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都知事選のあとで、石丸がひどく評判を落としているが、それはまあ、どうでもいい。一時的にあぶくのように、大きくふくらんで破裂しただけだろう。もう忘れていい。
問題は、蓮舫と立憲だ。
蓮舫の敗因については、先に述べた。
→ 都知事選の講評(2024): Open ブログ
ここで示したように、蓮舫の敗因は、蓮舫自身にある。もともと小池百合子よりは能力的に大きく劣っていたので、能力に従って落選した、というだけのことだろう。個人的に能力不足なのだから、当選できないのが当然だ。仮に当選したら、かえってまずいことになる。
ただ、落選するにしても、その程度が問題だ。石丸にも負けるほどの惨敗というのは、情けない。ここまでひどい惨敗になったのならば、何らかの問題があったことになる。
では、どんな問題があったか? それが本項のテーマだ。
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蓮舫が惨敗したのは、蓮舫自身の能力不足のほかに、選挙の手法にも大きな問題があったようだ。特に問題なのは、共産党との連携で、このせいで大幅に票を減らしたと言われる。
「共産色が強すぎたので、無所属や保守の票が逃げた」と。
たしかにそうだろう、と私も思う。
では、そうだとしたら、対策としては、どうすればよかったのか?
「単に共産党との関係を断てばいい」
というのは、成立しない。なぜなら、蓮舫は今回、「幅広い共闘をめざす」という狙いから、立憲を離党しており、立憲の協力を得られなかったからだ。
かといって、連合の協力も得られない。共産党と共闘したからだ。
結果的に、共産党と市民連とに頼ることになったが、そのせいで、左派の色が強くなりすぎた。
この状況で、共産党と市民連を切れば、(立憲も連合もいないので)ポスターを貼ることもできなくなる。得票率は 20% から 10%まで、激減しそうだ。
結局、あれも駄目、これも駄目で、どうしようもない。あちらが立てば、こちらが立たず。共産党を切っても切らなくても、どっちでも惨敗するしかないのだ。
困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。次の通り。
(1) 立憲の公認候補となる。(離党はしない。)
(2) 立憲の候補として、連合の協力を得る。
(3) 共産党とは選挙中に、政策のすりあわせをしない。(公約は別々に。)
(4) 共産党との政策のすりあわせは当選後に、と予定する。
(5) 共産党との選挙協力は、何もなし。推薦だけを得る。
※ 選挙の場では共闘しない。助力も受けない。
以上のようにすると、選挙活動は、ほぼ立憲単独(連合が協力する)という程度であって、共産党の強力な組織に頼ることはできなくなる。
すると、ポスターさえもまともに貼ることができなくなる。ポスターを貼る場所は 14000箇所もあるのだ。共産党みたいな強力な組織力がない立憲は、ポスターを貼ることもままならないことになる。
困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「安野たかひろの開発したアプリを使うという方式がある。この方式で、民間人の無償ボランティアにポスターを貼ってもらう」
この方式を開発したのは、私ではなく、安野たかひろのチームだ。(そこに優秀な開発者が所属して、アプリを開発してくれた。)
詳しくは下記に説明されている。
→ 無所属の安野たかひろ陣営が13,000箇所にポスターを貼り終えたがすごいスピードでテクノロジーの社会実装を行った結果だった - Togetter
→ #安野たかひろ チームの都知事選ポスターオペレーション 立ち上げから自動化まで|banbiossa
→ 【開発からリリースまで4日間】 選挙ポスターマップ開発の舞台裏(技術編)
→ 【都知事選2024】チーム安野の選挙戦を振り返って?メンバーのKPTを公開?
Google の提供する Google フォームというアプリを使って、ボランティアとして登録してもらったあとで、都内の各地でポスターをボランティアに手渡しする。その後、ボランティアがあちこちで次々とポスターを貼っていく。その貼っていく状況を次々と地図上でデータからしていくことで、短期間に 14000箇所のポスターを貼り終えたそうだ。
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要するに、共産党や連合の組織力は、特に必要ないのだ。アプリを開発すれば、組織力なしに、ネット上にいるボランティアに頼ることで、同等以上の組織力を発揮できるのだ。
つまり、バーチャルな一時的組織があれば、リアルな組織は必要ないのだ。……これが、決定的なことである。(本項における指摘。重要! )
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これまではそういうふうには理解されていなかった。ポスターを貼るためには組織力が必要で、そのためにはリアルな組織が必要である、と思われてきた。だから、連合の協力を得られない場では、共産党や市民連に頼るしかなかった。かくて蓮舫は、共産党や市民連に頼って選挙をした。
※ この事情についての詳細は、下記に説明してある。体験者談。
→ 蓮舫さんにシール批判をするのは無理(野党共闘の現場より)
だが、今や、そうではないのだ。リアルな組織がなくとも、バーチャルな一時的組織があれば済むのだ。そして、バーチャルな一時的組織を生み出すには、ネット上のボランティアと、それらを結びつけるためのアプリさえあれば足りるのだ。
これこそ 21世紀の選挙だ、と言えるだろう。このようにすれば、共産党や市民連に頼ることなく、誰にも依存せずに、独立独歩で、固有の道を取ることができるのだ。
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ネットでは、立憲批判もあるし、共産党との共闘路線への批判もある。
一方、安野たかひろの選挙活動を賛美する声もある。
だが、この二つを結びつけて、「新時代の選挙活動」というテーマを掲げた人はいない。そして、それをなすのが、本項だ。
※ まったく無関係の二つのアイデアを結びつけて、新たな発見をなす……というのは、数学で「うまい解決」を示すときには、しばしば使われる。エレガントな解答を求む、というやつだ。
※ 以下は読まなくてもいい。
[ 余談 ]
「ポスターは選管がまとめて一括して印刷してしまえばいい」
というアイデアを出す人もいる。なるほど。それはそれで効率的だろう。
だが、うまく行きそうにない。
なぜか? 手続き上の難点があるからだ。
「公示日にポスターを貼るためには、それよりもかなり前にポスターのデータを受け取って、印刷を完了しておく必要がある。しかしそれは、公示日という概念と相容れない。たとえば、公示日の 15日前にデータを受け取って、5日前に印刷を完了して、2日前にポスターを貼り終えるとしよう。そのすべては、公示日の前になされるから、公示日という概念が無効化する。矛盾。」
これはまずいね。