2024年03月21日

◆ 武力と平和主義 .17

 ( 前項 の続き )
 イスラエルによる、百万人の殺害計画。

 ── 

 イスラエルは平和を拒む


 前項で述べたように、イスラエルは共存を拒否する。以前は共存を認めるオスロ合意を承認したこともあったが、その後、これを否定して、共存を拒否する方向に転じた。その方向は今も維持されている。仮に共存を推進するような平和主義の米国国会議員がいれば、その国会議員を全力でたたき落とす。

 これは要するに、イスラエルは平和を拒否する、ということだ。本サイトの基本方針は、「パレスチナに平和をもたらすこと」だが、イスラエルの方針はこれと真っ向から衝突する。
 イスラエルはパレスチナの全土を取得することをめざす。それがシオニズムだ。
 聖書の教えにもとづいてエルサレムはもちろん、イスラエル占領下のヨルダン川西岸の南部ヘブロンに住むことは当然の権利だと主張し、パレスチナ全域を含む「大イスラエル」を手に入れることはシオニストの夢を実現することであり、神がユダヤ人に約束した土地(エレツ・イスラエル)に入植することでメシア(救世主)の到来が早まると考えている。その考えでは、パレスチナ人はこの土地から出ていって、隣のヨルダン、シリアなどアラブ諸国に移るべきだということになる。
( → シオニズム

 こうしてイスラエルは侵略を望む。だから、平和を嫌う。彼らの望む平和とは、相手の領土をすべて奪ったあとに訪れる平和だけだ。それまではひたすら戦争と侵略を好む。

 虐殺の正当化


 イスラエルは戦争と侵略を好む。しかし、あからさまにやると、世界から非難されて、都合が悪い。
 そこで、とりあえずは、「入植」という形で、少しずつ侵略することにした。「少しずつやれば、目立たないから、あまり咎められない。こうして長期的に、パレスチナの土地をすべて奪えばいい。百年計画で」というつもりだった。
 世界はその方針にまんまと引っかかった。イスラエルの入植を咎める国連非難決議はあったが、米国が骨抜きにした。のみならず、米国はイスラエルに巨額の援助を送って、イスラエルの侵略を支持した。さらには、侵略のための戦闘機などの武器も売却して支援した。( → 前項の引用部 )
 イスラエル軍のレバノン侵攻時(1982年)にパーシー上院議員がアメリカ製武器の使用を非難したことである。 アメリカのイスラエルに対する武器売却の条件は、その武器を防衛の目的でのみ用いるというものであった。 だが、レバノン侵攻ではイスラエルはこの条件に明らかに違反していた。

 このように米国はイスラエルの侵略をたえず支援し続けた。その意味で、米国は侵略に加担していた。
 それでも,イスラエルの侵略は、いくらか抑制的だった。一時にすべてを侵略するというようなことはせず、パレスチナ人を大量虐殺するということもしなかった。いわば、猫をかぶっていたのである。猫の顔の下にある本性を隠しながら。

 ところが今回、状況が一転した。ハマスが攻撃して、イスラエルには 1200人の死者という被害が出た。すると、イスラエルの タガ がはずれた。これまでは侵略も殺害も少しずつだったが、今回は一挙に大規模に侵略と殺害をなすようになった。
 「これまでは、侵略と殺害をやると、世界から非難されそうだった。しかし今なら、ハマスへの報復という形で、正義の名分で、侵略と殺害を正当化できる。今こそ、パレスチナの土地を奪い、パレスチナ人の命を奪おう。これぞ千載一遇のチャンスだ」
 というわけだ。つまり、ハマスの攻撃を「これ幸い」とばかり利用して、侵略と殺害を正当化しようとしたのだ。
 このとき、猫をかぶっていたイスラエルの本性があらわになった。ひとまず善人ふうの顔をしていても、その猫の皮の裏には 悪魔の顔がある、と判明した。

