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水谷一平・通訳は、ギャンブルで大損した。その額は、当初は6億円ほどと報道されたが、その後、損失は 62億円になると判明した。負けの総額は 280億円にもなる。
裁判資料によると、水原容疑者は2021年〜24年まで約1万9000回のスポーツの違法賭博を行い、最高1万6000ドル(約2450万円)の賭けを行った。水原容疑者が賭けに勝った金額は総額1億4225万6769ドル(約218億円)で、負けた金額は1億8293万5206ドル(約280億)、損失額は4067万8436ドル(約62億円)にのぼる。2021年から大谷になりすまし、口座から負債額を送金していた。
( → 水原一平容疑者、違法賭博での損失は62億円…負け総額は280億:東京中日スポーツ )
あまりにも巨額だ。いったいどうしてこんなに巨額になったのか?
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制度的に言えば、「ツケ」ができるので、赤字額を帳簿に記すだけで、金を借りることができる。そのまま赤字額ばかりがどんどん膨らんでいく。
だが、それはそれとして、どうしてこんなに巨額の赤字が生じるのか? 競馬やパチンコならば、こんなに巨額にはならないのに、どうしてカジノではこんなに巨額の赤字が生じるのか?
そのわけを明かそう。こうだ。
「カジノの場合には、赤字が雪ダルマ式に膨らんでいく。基本原理は、倍々ゲームである。赤字が倍々にふくらんでいくので、回数を増やすと、雪ダルマ式に巨額になる」
例で示そう。
表と裏の丁半バクチがある。
最初に小判で1両を賭ける。負ければ1両を失って、終わり。勝てば1両が2両になる。
そのあと、第2ラウンドだ。ここでは、手にした2両の全額を賭ける。負ければ2両を失って、終わり。勝てば2両が4両になる。
そのあと、第3ラウンドだ。ここでは、手にした4両の全額を賭ける。負ければ4両を失って、終わり。勝てば4両が8両になる。
………………
こういうことを何度か繰り返す。すると、何度か過ぎたところで、必ず負けになり、そこで全額を失う。だから、このようなことを続ける限り、絶対確実に賭金を失うことになる。
最初は1両だったが、1両でなくても同様だ。どんな額で始めようとも、必ず全財産を失うことになる。カジノというのは、仕組み上、絶対確実に全財産を失うことになっているのだ。
ここで、「ツケ」の方式を導入して、金を貸すことにすると、「全財産」というのが、手持ちの額を超えて、いくらでも青天井でふくらんでいくことになる。……かくて、水原通訳のように、「62億円の赤字」という、とんでもないことも起こるわけだ。
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では、これを避けるには、どうすればいいか? こうだ。
「手持ちの全財産を賭けるというのをやめて、固定額(たとえば1両という固定額)だけを賭ける」
この方式だと、賭金が「1両 → 2両 → 4両 → ……」というふうに、倍々で増えていくことはない。だから、「必ず破綻する」という問題は回避できる。
実際、たいていのギャンブルは、(ほぼ)固定額を賭けることになっている。パチンコが代表的だが、競馬も「お小遣いの範囲内」というようにして、賭ける額は頭打ちになっているのが普通だ。だから、たいていのギャンブルは、破綻することがない。
一方、カジノは違う。賭金が「1両 → 2両 → 4両 → ……」という倍々になること(手持ちの全額を再投入すること)は、極端すぎるので、そこまでやる例は少ないだろう。
しかし、それほどではなくても、「勝つにしたがって、賭金をどんどん増やす」ということは、必ず起こる。初めは1両でも、勝ち続けるに従って、必ず賭金をいくらか増やすようになる。「最初の1両のまま賭けを続ける」というようにする人はいない。ギャンブルの目的が、冷や冷やするスリルのを味割ることである以上、「最初の1両のまま賭けを続ける」というようにする人はいないのだ。
かくて、カジノをする人は、必ず賭金をどんどん増やす。手持ちの全額を投入することはなくとも、必ず賭金をどんどん増やす。その傾向の強さに応じて、破綻のリスクはどんどん高まっていく。
だから、カジノをやる人は、必ず大損をする。破綻する時期が早いか遅いか、という違いがあるだけで、破綻は必ずやって来るのだ。
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では、カジノで負けない方法はないのか? 何とかして勝つことはできないのか?
基本的には、勝つことはできない。なぜなら、「寺銭」という手数料を取られるので、たとえ丁半バクチで確率的に半々で損得なしであっても、寺銭の分だけ、必ず損するからだ。
では、寺銭がなければ? それなら、数学的には、損得なしにすることはできるか? つまり、「必ず損する」というのを、避けることはできるか?
