2024年03月14日

◆ 武力と平和主義 .12

 ( 前項 の続き )
 平和を望むなら、黙っていてはいけない。

 ──

 平和を望む声


 人間の本性は悪魔かもしれないが、それがすべてであるわけではない。一人の心のなかにも悪魔でない部分があるだろうし、世の中には悪魔でない人もたくさんいる。
  → 武力と平和主義 .9: Open ブログ

 では、平和を望む人々がたくさんいるのに、なぜ平和を望む声は多数派にならないのだろうか? 
 その答えを言おう。それは、人々が声を上げないからだ。

 ──

 人々はイスラエルのガザ虐殺を見ても、黙っていることが多い。時として、ガザ虐殺に反対する声が上がることもあるが、それはときどきニュースになるぐらいで、かなり限られている。
  → https://x.gd/3fUua

 こんなことでは、ガザ虐殺に声を上げる人は、(1カ月に1度という枠をはめても)日本全体では 1000人に1人にも満たないだろう。
 たしかに、ガザ虐殺を許し難いと思っている人は多いのだが、それに対して声を上げる人はあまりにも少ないのだ。

 ──

 そこで提案しよう。「平和のために声を上げよ」と。
 そのためには、歌を歌うだけでもいい。たとえ歌を歌うだけであっても、平和のために声を上げることは大切だ。
 そういう人々が増えて、多数を占めれば、世界は変わる。世界における勢力争いにおいて、平和を望む人が多数派を占めることができる。今は無言で隠れている人々が、歌を歌って姿を現すようになれば、政府もそれを無視できなくなるからだ。

 そのための歌はある。ジョン・レノンの「イマジン」だ。









 歌詞の対訳もある。
  → イマジン歌詞(和訳)imagine

 ──────────

 人々が何もしなければ、戦争は止まらない。しかし戦争を止めることは、まったく不可能だというわけでもない。たとえこの世界が悪魔に握られているのだとしても、悪魔に抗するための声を上げることはできる。……それは、平和を求める声だ。平和を望む声だ。

 だから、さあ。歌え。声を上げよ。声を響かせよ。口を開いて、歌を世界に伝えよ。

 あなたが歌えば、あなたの声は世界に響くだろう。歌は人々の心を揺さぶり、歌は人々の心を純化し、歌は人々の心を澄ませるだろう。
 そのとき、悪魔の目には涙が生まれ、悪魔の心には優しい心が生じるだろう。それは、敵を許そうという心であり、敵もまた仲間だと思う心だ。……そういうふうに理解したとき、悪魔は自らの姿が元のような人間の姿に戻っていくことを知るだろう。

 そのために、声を上げよ。口を開け。空を仰げ。そして、歌え。あなたの声を世界に響かせよ。あなたの声を世界に伝えよ。

 人々が平和のために声を上げれば、戦争を止めることはできる。


 ( ※ たとえば、みんなでデモをして、イスラエル大使館の前で「イマジン」を歌うのでもいい。銀座でプラカードを掲げながら歌うのでもいい。)
 
posted by 管理人 at 23:05 | Comment(9) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
次項に続くとはなってないので、この「戦争と平和」シリーズはこれで終わりですね。なんか最後で原点に戻ったような感じですが、でもとても素晴らしい思考だったと思います。私もとても清々しい気持ちになりました。
事実は戦争をしていても、なぜ人間は平和について考えようとするんでしょうか?

イマジンは、G7で林外相も演奏しましたね。
デモして国会前やイスラエル大使館前で抗議するなどは、すでに左派の人たちが日常と言っていいくらいやっています。いつも同じ人ばかりのようには見えますが😅

 >人間の本性は悪魔かもしれないが、それがすべてであるわけではない。一人の心のなかにも悪魔でない部分があるだろうし、世の中には悪魔でない人もたくさんいる。

ここをもっと突っ込んでほしい。
人間の本性は悪魔・・つまり私欲の塊、利己性の塊。それは当たり前でしょう。自分自身が生存していくことが生物の大前提ですから。
でも利他性も持っているでしょう。
他人を助ければ結局自分自身に返ってくる。「情けはひとのためならず」です。でもこれはつまりは利己性です。結局は自分の利益ゆえですから。互助会や保険などみなそうです。自分の利益にならなければ他人に自分の持つ富を差し出すことはありません。このような擬似利他性ではなくて、真の利他性を持っています。ブレグマン著『希望の歴史』がその代表的な著作です。

