米不足では、農水省の問題点がある。4件。
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前項で書き落とした話があるので、補足的に論じる。
判断ミス
米不足は今になって起こったわけではない。3カ月近く前の、6月3日のテレビ報道で、すでに品不足が指摘されていた。(動画の 0:18 )
新聞報道でも、7月15日の段階で、すでに品薄になっているのが判明していた。なのに農水省は、米不足は起こらないと判断した。つまり、判断ミスだ。
農水省の担当者は「需給が逼迫(ひっぱく)するような状況ではないと考えている」としている。
( → コメの卸売価格が上昇基調、6月分はコロナ禍前上回る 農水省集計:朝日新聞 2024年7月16日 )
このときに、米不足の可能性を予想して、緊急輸入の体制構築jをしておけば、まだ大丈夫だった。予想ができれば、前もって対策をすることは可能だったのだ。ところが政府は、そうしなかった。
それどころか、米不足がはっきりと現実化しても、目を向けようとしなかった。「見て見ぬフリ」だ。8月5日 の記事には、こうある。
商品棚には品種にかかわらず、10キロ米はほぼない。5キロ米も数は少なく、なくなっている品種もあった。これまで10キロ米を置いていた商品棚には、2キロ米が積み上がっていた。
農林水産省は「過去に比べて米の需要は減っている。8月ごろからは新米もあり、米の需給に問題はない」としている。
( → 「スーパーに米がない」購入制限や値上げ 背景に酷暑とインバウンド:朝日新聞 2024年8月5日 )
現実に品不足が起こっても、まだ現実を認識しようとしない。自分の目で見ていることを理解できない。自分の目で見ていることを否定する。米不足が起こっても、「米不足は起こっていない」と言い張る。狂人も同様だ。まるで「裸の王様」だ。
8月6日の記事でも、「見て見ぬフリ」の態度が報道されている。
農林水産省は「過去に比べて米の需要は減っている。8月ごろからは新米もあり、米の需給に問題はない」としている。
だが、東京都杉並区の老舗「森田屋米店」の森田ひろ美社長は「農水省は在庫は問題ないといっているが、販売する側はその実感はない。末端の米屋にばかり負担がくる」と語気を強める。
( → お米品薄、なぜ? 千円値上げ「これじゃ買えない」:朝日新聞 )
農水省が強弁しているが、それが現実とは異なることは、記事の後段でも判明する。
このあと、8月25日には、ひどい米不足が起こっているが、それでもまだ農水省は米不足を認めない。だから、対策することを拒否する。
それでも、農水省の担当者は「主食用米について、政府の備蓄米を放出するほどの需給の逼迫(ひっぱく)は見られない」という。
( → いつまで続く「米不足」、南海トラフで「先食い」説 秋の新米に期待 [兵庫県]:朝日新聞 )
大阪府知事が「備蓄米を放出してくれ」と頼んでも、農水省は断固として、「備蓄米を放出しない」と決め込む。
農水省はどうしてこういう馬鹿げた判断をするのか? 国民を餓死させたいからか? そうかもしれない。
だが本当は、農水省の目的が、農産物の生産だからだ。農産物の生産を維持することが何よりも大切なのであり、国民の生命や生活などはどうでもいいのだ。彼らのご主人様は農家であって、国民ではないからだ。
日本国憲法 第15条
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
これは、憲法の規定だが、農水省には適用されない。かわりに、こうなる。
農水省の基本原理
すべて農水省の公務員は、全体の奉仕者ではなく、一部にすぎない農家の奉仕者である。
(系)農家の自給率を高めることが最優先であり、輸入は断固阻止するべきである。そのために、米不足が起こっても、米を輸入してはならない。たとえ国民が餓死しても、米を輸入してはならない。国民の生命などは、どうでもいい。すべて農水省の公務員は、全体の奉仕者ではないと、肝に銘じるべし。
イスラエルはガザの民衆を虐殺することはあっても、自国民を虐殺することはなかった。日本の農水省は、自国民を餓死させることを、自らの使命とする。たとえ自国民を餓死させようとも、自給率 100%を死守することが、最優先なのだ。
農水省にとっては、自給率こそが国体だ。その国体を護持するためには、一億総玉砕も厭わないのだ。
