2024年03月20日

◆ 武力と平和主義 .16

 ( 前項 の続き )。
 イスラエルは平和を選ばない。それはなぜか? 世界がユダヤ人に牛耳られているからだ。

 ── 

 共存が基本


 前項で述べたように、平和の選択肢は、弱者にはなく、強者にある。強者が平和を望まない限り、平和は来ない。
 では、現実にはどうかというと、強者は平和を望まない。一方的な攻撃・侵略を望む。だから、平和にならない。(ウクライナでもパレスチナでもそうだ。)
 となると、解決策は、強者が平和を望むようにさせることだ。そのためには、当事者だけでは解決が付かないので、世界全体で強者に方針転換を迫ることが必要だ。

 特に、パレスチナについては、イスラエルに方針転換を迫ることが必要だ。どういうふうに? 「共存を認める」ということだ。
 現状では、イスラエルは「共存を拒否する」という方針を取る。欧米は、それを(容認はしないが)甘受する。イスラエルが国連決議を無視して入植を推進しても、イスラエルの方針を甘受する。米国に至っては、イスラエルの方針を支持して、どんどん軍事援助するありさまだ。
 これは要するに、「欧米がイスラエルの侵略を支持する」ということだ。欧米がもともと平和を否定しているわけだ。
 こういう状況を改めることが必要だ。「平和を拒む」というイスラエルを方針転換させるには、イスラエルを支持する欧米そのものを方針転換させることが必要だ。
 現状では、平和はなかなか進まない。それは、イスラエルを方針転換させることが困難だからではない。欧米を方針転換させることが困難だからだ。
 だから、まずは、欧米そのものを方針転換させることが必要だ。

  ※ その手段が、先に述べた「声を上げよ」「歌を歌え」ということだ。
    その声を上げる先は、イスラエルではなく、欧米だ。
 

 ユダヤの商人


 欧米はイスラエルを支持する。ではなぜ、そうなのか? 
 「欧米は悪魔であるからだ」という説もありそうだが、それは話が逆だろう。悪魔だからイスラエルを支持するのではない。イスラエルを支持するから悪魔だと見なされる。
 では、いったいなぜ、欧米はイスラエルを支持するのか? 

 その答えは、すでに知られている。ユダヤの商人のせいだ。
 ここで、「ユダヤの商人」というのは、シェークスピアの戯曲のタイトル(ヴェニスの商人)を もじった言葉だ。





 もっと正確に言えば、こうだ。
 「ユダヤ系の富豪による財閥」
 具体的に言えば、ロスチャイルド、ロックフェラー、モルガンなど、「ユダヤ七大財閥」と言われるものだ。(ゴールドマン・サックスもある。)これらが(パレスチナ問題では)米国の政界を牛耳ってきた。
 
 次の事例が有名だ。
 パーシー上院議員が1984年、ユダヤ人シオニスト団体「AIPAC(アメリカ・イスラエル広報委員会)」によってアメリカ連邦議会の議席を奪われてしまった。 この選挙結果は「パーシー現象」と呼ばれ、他の議員たちを震憾させた。
 パーシー上院議員とユダヤ人シオニスト団体との関係は初めから悪かったのではない。 彼は、イスラエル国債の購入やイスラエルへの経済援助、ソ連在住ユダヤ人の出国の支持などに関して、長年、親イスラエル派としての議員経歴があった。
 パーシー上院議員とユダヤ人社会との親密な関係に陰りが見え始めたのは、1975年にパーシー上院議員が中東の視察旅行から帰った直後の発言からであった。「イスラエルは和平交渉の機会を見逃してしまった。 アラファトPLO議長は他のリーダーたちに比べ穏健派の指導者だ。 PLOがテロ行為を放棄し、安全で防衛可能な国境内でイスラエルが生存する権利を承認したら、イスラエルはPLOと対話すべきだ」というパーシー上院議員の発言から1週間後、彼のオフィスには2200の電報と4000通の手紙が殺到した。 その95%はこの発言に反発するもので、シカゴ市とその近辺のユダヤ人たちから寄せられたものであった。
 ユダヤ人シオニスト団体が本格的にパーシー上院議員潰しを始めることになった切っ掛けはサウジアラビアヘのAWACS(空中警戒管制機)売却問題である。
 ユダヤ人シオニスト団体がパーシー上院議員を攻撃目標にしたもう一つの理由は、イスラエル軍のレバノン侵攻時(1982年)にパーシー上院議員がアメリカ製武器の使用を非難したことである。 アメリカのイスラエルに対する武器売却の条件は、その武器を防衛の目的でのみ用いるというものであった。 だが、レバノン侵攻ではイスラエルはこの条件に明らかに違反していた。 外交委員長としてイスラエルを訪問したパーシー上院議員はベギン首相やシャロン国防相と会談し、この違反に強く抗議した。 しかし、イスラエル側は全く改めようとしなかった。
 このようなパーシー上院議員の動きに対しユダヤ人シオニスト団体は1984年の選挙で本格的に反パーシー・キャンペーンに乗り出した。
 (中略)( 競技の統計操作をするという )

