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将来的に太陽光発電を大量に増やして、日本の電力需要のすべてをまかなうたとして、その大量の電力を EV の充電池に充電できるか? ……不安に思う人も多いだろうから、試算してみよう。
(1) 発電総量
日本の1日の発電量の総量はどれだけか?
最近で多かったのは、2024年7月24日で、その日の全国の瞬間最大電力は約5,900万kW だった。そこで概算のため、平均で 4000万kW と見なすと、
4000万kW×24時間≒10億kWh
となる。これが1日の発電総量だ。(最大値)
※ 別データもある。Perplexity 似質問して得た解答。
「日本の1日の総発電量の最大値について、東京電力のデータによると、2020年度における1日当たりの最大電力量は1,035.2百万kWhであり、これは2020年8月21日に記録されたものです」
ここでも、10億kWh という数字を得られた。
(2) 充電容量
1日に 10億kWh。これを EV に充電するとしたら、何代必要か? EV の1台平均で 50kWh だとすると、
10億kWh ÷ 50kWh= 2000万(台)
つまり、2000万台の EV が必要だ。
一方、現在の自動車の総数は、日本全体で 8000万台だ。
→ https://x.gd/VZSjo
結局、必要な台数は 2000万台で、実際に存在する自動車の総数は 8000万台となる。ガソリン車がすべて EV に置き換わった状態では、十分に足りると言えるだろう。(必要な台数の4倍もある。)
換言すれば、実際に存在する EV の4分の1を充電のために利用するだけで、日本の1日の発電総量をまかなえる。充電量の問題はない、と言えるだろう。
(3) 必要量
現実に必要は充電池の量は、上の試算をはるかに下回る。なぜなら、1日の発電量のすべてを充電する必要はないからだ。つまり、昼間に発電した太陽光発電のうち、かなりの部分を、昼間に消費してしまうから、昼間に消費した分、充電するべき量は減ってしまうのだ。
この方針を貫徹するために、料金制度を変更するといい。
「昼間の電力は安価にして、夜間の電力は効果にする」
こうすれば、昼間の電力消費が大幅に増えるので、その分、夜間の電力消費が減少する。つまり、充電池の必要性は薄らぐ。
具体的には、次のような形で、昼間の電力消費が増える。
・ EV の充電
・ エコキュートによる給湯器の蓄熱
・ 電力を大量消費する工業用途
このような形で、昼間の電力消費を増やせる。その分、夜間の電力消費が減るので、EV に充電する必要量は減る。
先に、1日の発電量の総量は 10億kW だと記した。だが、、そのすべてを EV に充電する必要はあるまい。おおざっぱに言って、太陽光発電の発電時間は6時間ほどあり、その6時間の間に、半分ほどを消費して、半分ほどを蓄電する。発電した 10億kW のうち、5億kW を消費して、5億kW を蓄電する。
この場合、必要な蓄電量は、もとの 10億kW の半分になるから、必要な EV の量も、先の試算の半分で済む。つまり、2000万台の半分の 1000万台で済む。
逆に言えば、1000万台で済むのに、現実には 8000万台もあることになる。これほど多くの EV があれば、充電量はたっぷりとあるので、1日分でなく8日分の電力を貯め込める計算だ。
こうなると、晴れでなく、曇りや雨の日が続いても、かなり耐性があることになる。
「必要な電力のすべてを太陽光でまかなう」
という方針は、十分に可能だ、と言えるだろう。
[ 付記1 ]
雨や曇りの日には、発電量がゼロになるのではなく、発電量が半分ぐらいになるだけだ。したがって、雨や曇りが続いても、そんなに心配することはない。
[ 付記2 ]
それでも万一の場合には、電力不足の可能性があるので、火力発電所によるバックアップが必要だ。
ただし、それは十分に前もって予想できるから、あらかじめ準備するだけで足りる。
例。「雨天が1週間も続いて、発電量が減って、充電量も不足してきた。明日は EV の充電量も残り少なくなってくるので、臨時で火力発電所をひとつだけ稼働しよう。こいつが 100万kW を出力するから、それで帳尻が合う。問題は解決した」
https://www.niitsu-gumi.co.jp/passive-house/living/ニチコンv2h&日産サクラでオフグリッドに挑戦し/#:~:text=平均すると、充電と放電,る、ということですね。
を見ると、
====以下上記HPより一部省略しつつ引用====
4.50kWhの電力量をEVから家へ放電した
住宅側でバッテリーから受けた電力量は2.78kWh
