2024年08月08日

◆ 日産の経営のひどさ

 日産自動車の経営がひどい状況になっている。

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 トヨタとホンダの EV はひどいが、日産はまだマシだ……と思えたが、将来の見通しはともかく、現況を見る限り、日産の経営はひどすぎる。地獄的な状況だと言える。いつ倒産してもおかしくないぐらいだ。
 《 自動車大手、米市場で明暗 トヨタ・ホンダ最高益/日産苦境99%減益 》
 トヨタとホンダは営業利益が過去最高なのに、日産は99%の減益――。円安の追い風が吹く中でも、自動車大手3社の4〜6月期決算は明暗が大きく分かれた。
 日産自動車の4〜6月期の営業利益は前年同期比99%減の9億円。円安で海外事業の利益が円建てで膨らみ、237億円の増益効果があったことを考えると、実質的には「赤字」の決算だ。
 現地で人気が高まっているハイブリッド車(HV)の新型車を投入できていない。ガソリン車もモデルチェンジから時間が経ったものが多く、他社の新型車に売り負けている。
 同社は2025年3月期の営業利益の予想を、従来の6千億円から5千億円に引き下げた。それでも予想通りの着地なら前年比12%減となり、減少率はトヨタの予想(20%減)より小さい。内田社長は「新車投入によって、現状の計画は達成できると思っている」。
 ただ、日産は今回の決算で、年平均の想定為替レートを1ドル=155円と円安方向に修正した。4〜6月期の実績だった155.9円がほぼそのまま続くとの見立てだ。一方でトヨタは145円、ホンダは140円という想定を据え置いた。
 日産は1円の円安で営業利益が年100億〜120億円ふくらむとされている。

( → 朝日新聞

 「4〜6月期の営業利益は前年同期比99%減の9億円」なのに、年間では 5000億円の黒字だと見込んでいる。あまりにも楽観的な妄想だ。頭がクラクラするほどの妄想と言える。現実無視の狂人に近い。経営者の頭はイカレているとしか言いようがない。
 「新車投入によって、現状の計画は達成できると思っている」
 というのが社長の言い分だが、これこそまさしく妄想の見本だろう。
 (1) 北米市場における日産の新車投入は、QX80 と キックス ぐらいらしい。(ググってもそれしか出てこない。)
 (2) キックスは、2016年 という滅茶苦茶に古いモデルである。マイナーチェンジを繰り返して、装備だけは最新の装備を搭載しているが、基本設計の古さはどうしようもない。他に売るものがないから、仕方なくこれを売るようだが、ポンコツ過ぎる。こんなポンコツを新車として販売するのだから、狂気の沙汰だ。
 (3) QX80 は、日産のフラッグシップとも言える高級車だが、価格が高すぎるので、販売台数は見込めない。販売効果は小さすぎる。経営に与える影響は小さすぎる。

 ──

 結局、新型車を投入するとしても、その効果はごく小さなものでしかない。なのに、そんなものに期待して、「赤字から 5000億円の黒字に転じる」と妄想している。狂人の発想そのものだ。
 おまけに、円レートの見通しも狂っている。すでに円高基調となり、1ドル=145円 ぐらいになっている。なのに、1ドル=155円と想定して、莫大な黒字を見込んでいる。妄想がひどすぎる。(トヨタは145円、ホンダは140円という想定だ。こっちの方がまともだ。逆に言えば、まともな判断のできない日産が、いかに狂気的かわかる。)

 ──

 さらに情報を示そう。
 日産の販売が低下しているのは、最も売れ線であるローグ(日本名:エクストレイル)の販売台数が急減しているからだ。
 北米向けの主力車などを生産する国内工場で7月に3割減産していることが分かった。主要市場の米国で販売が振るわず、在庫が積み上がっているため。
 日産自動車九州(福岡県苅田町)の工場が4月から期初計画に対して減産し、7月は生産台数を2万5000台弱と3割ほど減らしている。同工場では3車種を生産し、うち台数が最も多いスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」は期初計画の半減となる1万台を減産している。
 関係者によると、日産自動車九州は7月、国内向けのミニバン「セレナ」とSUV「エクストレイル」も期初計画から減産している。従業員の1日当たりの勤務時間は7時間を少し超える程度で、8時間を下回っている。残業や休日出勤もなく「給与は減る一方だ」(同関係者)という。
( → 日産、九州工場3割減産 北米主力車「ローグ」輸出拠点=関係者 | ロイター

