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どうせそんなことだろう、と思ったら、やっぱりそうだ。「傭兵に高額報酬を払います」なんていう口車を信じれば、一番危険な場所に送られて、必ず戦死するハメになる。……それがロシアで起こっていることだ。だまされた被害者はネパール人。
「なぜロシアにいるの」。電話で尋ねると夫は答えた。
「ここなら月の給与で27万ルピーもらえる」「1年辛抱したら、ロシアの市民権や子どもの教育費ももらえるんだ」
夫は業者やロシア側の兵士に聞かされた「特典」を強調した。
12月30日、パタリさんのスマホに録音メッセージが届いた。
「スンダルさんは前線で戦闘中に亡くなりました」
( → (ウクライナ侵攻2年)ネパール出て「ロシア兵」で戦死:朝日新聞 )
パタリさんは遺体の返還などを求め、ネパールの外務省やロシア大使館に足を運んだ。だが遺体はいまも返されず、夫が受け取るべき給料ももらえていない。
( → (ウクライナ侵攻2年)出稼ぎ、「ロシア兵」の誘惑 ネパールから200人――狙われる貧困層:朝日新聞 )
なお、フランス人の外人部隊のような、プロの傭兵ならば、個人でなく組織で請け負う。また、契約時には銀行口座への送金を確認する。また、途中で引き返すことができる自力の能力をもつ。
今回のネパール人は、そのいずれもなかったようだ。引っかかって、飛ばされて、使い捨てにされて、埋められる。一巻の終わり。
ひどい詐欺だね。普通の詐欺は、「金を上げます」と言って、金を奪う。ロシア政府は、「金を上げます」と言って、命を奪う。