そして、それを国民に信じ込ませて洗脳するために、乃木坂46 を利用するのである。
未出荷で大儲け
冒頭の動画では、倉庫が空っぽである状況が示されていた。
このときは6月3日。この時点では、小売店の求めに応じて、倉庫の米をどんどん出荷していたようだ。だから、倉庫が空っぽになった。
一方、「売り惜しみ」をしていた業者もいたようだ。倉庫には米がまだまだたくさん残っていても、「将来は品不足になるだろう」と見込んで、6月の時点では、売り惜しみする。店が「売ってください」と頼んでも、「ないよ」と嘘をついて、売り惜しみする。とんだ嘘つき野郎だ。あこぎな殿様商売。
では、どちらが正しかったのか? 商売においては、正しいとか正しくないとかは、あり得ない。どちらも合法である限り、どちらも正しい。違いは、損得だけだ。
・ 前者 …… 普通に販売して、普通に薄利を得る。
・ 後者 …… 売り惜しみして、あとで巨利を得る。
というわけで、売り惜しみをした業者の方が、莫大な利益を得るわけだ。たとえば、2kg 900円の米を、700円で仕入れる。それを本来ならば、900円で売るのだが、倉庫にこっそりと隠しておく。そして、あとで 1800円ぐらいに値上げして、高値販売する。粗利は 200円から 1100円に大幅アップとなる。ボロ儲けだ。
そして、こういうふうに業者がボロ儲けするのを推進するのが、農水省だ。
「農業関係の業者が莫大な利益を得る」
というのは、農水省がまさしく望んでいることであり、願ったり叶ったりなのだ。たとえそのせいで、国民が大損しようと、国民が餓死しようと、そんなことは知ったことではないのだ。
食糧庁を分割・解体せよ
農水省は、以上で示したように、国民にとっては有害である。何とかしたい。そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「食糧庁を、分割・解体する。食糧庁は、米を扱うが、その目的が、生産者の方ばかりを向いていて、消費者の方を向いていない。
そこで食糧庁を、生産部門と消費者部門に分ける。
・ 生産部門 …… 生産者のために米を増産
・ 消費部門 …… 消費者のために米を安定供給
前者は、現状通り、農水省に属する。
後者は、消費者庁に編入する。米不足のときには、米を輸入する」
つまり、(米不足という)緊急時に輸入権限をもつ部門の創設だ。こういう部門があれば、(米不足という)緊急時には米を輸入できるので、米不足は起こらなくなる。かくて、問題は解決する。
困ったときの Openブログ。
自給率の嘘
それでもまだ、心配する人はいるだろう。つぎのように。
「農水省の言うことも、もっともだよ。やっぱり、自給率を維持するべきだよ。万一のことを考えると、世界が米不足になっても、日本だけは米不足を避けたい。だから、自給率を理事するべきだよ」
というふうに。
しかしこの件は、先に否定しておいた。
「世界規模で飢饉が発生したらどうするんだ?」という心配もありそうだが、「世界規模で飢饉が発生したら、日本でも飢饉が発生する」のだから、食糧自給は何の意味もない。「世界規模で飢饉が発生したが、日本でだけは飢饉が発生しない」と考えるのは、ナンセンスだ。
( → 乃木坂 46 で詐欺: Open ブログ )
これはつまり、「世界中が地球温暖化で高温になっても、日本だけは地球温暖化が起こらないだろうから、地球温暖化への対策は必要ない」というような屁理屈と同様である。
「世界中が米不足になっても、日本だけは米不足にならない。だから自給率を高めるべきだ」
と思い込む。しかし、その結果は、
「世界中が米不足にならなくても、日本だけは米不足になった。だから輸入するべきだが、自縄自縛なので、あくまで輸入を拒否する。それどころか、備蓄米の放出も拒否する」
というふうになる。
これはまあ、一億総玉砕ですかね。レミングみたいなものか。
レミングの集団自殺(想像図)
米不足に対して無為無策である政府もひどいが、それを素直に受け入れて、自民党政府を支持する国民は、同じ穴のムジナというべきか。同じ群れのレミングと言うべきか。
これでは有事の時に出遅れて取り返しがつかなくなるんだろうけど、温度差があるというか何というか、細々したことを指摘する国民やマスコミに比べればマシなのか?
農家でもないですよ。
彼ら(農林水産省)の守りたいものはJAです。