NHK で イスラエルを扱った番組が いくつか あった。
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バタフライエフェクト
次の番組があった。
→ 映像の世紀バタフライエフェクト 「イスラエル」
次回は「イスラエル 孤高と執念の国家」
— 映像の世紀バタフライエフェクト (@nhk_butterfly) February 26, 2024
3/4(月)夜10時NHK総合
なぜイスラエルは戦いを続けるのか。来週もご期待ください。
▼放送・配信予定は番組HPhttps://t.co/9VUcTtmVBK#バタフライエフェクト#映像の世紀 pic.twitter.com/hfaQ4iJ8Ot
ググってみたが、内容の紹介となるような記事は見つからないようだ。そこで私が記しておく。
内容はそこそこ良かった。イスラエルの建国から、ラビン暗殺までを、基礎知識の紹介という形で示していく。特に目新しい情報はなかったが、ラビン暗殺の現場を撮影した動画は興味深かった。ケネディ暗殺にも似て、ラビン暗殺の動画もあったんだ。
ラビン暗殺までは、クリントンが仲介して、アラファトとラビンの合意を導いた。このことで二人はノーベル平和賞を受賞した。このまま進めば、中東には和平が構築されたはずだった。しかしそれはイスラエルの右派には許しがたかった。かくて右派のなかから暗殺犯が出現した。
それでも、ラビン暗殺は、それ自体では大きな影響をもたらさなかったのかもしれない。だが、その後を継いだ首相が問題だった。それは若くてハンサムなネタニヤフだ。
ネタニヤフ首相はラビンとは正反対の思想で、和平をぶち壊そうとした。彼の兄は、パレスチナ過激派による人質事件のときに、人質を救出する作戦に従事したが、作戦は成功したものの、兄は栄誉の戦死を遂げていた。ネタニヤフは兄を失って精神がガタガタになってしまったそうだ。そして、それから立ち直ったあとは、鬼のような精神の持ち主になった。彼は断固としてパレスチナを許さない人間となった。こうして、ラビンの次の首相として、彼は和平とは正反対の道を進むようになった。
※ ただし、バングはネタニヤフ首相の就任で終了となる。面白くなりかけたところで、おしまいだ。
※ なお、ハマスは当初、武装団体ではなく、(イスラエル軍に攻撃されて負傷した市民を救助するための)医療団体(慈善団体)として生じたそうだ。それがいつのまにか武装組織に変化していくのは、理由があったからだろうが、その点は特に言及されていなかった。
NHK スペシャル
NHK スペシャル(2004年)の再放送があった。
→ 選「ドキュメント・エルサレム」(前編) - NHKスペシャル - NHK
→ 選「ドキュメント・エルサレム」(後編) - NHKスペシャル - NHK
これも、ネット上には内容紹介のページはろくにないようだ。かろうじて、次の二つが見つかるが、たいした情報はない。
→ 「ドキュメント エルサレム」を見た - シャツとソックスの日記
→ はてな NHKスペシャル「ドキュメント エルサレム(前後編)」がすごかった
ただし、前編に限っては、次の動画がある。
→ 「ドキュメント・エルサレム」(前編) ユダヤ教、キリスト教、イスラム教:NHKスペシャル - 動画 Dailymotion
とはいえ、重要なのは、前編よりも後編だ。後編では、次の二点が重要な情報として示されていた。
(1) シャロン
イスラエル軍の優秀な将軍であったシャロンは、その後に政治家に転身して、右翼のリクードの一員となり、国防相に就任した。
その時点で、上記のオスロ合意が実現して、中東に平和の気分が醸成されていた。しかしシャロンはこれを断じて許せなかった。エルサレムにあるイスラムの聖地に乗り込んで、イスラムの聖地を乗っ取った。これに抗議したパレスチナ人が各地でインティファーダ(市民闘争)の形で、投石などの闘争をした。このことで、イスラエル市民は攻撃を受けるようになり、イスラエル市民の和平感情は一挙に凋んだ。シャロンの事件以前には、中東には和平の気分が醸成されていたのに、シャロン1人の行動のせいで、和平の和平の気分は消滅した。
イスラエル国内では反・和平の世論が高まり、シャロンが首相になった。
※ オスロ合意は 1993年。それに先立つ 1982年、イスラエル軍がレバノンに侵攻して、アラファトのいるベイルートを爆撃して、中東で一番美しい都市と言われたベイルートを廃墟にしてしまった。このときの実行役が、軍部にいたシャロン将軍だ。
