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……というのは、私の考えではない。現代人の考えだ。そのことが判明した。「現代人は、労働者の権利を認めない」という形で。
そんな馬鹿な、と思う人が多いだろうが、本当である。まずは、次のツイートを見てほしい。
#授業料値上げ に反対する #東大 の一部の学生たちが、オンラインではなく対面での対話を求めて、#藤井輝夫 総長がいると見込んで #安田講堂 に詰めかけました。22時を過ぎても、#インターナショナル を合唱したり、座り込んだりして要求を続けました。 pic.twitter.com/vzp67hhp5x
— 朝日新聞社会部 (@Asahi_Shakai) June 21, 2024
これに対して、ツイッターでは「インターナショナルを合唱するなんて、左翼だ」「極左暴力集団だ」という非難が湧き起こった。
→ 東大における授業料値上げ反対運動で革命歌「インターナショナル」が歌われてしまい、主張に同意していた人さえ離れ始める。
はてなブックマークでも同様のコメントがあふれた。
→ はてなブックマーク
非難する声がほとんどすべてであり、逆に、支持する声はほとんど皆無である。
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さて。インターナショナルとは何か? Wikipedia によれば、こうある。
日本でも労働歌として歌われていた。
( → インターナショナル (歌) - Wikipedia )
要するに、労働組合の歌である。
♪ 「いざ闘わん いざ 奮い立て いざ あぁ インターナショナル 我等がもの」
→ インターナショナル〜日本語版〜【電気蓄音機再生】歌詞入 - YouTube
昔は労働組合がストをするときに、この歌を歌って、集団で団結したものだった。
つまり、「インターナショナルを否定する」ということは、「労働組合の運動を否定する」ということだ。
「労働組合なんて、だっせえな」と批判して、「そんなこと、いちいちやっていられるかよ。それより、スマホでネットを見ているか、スマホゲームをやっている方がいいぜ」思うわけだ。
こうして現代人は、労働運動を批判するようになった。
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しかし労働基本権は、憲法で規定された基本的人権である。
憲法 28条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
解説もある。
日本国憲法第28条では、労働者の権利として、「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」といった3つの権利を認めています。これらをまとめて、労働三権と呼んでいます。
( → 働く人の権利とは?|連合について )
これらの権利は、基本的人権の一部となる。
→ 基本的人権 | 政治経済塾
インターナショナルとは何か? 「万国の労働者よ、団結せよ」と訴える歌だ。(だから international だ。)
その目的は「団結」を高めることだ。それというのも、「団結権」を重視しているからだ。無力な労働者は、一人では何もできないが、団結すれば会社と対抗することができる。それが「労働基本三権」の意義だ。
ところが、である。冒頭の人々は、インターナショナルを否定する。つまり、労働者の団結を否定して、労働者の基本的人権を否定する。
それはつまり、「労働者には、労働者の権利を認めるな」ということであり、「労働者には、人間(日本国民)としての権利はない」ということであり、「労働者は、権利を持たない奴隷である」ということだ。
こう思うことは、別に、不思議ではない。経営者ならば、そう思うのが当然だ。労働者の賃金をなるべく低くして、自分たちの利益を最大解することこそ、経営者の目的だからだ。
しかるに、経営者だけでなく、労働者までもが、そう思うようになったのだ。「労働者には、労働三権を認めないでいい」というふうに。「労働者が、労働三権をもつなんて、左翼の発想だから、けしからん」というふうに。
