平和を実現するには、平和を望むことが必要だ。だが……
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平和の意思
前項で示してのは「平和をもたらす方法」だった。ただし、この方法によって平和があっさり実現するとは限らない。なぜなら、この方法が有効になるには、その前提があるからだ。
前提とは? 「平和の意思」だ。つまり、「平和を望むこと」だ。それがあらかじめ必要となる。
「いちいち確認するまでもない。誰だって平和を望むのに決まっている」
と思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。平和を望まない人もいる。たとえば、武器商人だ。映画に出てくる悪の国際組織もそうだ。また、侵略をする当の侵略国もそうだ。(ロシアやイスラエルがそうだ。)
さらに言えば、第二次世界大戦で日本に戦争を けしかけた米国もそうだ。(戦争をイヤがる日本を無理やり追い込んで、真珠湾の開戦に導いた。)
→ 正しい戦争と第二次大戦: Open ブログ
現時点でも、トランプ前大統領がそうだ。彼は次期大統領になりそうだが、そうなったら、彼の方針が米国の方針となる。そのとき、どうなるか?
・ ウクライナを放棄して、ロシアに渡す。
・ イスラエルを全面支援して、ガザ虐殺を容認する。
これは、平和を望むのとは正反対だ。ウクライナについては、一見、平和を望むように見えるが、実は敗北を望んでいるだけだ。ガザについては、まさしく平和のかわりに戦争を望む。というよりは、虐殺を望む。……要するに、トランプが望むのは、戦争というよりは、悪である。少なくとも そこでは、望まれているのは平和ではない。
同様なのが、日本だ。欧米はウクライナに武器支援しているのに、日本だけはウクライナに武器支援をしない。その一方で、ロシアの天然ガスを購入する。(欧州は天然ガス輸入停止で、自らの身を切りながら、ロシアを切る。日本とは大違いだ。)……結局、日本がやっているのは、我が身かわいさで、ウクライナを見捨てることだけだ。平和を望んでいるのではなく、何もしないで孤立することを望んでいるだけだ。
一方、欧米はどうか? ウクライナについては、平和を望んでいた。ウクライナに武器支援して、ロシアの侵攻を止めた。「航空機の供与をしないので、効果は半分しかなかった」という点が問題だったが、少なくとも半分だけは正しいことをした。何もしない日本よりはずっとマシだった。満点ではなくとも 50点は与えられる。
ところがパレスチナについては違った。欧米はパレスチナについては平和を望まなかった。むしろイスラエルによる侵略を支援した。米国はウクライナに送るはずだった武器を削って、イスラエルに供与して、ガザ虐殺を支援した。ドイツは「ユダヤ人支援が国是だ」と言って、虐殺への批判を封じた。イギリスはイスラエル支援のために、国連のイスラエル批判の決議で、ただ1国だけ棄権した。(反対の米国と棄権のイギリスで、この2国だけが突出していた。)
米国、ドイツ、イギリスがイスラエル支援に回ったので、欧州全体としてもイスラエル支援という傾向になった。民衆レベルではイスラエルの虐殺を批判する声も多数上がったが、政府レベルではイスラエル支援の方針は揺るがなかった。
こうして欧米は「平和を拒否する」という方針を取った。
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以上からわかるだろう。「平和の意思」は自明ではない。「平和を望む」ということは、当たり前のようでいて、当たり前ではないのだ。
前項で示したのは、「平和を望むならば、平和を実現する方法」だった。しかし、その前提としての「平和を望むこと」が、なかなか達成しがたいのだ。
なぜか? その理由を言うなら、「人間の本性は悪魔だからだ」というしかない。われわれは自分のことを天使のようだと思いがちだが、実は、「自分のことを天使だと自惚れている悪魔」であるにすぎないのだ。そして、そのことを自覚しようともしないのだ。……先にも述べたとおり。
→ 武力と平和主義 .7: Open ブログ