→ レバノン侵攻/レバノン戦争【 世界史の窓 】
(2) 福音派
イスラエルはアメリカで圧倒的な支持を得ているが、その理由は福音派だ。キリスト教の一派である福音派は、5000人以上の信徒があり、宗教の方針で、ユダヤ人を支持している。旧約聖書ではパレスチナなユダヤ人のものだと書いてあるので、旧約聖書に従ってユダヤ教やイスラエルを支持するのだ、というわけだ。それはもはや宗教的な狂信に近い。イスラエル支持を叫んで大騒ぎしている。
こういう福音派のユダヤ教べったりの方針があるので、米国の政権はイスラエルべったりから逃れられない。特に共和党はそうだ。共和党の重要な支持基盤は福音派となっている。
米国の人口は 3.3億人。そのうちの半分が共和党支持だとして、1.7億人。そのなかで 5000万人となれば、圧倒的だ。特に、無党派層が占拠に行かないことを考えると、共和党の支持基盤は 1.2億人ぐらいであり、そのうちの 0.5億人が福音派だとなれば、もはや圧倒的と言える。……これほどにも大きな影響力を持つのだ。(これに加えて、ユダヤ人 700万人の票もある。投票率が高いこともあわせると、1000万人分ぐらいの意義がある。)
感想
以上の番組を見たあとで、私の感想を述べよう。
(1) 和平の破壊者
和平の破壊者は、イスラエルの右派である。このことが NHK の番組で明らかになったと言える。特に、シャロンとネタニヤフの影響が大きい。だが、彼ら二人がいなくても、大差はなかっただろう。彼らに政権を与えた、イスラエル国民(その過半数が右派である)が、和平を拒んだのだ。
彼ら右派にとって、大切なことは、和平ではなくて、パレスチナの全土を奪うことだ。それが最優先となるので、和平は二の次なのだ。仮に、「パレスチナ人が土地を持つことを認めて和平を実現する」という協定ができれば、その協定と和平をぶち壊すことで、全土を奪おうとする。……それが、これまでのイスラエル国民の方針だった。(ラビンはその犠牲者に含まれる。)
ただし、イスラエルは、その悪魔的な本音を口に出さない。かわりに、悪魔的な自己を正当化のために、嘘をつく。
「われわれが攻撃するのではない。テロリスト( PLO やハマス)が攻撃してくるから、その報復として、われわれも攻撃するだけだ。われわれが攻撃するのは、あくまでテロリストの撲滅のためであるから、われわれの攻撃は妥当なのだ。悪いのはすべて、テロリスト( PLO やハマス)なのだ。あいつらが攻撃してくるから、われわれもやむなく対抗上、攻撃せざるを得ないのだ」
こんなのは嘘八百なのだが、自分で自分を善人に見せかけるために、こういう嘘を堂々とつく。この嘘を嘘と見抜けずに信じてしまう人もたくさんいる。「ハマスが攻撃するから悪いんだ。だからイスラエルの攻撃はちっとも悪くないんだ」と。
だが、それが嘘であることは、一目瞭然だ。
・ テロリスト撲滅という名分で、女子供を大量に虐殺する。
・ 武器を持たない市民を、銃撃して、虐殺する。
・ ベイルートやガザに大量の爆弾を落として、都市を廃墟化する。
このようなことは、戦闘員でない市民への攻撃なので、国際法違反である。「テロリストの撲滅」を理由に、このようなことが正当化されるはずがない。嘘八百。
そもそも、「ハマスがイスラエルを攻撃した」というが、ハマスが実際に被害を もたらしたのは、10月7日以前では、かなり限定的だ。たしかに市民があれこれと殺されたり誘拐されたりしたことはあったのだが、ハマスはイスラエルの都市を廃墟にしたことはない。その意味で、攻撃の規模は桁違いである。
イスラエルは、他国に相当するレバノンのベイルートを爆撃して廃墟にした。これほどにもひどいことをやっていながら、テロ対策を名分に大量虐殺を正当化するなんて、詭弁も甚だしい。
まともな頭があれば、この嘘八百を見抜けるはずなのだが、西側の人々は頭が鈍磨しているので、その嘘を見抜くことができない。
(2) 福音派の支持
福音派の影響がこれほどにも大きいことは、最近になって初めて知った。特に、次の記事だ。
キリスト教福音派はアメリカ国民のおよそ4分の1を占めるアメリカ最大の宗教勢力。「ユダヤ人国家イスラエルは神の意志で建国された」としてイスラエルへの支援を信仰の柱に据え、おととしの大統領選挙では、トランプ氏当選の原動力になりました。
