2024年05月09日

◆ 武力と平和主義 .41

 ( 前項 の続き )
 ラファで大量殺害をするようだが、イスラエルは悪なのか?

 ──

 イスラエルは悪か? 


 前項で予想したように、イスラエルはラファ攻撃を止めようとしない。そのことが確定したようだ。
  → ラファ市東部でイスラエル軍と戦闘中=ハマス | ロイター

 これに対して、バイデン大統領は「武器供与停止」の方針を公言した。
  → バイデン氏、イスラエルへの武器供与の一部停止を示唆 ラファ侵攻なら - BBCニュース
  → 「ラファ侵攻なら武器供与停止」アメリカ・バイデン大統領 イスラエル軍はラファ東部で作戦継続 | TBS NEWS DIG




 ※ 「武器供与中止」については、「武力と平和主義 .38」の項目の最後でも言及した。そのときは、裏の情報だったが、今回はバイデン自身が公言する、表の情報となった。

 ──

 さて。前項でも示したように、イスラエルはまさしく民族抹消計画を実行しつつある。これはヒトラーと同様のことをやっていることになる。
 では、そうだとすれば、「イスラエルは悪だ」と言えるだろうか? 

 「イスラエルは悪か?」という問題については、前に回答を出したことがある。再掲しよう。
 「イスラエルがこれほどにもタカ戦略を取って侵略をするのは、攻撃性があるからではなく、自分を守ろうとして、過剰防衛をしてしまうからだ。その根底にあるのは、自分たちが滅ぼされるかも入れないという恐怖である」

 このとき、彼らはもともと人殺しをしたいわけではない。「殺さなければ殺される」というふうに思って、過剰に殺してしまうのだ。だから、殺すことを正当視する。「殺さなければ殺されるのだから、殺すことは正当だ。これは正当防衛だ」というふうに思い込む。実際には、赤ん坊や幼児を殺すことが、正当防衛であるはずがないのだが、彼らはそうは思わない。「これは正当防衛だ」と思い込む。一種の錯覚だ。

 ではなぜ、彼らはそう思うのか? 怯えているからだ。
 「ハマスの攻撃は怖い。1200人も殺された。それ以前にも、何度となく、攻撃を受けてきた。数千発のロケット弾もあった。これほどにも攻撃されていて、いつ殺されるかもしれない。それを防ぐためには、パレスチナを攻撃することは正当だ」
 こういうふうに思い込む。だから彼らはパレスチナ人を大量虐殺したがるのだ。いわば、ゴキブリの群れに襲われる恐怖に駆られて、ゴキブリを大量虐殺したがるように。
( → 武力と平和主義 .15: Open ブログ

 イスラエルは、邪悪なのではなく、臆病なのだ。臆病なので、恐怖にとらわれる。恐怖に駆られて、恐怖に抗おうとして、過剰に勇猛であろうとする。そこで銃を持って乱射するのだ。

 幽霊の正体


 話はかわるが、「幽霊や妖怪とは何か?」という話題がある。その記事には、こう記してある。 
 「妖怪は本当はいないと思うよ。人が理解できない不思議なことが起きたとき、頭の中で想像してつくりあげたのが妖怪なんだ」
( → (もっと教えて!ドラえもん)妖怪、なぜ信じられてきたの?:朝日新聞

     幽霊の正体 見たり 枯れ尾花



 幽霊や妖怪は存在しない。しかし、存在しないものを見てしまう。ありもしないものを見てしまう。幻影を見てしまう。
 そのわけは? 恐怖だ。恐怖のせいで、ありもしないものを見てしまう。幻影を見てしまう。幻を見るわけだ。

 ハマスを怖がる。そのせいで、ハマスを巨大な悪魔のように見なす。相手を恐ろしいゴジラのように見なす。





 ハマスがゴジラほど巨大であるわけがない。しかし恐怖ゆえに、錯覚しながら妄想する。そこでこれを、何としても滅ぼす必要があると感じる。恐怖に襲われながら。そのせいで、ガザの女子供を大量虐殺する。巨大な悪を攻撃しているつもりで。
 そして、銃を止めたあとで、足元に横たわる女子供の死体を見たとき、これがゴジラではないことに気づく。しかしそのあとすぐに、自分の錯覚のことなど、忘れてしまう。

 目をふさぐ


 いや。彼らは自分の誤りを忘れるのではない。自分の誤りにあえて目をふさぐのだ。あえて真実を見るまいとしているのだ。自分の殺したのは、ゴジラではなく、女子供である、という真実を。

 そもそも、彼らにとって恐怖であるハマスの攻撃は、外部から突然押しよせたものではない。ゴジラのように不可抗力で押しよせたものではない。彼ら自身が招き寄せたものだ。「パレスチナ人を虐待して、土地を奪う」(入植する)という形で。
 人を殴れば、殴り返されるのは当然のことだ。しかしイスラエルは、自分が先に殴ったことを忘れて、「相手が殴るから、相手が悪い」と言い張る。「ひとのものはおれのもの おれのものはおれのもの」という理屈だ。こういう理屈で、「ハマスは悪だ」「ハマスは怖い」「ハマスを殺せ」といきり立つ。
 真実に目をふさぐせいで、幻を見るのだ。「自分たちを殺そうとする巨大な悪」という幻を。
 かくて彼らは、正義の力をふるっているつもりで、女子供を大量虐殺する。
 
 それがラファにおける 200万人の民族抹消計画だ。アウシュビッツのように。


  ※ この意味では、イスラエルはある意味、プーチンよりもひどい、と言えるかもしれない。少なくともプーチンは、これほどの大規模な虐殺をしていない。ブチャでは虐殺をしたが、以後はなりをひそめているようだ。

  ※ ヒトラーと比べてどうなのかは、何とも言えない。




 ※ 次項に続きます。

posted by 管理人 at 23:37 | Comment(0) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
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