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記事の一部抜粋は次の通り。
グループ会社3社での検査不正が相次いで発覚したトヨタ自動車。同社の社外取締役を務める菅原郁郎氏(66)が「週刊文春」の取材に応じ、豊田章男会長(67)の経営姿勢に苦言を呈した。
――菅原さんは、章男氏についてどう見ている?
「章男さんは変わってしまった。昔は一家言持っている人たちが周りにいた。でも2020年頃からかな、副社長を次々放逐したり、3人置くと言ったり。それで置いた人もまたいなくなって。章男さんに引き上げられた人ばかりで、率直に物を言う人がいなくなりました」
――イエスマンで固めたい思惑が?
「結果として、そうなったんじゃないかな」
( → トヨタ・豊田章男会長に社外取締役が実名で苦言 「副社長を次々放逐して、率直に物を言う人がいなくなった」 《グループ3社で不正が連続発覚》 | 文春オンライン )
「詳しくは金を払って記事を読め」ということらしい。
だが、豊田章男の独裁体質については、私がずっと前に批判記事を書いた。それを読んでもいいだろう。
→ 豊田章男は晩節を汚す: Open ブログ
※ これは無料です。 (^^);
[ 付記 ]
はてなブックマークには、次の意見が見られた。
「この問題はずっと昔からあり、ダイハツの体質だ。だから、近年の社長である豊田章男のせいではない」
この見解は二重に間違っている。
第1に、豊田章男は長年にわたって社長を続けている。2009年に就任し、2023年に退任した。14年間も社長を続けた。なお、ダイハツがトヨタの子会社になったのは、1998年だ。豊田章男が社長であった全期間において、子会社ダイハツの経営にも責任がある。
第2に、この問題はずっと昔からあったわけではないし、ダイハツの体質でもない。この問題が起こったのは、「開発コストの圧縮」(開発期間の短縮)という号令が発せられたあとのことだ。その時期は、2013年に、ダイハツの新社長が就任したときだ。
→ ダイハツの新車開発、“期間半減”目指す 21年ぶりの生え抜きトップ、三井新社長が所信表明
2013年の就任であるから、豊田章男が社長になった 2009年以後のことである。つまり、この人事を決めたのは豊田章男である。「開発コストの圧縮」(開発期間の短縮)という号令を発したのは、ダイハツの新社長だが、その方針を承認したのは、豊田章男である。
要するに、「開発コストの圧縮」(開発期間の短縮)という号令は、豊田章男の承認した方針なのだ。それについて最高責任を負うのは、もちろん、トヨタ社長(当時)であった豊田章男だ。
その張本人である豊田章男が、ダイハツの不正について知らぬ顔の半兵衛をしているのは、とんでもない無責任な態度だと言えるだろう。
[ 補足 ]
豊田章男の弁は次の通り。
《 ダイハツ不正「トヨタグループ全体の問題」 豊田章男会長 》
豊田章男会長は「トヨタグループ全体の問題として先頭に立って信頼回復に努める」との考えを示した。
( → 日本経済新聞 )
トヨタグループ全体に責任転嫁してしまっている。「自分のせいです」とは言わない。せめて「私の不徳の致すところです」ぐらいは言えばいいのに。無責任すぎる。
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トヨタの豊田章男会長は、日本自動車工業会の前会長として賀詞交歓会の冒頭であいさつしたが、この問題には言及しなかった。
( → 「現場への理解、関与が足りず」トヨタ社長、ダイハツ不正問題めぐり:朝日新聞 )
ここでも知らんぷりだ。
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ついでだが、トヨタの現社長はもっとひどい。
不正をしていた問題で、親会社であるトヨタ自動車の佐藤恒治社長は5日、「自立的な経営を尊重していた部分があり、現場への理解、関与が足りなかったのではないかと反省している」と述べた。「徹底的な現場経営をしていくことの大切さ、ここができていなかった」とも語った。佐藤氏は2021〜23年にダイハツの社外取締役を務めていた。
( → 「現場への理解、関与が足りず」トヨタ社長、ダイハツ不正問題めぐり:朝日新聞 )
「現場への理解、関与が足りなかった」だと? 馬鹿言え。話は逆だ。現場への介入が過剰だったのだ。「開発コストを半減せよ」というふうに、過剰に介入した。そんなことは経営者が口出しするべきことではない。なのに、経営者が過剰に介入した。それが問題だったのだ。
正しくは? 「現場への関与をなくすこと」だ。つまり、「権限委譲をすること」だ。これこそが最も大切なことである。ここにこそ日本の自動車産業の強みがある。一方、他産業ではそれほどの権限委譲ができていない。この件は、前に詳しく述べた。
→ 東芝家電の失敗と再建: Open ブログ
豊田章男はひどい経営者だったが、現社長はもっとひどい経営者だと言えそうだ。あるいは、豊田章男はひどい経営者だったが、現社長に比べればまだマシだった、と言えるかもしれない。
ついでだが、トヨタ社長に比べると、日産はホンダの社長はゴミである。トヨタがこの 15年間に、株価を大幅に上げたのに比べると、日産やホンダの株価は惨憺たるありさまだ。特に日産は暴落しており、目も当てられないありさまだ。ゴーンの遺産だとはいえ、そこから脱する能力のない日産経営陣もひどいものだ。能力のある関潤・副社長を排除するに至っては、あえて自滅しているとしか言えないね。(ルノーのせいだけど。日産はルノーのせいでメチャクチャにされている。尻尾が犬を振る状況だ。)
ホンダはホンダで、EV 技術と自動運転技術がひどく立ち遅れており、将来の見込みがひどい。お先真っ暗だ。トヨタの将来も暗いが、ホンダの将来は真っ暗だ。
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日産が駄目なのは、次の点。
・ 米国では、不評の CVT を続ける。( AT なし)
・ 欧州では、高速燃費が悪い e-POWER (直結なし)
これらの問題については、本サイトではずっと前に批判したのだが、いつまでたっても改善されない。そのせいで、米国と欧州ではシェアを失うばかり。
一方、日本では、シェアが減るどころか、もともとシェアがない。シェアが激減している。ノートもエクストレイルも、ガソリン車を出せば売れるのに、ガソリン車を出さないんだから、もともと車を売る気がない。他国では売れているシルフィーも Versa も、日本では売らないんだから、やはり、もともと車を売る気がない。アリアやフェアレディに至っては、作ればどんどん売れるのに、作ろうとしない。工場を(半分以上も)止めている。その状態が何年も続いている。ひどいものだ。あえて自滅している(自殺している)としか思えないね。
トヨタは社長が腐っているが、日産とホンダは会社全体が腐りかけている。
※ ちなみに、アリアの国内販売台数は、昨年 12月で 130台だけだ。bZ4X に比べても、世界販売台数は大幅に劣っているようだ。経営者の無能ぶりは、目に余る。豊田章男はダイハツに不正をもたらしたが、日産の経営者は日産全体を崩壊させつつある。
> 正しくは? 「現場への関与をなくすこと」だ。つまり、「権限委譲をすること」だ。これこそが最も大切なことである。ここにこそ日本の自動車産業の強みがある。
→ 豊田氏のほうは、言葉の上ではそれをわかっているようで、(今年)1月30日のトヨタグループビジョン説明会の時に、「主権を現場に戻す」と言ってはいますね。ただし、どこまで本気かはわかりません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/492c534777e163948f8d5ff5ef2024a48c37237f
移動手段としての車 AIと共に驚きの変化が生まれそうな予感がします
すごく、上手な表現をなさること!!