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米不足でも政府は備蓄米を販売したがらない……という話は、前に記した。
大阪府知事が「備蓄米を放出してくれ」と頼んでも、農水省は断固として、「備蓄米を放出しない」と決め込む。
( → 米不足で農水省の問題点: Open ブログ )
その後、政府の頑なな方針について、続報が出た。備蓄米を放出しない理由を探っている。
坂本哲志農林水産大臣は放出に慎重な姿勢を見せています。
米は民間流通が基本で、政府が備蓄米をどっと出してしまうと、需要供給や価格に大きな影響が出ることが懸念されていて、今は一時的に米の値段が急激に上がってますが、備蓄米を放出してしまうと価格が急激に下がる可能性があり、米農家が大ダメージを受けるという側面もあるということです。そのため、簡単に備蓄米は出せないという政府側の主張があります。
農業経済学者の小川真如氏は「生産が減っておらず自然災害もない中で備蓄米を出すとなると、食糧法の解釈が変わってくる」と指摘。食糧法第2条で『政府は米穀の供給が不足する事態に備えた備蓄の機動的な運営を図るものとする』とする一方、食糧法第3条では『「米穀の備蓄」とは米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え…』となっています。法のポイントは「供給が不足」や「生産量の減少」で、今回は生産量が不足していないため“当てはまらない”状況です。( → ”米が買えない”で注目される国の『備蓄米』って何?常に100万トン備えるも政府が放出に慎重なのには理由が【令和の米騒動】 | 特集 | MBSニュース )
話の後段については、次の説明がある。
今年、家庭用米は昨年産米が猛暑などによって、精米したときの歩留まりが悪かった。さらに、南海トラフ地震の臨時情報を受けた買いだめも加わって需給バランスが崩壊。想定以上の需要を補うことができず、小売店から米が消える事態となった。
( → 備蓄米はあるけれど 91万トン眠るけれど、放出しない国「凶作ではない」:朝日新聞 )
ここでは二点が指摘されている。
・ 精米の歩留まりの悪化による、供給不足
・ 地震情報を受けた買いだめで、需要増加
この記事ではさらに、次の指摘もある。
坂本哲志農水相は備蓄米の放出について同30日の会見で、「米の需給や価格に影響を与える恐れがあるために、慎重に考えるべきだ」との姿勢は崩さなかった。
東日本大震災や熊本地震で、備蓄米が供給されたことがあるが、昨年産の作況指数は「101」で平年並み。凶作でなく、備蓄米を放出するには至らない、というのが国の判断だ。
( → 備蓄米はあるけれど 91万トン眠るけれど、放出しない国「凶作ではない」:朝日新聞 )
ここでは「凶作ではないから」という政府の弁明が記されている。だが、生産高は同じでも、歩留まりが低ければ、供給不足になるのは仕方ない。
とにかく、凶作であろうがなかろうが、国民生活の現場において、米不足が発生しているのだ。統計数字がどうかという話ではなくて、現実にどうなっているかという話なのだ。
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この問題の本質は何か? それは「裸の王様」である。
王様は現実には裸である。服を着ていない。しかしお国が「王様は裸ではない。服を着ている」とお触れを出したので、人々はそのお触れを信じている。かくて、自分の目で見ている現実を認識できない。唯々諾々として、お国に従う。
日本も同様である。
米売場の棚は現実には空っぽである。米袋は置いていない。しかし政府が「お米は不足していない。米は足りている」とお触れを出したので、人々はそのお触れを信じている。かくて、自分の目で見ている現実を認識できない。唯々諾々として、政府に従う。
まったく、国民であれ、マスコミであれ、情けないものだ。どうして「王様は裸だ」と叫べないのか? どうして「米を寄越せ」と暴動を起こさないのか?
イスラエルの労組は「人質の命を救うためにゼネストをする」と決めた。なのに日本の連合は、米不足になっても、ゼネストもやらないし、暴動どころかストもデモも起こさない。牙を抜かれた虎のようだ。情けないこと、このうえない。
( ※ 連合は、もともと虎ではなくて、自民党の飼い犬だからだ、というのは、内緒だよ。)
[ 付記 ]
政府は米不足の状況で、無為無策だ。では、このままだと、どうなるか?
制度上、備蓄米は 5年保存して、その後に家畜飼料として安価に払い下げすることになっている。
備蓄米は主に政府が凶作時の供給不足に対応するため、一定量(10年に1度の不作にも耐えられるよう100万t程度が目安にされている)を保管している米のことです。
政府は毎年約20万tの米を買い入れ、保管期間(約5年)を過ぎた米は飼料用米などとして売却しています。
( → 備蓄米制度について | JA佐賀中央会 )
つまり、古くなった米は、販売されることなく、飼料用米として払い下げられる。豚の餌になるわけだ。
逆に言えば、今のところ倉庫にある備蓄米は、将来的に豚の餌にしたい。そのことが優先となる。だから、そのために、今現在の人間を飢えさせるわけだ。
農水省はあくまで、農家の農業生産が目的だ。だから、農家に安価な餌を払い下げたい。五年後に豚が飢えないようにしたい。稲作と豚生産こそが最優先なのだ。
そして、そのためには、人間が餓死しようと、知ったことではない。将来の農家が格安の飼料米を仕入れるためには、今現在の人間たちを餓死させたいのだ。古くなった備蓄米を格安で仕入れるためには、備蓄米を人のために売るわけには行かないのだ。
人間を育てても1円にもならないが、豚を育てれば何十万円にもなる。農家の利益のためには、国民の命などは豚の命ほどの価値はないのだ。イスラエル人が、ガザの命をゴミ扱いするように、農水省は、国民の命を豚の値段よりも軽んじているのだ。
※ ではどうすればいいかというと、「食糧庁を分割・解体せよ」と言える。生産部門と消費者部門に分ける。現状では、機能は両方の部門があるのに、目的は生産部門のためだけに限定されている。そこで、(原理的に)両方の部門に分けて、それぞれの部門の目的のために働くようにすればいい。先に詳しく述べたとおり。
→ 米不足で農水省の問題点: Open ブログ (最後のあたり)
日本人は付和雷同しやすいので、備蓄米を出すと、「え!そんな大変なんだ!」と2袋も買い込む人が大勢出てきて、ますます不足になります。
「米がないならパンで」とかのんびり構えているマリーさんのような人ばかりなら良いのですが。
コロナ禍でもありましたよね。食料の買い溜め。
あの頃から何も学んでいない日本人。
コトの本質はこれですよ。
日本人がバカすぎるんです。
しかるに、現実は「備蓄の放出ではなく、産地や卸からスーパーなどに安定的に(米が)供給され、消費者の手元に届くよう取り組むことが重要」と言い切ってしまった。これは農水省がコメの価格を高値安定させ、農家を守ることを目的としているからです。