2024年04月23日

◆ 武力と平和主義 .31

 ( 前項 の続き )
 中東問題の本質は何か? 結果的に世界はどうなったか? 

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 中東問題の本質


 中東問題の本質は何か? イスラエルの攻撃性か? そう思う人も多いだろう。だが、攻撃性をもつ国家なら、歴史上、各地で何度も出現してきた。それらの攻撃的な国家は、いずれも長期的には攻撃性をなくしたので、問題は解決していった。しかしイスラエルだけは違う。侵略的な攻撃性を保ったまま、建国以来、80年ほどもずっと問題をかかえてきた。その問題はずっと続いてきた。それはなぜか?

 そのヒントは、次のことにある。朝日新聞社説が、西側先進国の方針を批判している。
 不可解なのは、主要7カ国(G7)は国際法に違反するこの攻撃を何ら非難しなかったのに、イランのイスラエル攻撃には「最も強い言葉で明確に非難」したことだ。米英などはイランに新たな制裁を科すことも決めた。
 米国などとは一線を画してイランと独自の外交関係を維持してきた日本が、イランへの一方的な非難に同調したのは残念というほかない。
 こうした「二重基準」は、イスラエルとイランの双方に緊張緩和を促す国際的な結束にも水を差すものだ。
( → (社説)イスラエルとイラン 危険な報復合戦やめよ:朝日新聞

 朝日新聞社は「不可解だ」と言っている。だが、不可解なことなど何もない。主要7カ国(G7)はイスラエルを支持する。戦後一貫して、その方針(イスラエル支持)を取り続けている。80年間も続いた事実だ。その事実を見ながら、いまだに「不可解だ」と感じているとしたら、朝日新聞社はよほどの阿呆なのだろう。

 中東問題の本質は何か? その答えを言おう。
 それは、欧米と日本の偏向だ。ロシアのウクライナ侵略については「正義」を唱えて、「侵略は悪だ」と非難する。なのに、イスラエルのパレスチナ侵略については「正義」を唱えず、「侵略は悪だ」と非難しない。何たる偏向。何たる二重基準。
 ここでは「良心」が働いていない。そのせいで「正義」という言葉は悪を行うための名分として利用されている始末だ。欧米も日本も、「正義」を標榜しながらガザ市民を虐殺するイスラエルを、容認している。実際、大使館を爆撃して殺人するという国際法違反を見ても、見て見ぬ不利だ。
 ここでは心が歪んでいる。良心は失われ、邪心が人を支配している。その状況は「人が悪魔になった」と呼べるだろう。

 このことが問題の本質だ。これまでの他の紛争が起こったとき、欧米や日本の人々は、「紛争は悪だ」「殺人は悪だ」「虐殺は悪だ」と非難してきた。ヒトラーやプーチンによる虐殺を見て、そういうふうに非難してきた。しかしながら、イスラエルによる虐殺を見ても、「紛争は悪だ」「殺人は悪だ」「虐殺は悪だ」と非難する口を封じている。
 なぜか? イスラエルによる悪魔の心が、他の欧米の心に乗り移ったからだ。それまでなら、悪魔の心を人々は打破してきたのだが、イスラエルに関してだけは、悪魔の心を人々は打破できなかった。人々は悪魔の心に負けて、悪魔の心に自分の心を乗っ取られてしまった。
 人類は歴史上初めて、悪に敗北したのである。第二次大戦においては、ヒトラーという悪に勝利したことで、人類は救われた。しかしながら、21世紀においては、人類はイスラエルという悪に敗北して、悪の軍門に降ったのだ。
 この世界は歴史上初めて、悪が支配する世界となったのである。その悪の親玉が、イスラエルと米国とドイツとイギリスだ。この4国が結託したとき、世界は悪の支配する世界と化したのだ。(この世界は、いわばヒトラーに支配されたように、悪に支配されてしまったのだ。)
 