いや。できない。数学的に言って、必ず損するに決まっている。なぜか? なぜ数学的に必ず損するのか? 理屈から言って、不公平に思えるが。
実は、その不公平さは、財産の額によって決まる。
・ 客の側の財産は、せいぜい数億円
・ 施設の側の財産は、数千億円〜数兆円
このように、手持ちの財産に、大差がある。
とすれば、両者が確率的に五分五分の賭けをした場合には、客の側が先に破綻する可能性が圧倒的に高い。
客の側が5億円の損をしたら、そこでジ・エンドだ。客が破綻して、ゲームセットとなる。
カジノの側が5億円の損をしても、そこでジ・エンドとならない。手持ちの金は数兆円もあるのだから、5億円の損をしても、まだまだ大丈夫。さららに賭けを続ければ、確率的に言って、いつかは自分の側が勝ちになることもある。そのとき、相手は破綻する。
要するに、確率的に五分五分の賭けをする場合には、手持ち資金が圧倒的に多い方が、勝負では圧倒的に有利なのである。ゆえに、手持ち資金が圧倒的に多い施設側がいつかは勝つ。一方で、手持ち資金が圧倒的に少ない客の側は、当初は勝っていても、いつかは負けて、破綻する。そのとき、ジ・エンドとなる。
※ ただし、賭金を全部すってしまう前にやめておけば、何とかなる。しかし、そこに悪魔が介入して、「賭金を貸してあげますよ。いくらでも貸してあげますよ」とささやく。……こうして水谷通訳は破綻した。
※ 「日本は違うだろ」と思うかもしれないが、さにあらず。ちゃんと悪魔が介入して、法律を悪魔のために書き換えた。
貸金業法では年収の3分の1以下しか貸すことはできません。しかし、カジノ法では、このような制限はなく、事業者はバクチをする人に金を貸すことができます。土地なども担保にとれます。
( → カジノ・バクチ法の疑問に答えます | 福島みずほ公式サイト )
他のバクチと違って、カジノ業者は(貸金によって)客の全財産を奪うことができる。被害者は水原一平だけではないのだ。日本国民全体がその対象となる。カジノ業者は日本全体に手をかぶせたのだ。
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では、賭け額を増やさないで、(少額の)一定額を賭け続ける場合には、どうなるか?
その問題は、確率的には、「ランダム・ウォーク」という図で示せる。

1次元ランダム・ウォークでは、原点に戻る確率は1である。つまり、賭金がゼロになる確率は1である。( 100%確実に、賭金をなくす時期が来る、ということだ。)
心を抑制して、一定額だけを賭け続けても、必ずいつかは賭金をなくしてしまうわけだ。
※ 賭けで破綻を避ける方法はただ一つ。勝率が5割以上の賭けだけをやることだ。それならば破綻を避けることができる。……逆に言えば、そのような賭けの場合には、カジノの施設は儲からない。だから、そんな賭け事は、現実に用意されることがない。現実のカジノはすべて、客が必ず損するようにできているのだ。
[ 付記 ]
大阪のカジノについても、以上のことから、次のように言える。
「大阪のカジノでは、客は勝負について半々になることを期待して、遊んで楽しもうとする。しかしカジノは原則として、施設側が勝つようになっている。初めのうちはビギナーズ・ラックで勝たせてもらえるが、勝ち進むにつれて、賭金を増やすようになるので、最終的には必ず、破綻してしまう。つまり必ず、施設側が勝つ」
「カジノというのは、カジノ業者が客をおだてながら、客の金を巻き上げるための施設である。それに気づかない人がここに来るので、客は次々と破綻していく。業者ばかりがウハウハと儲ける」
こういう悪徳業者が多いから、水原一平はその犠牲となって、62億円もの借金を負ったわけだ。だまされた被害者みたいなものだ。
同様の被害者は、大阪でも大量に発生するだろう。そういう可哀想な被害者をたくさん生み出すために、大阪万博は開催される。
※ 万博の跡地がカジノになる。カジノの土地造成費を軽くするために、万博は開催される。土地造成費を公費で負担して、カジノ業者の負担を軽くするわけだ。
※ これがカジノの皮算用だ。悪魔的ですね。

[ 付記 ]
カジノを推進する悪魔の勢力は、大阪を支配下に置いただけではない。安倍首相・管首相・岸田首相を支配下に置いて、推進法を立法化した。
なお、小池都知事も同様だ。都知事選の前は黙っているが、こっそり「カジノを検討中」という立場を維持している。
→ 森ビル社長、カジノを東京誘致なら関連事業に参画−都市間競合で必要 - Bloomberg
小池都知事が再選された場合には、カジノ推進が復活する可能性がある。
ちなみに、横浜市長選では、カジノ推進派の現職市長を落選させた。賢明ですね。
悪魔というのは、比喩的に言えば、「頂き りり子ちゃん」みたいなものである。高齢者に「結婚します」と ほのめかして、多額の金をだまし取る……という手口。



それと同様に、「すごく儲かりますよ」と ほのめかして、多額の金をだまし取る……という手口。それが、カジノだ。
美人の皮をかぶろうがかぶるまいが、詐欺師の本質は悪魔なのだ。
【 追記 】
カジノは、競馬とは違う点がある。
「競馬では、大金を投入すると、その馬券のオッズ(配当倍率)が下がるので、大金を投入すればするほど不利になるという仕組みがある。そのことで、大金を投入することに、自動的に抑止がかかる。カジノには、そのシステムがない。だから、青天井で、巨額の金を投入しがちだ」
客は、どうせギャンブルをするなら、競馬にすればいいのだ。それなら自動的に抑止がかかる。しかしカジノでは、そうではない。自動的な抑止がかからない。
カジノは(賭金に限度額のある)庶民向けの娯楽ではなく、超巨額の金を投入させることで一挙にボロ儲けしようとするものだ。その対象は、不正な金を巨額にもつ犯罪者である。(水原一平のような。)
犯罪者にあえて金を奪わせてから、その金をさらに(上前のように)奪おうとするのが、カジノを招く行政組織だ。だました女詐欺師から、さらに金を巻き上げようとする、ホストクラブみたいなものだ。つまり、犯罪者の金を吸い上げる悪魔。
「競馬よりもカジノを招こう」という大阪府知事は、まさしく悪魔の血に染まっているのだ。
理性の箍が外れるので、いくところまでいってしまって、後で後悔するのはカジノに限らず、競馬、パチンコも同じような気がする!