1.72kWhが放電ロスです。約38%の電力が消えてしまった
時間あたりのロスは586W。充電or放電でV2Hが動いている間はこの量の電力が家庭消費分に上乗せされる
====以上上記HPより引用====
とあります。
他にも、V2Hの導入で買電量は減るが売電量がそれ以上に減るケースもあるなど、なかなか難しそうです。
上記記事の後編
https://www.niitsu-gumi.co.jp/passive-house/living/ニチコンv2hで「元を取る」使いかたを検証してみ/
も必見です。
バッテリークーラーがあるのは、テスラや BYD や 日産アリアなど。サクラやリーフは、駄目。
→ http://openblog.seesaa.net/article/486914989.html
中国では1億弱kwhの貯蔵施設ができたらしいです。いやスケールとスピードがケタ違いですね。
テスラや BYD や 日産アリアの方がましなのかもしれませんが、そもそもバッテリーに一度充電して取り出す時点で、3割程度の損失はつきものです。
例えば、10000mAh、満充電のモバイルバッテリーAから10000mAh、空のモバイルバッテリーBに充電すると7000mAh、その後BからAに充電すると5000mAh程度にしかならないと聞いたことがあります。
揚水発電も65〜75%の効率とのことです。
つまり、太陽光発電で余った電力を、夜間に足りない量の1.5倍程度EVに充電しなければならないということですね。
> 電池が新品の場合96%という値が例示されています。電池が劣化した場合は充放電効率は低下するようで、85%程度の値が例示されています。
→ https://okbizcs.okwave.jp/mori.nc-net/qa/q9705668.html
ここから「太陽光発電とEVが主」「火力発電とガソリン車が従」という状態に持っていくためにはどんな方法があるか、考えてみました。
A.先にEVが普及
現在、家に太陽光発電がなく、EVがある人は「夜間の安い電気で充電し、昼間に走る」という考えだと思います。
EVが増えるにつれ、夜間の電力需要が増えていきます。
現在夜間の電力が安いのは、原発というベースロード電源があった頃の名残であり、それが失われ、EVの充電需要が増えれば、夜間の電気代はだんだん上昇していきます。
EVの優位が減ってしまうので、「それなら自宅に太陽光発電を設置してV2Hで昼間は充電、夜は放電」と考える人が出てきます。
また、これ以上EVを普及させるためには職場や出先での急速充電器の設置も必要です。
それにより昼間の電力需要も増えます。
それを補うため、業者による太陽光発電の設置も進みます。
という形で、EVに引っ張られる形で太陽光発電も増えていくというシナリオです。
主従逆転まで持っていける力があるようには思えません。
B.先に太陽光発電が普及
現在は中国が安価な太陽光パネルを大量に輸出したくてしょうがないので、それに乗っかる方法です。
発電業者はまず南向きのパネルを増やしますが、そうなると需給の関係で真昼の電力価格が下がります。
一方、夕方や朝方の電力価格はそれほど下がらないので、西向き、東向きの順にパネルの設置が進みます。
これにより、昼間全体の電気料金が安くなるので、今までEVを夜間に充電していた人が昼間に充電するようになります。新たにEVを買う人も増えます。
という形で、太陽光発電に引っ張られる形でEVも増えていくというシナリオです。
こちらも主従逆転まで持っていける力があるようには思えません。
管理人さんはどうやったら主従逆転まで持っていけるとお考えですか?
なのに現実には、あまり増えない。それはなぜか……という話は、これまでにテーマにして来た。
下記記事で説明した。
→ http://openblog.seesaa.net/article/503985525.html
本日の話も参照。( 2024/08/02 )
ただしその差は急速に縮まっているので、あと数年で、ガソリン車と同等になりそうです。そのころになって、急激に普及するでしょう。それは、全固体電池が実用化されるころでもある。
EV の普及率は数年後に急速に上昇しそうだが、電力の供給量は急激には伸びない。とすると、電力逼迫などの問題が起こりかねない。
政府に計画性がないと、とんでもないことになりがちだ。「こんなこともあろうかと」と考えないからだ。
いつもの「右手と左手」の話はどこへ行ったんですか?そのボロ儲けの分は誰が損してるんですか?
高い電気料金という形で、国民全体が損してるんですよね?そうなると「そんなに電気が高いならガソリン車でいいや」となって、EVの推進にはブレーキがかかりますよね?
