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今回、新たに報道されたのは、障害者向けのグループホーム事業という福祉サービス。
福祉サービス会社「恵」(本社・東京)が愛知県内で運営する、五つの障害者グループホーム(GH)の事業者指定を取り消され、全国に展開する約100のGHを運営できなくなることが決まった。なぜ、福祉をめぐる不正は後を絶たないのか。
「本社からの指示で食事の量が少なく、体重が減った利用者がいる」
2022年2月、愛知県岡崎市にGHのスタッフから内部告発が寄せられた。市が立ち入り調査すると、食材費として1人あたり月2万5千円を入居者から集めていたのに、実際には8千円程度しか充てていなかったことが判明した。食材や日用品はかかった実費のみ徴収できる決まりだ。
市はすぐさま愛知県に報告。県などは、恵の本社やGHに次々と実地指導や監査に入った。判明したのは、組織的な過大徴収の実態だった。
食材費は本社が集め、各GHに3分の1ほどを支給。差額は売り上げに計上していた。その総額は、愛知県内だけで2億1800万円。岡崎市など複数の自治体が経済的虐待と認定した。
( → (時時刻刻)障害者の住まい、急拡大の隙 恵グループホーム、食材費・報酬不正次々:朝日新聞 )
実を言うと、不正はこの業者だけじゃない。福祉サービスというのは、多かれ少なかれ、この手の不正をやっているものだ。
たいていの保育園では、保育士の給料が激安に据え置かれている一方で、園長は高級外車に乗ってぜいたくざんまいをしているが、その理由も同様だ。自治体からは多額の人件費を支給されているのに、保育士には少額しか払わずに、経営者が莫大な差益を懐に入れているわけだ。前にも何度か指摘したとおり。
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有名なところでは、駒崎弘樹という経営者もいる。ボロ儲け。おまけに、政府内に食い込んで、政治を動かしている。悪徳経営者が、自分たちに有利になるように、法制度を動かしているわけだ。
フローレンス・駒崎弘樹に投じられた助成金は(森友の8億より遥かに高い)20億円。補助金漬けにも関わらず保育士は手取り14万円で働かされています。https://t.co/CLS8gasCFJ pic.twitter.com/4ZPovLGTrI
— ゆりかりん (@yurikalin) August 27, 2018
かくてますます経営者が暴利をむさぼる一方で、保育士は薄給にあえぐ。
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さて。冒頭のグループホームでは、明らかな不正があったのだから、こういう不正については、どんどん摘発するべきだろう。
しかし現状では、摘発を推進するどころか、摘発を抑止するシステムがある。つまり、こうだ。
「不正を報告した人は、経済的に大損する」
なぜなら、その会社が営業停止や事業停止になれば、そこの社員である報告者もまた、収入減で損してしまうからだ。
自分が損するだけでなく、仲間の労働者もみんな損してしまう。
つまり、「正直者が馬鹿を見る」というのが、現行制度だ。「報告者は罰される」という制度だとも言える。狂気の沙汰だ。
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では、どうすればいい? そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「不正の報告者には、巨額の報奨金を与える。不正の露見にともなって、事業者には多額の返金命令が出るが、その金額に従って、かなり多額の報奨金が出るようにする」
今回の事例では、「その総額は、愛知県内だけで2億1800万円」とのことだ。別の事例では、「不正請求額は、総額約4億1千万円」とのことだ。このうち、1割ぐらいを報奨金に回してもいいだろう。落とし物を拾った人にも、1割ぐらい報奨金が出るのだから、不正を報告した人にも、1割ぐらいの報奨金が出てもいい。
そして、そういうふうになれば、各地で不正がどんどん発覚する。仮に、100億円の不正が発覚して、100億円が返金されるとして、1割を報奨金に回すとしても、90億円の差益が出る。
これぞ、うまい方法だ。