2024年07月10日

◆ 都知事選と選挙協力

 都知事選のあとで、立憲の方針が話題になっている。共産党との関係を、断つか保つか、という話題。

 ──

 都知事選のあとで、石丸がひどく評判を落としているが、それはまあ、どうでもいい。一時的にあぶくのように、大きくふくらんで破裂しただけだろう。もう忘れていい。

 問題は、蓮舫と立憲だ。

 蓮舫の敗因については、先に述べた。
  → 都知事選の講評(2024): Open ブログ

 ここで示したように、蓮舫の敗因は、蓮舫自身にある。もともと小池百合子よりは能力的に大きく劣っていたので、能力に従って落選した、というだけのことだろう。個人的に能力不足なのだから、当選できないのが当然だ。仮に当選したら、かえってまずいことになる。

 ただ、落選するにしても、その程度が問題だ。石丸にも負けるほどの惨敗というのは、情けない。ここまでひどい惨敗になったのならば、何らかの問題があったことになる。
 では、どんな問題があったか? それが本項のテーマだ。

 ──

 蓮舫が惨敗したのは、蓮舫自身の能力不足のほかに、選挙の手法にも大きな問題があったようだ。特に問題なのは、共産党との連携で、このせいで大幅に票を減らしたと言われる。
 「共産色が強すぎたので、無所属や保守の票が逃げた」と。
 たしかにそうだろう、と私も思う。

 では、そうだとしたら、対策としては、どうすればよかったのか?
 「単に共産党との関係を断てばいい」
 というのは、成立しない。なぜなら、蓮舫は今回、「幅広い共闘をめざす」という狙いから、立憲を離党しており、立憲の協力を得られなかったからだ。
 かといって、連合の協力も得られない。共産党と共闘したからだ。
 結果的に、共産党と市民連とに頼ることになったが、そのせいで、左派の色が強くなりすぎた。
 この状況で、共産党と市民連を切れば、(立憲も連合もいないので)ポスターを貼ることもできなくなる。得票率は 20% から 10%まで、激減しそうだ。

 結局、あれも駄目、これも駄目で、どうしようもない。あちらが立てば、こちらが立たず。共産党を切っても切らなくても、どっちでも惨敗するしかないのだ。
 困った。どうする?

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。次の通り。

 (1) 立憲の公認候補となる。(離党はしない。)
 (2) 立憲の候補として、連合の協力を得る。
 (3) 共産党とは選挙中に、政策のすりあわせをしない。(公約は別々に。)
 (4) 共産党との政策のすりあわせは当選後に、と予定する。
 (5) 共産党との選挙協力は、何もなし。推薦だけを得る。
   ※ 選挙の場では共闘しない。助力も受けない。

 以上のようにすると、選挙活動は、ほぼ立憲単独(連合が協力する)という程度であって、共産党の強力な組織に頼ることはできなくなる。
 すると、ポスターさえもまともに貼ることができなくなる。ポスターを貼る場所は 14000箇所もあるのだ。共産党みたいな強力な組織力がない立憲は、ポスターを貼ることもままならないことになる。
 困った。どうする?

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「安野たかひろの開発したアプリを使うという方式がある。この方式で、民間人の無償ボランティアにポスターを貼ってもらう」


 この方式を開発したのは、私ではなく、安野たかひろのチームだ。(そこに優秀な開発者が所属して、アプリを開発してくれた。)
 詳しくは下記に説明されている。
  → 無所属の安野たかひろ陣営が13,000箇所にポスターを貼り終えたがすごいスピードでテクノロジーの社会実装を行った結果だった - Togetter
  → #安野たかひろ チームの都知事選ポスターオペレーション 立ち上げから自動化まで|banbiossa
  → 【開発からリリースまで4日間】 選挙ポスターマップ開発の舞台裏(技術編)
  → 【都知事選2024】チーム安野の選挙戦を振り返って?メンバーのKPTを公開?

 Google の提供する Google フォームというアプリを使って、ボランティアとして登録してもらったあとで、都内の各地でポスターをボランティアに手渡しする。その後、ボランティアがあちこちで次々とポスターを貼っていく。その貼っていく状況を次々と地図上でデータからしていくことで、短期間に 14000箇所のポスターを貼り終えたそうだ。

 ──

 要するに、共産党や連合の組織力は、特に必要ないのだ。アプリを開発すれば、組織力なしに、ネット上にいるボランティアに頼ることで、同等以上の組織力を発揮できるのだ。
 つまり、バーチャルな一時的組織があれば、リアルな組織は必要ないのだ。……これが、決定的なことである。(本項における指摘。重要! )

 ──

 これまではそういうふうには理解されていなかった。ポスターを貼るためには組織力が必要で、そのためにはリアルな組織が必要である、と思われてきた。だから、連合の協力を得られない場では、共産党や市民連に頼るしかなかった。かくて蓮舫は、共産党や市民連に頼って選挙をした。
 ※ この事情についての詳細は、下記に説明してある。体験者談。
    → 蓮舫さんにシール批判をするのは無理(野党共闘の現場より)

 だが、今や、そうではないのだ。リアルな組織がなくとも、バーチャルな一時的組織があれば済むのだ。そして、バーチャルな一時的組織を生み出すには、ネット上のボランティアと、それらを結びつけるためのアプリさえあれば足りるのだ。
 これこそ 21世紀の選挙だ、と言えるだろう。このようにすれば、共産党や市民連に頼ることなく、誰にも依存せずに、独立独歩で、固有の道を取ることができるのだ。

 ──

 ネットでは、立憲批判もあるし、共産党との共闘路線への批判もある。
 一方、安野たかひろの選挙活動を賛美する声もある。
 だが、この二つを結びつけて、「新時代の選挙活動」というテーマを掲げた人はいない。そして、それをなすのが、本項だ。


 ※ まったく無関係の二つのアイデアを結びつけて、新たな発見をなす……というのは、数学で「うまい解決」を示すときには、しばしば使われる。エレガントな解答を求む、というやつだ。




30-lady.jfif





  ※ 以下は読まなくてもいい。


 [ 余談 ]
 「ポスターは選管がまとめて一括して印刷してしまえばいい」
 というアイデアを出す人もいる。なるほど。それはそれで効率的だろう。
 だが、うまく行きそうにない。
 なぜか? 手続き上の難点があるからだ。
 「公示日にポスターを貼るためには、それよりもかなり前にポスターのデータを受け取って、印刷を完了しておく必要がある。しかしそれは、公示日という概念と相容れない。たとえば、公示日の 15日前にデータを受け取って、5日前に印刷を完了して、2日前にポスターを貼り終えるとしよう。そのすべては、公示日の前になされるから、公示日という概念が無効化する。矛盾。」
 これはまずいね。



posted by 管理人 at 22:36 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