 日産は国内のエクストレイルも販売台数が激減している。一つ前のモデルは年間5万台を超える人気車種だったのに、モデルチェンジ後は3万台にも満たない。その理由は明らかで、高額な e-POWER だけがあって、ガソリン車がないからだ。
 一方で、北米では、ガソリン車だけがあって、 e-POWER がない。そのせいで、HV のあるトヨタやホンダに大きく負けているそうだ。
 「これじゃ駄目だ、 e-POWER を販売しろ」と何年も前から言われていたのだが、そうしない。やっと重い腰を上げたと思ったら、2026年の販売開始だという。
  → 日産、アメリカでHV技術「eパワー」搭載車発売 26年以降 - 日本経済新聞
 この記事が 2023年8月25日。販売開始まで3年もかかることになる。別に新車を開発するわけではなく、すでに日本や欧州で売っている車をそのまま北米に持ってくるだけなのに、それができない。
 前述のキックスにしても、日本では e-POWER 車を売っているのに、あえてガソリン車に絞って、北米で販売する。どうせ新型車として形式認可を得るなら、 e-POWER で形式認可を得ればいいのに、 e-POWER でなく、ガソリン車だけにする。狂気の沙汰だね。

 ──

 ここまで阿呆な経営者なら、経営者を解任するべきだろう。業績が赤字同然になったことからしても、解任の理由になる。
 なのに、そうしないとしたら、日産の経営体質そのものがイカレているとしか言いようがない。経営者を評議会で選ぶ方式らしいが、まともに機能していない。
  → 日産 社長 指名委員会

 《 加筆 》
 日産の内田社長の学歴は「同志社大学神学部・卒」だ。それが自動車技術とどう関係しているかは、言わずもがな。技術のことなど何もわからないまま、神のお告げにでも従っているのだろう。日産が迷走するのも当然だ。
 こんなのを社長に選んだ人々自身が、どうしようもないゴミだったことになる。
 ちなみに、社長の指名委員会の名簿はこちら。
  → 日産コーポレートガバナンスオーバービュー
 ルノーの元会長であるスナールがいたりして悪影響がある。また、文系の人ばかりで、技術のわかる人がまったくいないようだ。「技術の日産」とは正反対の「技術音痴の指名委員」ばかりだ。その結果は? 「新学部卒の社長」だ。
 日産の運命は、もはや神様にすがるしかないありさまだ。アーメン。



 [ 付記1 ]
 じゃあ、どうすればいいのか? 

 (1) とりあえずは、現在の文系社長を解任して、技術のわかる理系の技術者を社長にするべきだろう。(関 潤 など)

 (2) 将来的には、幹部候補生を超高給で採用するべきだろう。採用時に、普通の倍近い給料で、少数のエリートを採用すればいい。技術と経営の双方の能力のある人物。知性とリーダーシップのある人物。そういうのを、採用段階で選ぶ。
  ※ 地頭の良い人でないと駄目、ということだ。

 [ 付記2 ]
 欧州の販売台数における e-POWER の比率はどれだけか? およそ 40%ぐらいであるらしい。
 キャシュカイの 2023年の販売台数は 14万台あまり。 e-POWER 車の販売台数の累計は、キャシュカイは 6.7万台。エクストレイルが 3.3万台。……両者のデータでは、販売の期間が異なるが、大雑把な比率はわかる。
 ※ データの出典は、AIに質問すればわかる。英文記事が出典。
 


 【 追記・訂正 】
 日産の経営者を「狂気的だ」「狂気の沙汰だ」というふうに表現したが、これはまったく不適切だったので、お詫びして訂正します。
 頭のいい日産の経営者が、そんな簡単なことがわからないはずがない。ゆえに、「妄想」「狂気的」というようなことはありえない。
 では、何か? 「わかっていながら、あえて嘘をついている」ということだ。つまり、詐欺・ペテンのたぐいだ。およそ実現不可能な絵空事を掲げて、さも事実であるかのように吹聴する。そんな荒唐無稽な夢物語は、誰もまともに信じそうにないのだが、日産の経営者が語れば、ホラが真実のごとく聞こえる。……そうやって、しきりに だまそうとしていうのだ。
 嘘つき。それが本質である。だから「詐欺師にだまされるな」と私が警告しているのだ。

 ※ もともと「詐欺師にだまされるな」という趣旨で書く予定だったのだが、ついつい、筆が滑って、「妄想」「狂気的」と書いてしまった。失敗した。書く前の予定から、逸れてしまった。夏の暑さで、ボケていたのかも。……「おまえもボケじゃん」と言われたら、ぐうの音も出ないですね。

 ※ ともあれ、日産としては、「世間をだますのはチョロいものさ。嘘をつけば、世間はみんなだまされる」と思っているのだろう。世間をなめきっているのである。だから私が「このな見え透いた嘘に、だまされるな」と警告するわけだ。