かといって、原価に見合った水準に電気料金を下げればEVの普及は促進できるかもしれませんが、太陽光発電の普及そのものにブレーキがかかります。
結局、太陽光発電とEVの普及には「鶏が先か、卵が先か」というジレンマがあります。急速充電器の普及も合わせてトリレンマというべきでしょう。V2H機器のコストもばかにできません。
数十年先には石油が取れなくなり、太陽光発電とEVに頼らなければならない未来が来るかもしれません。
その時に備えるなら、今からトリレンマを打ち砕くべく、すべてに飴を与えて普及を促進するべきなのかもしれません。
しかし、数十年も前から予見できた少子高齢化社会に対し、何ら有効な対策を打てなかった政府が、そんなことをするとは思えません。
論理が変でしょ。高い金を払っているのは、一般家庭(EV不使用)です。EV を使う家庭は、ガソリン代よりも電気代の方が安いので、「ガソリン車よりも EV の方がいいね」となります。前に紹介したでしょ。
→ http://openblog.seesaa.net/article/504047831.html#comment
Posted by 管理人 at 2024年07月23日 23:34
>>> 充電所で充電するのに比べて、半額で済む。電気代が大幅に安くなる。
現状でも、燃費・電費のコスト面では、EV はガソリン車に圧勝しています。コスト面では、問題にならない。
> 太陽光発電とEVの普及には「鶏が先か、卵が先か」というジレンマがあります。
ありません。太陽光発電は、少しずつ増やしていくべきです。EV は、数年後に、一挙に大幅に普及率が高まります。両者は、別々の増加カーブを描きます。
> すべてに飴を与えて普及を促進するべき
その必要はありません。何もしなければいい。何もしなければ、欧州と同様に、太陽光パネルは急激に普及します。その方が儲かるんだから、自動的に普及率は高まる。
ではなぜ、現実には普及率が上がらないのか? 政府が普及に妨害政策を取っているからです。「太陽光パネルを設置するのを禁止する」という政策。何度も述べた通り。前日記事の最後のリンクを参照。
→ http://openblog.seesaa.net/article/504198094.html
違います。あなた、人の話を全然、読んでいないでしょう。ちゃんとリンクを示しました。そこに説明してある。
→ http://openblog.seesaa.net/article/503985525.html
ここには「国民全体が損してる」なんていう話は出てこない。ちゃんとこう書いてある。
「 これはつまり、「太陽光発電の事業者からは金を奪い、火力や原子力発電の事業者には金を与える」という歪んだ料金制度と同じである。」
損しているのは太陽光発電の事業者であり、その金を奪っているのは火力や原子力発電の事業者(東電など)である。
ちゃんと説明してあるんだから、説明の文章ぐらい、読みましょう。相手の話を聞かないのなら、議論にならない。一人でどこかで勝手に騒いでいればいい。
> 太陽光発電の事業者からは金を奪い、火力や原子力発電の事業者には金を与える…損しているのは太陽光発電の事業者
で、どっちなんですか?
発電コストは9円で、販売価格は26円なんだから、発電すればボロ儲けできるはずだ。だが、現実には、東電が買い取り価格を9円にしているから、発電業者はちっとも儲からない。
差益(17円)を、太陽光事業者に渡さず、すべて東電が独り占めしている。
事業構造としては、太陽光発電は大儲けできるはずなのに、東電が金を盗み取るシステムだ。だから日本では太陽光発電は増えない。
そういう趣旨で書いてあるでしょ。
→ http://openblog.seesaa.net/article/498890746.html
差益はFITを通じて、太陽光発電を設置した個人等、小規模な発電を行う人に還元されているのでは?
東電は自然エネルギーの不安定な出力を平準化する役目を担っているのですから、差益の独り占めは論外ですが、一部をもらう権利はあるはずです。
なお、再エネ賦課金の話のコメントには
> 都合のいいときだけつまみ食いしたい、というような勝手な発電には、低価格が付くのが当然だ。火力発電のコストが 15円だとして、原子力には 11円、太陽光発電には 8円ぐらいが妥当だろう。
と書かれています。
発電コストは9円で買い取り価格が8円?
それともつまみ食いしたい、というような勝手な発電を26円で買い取る?