 百万人の殺害計画


 イスラエルの悪魔的な本性は、最近になってはっきりと判明した。それは「百万人の虐殺」という計画である。パレスチナ人 200万人の 100万人を虐殺する、という方針だ。
 国連の世界食糧計画(WFP)は18日、ガザの人口の半分に相当する約110万人が食糧供給と対処能力を完全に使い果たし、壊滅的な飢餓と闘っていると発表した。イスラム組織ハマスとイスラエル間の戦闘が始まるまでは、同地域の急性栄養失調は1%未満だった。
( → ガザ北部で飢餓迫る、国連WFP報告書が警告−食糧輸送には停戦必要 - Bloomberg

 イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ地区ガザで、人口の約半数に相当する約 110万人が「壊滅的な飢餓」のリスクにさらされ、とりわけガザ北部では2カ月以内に飢餓に見舞われる公算が大きい。国連が支援する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の報告書が18日公表された。
報告書は、ガザ北部での飢餓が差し迫っており、「3月中旬から5月までに発生すると予測される」と警告した。
 さらに「3月中旬から7月中旬にかけ、南部ラファでの地上攻撃を含む戦闘が激化するという想定の下、ガザの人口の半数(111万人)が壊滅的な状況に直面する」と予測。この数は昨年12月に発表された前回の報告書からほぼ倍増した。
( → ガザ北部、2カ月以内に飢餓の公算 110万人が危機に直面=報告書 | ロイター

 ここで言う「110万人」は、飢餓の数だから、餓死を意味するわけではない。飢餓がすぐに餓死に結びつくわけではない。殺そうとしているというよりは、死の直前にしようとしているだけだ。
 だが、そういう「程度の差」はあるにしても、その意図は、どっちにしても同じようなものだ。イスラエルがパレスチナ人の生命を危機に瀕するように仕向けているという点では、同様である。
 こうして餓死によって 100万人を減らせば、残るは 100万人だ。ならば、もう一回同じことをやれば、パレスチナ人を地上から抹消させることができる。これで「パレスチナの土地をすべてユダヤのものにする」というシオニズムの計画は完成することになる。民族浄化計画だ。(ヒトラーよりももっとすごい。)

 「いや。イスラエルは 100万人を虐殺するつもりはないんだ」
 という弁護をする声が、どこかから出てくるかもしれない。しかし、国連が「 100万人の飢餓」を指摘して、「停戦」を訴えているのに、それを断固拒否して、「 100万人の飢餓」という計画を断固推進しているのが、イスラエルだ。そこには明白に、悪魔的な悪意があると見なせるだろう。
 その悪意は、次の記事からも窺える。
 イスラエル軍の侵攻が続くパレスチナ自治区ガザでの食料危機について、国連機関などが 18日に調査報告書を発表した。避難民 100万人以上が集中する最南端ラファで地上戦などが展開されれば、7月にはガザ人口の半分にあたる約 111万人が飢餓に直面するとしている。イスラエルのネタニヤフ政権はラファ攻撃に固執するが、バイデン米政権は阻止すべく圧力を強めている。
( → ネタニヤフ首相、ラファ侵攻「少し時間かかる」 米側と見解の相違も :朝日新聞

 バイデンが止めようと圧力をかけても、ネタニヤフは断固拒否して、飢餓作戦を推進する。1200人を殺されたのだから、100万人を殺すのは正当だ、というわけだ。
 ハマスの 1200人の殺害を、我田引水のように利用して、100万人の虐殺を正当化する。これには悪魔もびっくりだろう。
 「オレを上回る強弁だな。これほどの悪は、オレもやったことがない。百万人の市民を殺した悪魔は、いまだかつて いなかったからな」

 悪魔もびっくり驚く ネタニヤフ。





 ※ 長くなったので、中断します。次項に続きます。
 
posted by 管理人 at 23:22 | Comment(0) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
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