人類が戦争をやめ平和の世界を作るには、あくまで人間の利己性に訴える功利的な『モラル トライブズ』があり、人間が持つ真の利他性に訴える『希望の歴史』の両方があるでしょう。
Posted by SM at 2024年03月15日 10:13
 いったん完結みたいだけど、補足編がまだ数回、あります。続きというより、補足。
Posted by 管理人 at 2024年03月15日 10:15
長編をありがとうございました。最後?にイマジンが出てくるところが良かったです。
 なぜ皆が一斉に声を上げられないのか?反対勢力は常に分裂する運命にあることが大きな原因です。単純平和主義は敗北主義と批判され、暴力革命が成功すると独裁政治につながると批判されます。金でつながっているブルジョワ政権のほうが些細な違いを乗り越えやすいのです。日本の戦後70年くらいはずっとその繰り返しでした。80歳にもなってこんなことを言わなければならないのが悔しいです。
Posted by ひまなので at 2024年03月15日 10:34
パレスチナの事実を真摯に説明してくださり なんだかありがとうございましたと言いたくなりました  昨年獄死した和光晴生のことを偲びたいです  大声ですか 声を張り上げてたら痛い仕打ちを受けてしまいましたね この国に 彼も私も  
 老愚に靄る頭は 簡単に想像できないが 国家とはいったい何なのか どうしたら無化出来るか
 その為にはそれぞれ 我々は何処へ何処まで思考の流れを辿り汲みとればいいのか  
 管理人さんの気持ちが分かる 簡単に言い切っても怒らんでくださいよ  言いたいことは理解出来ます 歌う その意味が私とは違うかもだが  人が変わること 必要です
 
 
Posted by k at 2024年03月15日 13:38
>反対勢力は常に分裂する運命にあることが大きな原因です。
>金でつながっているブルジョワ政権のほうが些細な違いを乗り越えやすいのです。

左派の人は自分が正しいと思い込んでいるんです。少しの違いでもどちらも譲りません。一つにはなりません。わかりやすく言えば、傲慢なのです。
私欲で繋がっている人たちは、自分が何をもって繋がっているか知っています。だから正義とか主義主張は、自分の私欲を貫くための方便(道具)です。極論すれば。
だから左派が大きくならないことはよく知っています。左派が大きくなった時は逆に国民にとってとても怖いです。必ず権力闘争になります。権力の亡者ではなく、主義主張の亡者なんです。そして弱いものが殺されるか追い出されるとその主義主張に誰も逆らえなくなります。左派の人にも私欲があるのでおかしなことになります。私自身の出自は左派なので、こんなことは言いたくないのですが。

でも私欲でつながる人たちを応援はしません。
現政権の裏金問題を追求するのは左派政党ですが、政治倫理審査会でのやり取りを聞いていると余裕綽々に感じます。
Posted by SM at 2024年03月15日 14:33
声を上げよ。黙っているな。

ご主張はその通りと思いますが、解決に至るには長期的な話になるのではないでしょうか。

ウクライナ侵攻中のロシア軍は、総帥であるプーチン大統領は、果たして聴く耳を持っているでしょうか。
ガザで戦闘中のイスラエル軍とハマス戦闘員は、どうでしょうか。
ロシアは併合州を完全確保するまで攻撃をやめない。
イスラエルも、ハマスが攻撃を続ける限り(存在する限り?)やめない。
ハマスはもちろんやめない。中東の緊張が緩和して平和が近づくと必ず攻撃を始めてぶち壊す。彼らは欧米的価値観の平和など望んでいない。

その状況下で、結論が「声を上げよ」だとすると、普段の舌鋒鋭い管理人様の論説としては少々寂しい気がします。いつもの「うまい方法」は、そうそう見つかるものではないのでしょうか。

第二次世界大戦終結をもたらしたのは、連合国の圧倒的軍事力と、枢軸国民間人の大量虐殺でした。世界の人々の「声」がそれを実現したわけではありません。

平和を声高に叫びデモをする人たちも、時として「実力行使」にに訴えて闘ったりする。「平和」の意味が、定義が、基準が、人それぞれ異なるがゆえに、その主張の違いすら争いの元になる。
やはり、ヒトという種自体の本性として、戦争行為を内包しているんでしょうね。たとい国として戦争をしていなくとも、家庭内、職場、学校、地域などあらゆる単位で、ヒトの居る所どこででも強盗・殺人・暴行が繰り返されているのですから。