だから、労働分配率がどんどん下がって、日本人の賃金はどんどん下がっていく。そのせいで、結婚する金もなくなって、日本はどんどん少子化が進んでいく。日本はどんどん少子化していくが、その一因は、こんなところにもあるのだ。
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現代人は、自ら基本的人権(労働者の権利)を捨てて、奴隷となりたがっているのだ。そのせいで、少子化が進んで、日本は滅びゆく。
どうしてそうなったか? その理由は、たぶん、ネットである。人々はスマホとゲームに熱中するせいで、団結をイヤがるようになる。あげく、労働運動を批判して、労働運動を否定するようになる。「そんなことをやるのは左翼だ、極左だ」と信じて。自ら基本的人権を捨てながら。
ネットは国を滅ぼす。そのことが、「労働者による自滅行為」という形で露見していることがわかる。
冒頭のツイッターに対する、ネット界の反応は、そういうことを意味している。
日本オワタ。 日本はオワコン。
[ 付記 ]
日本は駄目だが、アメリカは逆である。労働運動が盛んなので、どんどん賃上げを獲得している。
米国では、コロナ禍を経て労働者の権利を見直す動きが強まり、世論調査で労組に対する好感度が上がっている。UAWは世論を追い風に、昨秋には米自動車大手に対する大規模なストライキを実施し、大幅な賃上げを勝ち取った。
( → ホンダが米工場で労組結成を妨害と告発 「一般的戦術」と会社側反論:朝日新聞 )
米国では、「大規模なストライキを実施し、大幅な賃上げを勝ち取った」そうだ。これが労働者の権利を行使する、ということだ。
同じことを、なぜ日本人はできないのか? やろうとする人はいる。「賃上げをめざそう、ストをしよう」と唱える人だ。しかし、その人に対して、他の人々が非難する。
「労働組合なんて、だっせえな」
「団結してストをする? そんなの、左翼や極左の発想だよ」
「ストには反対! 労働運動には反対!」
「スマホを見てゲームをしている方が楽しいよ」
というふうに。
だから日本は賃上げがなされない。物価上昇率に届かない賃上げ率しか得られないので、実質賃下げになるばかりだ。
→ 物価上昇 実質賃金はマイナス 賃上げ中小企業や非正規労働者は?春闘2024 | NHK
→ 実質賃金、プラス転換は今夏にも? 25カ月連続の“最長不倒”に終止符へ 実質賃金のマイナス幅が2%前後から0.7%に大幅縮小
実質賃金のマイナス状態がずっと続いている。25カ月も。ひどいものだ。
それでもおとなしくしているのが日本人だ。自分で自分の首を絞めたがる。労働者の権利を否定する、という形で。
[ 余談 ]
「インターナショナルを歌うから極左だ。許せん」
と思うのは、
「君が代を歌うから極右だ。許せん」
と思うぐらいの偏見である。
どちらもあまりにも歪んだ偏見だ。インターナショナルを歌うぐらいのことは、昔は労働者ならば誰でもやっていた。君が代を歌うぐらいのことは、どの学校でもなされている。
駄目なのは、歌うのを強制することだけだ。自発的に好きに歌ったからといって、それを非難するのは、ただの弾圧(自由抑制)であるにすぎない。「ジョンレノンのイマジンを歌うのは、反体制運動だから、弾圧する」というのと同様だ。
で、そういう弾圧主義を唱えるのが、現代の日本人だ。頭がイカレているね。だから結果的に、自分の賃金を下げるばかりだ。日本では 25カ月も実質賃下げが続く。自滅行為。インターナショナルを歌えないせいで。
それが共産党の革命運動と連動していると
捉えられているからですよ。
労働運動ー>共産主義を支持ー>
共産党支持ー>共産党政権樹立、
という流れが共産党の一昔前の戦略だったのです。
東大生にしてインターナショナルを歌ってしまうというのは
かなりの質的低下が起きているか、共産党の工作員学生が
混じっているか。
いづれにしても思想汚染に対して免疫が無い状態です。
なぜもっと健全な労働運動にならないのか。
それが日本の長年の弱点です。
共産党に力を与えない為に労働運動は下火になった。
そうでない健全な労働組合ができればよかったのですが、
経団連の圧力と労働省の官僚の力によって育たなかった。
ネットの力とかそんなんじゃないです。
全く関係ない。