共和党イスラエル支部のマーク・ゼル代表は「我々は2年前の大統領選挙で初めて大々的にイスラエル各地から選挙応援に乗り出し、圧勝しました。今回の中間選挙でもトランプ政権を支えるため、イスラエル寄りの有権者、つまりキリスト教福音派が住む地域で集中的に活動させます」と意気込んでいます。
「ネタニヤフ政権は、前回の大統領選挙でトランプ氏が勝つよう大きな賭け(支援)に出たのです。その結果トランプ氏は勝利し、両国関係は過去最高の関係となった。」
( → イスラエルの強硬派 アメリカの福音派を動かす|中東解体新書|NHK NEWS WEB )
米国内の福音派とイスラエル政府とが一体化して、共和党を通じながら、米国を牛耳っている。
このあと、上記の NHK 番組を見たが、まったく呆れるほどにも一体化している。特にひどいのは、軍事的な関係だ。米国は巨額の軍事援助をして、イスラエルに巨額の武器を無償援助している。そのせいでイスラエルは軍事的な大国になっている。(たぶん日本以上の軍事力を持つ。人口 1000万人の国が、人口 1.3億人の日本を上回る軍事力を持つのだ。イスラエルと日本が戦えば、日本は負けそうだ。イスラエルが日本を攻めてきたら、日本は全領土をイスラエルに明け渡すしかない。)( ¶ )
※ ちなみに、福音派の言う「福音」とは、言語で「エヴァンゲリオン」という。アニメの「エヴァンゲリオン」という言葉は、ここから取られた。
※ そのことからすると、イスラエルの狙いは、比喩的に言えば、アニメの「エヴァンゲリオン」の 人類補完計画 みたいなものかもしれない。おのれの信じる妄想のために、人類を抹殺してしまえ、というふうな。……実際、イスラエルの狙いは、エヴァンゲリオン(の原義)と同じようなものだとも言えそうだ。(パレスチナ抹殺計画。または、パレスチナ奪取計画。現在、進行中。)
→ アニメ これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
(3) 旧約聖書
ユダヤ人や福音派がこれほどにも自分勝手な方針を取るのは、どうしてか? それは、次の「選民思想」によるのだろう。
ユダヤ教には 終末思想 という考え方があります。いつかこの世に終わりが来て、そのタイミングでメシアが登場する という思想です。メシアとは 救世主 という意味で、終末に自分たちユダヤ教徒を救ってくれる存在とされます。しかし 救われるのはあくまでユダヤ教徒だけ です。ほかの民族やほかの宗教を信仰する人びとは救われない のです。このような考え方を 選民思想 といいます。
自分たちが受けてきた苦難や経験から、自分たちは神に選ばれた特別な存在であり、最後の最後に救われるのはユダヤ教徒だけだという 排他的な考え を持つようになったのです。
( → 5分でわかる!ユダヤ教ってどんな宗教? )
このような発想が根源的にあるので、異教徒をすべて虐殺してしまえ、という発想も生じる。
かつての十字軍(キリスト教による外国遠征)もそうだが、キリスト教徒は異教徒を虐殺するのが正義だと思い込んでいるのだ。その情報はネットにたくさん見つかる。
→ https://x.gd/HWq3v
結論
以上のことから、次のように結論できるだろう。
「この世は悪によって支配されている」
子供ならば、「正義は勝つ」と信じたがる。仮面ライダーや、スーパーマンや、鉄腕アトムなどが活躍して、最後の最後には正義が勝つ、というふうになりやすい。
だが、大人の住む現実は、そうではない。この世は悪が勝つのだ。たとえば、日本では、悪の権化得ある自民党がずっと政権を握ってきた。アメリカでは戦争大好き・侵略大好きの共和党が政権を握る時期が長い。その間、平和主義者は何をしていたかといえば、こうだ。
「権力を握ることなんか、どうでもいい。平和主義を唱えていればいい。平和、平和、と唱えていれば、権力のことなんかどうでもいい」
こう思っていたので、平和主義者は、権力を握ろうともしなかった。かくて、権力は(好戦的な)悪に握られることになった。ゆえに、この世は悪に支配されるのである。つまり、「悪は勝つ」「正義は負ける」のだ。これが、この世の真実だ。
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しかし、そいつはまずい。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。それは、前にも述べたとおりだ。
「人々が鏡となれ」
つまり、悪党たちの真の姿を映し出す鏡となれ。そのために、声を上げよ。彼らの真の姿(悪魔である姿)を教えよ。それが、本シリーズで述べたことだ。