 この宣伝によってサイモン陣営はシカゴ市とその近辺のユダヤ人から莫大な選挙資金を獲得し、その金額は全選挙資金の40%に当たる301万ドルにまで及んだ。 また、南カルフォルニアのユダヤ人不動産業者マイケル・ゴーランドは個人の選挙寄付金の制限額1000ドルを遥かに超える120万ドルという大金でテレビや新聞の広告を買い、反パーシー・キャンペーンを展開した。 その新聞の全面広告にはアラファトPLO議長の写真を掲載し、「パーシーはこの男を穏健派と呼んだ」というタイトルをつけた。 このような悪質なキャンペーンに反発する著名なユダヤ人数十人がパーシー上院議員を援護する署名広告を出したが、ほとんど効果がなかった。 選挙の結果、8万9000票の差でパーシー上院議員は敗れた。
 AIPAC代表トーマス・ダインは「全米のユダヤ人がパーシーを追い落とすために集結した。 今や政治家、公の立場にある人々、または、それを志す人々は私たちユダヤ人社会のメッセージを受け取った」と豪語した。
( → ユダヤ人シオニスト団体によって議会を追われたアメリカ議員

 こうしてユダヤ人シオニスト団体は、政界で影響力を増した。その後、共和党や民主党の議員に多額の献金をして、双方の議員に影響力を発揮するようになると、どちらの党の議員も、ユダヤ人の声に従うしかなくなった。かくて、共和党も民主党も、ともにイスラエル支持をするしかなくなった。さもなくば、パーシー議員のように、たとえイスラエル派の議員であっても強引に落選させられてしまうからだ。
 ユダヤ系の米国人にとっては、「パレスチナ人との共存」は受け入れがたい。「パレスチナ人追放による、イスラエル単独の存在」のみが受け入れられる。米国製の武器を「防御のために使うこと」「武器を平和(自己防衛)のために使うこと」は許されず、「武器を攻撃のために使うこと」のみが認められる。これに反する平和的な議員がいれば、落選させる。……これがユダヤ系の米国人の方針だ。
 そして、それを支持して、莫大な献金をするのが、ユダヤ系の財閥や富豪なのだ。
 かくて、次の構図が成立する。

   ユダヤの商人 → 米国支配 → イスラエルの侵略行為


 こうなったあとでは、パレスチナ人には、もはや「平和」という選択肢は与えられない。イスラエルによる圧倒的な攻撃を受けたあとでは、次の二者択一しかない。(前項で述べたとおり。)
  ・ ハト戦略を取り、侵略を受け入れる。おとなしく領土を奪われる。
  ・ タカ戦略を取り、侵略に反抗する。できる限りの反攻をする。


 だが、それでもたらされる結果は、次の二通りだ。
  ・ ハトの戦略を取り、将来的に領土をすべて奪われる。
  ・ タカの戦略を取り、今すぐ大量虐殺される。

 どっちにしても、地獄である。「どちらの地獄を取るか」という選択肢しかない。
 だから、ここでは、パレスチナ人には選択肢は与えられていないも同然なのだ。
 選択肢を与えられているのは、イスラエルの側だけだ。だが、そのイスラエルは、「平和」という選択肢をとらず、「戦争」「侵略」という選択肢しかとらないのだ。そして、欧米もまた、それを容認する。なぜなら、欧米はユダヤ人に牛耳られているからだ。





 ※ 長くなったので、中断します。次項に続きます。
 
posted by 管理人 at 23:26 | Comment(5) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
1978年ごろシカゴにいました。米国人の友人がイスラエルびいきでした。夏休みにイスラエル旅行をして、パーティーでスライドを映写していたのを思い出しました。その方は頭もよく、善人でしたがなぜ一方的にイスラエルびいきなのかだけは今でもわかりません。お名前から考えて直接的にはユダヤ系ではないと思うのですが。
 米国人のイスラエルびいきはお金だけの問題ではないように思います。宗教的なことなのでしょうか?
Posted by ひまなので at 2024年03月21日 10:52
イスラエルびいきは、弱者をいじめるのが楽しくて仕方ない、というジャイアニズムによる。弱者をいじめるか、優しくするかで、米国は二分されている。前者がトランプ支持者。
Posted by 管理人 at 2024年03月21日 12:21
その友人は民主党でした。
 現在でも民主党でも半分くらいはイスラエルびいきなんだそうです。だからバイデンさんも思い切った政策がとれないのだと思います。
 政治や科学の分野ではユダヤ人の力が強くて尊敬されています。また基本的に米国では金持ちは尊敬されています。それでイスラエルびいきになっているのだと理解しています。
Posted by ひまなので at 2024年03月21日 13:54
 まあ、米国の金融界や財界を牛耳っているのはユダヤ人だから、ジャイアンにすり寄るスネ夫のように、ユダヤ人にすり寄るのかもね。拝金主義者の多い米国ならば、それが自然なのかも。
Posted by 管理人 at 2024年03月21日 14:25
結構つっかかってしまっている形になっていて申し訳ありません。飽くまで冷静な議論をしてみたい意図なのですけれど、でも論説の展開上お邪魔だったらおっしゃってください。今後この話題ではコメントを控えるようにしますので。

100万人殺す計画があるということなので、引き続きの記事と解説お待ちしております。

日銀のようやくの転換やら、自民の裏金云々やら、ダークマター云々やら、お書きになりたいお題もたくさんあることと思いますので、ごゆるりと。
Posted by けろ at 2024年03月21日 22:58
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