2024年05月01日

◆ 武力と平和主義 .34

 ( 前項 の続き )
 引き続き、補足的な話をする。ハマスの件。

 ── 

 ハマス


 ハマスも現在の方針を変更した方がいい。
 ハマスが攻撃するのは、イスラエルに対する報復として、「ハチの一刺し」をすることだ。なぜなら、パレスチナ人に与えられた選択肢は、次のいずれかしかないからだ。
  ・ 何もしないで、単に絶滅する。
  ・ 絶滅するが、その前に、ハチの一刺しをする。

 以上のことから、ハチの一刺しという形で報復すること自体は、やむを得ない。とはいえ、1200人を殺したことで、3万人以上を殺されるのは、とんだ計算違いだった。ヤブヘビとも言える。これうまい方策ではない。困った。どうする?

 そこで、提案しよう。こうだ。
 報復はするが、ただし、次の形にする。
  ・ 対象領域は、パレスチナ領内に限る。特に、入植地。
  ・ 攻撃では、殺害はしない。(放火などの物損を主体とする。)


 前者(入植地への攻撃)は、「ブルジョワ戦略」を意味する。相手の領域内に出向いて攻撃することはなく、自分の領域でのみ攻撃する。「専守防衛」とも言える。このような戦略を取れば、外国から非難されることもなさそうだし、攻撃することの名分も立つ。
 ひるがえって、昨年の 1200人の攻撃は、イスラエル領内に侵入しての攻撃だった。これは、まずかった。このような攻撃をすれば、イスラエルの一般市民が恐怖を感じるので、イスラエルの一般市民が「パレスチナ人を虐殺せよ」というふうに思いがちだ。欧米人も共感する。……かくて、ガザ虐殺が止まらない。これではヤブヘビだ。

 後者は、「人命尊重」を意味する。相手を攻撃するにしても、なるべく人命を奪わない形の攻撃にする。たとえば、「事前予告した上でのロケット弾の攻撃」だ。これならば、予告の時刻に人々が退避することで、人命の損失は避けられる。イスラエルの人々は「死ぬ恐怖」から逃れることができる。
 ひるがえって、昨年の 1200人の攻撃は、人命を奪う攻撃だった。これは、まずかった。このような攻撃をすれば、イスラエルの一般市民が恐怖を感じるので、イスラエルの一般市民が「パレスチナ人を虐殺せよ」というふうに思いがちだ。欧米人も共感する。……かくて、ガザ虐殺が止まらない。これではヤブヘビだ。

 ──

 そもそも、ハマスはコーランの教えに従うべきだった。それは、「目には目を。歯には歯を」ということだ。つまり、受けた被害と同等の報復をするだけでいい。同等以上の報復をするべきではない。相手が泥棒をしたときに、相手を殺害してはならない。それがコーランの教えだ。なのに、ハマスはそうしなかった。相手の「入植」という泥棒行為に対して、1200人の殺害をした。これはコーランの教えに反する。
 できれば、仏教のように「赦し」の優しさをもって、「入植」に対しては軽い罰を与えるだけにするべきだ。それが「入植者に対する放火」などの措置だ。

 ※ その意味では、イスラエルに大量のミサイルを発射したイランの方式は、優れていた。この攻撃で、イスラエルには1人の人的損失(死亡)ももたらさなかったが、金銭的には途轍もない金額の損失をもたらした。3億円が 333発で 1000億円。敵ミサイル1発に対して防衛ミサイル2発を発射したとなると、2000億円。あまりにも巨額の損失である。しかも、備蓄が激減したので、攻撃に対する耐性が大幅に低下した。……イスラエルはこれほどにも大きな損失を受けたが、人命は1名も失わなかった。こういう結果をもたらしたイランの戦略は、非常に賢明だったと言える。

 ※ このあと、イスラエルはイランに対して「報復の反撃をする」と言ったが、実際には何もしないに等しいほどの形骸的な反撃にすぎなかった。イスラエルとしては、攻撃したくてもできなかったのだ。それほどにも、イランのミサイル攻撃は、イスラエルにとって恐ろしいものだったのだ。


 
posted by 管理人 at 23:54 | Comment(2) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ガザ地区は絶滅はしません。降伏するだけです。でもイスラエル統治や入植に個別テロや焼き討ちで抵抗して、最終的にイスラエルが割に合わないとあきらめるのが良いと思います。まあ今までずっとやってきたことです。
 米国の大学で起こっている反イスラエル運動(反ユダヤではない)を支援したいですね。米国の若者が血を流しているわけではないので、ベトナムの時ほどは盛り上がらないと思うのですが。
Posted by ひまなので at 2024年05月02日 10:30
 NHK の番組紹介をした項目から。

>> 番組では、「パレスチナの土地はすべてイスラエルのものだ」というインタビューが紹介されていた。政府要人や右翼政治家がそう主張している。
 http://openblog.seesaa.net/article/503002604.html

 ここでパレスチナ人をイスラエル領土から追放すると主張している。国外に追い出すつもりらしいが、受け入れる国はないので、パレスチナ人は海に放り出されることになる。結果的には絶滅するしかない。最善でも離散であり、ガザに留まることは不可能だ。
 すでにエルサレムではパレスチナ人追放の方針が取られて、それをトランプが公認した。この方針がガザ全体にも取られるのは必然だ。
 
> ガザ地区は絶滅はしません。

 場所は絶滅しないが、そこで生きることができるのはイスラエル人だけだ。
 現在、虐殺している。欧米も日本もそれを止める気はない。「やめて、やめて」とお願いするだけで、現実にやめさせる気はさらさらない。
 だからパレスチナ人は絶滅するしかない。

 自分が何をしているか、理解するべきだ。人を殺しながら、「私は殺していません」と自己を偽るのは、情けない。
 日本はまさしく殺人の賛同者であり、殺人を容認しているのだ。目をそむけては駄目だ。

Posted by 管理人 at 2024年05月02日 12:51
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