務返済に充てられた可能性が高いと推測されます。ただし、この推測を確実に裏付ける情報は提供されていないため、断定はできません。


 Perplexity の回答2。
 運営権対価については、以下の情報が得られます:
  1. 最低提案価格が設定されており、これに加えて収益連動負担金が毎年度支払われる仕組みになっています
  2. 運営権対価の支払いは事業年度ごとに行われるようですが、具体的な支払い時期については明確な記述がありません
 以上の情報から、関空の民営化に伴う売却金(運営権対価)は、一括ではなく年度ごとに支払われる仕組みになっていると推測されます。ただし、具体的な支払い状況や金額については、提供された情報からは確認できません。

 以上の回答からすると、私の推定はおおむね妥当だと言えるだろう。
  ・ 2.2兆円で売却した、という公式情報は嘘である。
  ・ 本当は元利込で総額 2.2兆円の分割払いである。
  ・ これは一括払いに換算すると、かなり低い額になる。
  ・ 元の負債の 1.2兆円をまかなえるかどうか、心許ない。
  ・ 実際にはどうであるかは、情報開示されていない。
  ・ 真相を隠して、状況は闇のままとなっている。
  ・ 政府は、「2.2兆円で売ったので大成功」と虚偽宣伝。


 呆れた話だ。嘘と虚構で、国民をだましている。世間はそれにすっかりだまされている。その嘘を指摘するのが、本項だ。
 迷ったときの名探偵。


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 [ 付記 ]
 関空の最近の収益は、こうだ。
 営業収益は 1,868 億円、営業利益は 340 億円、経常利益は 232 億円。

 ここでは、毎年払う 0.05兆円(500億円)は、経費として差し引かれている。国と府には、毎年 500億円の利用料を払うだけで、営業利益は 340 億円になる。ボロ儲けと言える。営業努力の分はあるにしても、それにしても巨利をむさぼっている。

 
  ※ 事業の規模と期間をひとまとめにして、超巨額の規模にしたことで、オリックス以外の事業者は応募できなくなった。かんぽの宿 と同じで、他の事業者を排除する入札条件を設定した。こうしてオリックスはまたしてもボロ儲けに成功した。
  ※ 同様のことは、大阪のカジノにも成立する。ここでも、オリックス以外の事業者は排除されるように、入札条件を設定したようだ。だから1社しか応募しなかった。毎度毎度。
 
posted by 管理人 at 23:57 | Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なかなかすごい話です。
与党は追及しないだろうから野党が追求すべきだと思うけれど、どこもやらないのでしょうか。
Posted by SM at 2024年09月07日 20:21
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