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元記事は、豊田章男会長へのインタビュー記事。
豊田章男会長は18日、「(自動車業界が)日本から出ていけば大変になる。ただ今の日本は頑張ろうという気になれない」「ジャパンラブの私が日本脱出を考えているのは本当に危ない」と述べた。
( → 不正に揺れるトヨタ、会長「今の日本は頑張ろうという気になれない」:朝日新聞 )
このあと、次の記事が出た。
これを受け、トヨタが本社をはじめとする主要拠点を日本から海外へ移転させることを検討しているのではないかと注目されている。豊田会長の発言の真意は何か。また、もしトヨタが主要拠点を海外に移転させた場合、日本経済にどのような影響をおよぼすのか。
( → トヨタ会長、海外移転→日本脱出を示唆…国交省からのイジメ的行為に失望 | ビジネスジャーナル )
この記事では、次のように推測している。「トヨタがそういう意向を示したのは、先の形式指定の不正のあとで、政府に処罰されそうだからだ」と。
仮にそうだとすれば、「トヨタは今後も形式不正を続けるつもりであり、それをすべて見逃してほしいと要求している」ということになる。しかし、それはとんでもない。トヨタは先に不正を詫びたばかりだし、不正のあとの操業停止は「国の処分」ではなく「自発的な操業停止」であるにすぎない。(もっとも、形式指定を得ていない車を生産するというのはありえないが、それは自業自得というものだ。)
だから、「仮にそうだとすれば」ということは、ありえない。
では、何か? そうでなければ、なぜ、トヨタは日本脱出をしたがるのか?
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それについては、先に説明したとおり。
→ 再エネ軽視の亡国政策: Open ブログ
次の趣旨だ。
・大手企業87社が、日本政府に再エネ拡大を求める提言を発表した。
・ 日本政府は現状では、再エネの拡大に消極的すぎる。
・ このままでは、輸出品に高率課税をされかねない。
・ それを回避するため、国内企業は日本脱出をしたがるだろう。
つまり、ここで予言されたことが、まさしく実現した、というだけのことだ。
先の「トヨタの日本脱出」という記事を読んだ人は、「トヨタはけしからん」と怒っていることも多いようだが、話はトヨタだけではないのだ。日本中の大手企業(特に工業企業)がすべて、日本脱出しかねないのだ。話がトヨタだけだと思ったら、大間違いだ。
そして、そういうふうになった理由は、政府の「再エネ抑制」「火力発電推進」という方針だ。
具体的に言おう。政府は「再エネ促進」という方針を、口では示しているが、その速度があまりにも遅すぎるのだ。
将来の見通しは、こうだ。
ChatGPT の回答:
日本政府の将来のエネルギー政策では、2030年度の電力供給における火力発電の依存率は、石炭火力発電が26%、天然ガスが20%、石油火力発電が2%と計画されています。これにより、火力発電全体では約48%の割合を占めることになります?。(出典)
Gemini の回答:
政府は、2030年度までに火力発電の依存率を現行の約70%から40%程度まで引き下げることを目標としています。これは、2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」に基づくものです。
さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの割合を50%〜60%まで引き上げ、火力発電の依存率を20%程度まで下げることを目指しています。
一方、欧州はどうかと言えば、前出項目では、こう記した。(引用)
独英仏米の各国企業はすでに事業で使う電気の8割以上を再エネに置き換えているのに対し、日本企業はまだ25%程度。主要7カ国(G7)では最下位だ。
つまり、2050年になっても、欧州の現行水準には及ばない。それほどにも遅遅とした歩みだ。要するに、やる気がまったくない。
そして、その間に、日本の輸出品目には、高率課税されることになる。
・ 日本製品には、炭素税を 20%の課税
・ 欧州製品には、炭素税が非課税
こういうふうになれば、日本製品は圧倒的に不利になる。だから、国内企業はみんな、日本脱出をするようになる。
そのことは、前出項目で、とっくに指摘済みなのだ。トヨタはそれを実行する多くの企業のうちの一つにすぎない。このあとはすべての日本企業が国外脱出をするようになる。
なのに、政府はそれを理解しようとしないのだ。
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では、政府なぜ、問題を放置するか? その理由も前出項目で示している。
「再エネ拡大のためには、耕作放棄地で太陽光パネルを設置すればいい。しかし農水省がそれを妨害するので、太陽光発電を増やせない」
つまり、こうだ。
「日本政府は、農業自給率を高めることを最優先するので、再生エネの拡大を阻害する。そのせいで、結果的に、日本企業は日本脱出をすることになる」
つまり、こうだ。
「日本政府は、農業を重視して、工業を捨てる決断をした。万一の場合の自給率を高めるために、耕作放棄地で雑草を増やすのを最優先にした。そのためには、太陽光パネルを禁止して、自動車や電器製品などの産業をすべて捨ててしまう、という決断をした」
これが政府の亡国政策だ。先に述べたとおり。
→ 再エネ軽視の亡国政策: Open ブログ
【 追記 】
実はずっと前に、同趣旨の話をしたことがある。
→ トヨタは日本から出て行け: Open ブログ(2021年12月16日)
これはトヨタに「おまえなんか日本から出て行け」と促しているのではなくて、トヨタに「日本から出て行くぞ、と宣言しろ」と勧奨している。
その意味で、トヨタが「日本から出て行くぞ、と宣言した」のは、上記項目の勧奨に従ったことになる。ぴったりだ。
「トヨタさん、私の勧奨に従って、宣言してくれて、ありがとう」
とお礼を言いたいところだ。
私の勧奨から、2年半以上も遅れたことになるが、それでも、トヨタが私の勧奨に従う形になったのは、喜ばしいことだ。
※ 上記項目では、豊田章男は問題点をしっかり理解した上で、「エネルギーのグリーン化が進む地域に生産をシフトしていく」と明示している。一方、今回の発言では、「エネルギーのグリーン化が進む地域に生産をシフトしていく」とは述べていない。そのせいで、「形式不正を見逃してほしいからだ」と誤解されている。……豊田章男も、ボケたかな。肝心のことをきちんと口に出せないようだ。バイデンと同じで、肝心のことを言葉にできないほど、もうろくしているようだ。(そのせいで、誤解を招く。)
トヨタ社員「今のトヨタでは頑張ろうという気にならない。口先でありがとうとは言われるが、給料はほとんど上がらない。トヨタも日本も脱出してやる!」
自動車に限らず、現地生産のほうが現地の雇用を創出できるので都合が良いですし。
日本は人手不足で工場労働者を確保できませんし。みんながみんな大学に行ってホワイトカラーを目指すので。
日本が大幅な貿易黒字だったのは昔の話で、今は毎年、巨額の貿易赤字が発生しています。
日本の輸出の多くは自動車産業に依存していて、一説では9割が自動車関係だとか。
自動車の輸出ができなくなると、日本は石油も輸入できなくなり、国家が破綻します。石油を輸入したくても、それを買うための金がない。輸出する品物がないので。
> 日本は人手不足で工場労働者を確保できませんし。
人手不足は他産業の話。自動車産業では人手不足になったことはない。他産業よりはずっと高給なので。