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NHK の報道では、こうだ。
セブン&アイ・ホールディングスは、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたと発表しました。
発表によりますと流通大手のセブン&アイ・ホールディングスは、カナダで、コンビニやガソリンスタンドなどを手がけるアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているということです。
( → セブンイレブン イトーヨーカドー運営 セブン&アイHD 買収提案したアリマンタシォン・クシュタールとは | NHK | 小売業 )
結論は未定で、検討中だということだ。ただ、あまりにもの衝撃に、日本国内では人々が混乱状態であるようだ。
そこで、解説しよう。
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セブンイレブンを買える会社があるのか……と疑ったが、ある。今回の会社は、時価総額でセブンイレブンのちょうど2倍もある。会社規模では、かくも差があるのだ。
さらに調べると、業界のランキングでは、この会社は世界2位。3位がセブンだ。1位はメキシコの会社。
→ 2023年最新版:世界のコンビニエンスストア運営会社ランキング時価総額TOP37 | Reinforz Insight
では、「2位が3位を呑み込む」ということでいいのか? いや、そうではない。話は転々とする。
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これについては、整理された情報が欲しいので、AIに質問して、情報を得た。まず、今回の買収会社について質問する。「Alimentation Couche-Tard の事業は?」と。その回答。( Perplexity)
事業運営
- コンビニエンス ストア : Couche-Tard は世界最大の独立系コンビニエンス ストア オペレーターの 1 つであり、カナダ、米国、ヨーロッパおよびアジアのいくつかの国で強い存在感を示しています。同社は、カナダ、米国、メキシコ、ヨーロッパの一部とアジアを含むさまざまな地域で 14,000 を超える店舗を運営しています。
- 燃料小売 : Couche-Tard は、コンビニエンス ストアに加えて、燃料小売業界の主要企業です。道路輸送用燃料を提供する約 13,100 店舗を運営しています。
つまり、このカナダの会社は、事業規模としてはセブンを上回っているが、その業務は燃料販売の比率が多くて、コンビニ事業(サークルK)では、セブンに負けているようだ。
その点を調べてみる。「米国のコンビニチェーン店のシェアは?」という質問への回答。( Perplexity)
米国のコンビニ市場は、多数の小規模チェーンと独立店舗が特徴です。 2022年 12月の時点で、米国には約 150,174 のコンビニエンス ストアがありました。このうち、セブンイレブンは 12,854 店舗を展開する最大手のチェーンであり、店舗数ベースでの市場シェアは約 8.6%となっている。セブン-イレブンは店舗数では比較的小さなシェアにもかかわらず、売上高で測定すると市場の約36%という大きなシェアを保持しています。
さらに「コンビニチェーンで、Alimentation Couche-Tard がカナダと米国で占めるシェアは?」という質問への回答。 ( Perplexity)
Alimentation Couche-Tard は、カナダと米国の両方で Couche-Tard および Circle K の旗の下で運営されています。米国では 7,142 店舗を展開し、店舗数ベースで約 4.8% の市場シェアを獲得しています。
明らかに、セブンに劣っている。
そこでさらに、より具体的な数値を求める。上記の回答のリンク先に跳ぶ。
→ アメリカ最新コンビニ市場 2023
【アメリカ・コンビニ店舗数ランキングTOP10】
順位 企業名 店舗数 前年
順位1 セブン・イレブン(7-Eleven) 12,854 1 2 アリマンタション・クシュタール
(Alimentation Couche-Tard )= サークルK7,008 2 3 ケーシーズ(Casey's General Stores) 2,470 3 4 マーフィ(Murphy USA) 1,712 5 5 EGアメリカ(EG America) 1,682 4 6 GPMインベストメント(GPM Investments) 1,404 6 7 BPアメリカ(BP America) 1,224 7 8 エクストラマイル(ExtraMile) 1,037 8 9 ワワ(Wawa) 988 9 10 クイックトリップ(QuikTrip) 963 10
断トツのトップはテキサス州アービングを拠点とするセブン・イレブンです。
アメリカのコンビニ市場は、日本と比べて特定企業による市場の寡占化が進んでいないと言われています。 確かに全米コンビニエンスストア協会(NACS)の最新データによると、アメリカのコンビニ店舗総数は2022年12月時点で150,174店舗で、セブン・イレブンのシェアはわずか8.6%程度となります。
しかし、非常に小さなコンビニ店舗やチェーンが非常に多いアメリカでのセブン・イレブンの売り上げベースでの市場シェアとなると、調査会社IBISWorld社のデータでは2022年度で約36%と非常に高くなっています。
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結局、コンビニ企業としては、北米ですら、セブンの方が大きい。それを買収しようというのだから、「小が大を飲む」という形の買収になる。
常識的には、それはありえないのだが、それが可能となるのは、このカナダ会社が、コンビニだけでなく、燃料販売もやっている、コングロマリットであるからだ。そのおかげで、株式総額が倍となっている。
そこで、その資金力を使って、セブンイレブンの経営技術を買収すれば、自社のコンビニをセブンのように高効率の店に改善できる、という目論見だろう。
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上記回答によると、セブンイレブンは、
市場シェアは約 8.6%となっている。……にもかかわらず、売上高で測定すると市場の約36%
ということだから、店の数では 8.6%のシェアで、売上高では 36% だから、4倍あまりの高効率だ。
一方、他社は、店の数では 91.4%のシェアで、売上高では 64%だから、 0.7倍ぐらいの低効率だ。
4あまり と0.7 を比較すれば、前者は後者の6倍ほどになる。つまり、セブンの効率は、他社に比べて6倍も高い。1店あたりで、他社の店の6倍の売上げを達成している。
とすれば、その経営技術を導入すれば、他社は売上げを大幅に増加させることができる。(6倍ぐらいにもできそうだ。)
これこそが、他の会社がセブンを買収したがる理由だろう。
※ 日本のセブンを切り売りすることが目的だろう……という観測もあるが、それは妥当ではない。日本のセブンの店舗数は、セブンの会社のうちの1割ほどでしかないので、ほとんど意味を持たないのだ。(セブンは今や、日本の会社ではなく、世界の会社となっている。なぜなら、元祖のセブンイレブンを買収したからだ。)
※ セブンという会社の価値は、その店舗にあるのではなく、その高効率な経営技術にある。それを世界の店舗に広めることが、会社買収の目的なのだ。(それが一番儲かるからだ。)