 150万人殺害計画


 前に「100万人殺害計画」を指摘した。
  → 武力と平和主義 .17: Open ブログ

 この実行は、これまで延期されてきたが、とうとう実行される見込みになった。それも 150万人に拡大して。
 ネタニヤフ首相は21日に発表した声明で、「今後数日のうちに、我々は(イスラム組織)ハマスに対する軍事的・外交的圧力を強めていく」との方針を示した。
 ネタニヤフ氏は、ハマスの強硬姿勢を崩すために、「さらなる痛烈な打撃を与える。これはすぐに起きる」とした。
 イスラエル軍のハガリ報道官は21日、ガザ中部でハマス掃討作戦の一つを終えたとした上で、「参謀総長は、戦争の次の動きを承認した」と述べた。
( → ハマスに圧力「数日以内」 イスラエル首相、ラファ侵攻念頭か:朝日新聞

 このような虐殺計画について、国際社会は非難するべきだが、西側社会は非難もしないし、止めようともしない。記事はこう続く。
 ネタニヤフ氏はかねて、ハマス壊滅のためには避難民ら150万人以上が集中するラファへの地上侵攻が不可欠との考えを示しているが、国際社会は人道上の懸念から自制を求めている。

 自制を求めているだけだ。単にお願いするだけだ。止めるための実力行使をすることもない。言葉で非難することさえしない。イスラエルのしもべのようだ。ご主人様にお願いするだけだ。
 明らかに良心を失っている。つまり、悪魔と化している。

 残虐性の報道


 悪魔的な所業は、この世の地獄のような惨憺たる状況をもたらす。それが報道されることは少ないが、本サイトでは前にいくらか紹介したことがある。
  → ガザの被害報道が少ない: Open ブログ

 この記事は、2023年10月30日。この時点では、悲惨ではあったが、地獄というほどではなかった。
 しかしその後、事態は地獄というほどひどい状況になった。
  → ガザの犠牲者3万4千人超す、72%は女性と子ども パレスチナ保健省 - CNN.co.jp

 これほどにも多数の犠牲者が出るに至った。その現実を画像で報道する例もある。いくつか紹介しよう。

 (1) 世界報道写真大賞

 下記記事がある。
  → ガザで子どもの遺体抱く女性、世界報道写真大賞 ロイター記者に | ロイター
 画像はこちら。



 これは悲惨ではあるが、あえて残酷な遺体を示さないところが、欧米人の限界だ。現実のガザは圧倒的に悲惨だが、報道は少ない。かろうじて NHK の画像がある。下記だ。

 (2) NHK スペシャル

  → ハマスとイスラエル 対立激化どこまで - NHKスペシャル - NHK
 ここではいっそう悲惨な画像があるが、残虐というほどではない。残虐さの余り絶句しそうなほどの画像は、報道には適さないようなので、なかなか報道されないが、現地のパレスチナ人が Twitter で公開している。下記だ。 ※ 非常に残虐なので、閲覧注意。
    https://x.gd/IZl6B  https://x.gd/JQ25x
    https://x.gd/IwRXH  https://x.gd/6yuaP

 ──

 画像以外にも、残虐な行為の報道がある。
 
 (3) 手の切断

 パレスチナ人の男性市民が、イスラエル軍に拘束されて、手錠を嵌められたせいで、手を切断される事例が多数。
  → 拘束のパレスチナ人、手錠原因の負傷で「切断が日常化」 医師告発 - CNN.co.jp

 (4) 拷問

 拷問の例もある。
  → 殴打に電気ショック…水を求めると小便をかけられた イスラエル軍拷問の実態、ガザ市民が証言 | 47NEWS

 (5) 虐殺して埋める

 283人を殺して、地面に埋めたあとで、バレないように隠しておいたのが、発見された。
 イスラム主義組織ハマスは、イスラエルが部隊を撤収させたパレスチナ自治区ガザ南部の病院敷地内で283人の遺体が見つかったと発表した。一部には拷問された痕があったと主張している。
 ガザの当局は22日、イスラエル軍が撤収した南部ハンユニスにあるナセル病院の敷地内で、これまでに283人の遺体が埋められた状態で見つかったと発表した。
 地表にはごみが捨てられるなど、イスラエル軍が意図的に隠蔽していたと主張している。
( → ガザ南部の病院敷地から283人の遺体 ハマス“一部には拷問された痕”と主張|FNNプライムオンライン