→ 武力と平和主義 .25: Open ブログ
この子は悪魔じゃありません。
小悪魔っぽいけどね。 (^^);
管理人様の中では、ハマスはまあまあ結構良い組織なのだというご認識ですね。パレスチナ人の福祉を追求し、生命と人権を守り、領土奪還を目指し、2国共存による和平を模索し続けている? そんなことありますか? と問い続けております。これまでに、そして今現在も、ハマスが何をしているかご興味はないのでしょう。侵略者に対して正義の反撃をしていると信じているのでしょう。ハマスの発信以外はすべて嘘でしかないから信用しなのでしょう。
Shin Bet のために働いた Mosab Hassan Yousefなどは言語道断、虐殺者イスラエルの手先、というご判断になるのでしょう。
この何十年も、欧米諸国もアラブ諸国も解決できなかった理由の結論が「イスラエルがひたすら悪いから。欧米が悪魔だから」だとすると、普段の管理人様の鋭い論考からするとあまりにも拍子抜けです。
イスラエルが直ちにガザでの戦闘を中止してすべての入植地から退去し当初の国境線内に留まりパレスチナ人収監者を全員開放することを実行すれば、ハマスやイスラム戦線は戦闘をやめ人質を全員開放する。前半も無さそうですし、後半もあり得ないので、中東和平は実現しないのです。少しでも和平の道が見えかけてくると、ハマスはそれを阻止すべく大量の犠牲者を厭わず大規模攻撃をしかける。
知的で理性的で論理的で教養も人間性も高い管理人様だからこそ、知性や理性や論理性などぶっ飛んだ世界があるということが信じられないのかもしれません。
> ハマスはまあまあ結構良い組織なのだというご認識ですね。
全然、違いますよ。良いとか悪いとかは関係ない。ハマスには選択肢はない。戦争と平和を選ぶ権利は与えられていない。自分だけが滅ぼされるか、自分が滅びる前にハチの一刺しをするか、そのいずれかだけです。滅びる以外の選択肢は与えられていない。「生存」「平和」という選択肢は与えられていない。
それがイスラエルと欧米の方針です。
> 2国共存による和平を模索し続けている?
それはハマスの方針ではなく、PLO の方針です。しかしその方針は、シャロンとネタニヤフによって全否定された。
その方針が否定されたので、ハマスは2国共存を求めていません。2国共存を求めているのは、他の人々です。しかしそれは、イスラエルの合意が前提なので、実質的には不可能です。
> 侵略者に対して正義の反撃をしていると信じているのでしょう。
違いますよ。「自分だけが滅ぼされるか、自分が滅びる前にハチの一刺しをするか、そのいずれかだけ」という二者択一のなかで、後者を選んでいるだけです。前者を選んだのが PLO です。
> 少しでも和平の道が見えかけてくると、ハマスはそれを阻止すべく大量の犠牲者を厭わず大規模攻撃をしかける。
話が逆です。「少しでも和平の道が見えかけてくると、シャロンやネタニヤフはそれを阻止すべく、破壊行動をする」という方針でした。それに反発した市民が投石すると、爆弾で大虐殺する、という方針です。
そもそも、「少しでも和平の道が見えかけてくる」というのは、オスロ合意のときだけです。それ以外にはありません。それ以後、イスラエルが入植をやめようとしたことはありません。
> イスラエルが直ちにガザでの戦闘を中止してすべての入植地から退去し当初の国境線内に留まりパレスチナ人収監者を全員開放することを実行すれば、ハマスやイスラム戦線は戦闘をやめ人質を全員開放する。前半も無さそうですし、後半もあり得ないので、中東和平は実現しないのです。
そのことを何度も書いていますね。その自分勝手な理屈をやめないと、誤解が止まりませんよ。後半が実現する保証などはまったく必要ない。イスラエルは後半を要求する資格がない。それはそれで別の話であって、まずは話の前提として、前半を実行する必要がある。
「おれが侵略をやめる条件は、おまえたちが抵抗をやめることだ。その保証がない限り、侵略をやめないぞ」
これが、けろ論理。こんな論理を使ったら、世界中であらゆる侵略が正当化されます。プーチン、フセインも、ヒトラーも、すべての侵略が正当化されます。
「侵略者が報復を受けない保証などは必要ない。まずは侵略をやめることが先だ」
こんな当たり前のことを理解できないのが、けろ論理。つまり、シャロンやネタニヤフの論理。
それによれば、日本が侵略をされても、何一つ抵抗しないで、侵略を受け入れて、絶滅するしかない。なぜか?
