2024年08月24日

◆ 米不足でも輸入できない

 米不足ならば 米を輸入すればよさそうなものだが、現実にはそれができない。どうしてか?

 ──

 米不足の状況については、先に言及した。
  → 米不足とトウモロコシ: Open ブログ

 ここでは、「米がなければトウモロコシを食べればいいじゃない」という、マリー・アントワネットみたいな流儀の話をしただけだった。その結論は、「缶詰のトウモロコシがお買い得だ」ということだった。
 ここでは、主題はトウモロコシであって、米不足の話は二の次だった。

 ──

 一方、新たに米をテーマにして考えよう。
 米不足だといっても、不足しているのは日本だけだ。ならば、世界各国から米を輸入すれば、問題は解決するはずだ。ではなぜ、そうしないのか? 

 これについては「関税が関係しているはずだ」と思って、調べてみたら、あっさり正解が判明した。「関税が高すぎることが原因だ」と言える。

 米の関税のデータは、下記にある。
  → 実行関税率表(2023年4月1日版) 税関 Japan Customs

 ここで、「第10類  穀物」という項目の右端の「税率」という箇所をクリックすると、PDF ファイルが得られる。その図表の下の方に、こうある。
もみ  (402円/kg)
玄米  (402円/kg)
精米  (402円/kg)

 いずれにしても、すごく高値の関税がかかる。
  2kg なら 804円。
  5kg なら 2010円。
 これは、普通の米の価格と同程度である。それだけの関税がかかるのだ。
 それに加えて、米そのものの価格と運搬費との合計で、1kgあたり 100円以上の費用がかかるだろうから、関税との合計額はとても高くなる。普段の米の販売価格よりもずっと高い。
 これでは、急いで輸入しても、1カ月後には売れ残りとなって在庫の山となるだけだろう。
 だから、誰も輸入しないのだ。

 結論。

 米不足でも米を輸入しないのは、米の関税があまりにも高すぎるからだ。輸入しても、高すぎて、売れるはずがない。売れ残ったままだと、大損するハメになる。

 《 加筆 》
 このことから、米不足に対する対策方法もわかる。こうだ。
 「関税を一時的に引き下げよ。現行の半分以下にせよ。そうすれば、米が大量に輸入されるので、米不足が解消する。国民の不安は失せる」

 国民はせめて「米寄越せ」というデモをして、米騒動を起こすべきだ。何もしないで、スマホばかりいじっているから、自民党に舐められる。「世間は自民党総裁選に熱中しているから、自民党は人気がある」と自惚れる。
 国民は自民や政府に甘すぎる。梅干しでも食っとけ。しょっぱい梅干しは、米に合うぞ。



 [ 付記 ]
 昔、「平成の米騒動」と言われた、米不足の騒動があった。
 このときは、海外から大量の米を輸入したが、日本人向けの米ではなかったので、半分近くが売れ残ってしまった。
 政府は米不足対策として、海外(タイ、アメリカ、オーストラリア、中国)から米を約259万t緊急輸入しました。
 しかし、その多くはインディカ米でした。日本は米を輸入してこなかったため、日本人が好む品質のうるち米を、輸出するほど生産している国がなかったのです。
 インディカ米への馴染みがなかった日本人からは「まずい米」と評され、結果的に輸入した分の4割近い約98万tが売れ残る事態となってしまいました。
( → 「コメ不足」再来の危機?“平成の米騒動”に学ぶ農家の未来 | minorasu(ミノラス) - 農業経営の課題を解決するメディア

 米の種類も区別できない馬鹿政府が、形だけの輸入をしたので、米不足を解消できないまま、大量の無駄が生じることになった。

 では、どうすればいいか? もちろん、インディカ米ではない、普通の米を輸入すればいい。つまり、ジャポニカ米だ。

 では、ジャポニカ米は、十分に生産されているか? 日本以外の国でも、日本人の食料を満たせるほど、たくさん生産されているか?
 そう思って調べたところ、「大丈夫」と判明した。中国ではとても大量に生産されているのだ。
 生産される米の7割(70%)は長粒種(インディカ米)で、短粒(ジャポニカ米)で高品質米の生産にも力を入れています。ジャポニカ米の割合は全生産量の30%ぐらいですが、それだけでも日本の生産量をはるかに上回り、世界最大のジャポニカ米生産国です。
( → 中国で一番売れている米は何ですか?中国では米の品種改良はどうやっているのですか? - 山形県農業情報サイト

 中国ではジャポニカ米の消費が伸びている。経済的に豊かになるほど、安いインディカ米から割高なジャポニカ米へと消費が移っていくからだ。ジャポニカ米の年間の生産量は4700万トンになる。日本の2023年産米の生産量は669万トンなので、その7倍ほどになる。
( → 「ジャポニカ米」国際市場の最新動向 | 新潮社 Foresight

 だから、中国から輸入すれば、それで足りるのだ。関税さえ引き下げれば、いくらでも輸入できるだろう。

 ※ 他に、米国でもカリフォルニアなどでジャポニカ米がたくさん生産されているが、それは十分と言えるほどではない。米国に頼るのでは不十分だろう。米国は、名前と違って、米の国ではないのだ。(ダジャレ)



 【 関連情報 】

 → 黒竜江省稲作の拡大要因と1980 年代以降の展開 (PDF)

 ※ 中国で急激にジャポニカ米の生産量が増えたことには、理由がある。日本人の農業技術者が技術指導したことだ。これによって中国のジャポニカ米の生産量は急増することになった。
 ※ そして、それが今、米不足の日本を救う結果にもなり得るのだ。情けは人のためならず。
 


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posted by 管理人 at 23:20 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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