補足編に続く由、お待ちしております。
Posted by けろ at 2024年03月15日 14:53
> 結論が「声を上げよ」だとすると

 違います。
 本項は「平和を望む」ようにさせる方法です。それは戦争の当事者に向けたものではありません。戦争を放置する,欧米や日本の人に向けた提案です。

 当事者の周囲が平和を望んだあとで、戦争を止めさせる方法は、その前に記してあります。第三者の力で、状況そのものを変えること(場を変えること)です。
 その原理は、タカ・ハト・ゲームで示してあります。

 いずれにせよ、戦争の当事者に何かを命令することはできません。第三者ができるのは、状況を変えることです。
 馬に水を無理やり飲ませることはできないが、馬を水場に連れていくことはできる。


> 第二次世界大戦終結をもたらしたのは、

 世界大戦みたいに規模が大きい話はまた別の話になります。今回はとりあえず、「強者が弱者を蹂躙するタイプ」の戦争の話になります。ウクライナとパレスチナ。


 ついでだが、悪魔とは、ロシア人やイスラエル人のことではありません。欧米人や日本人のことです。お間違えなく。「自分自身が悪魔だと気づけ」という趣旨であり、「外国の悪魔を非難せよ」という意味ではありません。

 声を上げよ、というのは、ロシアやイスラエルやハマスに聞かせる声のことではありません。戦争を容認する、欧米や日本の普通の人々(自分が悪魔だと気づいていない人々)に聞かせる声のことです。

Posted by 管理人 at 2024年03月15日 15:23
なるほど、ありがとうございます。
誤読、申し訳ありません。

現状でもそれぞれの当事者が、それぞれの思い描く「平和」を望んでいるようにも思うのです。
ロシアは、ウクライナが欧米じゃなくロシアを慕う状態が「平和」。ウクライナはもちろん国土が守られている状態が平和。
イスラエルはとにかくテロの無くなる状態が平和。
ハマスは、イスラエル国の存在しない状態が平和。
それぞれが相反する「平和」を望んでいる状態なので、外野が「平和を!」と叫んでも響かない。
そして、それを取り巻く欧米だったりアラブ諸国だったりアジア・アフリカの国々だったり、各々が望んでいる「平和」の姿がやっぱり違っています。政府と国民と軍隊と商社でも、考えは異なることでしょう。

どの「平和」を叫ぶか。どんな「平和」を願って歌うか。同じ叫び、同じ歌を発しながら、見ている世界が違うのかもしれません。
Posted by けろ at 2024年03月15日 22:59
>ロシアは、ウクライナが欧米じゃなくロシアを慕う状態が「平和」。ウクライナはもちろん国土が守られている状態が平和。イスラエルはとにかくテロの無くなる状態が平和。ハマスは、イスラエル国の存在しない状態が平和。
それぞれが相反する「平和」を望んでいる状態なので、外野が「平和を!」と叫んでも響かない。
そして、それを取り巻く欧米だったりアラブ諸国だったりアジア・アフリカの国々だったり、各々が望んでいる「平和」の姿がやっぱり違っています。政府と国民と軍隊と商社でも、考えは異なることでしょう。

これは素晴らしいコメントだと思いました。
分かり易いのはロシア・ウクライナ戦争です。第三国はもちろん平和を望んでいるのでしょうが、米の場合はロシアに対して平和を望む前にちょっとやることがあったんじゃないかと思います。

ロシアは自国の石油を道具にしてルーブルを基軸通貨にしようとしていました。イラクが自国の石油を道具にしてユーロ決済をしようとした。これは米は許さない。ロシアをイラクのように滅ぼすわけにはいかないので、世界の悪にしようとした。そのためにウクライナを使いマイダン革命以降親米に変えた。

私が頼みとする有力な野党も、世界が〇〇の一点で結びつけばロシアは撤退するなどといいますが、第三国も皆自国の私欲による都合があるでしょう。
Posted by SM at 2024年03月16日 11:02
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