2024年08月30日

◆ 不等式を歪める政府

 不等式の意味は、中学生や小学生でも理解できるはずだ。だが、日本政府は理解できずに、歪める。

 ──

 不等式は(数値の)大小関係を意味する。当たり前だ。
 これは、あまりにも簡単なので、中学生や小学生でも理解できるはずだ。ところが、どいうわけか、日本政府は理解できない。
 例示的に示そう。70 という数は、70超には到達しないはずだ。なのに日本政府は、「 70 は、70超よりも大きい数なので、70超であるという条件をクリアできる」と主張する。つまり、
   70 > 70超

 というふうに主張する。( 「超」は「以上」と書いてもいい。)

 気違いじみた主張だ。だが、政府は、こう語る。何のために? 「米軍基地を建設するため」である。そのためとあれば、「白を黒と言いくるめる詭弁を駆使する」という方針を取る。呆れた話だ。

 ──

 具体的な説明は以下の通り。
 辺野古基地の地盤工事で、杭の長さを 70メートルにする。これは 70メートルだ。70メートルの深さまでしか到達しない。なのに、深さ 70メートルよりも深いところ地盤にある突き刺さる、と主張する。つまり、
   70 > 70超

 という主張だ。
 該当の記事は下記。
 《 軟弱地盤の深さは羽田の倍? 辺野古の工事が難しい3つのポイント 》
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、防衛省は20日、辺野古北側の大浦湾を埋め立てる本格工事を始めた。
 沖縄県が問題視するのは、大浦湾東側の「B27」と呼ばれる地点。ここは水深が30メートルあるうえ、さらに海底も地中深くまで軟らかい層が続く。調査データからは、軟弱地盤は厚さ60メートルほどある可能性があるという。
 このため県は、最深部である海面下90メートルの深さまで杭を打ち込まなければ構造物は安定しないと指摘。国内に現存する作業船では海面下70メートルまでしか改良できないため、「工事は実施不可能」と批判している。
 一方、防衛省は、B27とは別の3地点の調査結果を用いてデータを類推し、「70メートルを超える深度は非常に固い粘土層に分類される強度がある」と説明する。海面下70メートルまで改良すればよい、という立場だ。

henoko46.jpg

( →  [沖縄県]:朝日新聞

 最後のところを再掲しよう。
「70メートルを超える深度は非常に固い粘土層に分類される強度がある」と説明する。海面下70メートルまで改良すればよい、という立場だ。

 しかし、70メートルまでの杭打ちでは、深さ 70メートルまでしか到達しない。その下の地層に食い込むことはできない。とすれば、杭打ちの効果は何もないことになる。
 なのに、これでも効果があると主張するのは、
   70 > 70超

 と主張していることになる。

 別記事も紹介しよう。
 難工事となる最大の要因は、地盤が深い層まで軟弱なためだ。防衛省は砂などの杭を約7万1千本打ち込んで地盤を固める工法を用いる。同じ工法で海底を地盤改良した羽田空港D滑走路では、改良工事の深さは最大で海面下44メートル、関西国際空港の工事でも40メートルほどだが、今回は最大70メートルの深さまで改良工事をする計画だ。
( → 辺野古、底知れぬ難工事 軟弱地盤埋め立て、コスト膨張の恐れ:朝日新聞デジタル

 ここでは「杭を約7万1千本打ち込んで地盤を固める工法を用いる。同じ工法で海底を地盤改良した」とある。つまり、「杭を約7万1千本打ち込んで地盤を固める工法」のことを「地盤改良」と称するわけだ。
 国が「辺野古の地盤を改良する」というのは、「杭を約7万1千本打ち込む(こうして地盤を固めること)」なのである。ところが、その杭は、その下の70以下の地層には到達していないのだ。宙ぶらりん状態になっている。フロート状態だ。これでは、下の地盤に接続していないのだから、地盤にはなっていない。浮島のような状態になっている。

 地盤をきちんと構築するには、杭を下の固い地層に食い込ませる必要がある。そのためには、90メートルぐらいの杭を打ち込む必要がある。そうすれば、地盤をきちんと構築できる。
 ところが、90メートルの杭は存在しない。杭の長さは 70メートルまでしかない。困った。どうする?

 そこで、困ったときの(自民党式の)エセ数学。それは、
   70 > 70超

 というインチキ不等式だ。これによって、物事を解決したつもりになっているのだ。

posted by 管理人 at 21:37 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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