 国連人権高等弁務官事務所のシャムダサニ報道官は「複数の遺体が発見されており、警鐘を鳴らす必要性を感じている」と指摘。「手を縛られた遺体もあり、これは言うまでもなく国際人権法と国際人道法の重大な違反 …… (以下略)
( → ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を覚える」 | ロイター

 日本政府の対応


 上記では病院で殺害行為をするという事例を示した。こんなことは言語道断だが、これと同類で、前にも病院への攻撃行為があった。
 この例について、日本政府は「イスラエルがやった」とは認定しなかった。
  → ガザ地区における病院への攻撃について (外務大臣談話)|外務省

 哀悼の意を表すだけであって、イスラエルを批判することは決してない。イスラエルを名指しすることすらしない。あくまで腰砕けの方針だ。この件は、前にも指摘した。
  → 武力と平和主義 .28: Open ブログ
 もちろん、上記声明のあとも、外務省はイスラエルについては何も批判しない。
  → 外務大臣談話|外務省

 かろうじて、次の談話がある。
 この暫定措置命令は、イスラエルがジェノサイド条約違反を行っているか否かを現時点で判断したものではありませんが、イスラエルに対し、ガザ地区のパレスチナ人との関係において、ジェノサイド及びその扇動を防ぐための措置をとること、緊急に必要とされる基本的サービス及び人道支援を供給することを可能とする措置をとること等を命じるものです。
 我が国も、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難し、人質の即時解放を求めるとともに、イスラエルに対して、自国及び自国民を守る権利の行使に際して、国際人道法を含む国際法を遵守するよう求めてきています。
 国際社会における法の支配を重視する我が国として、この機会に、ICJが果たしている役割に改めて支持を表明します。
( → 南アフリカによるイスラエルに対する国際司法裁判所(ICJ)への提訴(暫定措置命令の発出)(外務大臣談話)|外務省

 このポイントはこうだ。
  ・ イスラエルがジェノサイドをしているとは認定しない。
  ・ イスラエルがジェノサイドをしないようにという ICJ を支持する。
  ・ ハマスには、断固として非難する。
  ・ イスラエルのジェノサイドには、何も非難しない。
  ・ イスラエルには、国際法の遵守を求めるだけだ。
   (つまり、国際法違反のジェノサイドをしても非難しない。)


 単純に言えば、イスラエルのジェノサイドについては、「見て見ぬフリをする」という方針だ。「やらないでくれ」と望むだけであって、決して非難しません、という方針だ。
 要するに、「ハマスが 1200人を殺したことについては大々的に非難するが、イスラエルが 3.4万人を殺したことについては非難しません」というのが、日本政府の公式見解だ。
 結局、「それは悪いことだ。許しがたい」と頭では理解していても、口に出して正面切って批判することはできない。こういうのを「おもねる」という。それが日本の方針だ。(だからイスラエルが今後、150万人を殺すつもりでも、止めようとしない。)

 日本もまた、悪に支配された世界のうちの一部なのである。(悪魔的だ。)


 米国の状況


 日本はひどいが、米国もまたひどい。パレスチナ問題とは別の話だが、共和党はトランプ旋風が吹き荒れて、共和党を乗っ取ってしまった。民主主義は死んで、独裁者が憲法違反のクーデター行為をしているというありさまだ。4月21日の朝日新聞 globe から、一部抜粋しよう。


cheney.jpg


 次のアメリカ大統領選では、トランプが勝利する可能性が 50% ぐらいある。どちらかというと、55% ぐらいある。そうなると、アメリカは独裁者の支配する国となる。そうなると、世界は暗闇に覆われるだろう。
 イスラエルは、トランプのアメリカの支援を受けて、侵略のやり放題となるだろう。ネタニヤフは、パレスチナの全土から、パレスチナ人を一掃しようとするだろう。

