2024年08月24日

◆ オルカンをやるべきか

 投資をやるならオルカンがいい、と言われるが、本当か?

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 投資をやるならオルカンがいい、と言われる。オルカンとは、全世界の株式を対象とした投資信託だ。世界中の株式を平均的に買うので、世界全体に投資したのと同様の効果を持つ。
 日本の株式だけに限ると、TOPIX というものがある。それを日本から世界全体に広げたものだ、と言える。ただし、経済規模はアメリカが圧倒的に大きいので、それに従って、オルカンの投資対象もアメリカ企業が大半である。
 この投資信託のどこがいいかというと、次の二点だ。
  ・ 全世界を対象とするので、安全性が高い。
  ・ 手数料が格安である。


 特に、後者が重要だ。「高い利回り」を標榜する投資信託はたくさんあるが、その多くは、業者の手数料がすごく高い。
 たとえば、「投資利回りは3%で、手数料は2%」と宣伝したあとで、「実際の利回りは1%だったので、手数料の2%を引いて、結果はマイナス1%の利回りです」なんていう詐欺的な商品は、たくさんある。この場合、業者はボロ儲けできるので、販売の委託手数料を高額に支払える。そこで、銀行が顧客に「定期預金をやめて、投信にしましょう」と勧めた例がたくさんあった。銀行はこれで手数料をたくさん稼いだが、顧客はマイナスの利回りを受けて大損した……という例が続出した。ほとんど詐欺だね。詳細は下記。
  → 地銀で急増、仕組み債 ノックインで元本割れも 金融庁が問題視:朝日新聞

 そこで、こういう問題を回避して、誰でも安全に株式投資をできるようにしたのが、オルカンだ。急上昇することもないかわり、急下落することもない。比較的安全度の高い株式投資だとして、人気が出た。しかも、昨今では、これが「儲かる」と言って、とても話題になった。
 では、オルカン投資をやるべきか? 

 ──

 はっきり言おう。
 「オルカン投資で儲けた人が多いから、自分もやろう」
 と思う人は、柳の下の二匹目のドジョウを狙うタイプだ。そういう人は、投資にはまったく向いていない。だまされやすいので、注意しよう。

 昨今、オルカン投資で儲けたという人が多いのは、1ドル= 160円にもなる円安のせいだ。
 そもそも、オルカン投資というのは、円をドルに交換することだ。だから、円高から円安になると、130円で買った1ドルが 160円になるので、ボロ儲けした計算になる。
 しかしそれは、投資して儲けた金ではなく、「円・ドル」という為替投機で得た利益だ。
 そこで、「130円で買って 160円で売って儲けた人がいるから、おれも真似して、オルカンを買おう」とすると、どうなるか? 160円の時点で買うことになるが、そのあと、1ドル= 145円になると、160円で買ったものが 145円に下がってしまう。1割の損失だ。……つまり、「儲けた」という人の真似をすると、大損する結果になるのだ。

 ──

 結局、どういうことか?
 オルカンは、企業の成長力と、為替相場との、二本立てだ。特に重要なのは、為替相場だ。したがって、次の原則が成立する。
  ・ 円安になる局面では、買うといい。(売るな)
  ・ 円高になる局面では、売るといい。(買うな) 


 今はどうか? 現状はドル高状態なので、将来的にはもっと円高になると見込まれる。こういう状況では、海外投信をするべきではない。つまり、オルカンに投資するべきではない。145円で買ったものが、130円ぐらいに値下がりすることは、十分にあり得るだろう。
 逆に、1ドル=130円ぐらいの円レートになったら、オルカンに投資してもいいだろう。
 さらに、1ドル=120円ぐらいの円レートになったら、オルカンに投資するのが絶対にいいだろう。120円で買ってから、160円で売れば、ボロ儲けできることになる。

 ともあれ、オルカンの購入をするのなら、円レートに着目するべきだ。それが鉄則だ。

 ──

 さて。それとは別に、「長期的にはオルカン投資をすることは賢明だ」と言える。その証拠は、次のチャートだ。
  → eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)【0331418A】:チャート - Yahoo!ファイナンス

 これを見ると、2019年に 10000円であったものが、2024年には 25000円程度にまで上昇していることがわかる。5年で 2.5倍だ。この間の円安による効果の分を差し引いても、2.5倍の成長率は非常に大きいと言える。すごく高い利回りを得た計算だ。

 結論としては、こうなる。
 「今は少し価格が上がりすぎているので、オルカン投資をするべきではない。しかし、半年か1年ぐらいしたら、円安も収まり、オルカン投資をしやすくなる。円レートを見て、1ドル=130円 ぐらいになったら、オルカン投資をするといいだろう」

 ※ ちなみに、円レートは 2023年1月に 1ドル=130円ぐらいになった。このときが最近では最も円高だった。この時期にオルカン投資をして、160円のときに売れば、1年で 20% ぐらいの利回りを得ることができた。円レートを見て、適切に売買することが、オルカン投資のコツだ。数字を見て、「高値になった」と喜んでいるのでは、利益を確定できない。利益を確定するには、まさしく売却する必要がある。「長期投資をしよう」とするより、数カ月〜数年ぐらいの中期的な売買をしてこそ、オルカン投資の達人と言える。
 
 ※ 「ならば円高になる局面では、オルカンのかわりに TOPIX をやればいいんだな」と思う人もいそうだが、そうも言えない。円高になると、TOPIX も値下がりするのが普通だからだ。

 ※ 一般的には、「値上がりしたぞ、儲かったぞ」と人々が騒いでいるときには、値上がりしたものを買うべきではないのだ。むしろ、人々が「値下がりしたぞ、損したぞ」とがっかりしているときこそ、買い時なのだ。逆張りですね。(中期的にはそれが正しい。)



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posted by 管理人 at 22:35 | Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オルカン 全世界株ですが大袈裟に短期の値動きを、あれこれ悩むなんて 違うのかな  あくまでただ世界の成長のおこぼれを貰うだけなんですから  この糞ったれ資本主義が与えてくれるあぶく銭を少しばかりです 個別株の取引のように市場の動向を気にするなんて時間の無駄です 
 差し当たり使うあてのない金を全て突っ込んで20年以上忘れておくわけです
 小惑星の落下か致死率50%のパンデミックあれば知りませんけど  長い時間ならドル円 あんまり影響ないのでは?
Posted by k at 2024年08月31日 19:15
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