・ 抵抗しなければ、そのまま絶滅する。
・ 抵抗すれば、「攻撃をやめない保証がないから侵略する」という理由で、やはり絶滅する。
どっちみち、絶滅するしかない。かくて侵略者は正当化される。
というか、正当化するかどうかという論理は関係ない。イスラエルはまず「全領土を奪う」という方針を立てた上で、そのために屁理屈をつけて自己正当化しているだけだ。
「ハマスによる数十人規模の殺害は、イスラエルによる万人規模の殺害よりも、ずっと悪だ」
この屁理屈を信じる人もいる。
「ハマスはひどい悪なのに、悪を認めないのはけしからん!」
と。もう、洗脳されているんですね。
そもそも、ハマスが悪かどうかの問題ではない。パレスチナの市民のほとんどはイスラエルを攻撃していない。そういう無辜の市民を大量虐殺するために、「ハマスは悪だ。ゆえに自分の大量虐殺は許される」という論理を使う。
自分の巨悪を隠蔽するために、相手の小さな悪を使う。小さな悪で、巨悪を隠蔽する。
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とにかく、イスラエルは「全領土を奪う」という方針を立てている。これが話の大前提としてある。イスラエル政府自身がそれを認めているし、政治家たちもそれを掲げている。……まずはこの事実を認めることが先決です。
イスラエル政府自身が認めている方針を直視するべきです。それを直視しないで、「ハマスが攻撃するから」という虚偽を掲げるべきではありません。
強盗殺人犯が殺人をするのは、自分が強盗をしたいのが目的だからであって、住民が抵抗したからではありません。ここを取り違えると、本末転倒となります。
「住民が抵抗をしないという保証がないので、強盗は許される」
という、けろ論理は認められません。
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実を言うと、パレスチナ問題の解決は簡単です。
「パレスチナ人の生存権を認める」
これだけです。たったこれだけのことで、問題はすべて解決する。
しかしイスラエルはパレスチナ人の生存権を絶対に認めない。欧米もそれを支持する。その構図が、NHK の番組で見事に紹介されていました。
けろさんは、私をハマスの支持者だと思い込んでいるようですが、違います。私は「パレスチナ市民の生存権を認めよ」という主張です。
ただしこれは、イスラエルの主張の全否定に当たります。当然、イスラエルを支持する欧米や日本の政府の主張ともぶつかります。だから、実現しない。ゆえに、パレスチナ人は虐殺され、その虐殺が放置される。
> 「イスラエルがひたすら悪いから。欧米が悪魔だから」だとすると、
「イスラエルが悪い」という主張は、私は特にしていません。(ちょっと筆が滑って書いたことはあるかもしれないが。)
「人を殺すことは、悪いことだから、してはいけない」
というのは、人類の共通認識ですが、イスラエルはその共通認識を持っていない。逆に、こう思う。
「相手が悪であれば、その相手を殺してもいい」
こういう理屈で、自分が殺人を殺すための正当化のために、「悪」という概念を使う。
こういう相手には「悪」という概念を持ち出せば、逆効果になるだけだ。「悪いことはしてはいけない」とイスラエルに言うと、「だからオレは正義のために虐殺するんだ。女子供を大量虐殺するのは正義なんだ。悪を懲らしめるためなんだから」と言い張る。
こういう相手には、「悪」という概念を持ち出さない方がいい。「悪」という概念が有効なのは、「悪を恥じる」という意識のある人々(欧米人)だけだ。イスラエルには無効。
米国の福音派のことですがどうしてあんなに影響力を持っているのかわかりません。だいたい米国でも毎週教会に行っている人はごく少数です。ただそのような方はいろいろなボランティア活動をされていて社会に影響力を持っています。例えば米国に来たばかりの人への英語指導や車を持っていない人への買い出しツアーなどで、私もお世話になりました。教会にも誘われたのですが仏教徒だと言って逃れました。
けさドイツZDFのニュースをNHKBSで見たのですが、管理人さんのイラストのような本当にかわいいイスラエル少女が「イランには徹底的に反撃すべし」とかわいい口調でしゃべっていました。テルアビブのさんさんと日の当たるカフェテリアで楽しくお茶を飲みながらです。
米国のボランティア女性やイスラエルの少女が無邪気に戦争を支持し、他民族の命を少しも考えないのはやはり選民思想のためだと思います。
それにしてもイスラエルのアイアンドームがこんなすごいものだとは予想していませんでした。イスラエルがすごいのは選民思想を裏付けするだけのすごい科学技術や巨大資本を持っていることです。戦前の神国日本とはそこが全然違いますね。
→ https://slib.net/125151