人類の本性は悪魔である。
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欧米もまた悪
前項の最後では、こう述べた。
ロシアであれ、イスラエルであれ、世界平和よりは自分の利益を優先する。あくまでエゴイズムに徹する。奪えるものがあれば、奪い取る。
それが人間の本性なのだ。
これに対しては、異論もありそうだ。
「そういう悪をなすのは、ロシアとイスラエルだけだろう。この2国が悪であるからといって、人間全体に
と。
しかし、この悪に染まっているのは、2国だけではない。「自分たちは善人だ」と自惚れている先進国の全部が当てはまる。具体的には、欧米のすべてだ。
ロシアがウクライナを侵略したとき、欧米各国はロシアを非難した。ブチャで残虐を極め、ウクライナの各都市で民間人を虐殺する。こういう残虐なロシアを欧米は問題視した。また、国連では拒否権を行使して、ロシア1国だけで世界全体を敵に回すことも問題視した。
イスラエルがパレスチナに侵攻したとき、すべては裏返った。イスラエルがパレスチナの民衆を大虐殺しても、欧米は口を閉じて沈黙を守った。ロシアによるブチャ虐殺をはるかにしのぎ、ヒトラーの大虐殺にも匹敵するほどの大虐殺。それを見て、ロシアは非難したが、欧米は沈黙した。米国に至っては、停戦を促す決議に対して、国連で拒否権を行使して、米国1国だけで世界の多くを敵に回すこともした。(なお、イギリスは棄権。)
→ https://x.gd/iapwe
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こうして明らかになっただろう。悪に染まっているのは、ロシアとイスラエルという2国だけではない。イスラエルによる大虐殺を見て、それを非難することも止めることもできないでいる(むしろ支持している)欧米もまた、同じく、悪に染まっているのである。
これまで欧米人は、かつてのヒトラーの悪行を批判してきた。あのような悪行をなしたのは他人であって、自分たちはそういう悪行を批判する善人だと思っていた。自分たちが大虐殺を支持することなど決してあり得ないと思っていた。自分たちは心のきれいな善人だと思っていた。
しかし事実はそうではなかったのだ。イスラエルが大虐殺をしたとき、欧米はそれを批判しないで、黙っていた。ロシアに侵略されたウクライナには武器を支援したのに、イスラエルに虐殺されているパレスチナ人には武器を支援しない。それどころか、米国はイスラエルにどんどん武器を補給して、イスラエルによる大量虐殺を支援している。あげく、米国がイスラエルに武器を支援しすぎるせいで、ウクライナに回す武器が足りなくなって、ウクライナはロシアで敗北しつつある。……こうしてウクライナとパレスチナという被害者が二重に虐殺されていく。そのすべては、イスラエルを支持するという欧米の方針のせいなのだ。
※ 特にドイツはひどい。「わが国はユダヤ人支援が国是だ」と言って、イスラエルによる大虐殺を積極的に是認する。
→ なぜイスラエル擁護に固執する? ドイツの「過去の克服」の落とし穴:朝日新聞
ドイツは、ヒトラーの時代にはユダヤ人を大虐殺したが、現代ではユダヤ人によるパレスチナ人大虐殺に加担する。二重の形で大虐殺をする。
※ 米国も同様だ。東京大空襲と二つの原爆で、数十万もの市民の大虐殺をした。その延長で、現代のイスラエルによる大虐殺に加担している。
※ イスラエルを非難することもできない日本もまた、同罪である。
人間は悪魔
これまで欧米は、ウクライナを侵略するロシアを悪魔だと見なしてきた。また、ウイグルで虐殺をする中国を悪魔だと見なしてきた。一方、虐殺を非難する自分たちは正義の味方であり、天使のようだと見なしてきた。
しかし、イスラエルの大虐殺を是認したとき、すべては反転した。ここでは、イスラエルの大虐殺を是認する欧米は悪魔であり、イスラエルの大虐殺を非難する(パレスチナに平和を求める)ロシアが天使である、となった。それまでとは立場が反転してしまった。
結局、どちらの側も、半分だけ悪魔で、半分だけ天使であったことになる。時と場合によって、悪魔と天使の顔を使い分ける。そのご都合主義は、こうだ。
「自分に都合によって、悪魔になったり、天使になったりする。自分の都合で、どちらになるかを決める」
こういう二面性があるのだ。

人間にはこういう二面性がある。とするれば、人はもはや「自分は天使のようだ」と自惚れることはできないのだ。むしろ「自らのうちには悪魔がひそんでいる」と認識するべきだ。
よりはっきり言えば、「自分たちは部分的に悪魔なのだ」と言える。そのことを自覚するべきなのだ。
端的に言えば、「人間の本性は悪魔である」と言える。
これまで人々は、「人間は善良な心を持つ立派な存在だ」と思ってきた。しかし、違う。人間の本性は悪魔なのである。

そして、その根源は、「人間の基本原理はエゴイズムである」ということによる。この基本原理を取る以上は、人間はどうしても「悪魔である」ということから逃れえないのだ。
だからこそ、ロシアの大虐殺の前にウクライナは敗北しつつあるし、イスラエルの大虐殺の前に今日もガザでは子供たちが殺されていく。……それに対して、どうしようもないというだけでなく、むしろ積極的に大虐殺を支援する。そういう悪魔的な傾向が、人間の本性なのだ。(エゴイズムゆえに。)
人間は悪魔も同然である。なのに、自分のことを「天使のようだ」と思いがちだ。これは「自分を天使だと思い込む悪魔」である。「天使だと自惚れた悪魔」とも言える。
※ 長くなったので、中断します。次項に続きます。
比喩で言うと、クレヨンセットに黒色があるかないか、という話。クレヨンセットの色数がいくつかという話ではない。
1 人間の基本原理はエゴイズム(利己性、私欲)であり、これは同意します。でもそれだけではなく、ご指摘のように2面性があります。これが重要なんです。
2 エゴイズム(利己性、私欲)は悪魔ではありません。エゴイズム(利己性、私欲)があればこそ、社会秩序を保つことができます。同じ商品をA店では1000円で売り、B店では100円で売っていたとします。ほぼ全員がB店で買うでしょう。なぜか?特別の理由もなくてわざわざ高い店で買いません。エゴイズム(利己性、私欲)があるからです。もしエゴイズム(利己性、私欲)がなければ社会秩序を保つことはできず、なぜそうなったか誰も説明のできない混沌の社会になるでしょう。このような一面を見るとエゴイズム(利己性、私欲)は善と言えるでしょう。逆にエゴイズム(利己性、私欲)が戦争につながれば悪魔でしょう。
私は、エゴイズム(利己性、私欲)が悪魔かそれとも天使かを議論したいのではなくて、生物が生存のために必要なものであって、場合によっては天使にも悪魔にもなることを言いたいんです。