馬鹿とハサミは使いよう、とも言う。猫に小判、とも言う。どれほど素晴らしい道具があるとしても、その道具をうまく使いこなせるとは限らない。
平和を実現するための道具があるとしても、その道具があるだけで平和が実現するわけではない。
平和を実現するためには、何よりも、平和を実現しようとする強い意思が必要だ。平和の意思が。
しかし、人類という種族においては、大切なのは、自分の利益だけだ。平和というものは、彼らが望んでいるものではない。だから地上では戦争が絶えない。
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人々が真に平和を望むのは、いつのことになるだろうか? たぶん、その日は、永遠に来そうにない。なぜなら、その日が来る前に、人類は滅びるからである。自らの悪魔性ゆえに。
悪魔は自ら滅びるのが当然なのだ。自壊する形で。そのための手段はすでに与えられている。「核兵器」という形で。……それを与えてくれたのが、オッペンハイマーだ。彼は人類が滅びるための手段を与えてくれたのだ。いわば、悪魔を滅ぼす悪魔のように。
※ 長くなったので、中断します。次項に続きます。
続くということですので、楽しみにしております。
「ハマスは平和を望んでいない」ことに関するご考察もぜひ。10月のテロのタイミングは、サウジアラビアとイスラエルの関係が契機だという報道もありましたが。
ガザや西岸地区の一般市民はイスラエル領内の職場で働くことによりパレスチナ域内の10倍の給料を得ることができましたが、ハマスその他がテロを起こすたびに彼らは職場をクビになり収入源を絶たれます。
パレスチナの重病人をイスラエルの近代的病院で治療するため救急車で運ぶ際に爆弾を積んで検問所で爆破させたりするものだから、チェックが厳重になり、その結果治療が手遅れになる例が続出するように。
電気、水道、徴税など、自治を放棄したハマスの代わりにイスラエル政府が代行していたけれどもいちいち攻撃してくるものだからそれらも停止。
ガザ市民の福利厚生や生活向上は国連の仕事であってハマスにはその義務はないと幹部が言っちゃう。
これから空爆するから避難するようにとイスラエルからビラ、電話、放送その他で知らせて市民が逃げようとすると、ハマス戦闘員が銃撃して避難を許さない。結果、市民が犠牲に。
国連その他からの支援物資も、ハマス戦闘員が真っ先に強奪して市民に行き渡らせない。
各国からの支援金をなんだかんだで武器購入に充ててしまい一般市民の福利厚生なんか知ったこっちゃない。
管理人様のイスラエル非難は尤もだとは思いますが、ハマスに対してずいぶん好意的だと感じています。平和をこれっぽっちも望まない組織を相手に、じゃあどうすればよいのでしょうか。欧米の対応も、ある程度それを前提としたものだと言えます。エジプトもそうです。
イスラエルが悪いとは全くの逆です。もし世界の圧力に屈し、情け心を出し10年後にユダヤ人がテロで死ぬ事態になったら、ネタニヤフは死んでの死に切れないでしょう。彼の非情さはそこからくるのでしょう。自らにとってはそれが正義でしょう。
ユダヤ人は金の力で国を乗っ取る。シェイクスピアの「ベニスの商人」に出てきます。その認識が仏にも英にもありました。必ず国の中枢が牛耳られる。それは欧州各国の共通認識でしょう。だから仏、英はスマートに追い出した。そして今の地に国を作らせた。その贖罪があるのでしょう。それが事実であることは、米国で証明されます。
以下、引用。
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そもそも、イスラエルはパレスチナ政府の成立を拒否している。世界広しといえども、隣国の政府の成立を否定しているのは、イスラエルぐらいだろう。
この状況下では、政府をつくることはできないので、やむなく自治組織ができるしかない。それが初期の PLO や,現在のハマスだ。
イスラエルは「ハマスは武装組織だから交渉相手にはならない」と主張するが、パレスチナ人の民主主義政府が成立するのを拒否しているのは、ほかならぬイスラエル政府なのだ。(呆れた詭弁である。)
http://openblog.seesaa.net/article/502606078.html