実際はその中間のどこかに着地するのでしょうが、それではボロ儲けはできません。
それでも(国が正しい政策を取れば)儲かるからメガソーラーは増えるのでしょうが、そうなれば昼間の電力価格は下がり、儲からなくなります。
中国であれば、儲かりそうと思った事業には我先に群がり、過当競争で共倒れというのがシェアサイクル、二輪車、EVなどにみられるお決まりのパターンですが、日本において、ボロ儲けできないのにどんどんメガソーラーが増えるとは思えません。
それは、私の言い分ではなくて、「電力会社の言い分はこれこれだろう」という推定です。別にそれを認めているわけじゃない。(私は認めない、と明示している。)
> それではボロ儲けはできません。
東電の言い分に従えば、太陽光の事業者がボロ儲けできないのは当然。かわりに東電がボロ儲けする。他人の事業で得た利益を、横から盗み取る。
> (国が正しい政策を取れば)儲かるからメガソーラーは増えるのでしょうが、そうなれば昼間の電力価格は下がり、儲からなくなります。
いや、(国が正しい政策を取れば)東電の不当利益が減るだけです。東電は利益が激減するが、メガソーラーはボロ儲けできます。
あなた、日本語力がないの?
> 日本において、ボロ儲けできないのにどんどんメガソーラーが増えるとは思えません。
そうですよ。私が何度もそう言っているでしょ。「日本はあえて太陽光発電を減らそうという政策を取っている。亡国政策だ」と。
日本は自民党と東電が利権を得ることが最優先の目的となっている。そのせいで、他のあらゆる産業はすべて滅びる。一将功成りて万骨枯る。そういう亡国政策だ。
何度もそう言っているでしょ。日本語、読めますか?
それは、昼間の太陽光発電の発電量が需要を上回って、余剰電力が発生するようになった……という将来の話。20年後ぐらいの話。太陽光発電の買い取り価格を安くして、安い電力を EV に蓄電する。
一方、現時点では、太陽光発電の発電量は需要よりも全然足りないので、特に安くする必要はない。火力よりも少し安い程度でいいはずだ。
火力の発電コストは、かなり上がっているので、9.5円程度で買い上げていると、東電は安い電力を買ってボロ儲けすることになる。太陽光発電の事業者は、利益を奪われる。その分、普及が遅れる。
値崩れするほど余剰電力があるのであれば、それを目当てにEVを買う人は増えるでしょうが、メガソーラーの業者は泣きを見ます。
メガソーラーの電力を適正な価格で買い取ってもらえれば発電量は増えるでしょうが、電気代が高いままではEVを買う人は増えません。
結局、太陽光発電とEVを両方増やそうと思ったら、電気を高値で買って安値で売るしかありませんが、それは不可能です。このジレンマをどうお考えですか?
それに、EVが主流になるためにはSA/PA(や道の駅等)の急速充電器の整備が必須です。
少なくとも現状のようにSA/PAごとに数台といったレベルではなく、駐車マスの何分の1かは充電器付きといったレベルでないとダメでしょう。
ガソリン車でトイレ+αで15分の休憩だった人がEVで30分休憩になれば、駐車場の回転率は1/2になります。駐車マスの不足は深刻になることが予想されます。
管理人さんはかつて「SA/PAの近くの空き地を駐車場にすればよい」とおっしゃっていましたが、高速の駐車場と充電の問題はどうお考えですか?
将来的には太陽光発電の発電コストは5円以下になるので、それで解決します。
> 高速の駐車場と充電の問題はどうお考えですか?
サイト内検索をすればすぐにわかるのに。ちゃんとその機能があるでしょ。
→ https://x.gd/x3WVc
再掲する形の要旨は、こちら。
→ http://openblog.seesaa.net/article/500115359.html
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上記に補足して言うと:
急速充電所の問題は、ひどいものだが、かろうじて解決できる道もある。すべてをテスラの充電所に頼ることだ。テスラの充電所で急速充電できるし、充電器の台数もたっぷりと用意されるから、何も問題はなくなる。高速道路の外にちょっと出て、すぐにまた戻るだけだ。1回だけで済むので、たいして面倒ではない。これで万事解決する。めでたし、めでたし。
ただし、テスラの充電所を利用できるのは、テスラ車だけだ。CHAdeMO に対応する他の EV は全滅となる。日本で販売される EV はテスラ車だけとなり、トヨタや日産の EV はまったく売れなくなる。
しかし、しょうがないね。それが日本政府およびトヨタ・日産の方針なんだから。「CHAdeMO だけにする」という方針。CHAdeMO とともに心中するわけだ。
全固体電池になれば、10分間の急速充電が可能になる。その規格は、CHAdeMO ではない、新規格かも。ならば CHAdeMO の呪縛を離れることができるかも。
と思ったが、無理っぽい。事業体が同じ電力会社系だからだ。工事をサボるのが宿命だから、永遠に台数不足となりそうだ。
かくてテスラ車以外は、日本では実用的に使えなくなる。全固体電池の時代になっても。
※ 理由は、技術でなく、経営体質。ベンチがアホやから、野球がでけへん。そういうことだ。