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(1) 双方への要求
停戦案が出たあと、イスラエルとハマスの双方に対して、合意を求める声明が出た。
米国とカタール、エジプトは1日、バイデン米大統領が明らかにした新たな停戦案に基づき合意するようイスラエルとハマスに求める共同声明を発表した。
( → ガザ新停戦案、仲介国が合意要請 欧州も支持、終結への圧力強まる:東京新聞 TOKYO Web )
双方に求めているわけだ。これは当然だろう。
(2) ハマスだけに要求
停戦案への合意を、ハマスにだけ求めて、イスラエルには求めない、という方針を G7首脳が示した。
主要7カ国(G7)首脳は3日、バイデン米大統領が示したパレスチナ自治区ガザでの3段階の停戦案について、全面的に支持すると声明で発表した。
G7首脳は声明で、……イスラム組織ハマスに受け入れを呼びかけると同時に、ハマスに影響力を持つ国に対し、実現に協力するよう求めた。
( → G7首脳、ガザ停戦案「全面支持」 ハマスに受け入れ呼びかけ=声明 | ロイター )
日米欧の先進7カ国(G7)首脳は3日の声明で、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、バイデン米大統領が5月31日に明らかにしたイスラエルの停戦案を全面的に支持した。イスラム組織ハマスに受け入れるよう求めた。
( → G7、ガザの戦闘めぐりイスラエルの停戦案を支持 ハマスに受け入れ要求 - 産経ニュース )
ハマスにだけ受け入れを要求して、イスラエルには要求しない。これでは、ハマスだけが停戦の実行を義務づけられて、イスラエルは(受け入れを要求されないので)攻撃のやり放題……というふうになりかねない。
こういう片方だけの「受け入れ」を要求するのだから、欧州と日本はイスラエル支持が極端すぎる。イカレているというしかない。
「この提案はイスラエルが提案したものだから、イスラエルに受け入れを要求しないのは当然だ」
という見方も、なくはないだろう。だが、イスラエル政府は、公式には何も提案していない。バイデン大統領が口に出しているだけであって、イスラエル政府は何も公言していない。停戦案を遵守するとも言っていない。
常識的には、こうなる。
「この停戦案は、ネタニヤフが個人で提案しただけであって、イスラエル政府は何にも縛られない。一方で、ハマスは停戦案を受け入れた時点で、縛られる。ゆえに、ハマスは人質を解放して、停戦を受け入れる必要がある。一方で、イスラエルは何にも縛られずに、ラファの百万人を虐殺していい」
これがイスラエルの方針だろう。だから、公式では何も口に出さない。そしてまた、それを理解しているから、欧州と日本はハマスに対してだけ、受け入れを要求する。イスラエルには何も要求しない。停戦案の遵守も要求しない。(一方的遵守を容認する。)
欧州と日本は、パレスチナ虐殺をするイスラエルを、徹底的に支持するようだ。そのことが今回の「ハマスに対してだけ要求する」ということからわかる。
ついでだが、「イスラエルは停戦案の履行を確約せよ」と要求するのが、まともな発想だ。だが、欧州も日本も、そんなことは絶対に口に出さない。あくまでイスラエルの虐殺を容認するのが、欧州と日本の方針だ。
※ ハマスに対してだけ要求する、というのが、これまでも一貫して、欧州と日本の方針だった。イスラエルに対しては、何も要求してこなかった。停戦についても、「イスラエルは攻撃中止をせよ」というふうに要求することはなく、「停戦が実現することを期待する」というふうに、まるで天気予報みたいな神様任せの期待を語るだけだった。……イスラエルに対しては、何一つ要求できないわけだ。ただの犬だから。
【 追記 】
今回の提案の本質は、こうだ。
・ ハマスは、受諾したことで、人質の解放を義務づけられる。
・ イスラエルは、人質の解放が実現するまで、攻撃を停止する。
(人質の解放の実現後は、提案をホゴにして、攻撃を再開する。)
つまり、ハマスだけが契約の遵守を求められて、イスラエルは契約の遵守を反故にできる。もともと「受け入れ」を求められたのはハマスだけであり、イスラエルは求められていないのだから、いくらでも反故にできるのだ。「契約破棄」という形で。
これは、ペテンである。「ユダヤの契約書」と言ってもいい。こういうペテン(ユダヤの契約書)にだまされて、次々と被害者が発生した。だからこそ、ユダヤの商人は莫大な富を得た。(ロックフェラーとロスチャイルドがそうやって来た。)
ハマスが賢明ならば、こんなペテンにはだまされずに、停戦案を拒否するだろう。「イスラエルにも遵守義務を要求しない限り、一方的な受け入れはできない」と。
しかし欧州と日本は、ハマスに対してだけ、一方的な受け入れを要求する。なぜか? この提案がペテンであると理解できないからか? 違う。これがペテンだとわかった上で、ペテンにあえて協力するためだ。なぜなら、ペテン師の犬だから。
《 加筆 》
なお、G7は「イスラエルは入植を停止せよ」と要求するべきだが、要求はしない。イスラエルにとっては、入植は やり放題である模様。ヨルダン川西岸のほか、ガザでも入植して、パレスチナ人の土地をすべて奪って、パレスチナ人を地中海に追い落とすつもりだろう。
それでも G7はイスラエルに何も要求しない。ご主人様には何も要求しない。なぜなら、犬だから。
【 翌日の追記 】
最も有力な解決案がある。それは「オスロ合意の遵守」だ。
これが実現すれば、イスラエルの入植はなくなるので、ハマスがイスラエルを攻撃する理由もなくなる。双方が領土を守れるので、合意可能であり、平和が実現できる。
ただしこれは、パレスチナ人の生存権を認めることになる。それはシオニストが絶対に受け入れることができない。だから現実には実現しそうにない。
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シオニストが和平実現の壁になる、という点は、今回の停戦案にも当てはまる。下記記事でも指摘されている。
→ 極右政党の2閣僚、ガザ停戦案に反対 連立離脱を警告 イスラエル:朝日新聞
一方、ネタニヤフは、今回の停戦案について否定的見解を示した。この停戦案を、イスラエル政府が受け入れる可能性は低いようだ。
→ 停戦新提案「可能性低い」 ネタニヤフ氏 米は合意求める:朝日新聞
当のイスラエルが停戦案に否定的なのに、G7 はハマスにばかり受け入れを要求して、イスラエルに受け入れを要求しない。まったく、呆れはてるね。片方だけが受け入れる形での屈服を、ハマスに要求しているのだろうか?
まさしく、ユダヤの犬だね。