2024年06月28日

◆ 避難所の惨状は他人事か?

 能登地震では避難所があまりにもひどい状況であったことが判明した。それは他人事ではない。

 ──

 朝日新聞が報じている。
 最大で617人が身を寄せた石川県輪島市の大屋小学校。市内に48ある指定避難所の一つだが、水や食料などの備蓄が一切なかった。
 地震翌日の1月2日、被災者が持っていた水を分け合ったが、1人分はコップ半分ほどだった。コメも集めて炊いたが、1人分は握り飯ピンポン球1個分だった。
 支援団体の記録によると、地震9日後の10日は昼食が焼き鳥の缶詰1個、夕食は乾燥米。11日の朝食はせんべい1枚だった。避難所を運営した住民の記録によると、29日の朝食はビスケットだった。
 断水が続き、トイレでは数日で便器から大便があふれた。……大便をおたまですくってゴミ袋に移した。
 衛生面に課題があるなか、1月中旬に感染症が広がると、沢田さんもコロナに感染し、珠代さんもノロウイルスに感染した。

 市内で最も多い1250人が身を寄せた指定避難所・輪島中学校も備蓄がなく、状況は過酷だった。
 家族7人で身を寄せた三谷美貴子さん(57)は名刺大サイズの乾パン5〜6枚を分け合った日もあり、「餓死の恐怖を生まれて初めて抱いた」。
 食料がないかと職員室の机の引き出しの中まで探したが、あめ玉しかなかった。
 災害関連死の認定は今も続いている。朝日新聞の取材では、少なくとも148人の遺族が輪島市など6市町での認定を待っている。
( → 水・食料備蓄なし、感染拡大防げず 輪島の避難所「本部長」の怒り:朝日新聞

 東日本大震災でも、地震で直接死んだ人のほかに、事後の災害関連死が多大に上ったが、今回もそれを踏襲している。避難所暮らしのせいで、健康を悪化させて死んでしまうわけだ。餓死した人もいそうだ。

  ※ だからさっさと二次避難所に行けばよかったのだが、どうしても現地の避難所に留まる人が多かった。せめて避難所を閉鎖すればよかったのだが。

 ──

 これで想像されることがある。「東京などの首都圏はどうか?」と。
 そこで調べたところ、次の状況だと判明した。
 避難所については、都内で 2,780 ヶ所が指定されており、収容人数は約362万人である。
( → 東京都の文書 第10章 避難者対策

  2,780箇所で、 362万人。割り算すると、1箇所あたり 1302人だ。
 食料の備蓄の例は下記。
  → 避難所の備蓄物資 江戸川区ホームページ
 1302人で分けると、せいぜい5食分かな。1日ちょっとしか持たない。量を減らしても、せいぜい2日分だ。

 しかも、この数は、避難者が 362万人の場合である。東京都の昼間人口は 1500万人だから、想定する 362万人の4倍の数が押しよせる可能性がある。そうなったら、食料は半日分しかないことになる。

 ──

 では人々はみんなが死してしまうか? いや、そんなことはない。民間備蓄があるからだ。多くの建物はそのまま残るし、そこでは多くの備蓄食料があるから、それを食べることができる。
 とはいえ、停電になると、生ものはみんな腐ってしまう。夏ならば、冷凍庫にある分も、三日ぐらいしか持つまい。それを焼いて保存して、さらに食前に加熱調理して食べれば、1週間ぐらいは持つかも。
 とはいえ、かなり厳しい状況になることは間違いない。

 食料の備蓄については、避難所で対応するよりは、民間の施設で耐震耐火構造のある食糧倉庫を整備する方が、有効だろう。そっちの対策をするべきだ。また、食料を腐らせないための自家発電設備の配備も推奨するべきだ。(停電になると、スーパーの生ものはみんな腐ってしまうからだ。)

 料理店については、非常用のガスコンロの設置を推奨するべきだ。そうすれば、料理店の生ものを、非常用のガスコンロで加熱調理して、販売できる。これで避難所の食料のかわりとなる。

 地震のときには、避難所の能力だけに頼っても、とてもまかないきれない。民間の能力をいかに生かすかを考えないと、被災者は生き残れない。能登地震のときよりも、もっとずっと多くの人が死んでしまうかもしれない。

 東京都知事の候補も、震災対策をしっかり考えてもらいたいものだ。



 [ 付記 ]
 前項では、避難所の話題で、女性の生理用品の話をした。
 「そんなことはどうでもいい。考えるのも面倒臭い」
 と思った男性読者もいるようだ。
 しかし、困った女性のことを考えることは、巡り巡って、男性の被災者の命を救うことにもつながるのだ。被災者や避難所の状況を改善するからだ。
 情けは人のためならず。田舎の女性の被災者のことを考えて、助けようとすれば、それが結局は、都会にいる男性である自分自身の命を救うことにつながるのだ。

 情けは人のためならず。その意味をじっくり理解しよう。物事は巡り巡って、やがては自分に返ってくるのだ。


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 【 関連項目 】
 地震のときのガスコンロの話。
  → ガスコンロの備蓄(地震): Open ブログ
  → 地震に備蓄食料は不要: Open ブログ
  → 災害時の食料備蓄: Open ブログ
posted by 管理人 at 21:19 | Comment(1) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昨日の生理用品配布マイナー論では失礼しました。
 避難所の備蓄食品の量はなかなか想定が難しいですが、賞味期限を超えてもよいから必要量以上に備蓄するべきでしょう。
 酸素を通さないプラスチックや脱酸素剤の開発のおかげで食品の保存期間は大幅に伸びています。賞味期限の2倍くらいは大丈夫とおもいます。
保存食品全体を気密の箱に入れて脱酸素剤=ホッカイロを入れておけばOKです。  
 携帯ガスコンロだけは準備して、保存期間が過ぎた水を沸かして消毒し、賞味期限が切れた食品も十分温めてしのげばよいと思います。でもこれを役所が言うとマスコミから袋叩きされるでしょうね。公的にはあくまで最後の手段ですが、自宅ではそうするつもりです。
Posted by ひまなので at 2024年06月29日 15:24
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