 そうなったら、どうなることやら。下手をすると、イランが大量のミサイルをイスラエルにぶっ放す可能性もある。あげく、最終的には、ロシアと中国の核ミサイルを使って、人類は滅びることになるかもしれない。仮にその結果になったとしても、少しも不思議ではないのだ。
 なぜなら、人類はすでに悪魔と化しつつあるからだ。

  → 悪魔の画像(AI): Open ブログ


AI , devil , 悪魔の画像 14






 ※ あと1〜2回、続く予定です。
 
posted by 管理人 at 23:56 | Comment(5) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
イスラエルと米国は悪魔にとっとられていることはわかりました。それでどうしたらよいでしょうか。悪魔はとても強いです。やはりここは平和主義=敗北主義しかないのではないでしょうか。ガザ地区はイスラエル支配で決着させるが、その代わりこのような草の根SNSでイスラエル悪魔論を世界に浸透させ続けるることが重要と思います。
 どのみち10年ほどしたらイスラエルもガザ地区の統治ができないことがわかるので融和策に出ると思います。多分ガザ地区の頻発テロの被害者面をして融和策を出してくるので、それを許さないことが大事です。
Posted by ひまなので at 2024年04月24日 10:51
戦争の悲惨はよくわかりました。イスラエルとイランについても、イスラエルは見え透いていても我々はやっていないという。そうすると同盟国は当人がやっていないと言えばそれに賛同する。もう本当のことはわからなくなります。やったかやっていないか公正な判断ではなく敵味方だからです。現代の戦争はそんな形ですね。知人が見てみろと勧めてくれました。佐藤優のYoutubeです。
https://www.youtube.com/watch?v=cNYn_CZwgHk
最初の30分くらいが彼の講演ですが、この中でイラクのミサイルとドローンは99%がイスラエル軍によって撃ち落とされた。だけど残り2、3発に核を積んでいたらイスラエルは終わりだと佐藤氏は言う。
イスラエルがイランの核を恐れる道理です。
だけどそんなまだらっこしいことしなくてもウランかプルトニウムの粉をドローンに積んで撒けば、そのドローンが空中で爆破されようと撃ち落とされようと、イスラエルは終わりでは・・?
Posted by SM at 2024年04月25日 12:33
> ウランかプルトニウムの粉をドローンに積んで

 それをやると、パレスチナ人の正義が失われ、国際社会の支持を失うので、イスラエルの「民族抹消計画」に正当化の根拠を与えてしまいます。

> イスラエルは終わりでは・・?

 一部だけつぶしても、全部をつぶすことはできません。広島原爆も、他の地域を滅ぼすにはいたらなかった。
Posted by 管理人 at 2024年04月25日 12:51
>それをやると、パレスチナ人の正義が失われ、・・

イスラエルは核ミサイル、それを持たない滅ぼされることを平然と座視している弱小者は、核ミサイルへの対抗兵器として許されるのではないでしょうか?
核ミサイルに対する対抗抑止力ではないでしょうか。

>一部だけつぶしても、全部をつぶすことはできません。

イスラエルは日本で言えば岐阜県程度の小さな国と聞いています。ウランの微粉300gイスラエルの空に撒けば、ユダヤ人は本来の流浪の民に戻る??
Posted by SM at 2024年04月25日 15:09
 伝家の宝刀は、抜くぞ抜くぞと見せかけて、抜かないことに意義がある。抜いてしまったら、おしめえよ。

 ──

 ♪ 風の中の 羽根のように いつも変わる 〜
Posted by 管理人 at 2024年04月25日 16:43
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