 【 関連項目 】
 過去記事でも、同じく北米の日産に言及したことがある。

 (1)
  → 日産は北米で低収益: Open ブログ
 乗用車よりも大型トラックで大不振なので、収益が良くない、という指摘。
 これは 2019年の記事だが、このときは「大型トラックをモデルチェンジするので、新型になれば品質向上で改善する」という日産の弁明を紹介した。
 では、その結果は? こうだ。
 日産が最新のスタイルとエンジンで2019年モデルをアップグレードするために2億3000万ドルを投資したと報じられているにもかかわらず、タイタンはフォード、シボレー、GMC、RAMなどのより強力な競合他社のピックアップトラックのいくつかよりも競争力が低いことが判明しました。

 日産タイタンは、ナバラやフロンティアに加えて、トラックのピックアップ部門でこの日本メーカーを代表するモデルの1つです。2003年に導入されたタイタンは、米国で年間10万台ものモデルを販売するという日産の野心的なプロジェクトとして使用されました。
 日産が2005年に約87,000台のタイタンを販売したことで、存在感の始まりは非常に肯定的でしたが、その後、需要は実際に減少しました。販売台数は2017年に52,924台、2021年には27,406台に減少した。
 ジャカルタ-最近タイタン2024を発売した後、日産は来年の夏にピックアップの生産を停止することを再確認しました。
( → モデル2024の後、日産タイタンの生産は来年中断されます

 北米で最も儲かる大型トラックの分野で、日産は撤退する。他社はこの分や出た階利益率で稼いでいるのに、日産は利益を出すどころか撤退する。
 どうしてこうなった? そのわけは? AIに質問してみると、いろいろと理由が列挙されたが、特に目立つ理由はないようだ。せいぜい「デザインが不評」ということが目立つぐらいだ。
 そこで調べると、次のページが見つかった。
  → https://cobby.jp/nissan-titan.html
 たしかにデザインはひどい。のみならず、内装もひどい。全体的に、魅力がない。こんな車を買いたくなる人がいるとは思えないね。モデルチェンジに 2億3000万ドルを投資しても、開発者の人材で大幅に手抜きしたとしか思えない。
 どうも、日産は新車開発やモデルチェンジのための費用を、大幅にケチっているとしか思えない。赤字で金がないから、新車開発の開発費用も出せない。それでますます赤字が拡大する。……そういう悪循環になっているのだろう。

 (2)
 ルノーの影響を指摘したこともある。
 利益のうち、99%以上を配当に回してしまうのだ!
 今回、「研究開発の資金に向けるために、減配する」という方針を示した。(朝日新聞)
 しかし、利益の 99%以上を配当に回したら、「研究開発の資金に向けるために、減配する」という名目は成立しなくなる。いくら減配しても、残りは 0.6% しかないからだ。これっぽっちの額では、「研究開発の資金を増やす」とは言えない。
 それでも(研究開発費を増やしながら)金を配当に回すのなら、赤字覚悟で、金を借りるしかない。しかし、「赤字覚悟で金を借りてまで、配当をする」というのでは、まさしく、タコが自分の足を食っているのも同然だ。あるいは、「自転車操業」と言ってもいい。投資詐欺の会社が、あえて高額の配当を出してまで、金を集めるのと同様だ。
 はっきり言って、日産がやろうとしているのは、それと同様だ。日産はもはや、詐欺会社も同然である。実質的に倒産しつつあると見なしてもいいだろう。

 なお、日産がこういう馬鹿げた方針を取るのは、日産がルノーの子会社として、「利益の大部分をルノーに献上する」という宿命のせいである。日産が高額配当をなくしたら、それだけでルノーの利益の3分の2が消えてしまうからだ。(当然、株価は暴落する。)
 しかしそれは、「日産の利益をルノーに移転する」というだけのことだ。ルノーの株価は上がるが、日産の株価は暴落して当然だ。
( → 日産自動車の業績が破綻的: Open ブログ

 「日産はもはや、詐欺会社も同然である」と明示している。2019年の時点で、そうなっていたわけだ。今になって急に詐欺師になったわけではない。もともと詐欺集団だったのである。

( ※ トヨタの検査不正は、自動車会社の事業における部分的な不正だった。一方、日産は、詐欺そのものが本業だったと言える。)



 [ 補足 ]
 自動車の屋根が涼しくなる塗料。真夏の屋根温度が 12度も下がる。
  → 日産、温度上昇抑える新塗料を開発 放射冷却で炎天下でも車内涼しく:朝日新聞
  → 日産、塗装で車内温度上昇を抑制する「自己放射冷却塗装」公開 実証実験車両で温度の違いを確認 - Car Watch





posted by 管理人 at 23:14 | Comment(3) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 【 関連項目 】 を追加しました。
Posted by 管理人 at 2024年08月09日 09:31
 【 関連項目 】 の (2) を追加しました。
Posted by 管理人 at 2024年08月09日 10:32
 [ 付記1 ] の前に 《 加筆 》 を挿入しました。
Posted by 管理人 at 2024年08月09日 12:01
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