経団連と厚生労働省とそれに恭順した政治家が主犯です。
官庁にいる共産主義者を一掃していれば、
健全な労働運動が日本でも発生した可能性が高いです。
(これを実行したのがアメリカ)
共産党がある限り、労働運動は常に取り込まれるリスクが高い。
それは自民党や保守派のプロパガンダでしょ。そんなプロパガンダに踊らされて、「反共」の旗を振って、そのあげく、あらゆる労働権を放棄してしまったのが、日本の労働者だ。
武器を捨てて、魂を捨てる。玉を抜かれるのも同様だ。
連合もそうだし、ほとんどの労働者もそうだ。かくて一方的に金を奪われる。
> 共産党がある限り、労働運動は常に取り込まれるリスクが高い。
頭がおかしいのでは? そう思うのは勝手だけど、だからといって、「スト権を捨てて、自民党とくっつく」という自殺行為をして、どうする。頭がおかしいとしか、言いようがない。
そもそも、日本の労働組合のほとんどは連合系であり、共産党系はごく一部にすぎない。共産党系など、無視できるほどの小規模だ。
というか、連合系の労働組合にも入らない人が大半だ。
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何が正しく、何が間違っているかは、「共産党がどうのこうの」という教条主義な宣伝文句で判断するべきではない。手元に入る金で決めるべきだ。
ストをすることで、大幅賃上げを得るか。ストをしないで、実質賃下げの憂き目に遭うか。
前の項目で言えば、出産退職をすることで、1.7億円の損をするか。出産退職をしないことで、その1.7億円を得るか。
いずれにしても、手元に入る金で決めるべきだ。そんなこともわからないのが、大方の日本人だ。「反共」と騒いで、大金を失う。馬鹿丸出しというしかない。
> 健全な労働運動が日本でも発生した可能性が高いです。
(これを実行したのがアメリカ)
共産党のいる労働組合が強かった時代に、ストをしょっちゅうやって、大幅賃上げを獲得していたのが、50年ぐらい前の日本の労働者です。
アメリカを見るまでもない。日本自身を見ればいい。50年前には、共産党も強かったし、労働組合も強かったし、ストもしばしばあった。だから、労働分配率が高くなり、消費が増えて、高度成長が可能になった。
今は、金は企業の内部留保として死蔵されるから、成長率が下がる。
どうして日本がこんなに悪化したのか、よく考えるといい。
※ 労働者として自殺しているからだ、というのが、本項の結論だ。
※ 逆に言えば、労働者として自殺をやめて、インターナショナルを歌うようになれば、日本はどんどん賃上げが実現して、少子化も解消していく。
読者さんは「日本の一般人はこういう理由で歪んだ偏見をしていますよ」と指摘しています。
それに対して「(読者さんは)頭がおかしいのでは?」というには余りに乱暴です。
論理的に諭すのが本来のあり方でしょう。
正常な認知でない歪んだ偏見は論理でしかさとせません。
最近のリベラルの人たちは口を開けば
「自分たちは寛容だ」というが
いざ違う意見を突きつけられると
「お前バカじゃないか」「自民党に洗脳されている」と罵倒してきますね。
右翼と左翼は両側にいるだけで本質は同じなんじゃないですか
> 「スト権を捨てて、自民党とくっつく」という自殺行為をして、どうする。頭がおかしいとしか、言いようがない。
の主語は、読者さんではなく、連合などです。より広く言えば、「現代の労働者全体」のことです。こういう現代人の頭がおかしい。
読者さんの頭は、おかしくないですよ。
誤読されかねないところではあるが、主語を正しく補って、正確に理解してください。
「スト権を捨てて、自民党とくっつく」ということをなしたのは、連合であって、読者さんではありません。誤読の余地はないはずです。
この話題、かなり昔にもされてませんでしたか?
何年前か忘れましたが、日本の若者は1人でゲームやネットばかりやって社会性を身につけないから他人と一緒に何かをやることが苦手で云々・・・みたいなことをおっしゃっていたような。。。
その手の話題はずっと前に何度か語ったこともある。
ストをしないから低賃金だ、という話をしたことも、何度かある。
ただし、ネットとストと低賃金を結びつけたのは、たぶん、今回が初めて。