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Wikipedia に解説がある。かなり詳しいので、転載しよう。
彼女の研究は、数世紀にわたるアメリカ人女性の収入と労働市場への参加率と変化の原因から、現在も残る男女格差の主な原因を明らかにした。そして、「現代の男女の収入差(男女の賃金格差)」の原因は、女性が子供を持ったか否かと、「貪欲な仕事(greedy work)」の存在、男女による「貪欲な仕事」への従事率差があるからだと明らかにした。
彼女は、賃金格差は「男女間」自体ではなく、同学歴・同企業の同職に就いている「女性間」で育児の有無で賃金差が大きくなるからであることを突き止めた。
男女間の賃金格差は、同業間で「女性であるために賃金が低い」というよりも、同じ職業内で「子供のために仕事から離れている」という子供の有無の原因が2倍大きいことを証明した。
技術や科学系といった比較的「柔軟性」がある仕事では、同職種内での男女間格差が小さい。それに対し、事務系や医療系などのような「短時間働くよりも長時間続けて働いた方が時間あたりの生産性が高くなる」「時間のプレッシャーがある・人との連絡の必要性がある・人間関係の構築の必要性がある・意思決定権が無い」仕事、つまり既婚女性が昇進競争でライバルに勝つには不利な仕事では、同職種内の男女間賃金格差が大きいことからも示されている。
( → クラウディア・ゴールディン )
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なお、上記の記述の裏付けとなる情報は、下記項目のコメント欄で言及した。
→ 出産後の退職率
そこには、次の記事へのリンクを記した。
→ 出産後も仕事続けると、世帯収入が生涯で1.7億円プラス 政府試算:朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASS65258CS65ULFA002M.html
ここから抜粋すると、次の通り。
出産後も女性が仕事を続けると、離職した場合と比べ、世帯の手取り収入が生涯で最大1.7億円増える――。政府が5日、そんな試算を公表した。
妻が出産後も正社員として働き続けた場合の世帯の手取り額は4億9200万円(うち年金は9900万円)だった。一方、妻が出産で離職し、その後も就業しない場合だと3億2500万円(うち年金7600万円)で、1億6700万円の差があった。
男女の賃金格差の大きな理由は、「出産退職」にともなう所得減少なのだ。
しかも、このことは、少子化にも影響する。1.7億円もの所得差があれば、それが子供の数にも影響するだろう。1.7億円をもらえる方は、2人目、3人目を産もうという意欲が高まるが、1.7億円をもらえない方は、2人目、3人目を産もうという意欲が高まらないだろう。
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政府や自治体が「少子化の解消」をめざすとき、児童手当や待機児童数をどうこうしようとする。だが、児童手当や待機児童をどうこうするとしても、たいした金額にはならない。月1万円を 10年もらっても、たったの 120万円にしかならない。これは、1.7億円に比べれば、100分の1にも満たない少額だ。スズメの涙のような少額だ。こんなものをいくらか増やそうとしても無意味なのだ。(小池百合子や蓮舫が児童手当の増額を競っても、無意味なのだ。)
こんなことよりも、「出産退職」をなくすことを最優先の課題とするべきなのだ。
「少子化の解消」をめざすのであれば、何をすればいいのかを、きちんと理解するべきだ。やみくもに金をばらまいても、意味がない。大切なのは、国や自治体の金をばらまくことではなく、労働者が自ら富を生み出すための「機会」(労働機会)を与えることなのだ。……与えるというよりは、それを失うことがないように保証することなのだ。
出典:毎日新聞
【 関連項目 】
「少子化対策では、児童手当のような小額の金を出しても、何の効果もない」
ということは、これまでも何度も指摘してきた。では、かわりにどうするべきか? 以前は、次のように述べた。
→ 少子化の原因 .2(独身者を結婚させよ。晩婚化を止めよ)
→ 少子化の対策 .6(後日記)(結婚率を上げよ)
→ 児童手当を廃止せよ(!)(結婚手当を出せ。早婚優先で)
→ 児童手当よりも女性の給与アップ(女性の正規労働の就業率を上げよ)
→ 経済成長と少子化対策(本項と同趣旨)
さらに、もう一つ。次項で、決定的なアイデアを出す。( 1.7億円を失わずに済む方法。)
⇒ このアイデアが政策や立法といったものならば、私がパッと思いついたのは、「労基法」や「均等法」などの労働関連法によって、男性の総労働時間を制限するものです。(男性は)1日8時間までで残業はダメだとか、週に35時間までだとか、年に1700時間までだとか。それに対して、女性の労働時間の制限は、今のままか、出産・子育てが一段落する年代以上は今より緩くする。
そうすると、各企業がこぞって、いろんな職種で女性を多く採用する。賃金に男女差を付けることは「均等法」で禁止されているので、それは大っぴらにできないにしても、それと同等の効果が期待できる。そうすると、新卒採用の時点から男女比が逆転したり、女性の中途採用やカムバック採用(一度退職した従業員を再度自社で雇用するやり方)もさかんになる。結果として、女性の離職率というか働いていない女性の割合が減り、女性の管理職や役員も増えるので、男女間の賃金格差や生涯年収格差も縮まるか同等に転じ、あるいは逆転する可能性もあります。
これを、新法を作ってやると、自由や幸福追求権の制限だととられて、あちこちから反対されそうですが、労働関係法令なら成立する気がします。
※ そもそも現状でも、「均等法」では、性別による差別的取扱いを原則として禁止する一方、雇用の場での男女格差を解消する目的での、女性のみを対象とした取扱いや女性を優遇する取扱いは、「女性労働者に係る措置に関する特例」として定められて(認められて)います。
別稿でもありましたが、「大学入試の女子枠」が認められるなら、このような提案も、社会通念上は受け入れられると思います。あとは、自民党あたりの連中の問題ですね。
GDP が急減して、日本は一挙に大不況になります。
⇒ 一挙にそうならないように、徐々に(男性の労働時間の)制限をかければいいのではないでしょうか。本当に男女の能力差がないのなら、マクロかつロングスパンで見れば、国民全体の総労働時間が減らなければ、GDPも下がらない理屈ですよね?
ただし、私のアイデアがうまくいっても、GDPについては現状どおりの漸増(微増)でしょう。たぶん、筆者(管理人さん)の決定的なアイデアというのは、他の先進国並みに成長も確保するというブレイクスルー的なものだと思われます。筆者の次の投稿を、刮目して待つことにします。