いくらツケで勘定を後伸ばしに出来ても、水原は正真正銘のイカれた阿呆だったのかな?
※ 悪魔よりも、悪魔の被害者を非難するのでは、問題の本質を見失う。被害者よりは、悪魔の方を見極めるべき。
※ 水原は悪人だけど、悪魔は人を悪事に駆り立てて、自分は無傷のまま、金をごっそり奪い取るんです。悪魔は悪人よりも、もっと狡猾だ。
思いだしたのですが、最も古典的で有名な「カジノ必勝法」がありますよね。マーチンゲール(倍賭け法)というそうです。
https://kdsv.jp/news/archives/539
そのスキームは、
@「倍額」というか、いままで自分が賭けて負けたぶんの総額を取り戻せる額を、その都度賭ける。
A 目標額を超えて最初に買ったら、そこで必ずやめる(勝ち逃げする)。
というもので、非常に単純です。問題があるとしたら、上の URL のサイトにも書いてあり、かつ本稿でも指摘されているようですが、
A.資金が続かない(ショートする)。
B.例えばカジノのルーレットでは、親の総取りの目があるので、ショバ代を含めて胴元に巻き上げられる「テラ銭ぶん」がカバーできない。
ということです。しかしながら、今回の水谷さんの場合は、大谷氏の懐(銀行預金)を当てにしているので資金がショートする前に目標額に達する可能性が高い(62億円を自由にできれば数億円勝つことは不可能ではない)のと、スポーツ賭博では胴元側が結果に介入できない(ルーレットのようにディーラーが時々総取りの目に玉を入れることができない)ので、そのぶんは有利だと思われます。
まあ、水谷氏もそう考えて、この犯罪に手を染めたのかもしれませんが、たぶん、きれいな勝ち逃げができずにズルズルと続けていたのでしょうね。
一平がやっていたのは、スポーツ博打。情報量の差があるので、素人は必ず損するに決まっている。
「スポーツ博打は必ず損する」と理解できなかった素人の大失敗。無知が理由。
> 例で示そう。
> 表と裏の丁半バクチがある。(中略)
> 最初は1両だったが、1両でなくても同様だ。どんな額で始めようとも、必ず全財産を失うことになる。カジノというのは、仕組み上、絶対確実に全財産を失うことになっているのだ。
本稿は、まず、丁半バクチだのカジノだの、倍額ではないにしろ一定額を賭けるランダムウォークだのの例を示して、「そういう単純なモデルでも、賭け事というものは勝てないよ。それが本質だよ。だからスポーツ賭博も勝てるはずがなかった」という論旨のように読めます。
それに対して私は、「単純なモデルなら、条件付きながら勝つ方法はあります。スポーツ賭博で負けたのは、別の原因がありますよ」との考えを示しました。
という私の主張に対して、管理人さんはコメントで、「スポーツ賭博はサイコロ博打に比べて情報量の差があるから、素人の水原氏は勝てなかったんだ」と反論されました。
いつものように話がかみ合っていないことはさておき、それならそれで最初から、丁半バクチなどの例を出さずに、スポーツ賭博の難しさをメインに論じるべきでは? それとも、また私のほうが誤読してるんですかね。笑
> いつものように話がかみ合っていない
反論じゃないです。関連する話題を、ついでに補充しただけです。別に文句は言っていませんよ。
かわっこだっこ さんだって、そうでしょ? 別に、いちいち私に反論しているわけじゃなくて、ついでに補充的に述べているだけでしょ?
私もそうです。ついでに補充的に述べているだけです。だべりんぐみたいなものです。友人同士のおしゃべりみたいなものです。
「スポーツ賭博は、カジノのルーレットのように、2倍、4倍……というような単純なオッズ(レート)ではない。胴元は、種目ごと、試合ごとに、複雑かつ絶妙に、自分に有利なオッズや手数料レートを設定している。素人は、その情報を分析しきれないから、資金がショートしなければいつかは勝てるはずだと思い込んでしまう。ところが、長く続けていると、必ず収支がマイナスに傾くときが来て、あとは下り坂を転げ落ちるように負け続ける。そこがわからなかったのは、やはり素人の浅はかさだ。」
という説明だったと解釈しました。